DV・モラハラ
モラハラ離婚に役立つ証拠6選|証拠集めのコツや集めたあとの対応を解説
2024.09.25
DV(ドメスティック・バイオレンス)について明確な定義はありませんが、大きく「配偶者や恋人から暴力を振るわれること」を指します。
また、DV法は「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律」という名称であり、基本的に配偶者からの暴力を指しています(ただし、生活の本拠を共にする交際相手からの暴力もこの法律を準用することとされています。)。
そのため、配偶者ではない恋人からの暴力をどこにどのように相談すればよいかわからない方もいるでしょう。
しかし、恋人からのDVは「デートDV」と呼ばれる立派なDVのひとつです。
デートDVにおいてもいくつもの相談先があるので、DV被害に遭っているのであればすぐに相談してください。
「DV」と聞くと、殴る蹴るなどの身体的暴力を思い浮かべますが、DVは身体的な暴力ばかりを指す言葉ではありません。
DVの中でも特に恋人同士の間で起きる暴力を「デートDV」と呼び、最近では10代の若いカップルの間にも広がりをみせ、大きな問題となっています。
DVには主に次のような行為が該当します。
自分自身や周囲の友人たちの身に起きていないか、ひとつずつ解説していくのでチェックしましょう。
身体的暴力は、身体を痛めつける暴力で、場合によっては警察が介入するような案件になります。
<身体的暴力の例>
他人に対する暴力は正当防衛などを除いて許されておらず、交際相手や元交際相手に暴力を働いた場合はデートDVに該当します。
スマホの監視は社会的隔離=束縛に当たります。
<スマホの監視の例>
個人にはプライバシーがあり、一方的に相手のプライバシーに干渉し束縛する行為は、デートDVの要件です。
交友関係の制限も、社会的隔離=束縛です。
<友人関係の制限の例>
相手に精神的なダメージを与える行為であり、デートDVに該当します。
暴力や態度・行動制限で相手を精神的に追い詰めるような行為は、デートDVに当たります。
<精神的苦痛の例>
殴る・蹴るといった明白な暴力行為ではありませんが、精神的なダメージを与える点で、身体的暴力に匹敵する行為です。
性的DVは性的な行為を強要することで、恋人同士であっても合意がない性行為はデートDVに該当します。
<性的な強要の例>
性的DVは、内容によっては不同意性交等罪(旧強制性交等罪)などの犯罪となる可能性があります。
大声や暴言も精神的DVの一種で、いわゆる「モラル・ハラスメント」に当たります。
<大声や暴言の例>
暴力や侮辱によって精神的に追い込まれ、PTSD(心的外傷後ストレス障害)に陥ってしますケースもある、酷い行為です。
理不尽な経済的負担の強制や経済的依存も、デートDVに該当します。
<経済的な暴力の例>
暴力とは認識しにくいですが、金銭的な行為も暴力の一種です。
デートDVは、法的にも違法性を問われる可能性があります。
デートDVはエスカレートすれば重大な事件に発展する危険性もある、という認識が重要です。
デートDVによる強い精神的苦痛やうつ病・ストレス障害の発症は、不法行為に当たります。
民法第709条に定められた不法行為に基づく損害賠償請求により、慰謝料請求が可能です。
ただし、慰謝料請求には証拠が必要となるため、DVを受けたことのわかるメールやケガの写真、診断書や精神科等への通院履歴を残すようにしましょう。
交際相手や元交際相手に対する以下のような言動は「つきまとい等」の行為に当たり、ストーカー行為と認められれば刑事罰の対象となります(ストーカー規制法第18条)。
つきまといやストーカー行為により、暴行や脅迫などの刑法上の犯罪が成立した場合は、逮捕される可能性もあります。
暴言によるDVのように、交際相手や元交際相手を公の場で侮辱した場合は、侮辱罪(刑法第231条)に該当する場合があります。
侮辱罪の刑罰は、ここに挙げるそのほかの刑法違反に比べ軽い刑罰です。
しかし日常的な侮辱により被害者が心身に不調をきたした場合には、より刑罰の重い傷害罪が成立する可能性があります。
交際相手や元交際相手に暴力をふるった場合は暴行罪(刑法第208条)、暴力によって相手がケガをした場合は傷害罪(刑法第204条)に処されます。
暴行罪でいう「暴行」は違法な有形力の行使を意味し、次のような行為が該当します。
暴行罪の場合「被害者がケガをしていないこと」が条件です。
暴行による負傷を伴う場合は傷害罪となり、該当するのは次のような行為です。
傷害罪は暴行罪より被害が深刻なため、刑罰が重くなります。
交際相手であっても本人の同意なく金品を持ち出すことは許されず、窃盗罪(刑法第235条)が成立します。
また、交際相手から委託や管理を任されていたお金を使い込んだ場合は、横領罪(刑法第252条)になります。
交際相手や元交際相手に対し、暴行や脅迫を用いて抵抗ができない状態でわいせつな行為をした場合は、不同意わいせつ罪(刑法第176条・旧強制わいせつ罪)に処されます。
また同じく暴行や脅迫を用いて性交・肛門性交・口腔性交をおこなった場合は、不同意性交等罪(刑法第177条・旧強制性交等罪)が成立します。
2023年7月の改正刑法施行により、これまでの「強制わいせつ罪」と「準強制わいせつ罪」は「不同意わいせつ罪」として統合されました。同じくこれまでの「強制性交等罪」と「準強制性交等罪」も統合され「不同意性交等罪」が創設されました。 |
デートDVを受けている人や、周りの友人や家族が被害に遭っている人に向けて、相談窓口は全国にさまざまな形で開設されています。
ここでは、デートDVの相談に乗り、対応してくれる民間や国の機関について紹介します。
デートDVに遭っていることに気づいたら、自分を責めたり我慢したりせず、適切な支援や保護を受けましょう。
認定NPO法人エンパワメントかながわが運営している、デートDVに特化した相談窓口です。
匿名で相談可能で、電話をしにくい人はチャットでの相談も可能です。
電話番号 | 0120-51-4477(通話料無料) |
受付時間 | 月曜~土曜 19:00~21:00(年末年始除く) |
Webサイト | https://ddv110.org/ |
NPO法人デートDV防止全国ネットワークが運営している団体。
特に若い世代に向けてのデートDVの予防教育や、啓発活動に力を入れています。
Webサイトでは、全国のデートDV相談窓口が検索できます。
Webサイト | https://notalone-ddv.org/ |
内閣府男女共同参画局が運営しているナビダイヤルです。
ナビダイヤルに電話すると、発信地の情報から最寄りのDV相談窓口に電話が自動転送されます。
匿名での相談も可能。
ただし、受付時間は転送先の各相談窓口の受付時間内に限られます。
全国共通電話番号 | #8008(はれれば) |
内閣府男女共同参画局がおこなっている、DV被害者向けの相談事業です。
フリーダイヤルでの電話相談のほか、チャットやメールでの相談も可能です。
10ヵ国語程度の外国語での相談にも対応しているほか、状況によってWebでの面談もおこなっています。
電話番号 | 0120-279-889(つなぐはやく)(通話料無料) |
受付時間 | 電話・メール:24時間対応 チャット:12:00~22:00 |
Webサイト | https://soudanplus.jp/ |
茨城県内初の民間組織として発足したDVの相談窓口。匿名での相談も可能で、状況に応じた面談相談や、専門機関への紹介をおこなっています。
相談は無料。
電話番号 | 029-222-5757 |
受付時間 | 毎週水曜・金曜 10:00~15:00 |
Webサイト | https://www.at-ml.jp/71029/ |
命の危険を感じるなど緊急の場合は110番へ通報するか、最寄りの交番・警察署へ駆け込みましょう。
暴力の制止や加害者の検挙、被害者の保護などの対応をしてくれます。
DVの相談については交番には相談窓口がないため、最寄りの警察署まで相談に行くか、警察相談ダイヤル「#9110」に電話をして、DV被害の相談窓口に繋いでもらいましょう。
デートDVによる被害は刑法の罪状に該当する可能性があるため、酷いケガをした場合などは警察への相談が有効的です。
デートDVによる被害で加害者を告訴する場合には、弁護士が強い味方となります。
弁護士に相談することで、警察への対応や暴力からの保護など、さまざまなサポートを受けられます。
弁護士への相談は敷居が高いと感じる人もいるかもしれませんが、初回相談を無料でおこなっている事務所も多くあるため、Webサイトで検索するなどしてまずは相談しに行ってみましょう。
デートDVによる被害は、家族や学校の先生には相談しにくいものです。
国(内閣府)がおこなった調査では、交際相手から何らかのDV被害を受けたと答えた人が12.6%(約8人に1人)います。
しかしそのうちの35.7%が「どこにも相談しなかった」と回答しています。
【参考】内閣府 /「男女間における暴力に関する調査報告書」令和3年3月公表(令和2年度調べ)
友人が自分にデートDVの相談をもちかけてくれたとき、それは非常な勇気を振りしぼっての行動です。
自分を信じて頼ってくれた友人に対し、何をしてあげればいいのか、この章で解説します。
デートDVの相談を受けた場合は、まずはゆっくりと最後まで話を聞いてあげましょう。
デートDVの被害者は、心や身体を傷つけられ、精神的にも追い詰められた状況で「相手が暴力をふるうのは自分が悪いからだ」と思い込んでいることが多々あります。
そんな被害者を責めたり、自分の意見を押しつけたりしないことが重要です。
<デートDV被害者へのNGワード>
自分が加害者を知っている場合は「そんなことする人には見えないけれど」という先入観をもたないようにしましょう。
DVの加害者は、大人しそうに見えたり優しそうであったり、外での姿と恋人への態度を使い分けている例がたくさんあります。
自分が知っている外見だけで判断しないよう注意が必要です。
また相談を受けた内容を、ほかの人に話すのは危ない行動です。
話が回り回って加害者の耳に入ってしまう可能性があり、被害者である友人にとって危険な状況になる場合があります。
相談してくれた友人の勇気と信頼に応え、まずは相手の身になって話を聞いて受け止めてあげることから始めましょう。
デートDV被害者から相談を受けた際は、専門機関への相談を勧めましょう。
大切な友人がデートDVの被害に遭っていると知って、自分たちで何とかしようと思ってしまうかもしれません。
しかしデートDVの問題は根が深く、また下手に行動すると危険が伴います。
解決への一歩は、専門の相談機関や警察・弁護士への相談を勧めたり、一緒に行ってあげたりすることです。
「自分はどんなときもあなたの味方だよ」と伝え、友人のサポートをしてあげましょう。
デートDVの相談機関は、家族や第三者からも相談や通報がおこなえます。
本人が相手に監視されていて動きが取れない場合、家族や友人が相談窓口や警察に相談・通報しましょう。
自分がデートDVを受けている場合は、その現実に早く気づき、専門機関に相談しましょう。
DVにはサイクルがあります。暴力や暴言のあと、一転して優しくなったり、二度としないと泣いて謝ってきたりします。
被害者はつい「今度こそ変わってくれるかもしれない」と期待を寄せてしまい、結局はまたDVが繰り返されます。
サイクルから抜け出せなくなる前に、自分でデートDVの被害者になっていることに気づき、相談機関や警察・弁護士に助けを求めることが大切です。
今回の記事を参考に、冷静に現状を見つめなおしてみましょう。
参考:デートDVとは?デートDVの予防教育の必要性や現状も解説|ONE LOVE