飲酒運転はかならず逮捕される?逮捕の可能性や逮捕後の流れ、刑罰を解説

飲酒運転はかならず逮捕される?逮捕の可能性や逮捕後の流れ、刑罰を解説

内閣府が公表している令和3年版交通安全白書によると、令和2年中に「飲酒運転」で摘発された件数は22,458件でした。

交通違反取締り

引用元:令和3年版交通安全白書|内閣府

さまざまな場面で「飲酒運転根絶」の広報・啓発活動が展開されているので、飲酒運転の摘発数は年々減少しています。

ただし、単純計算で1日あたり60件以上が摘発されている現状をみれば、飲酒運転の根絶にはほど遠く、全国警察が取締りの手を緩めることはないでしょう。

飲酒検問やパトロールを通じた職務質問など、警察は飲酒運転の摘発に力を注いでいます。

ちょっとした気の緩みで飲酒運転をしてしまい、逮捕されてしまうケースも少なくありません。

飲酒運転の容疑で逮捕されてしまうのはどんなケースなのか、摘発されるとどのような責任を負うことになるのかを解説しながら、弁護士に依頼した場合に期待できる弁護活動について紹介していきます。

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この記事を監修した弁護士
門屋 徹
門屋 徹弁護士(丸の内中央法律事務所)
慶應義塾大学法科大学院卒業後、2013年に弁護士登録。性犯罪・薬物・暴行・窃盗・詐欺など、あらゆる刑事事件分野に注力。また刑事事件に限らず企業法務や借金問題、離婚問題、相続問題等、多岐にわたり注力している。

「飲酒運転」とは

「飲酒運転」に対する一般的な解釈と法律による定義には、若干の違いがあります。

まずは「飲酒運転」がどのような行為なのかを確認していきましょう。

一般的な意味

一般的な意味での「飲酒運転」とは、お酒を飲んで自動車やバイクなどを運転する行為だと解釈されています。

「飲んだら乗るな、乗るなら飲むな」という標語があるように、ビール・日本酒・焼酎などのアルコール飲料を口にして車を運転する行為が飲酒運転と呼ばれています。

道路交通法の定義

道路交通法をみると「飲酒運転」という用語は存在しません。

その代わりに「酒気帯び運転等」という規定が存在しています。

(酒気帯び運転等の禁止)
第六十五条 何人も、酒気を帯びて車両等を運転してはならない。

引用元:道路交通法|e-Gov

一般的な定義と大きな差がないように感じられるかもしれませんが、大きく違うのは「酒気を帯びて」という点です。

「酒気を帯びて」とは、体内にアルコールを保有する状態をいいます。

つまり、ビール・日本酒・焼酎などに限らず、わずかでもアルコールを含有する飲料・料理・菓子類を口にして車を運転すれば、道路交通法上の酒気帯び運転に該当します。

また「車両等」とされているので、4輪以上の自動車やバイク・原動機付自転車はもちろん、牽引されている自動車や自転車なども規制対象です。

「ひとくちしか飲んでいないから大丈夫」「もう5時間も経ったから大丈夫」といった考えかたは、たとえ一般的に許容されたとしても道路交通法の規定に照らせば違法となります。

飲酒運転の種類と基準

道路交通法における飲酒運転には2つの種類があります。

酒気帯び運転

飲酒運転の基本形が「酒気帯び運転」です。

道路交通法第117条の2の2第3号には、酒気帯び運転をした場合において「政令で定める程度以上にアルコールを保有する状態」について、罰則を設けています。

ここでいう政令とは「道路交通法施行令」を指します。

酒気帯び運転とは 血液1ミリリットルにつき0.3グラム以上のアルコールを保有する状態
呼気1リットルにつき0.15ミリグラム以上のアルコールを保有する状態

参考元:道路交通法施行令|e-Gov

警察による飲酒検問や職務質問では、道路交通法第67条3項・道路交通法施行令第26条の2の2の定めを根拠に「呼気検査」が実施されるため、主に「呼気1リットルにつき0.15ミリグラム以上のアルコールを保有する状態」が検挙の基準となるでしょう。

血液中に保有するアルコールの分量が問題となるのは、呼気検査を拒んだため裁判官の令状にもとづいて強制採血されるなどのケースに限られます。

酒酔い運転

酒気帯び運転のさらに悪質な状態が「酒酔い運転」です。

道路交通法第117条の2第1号によると、酒酔い運転とは「アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態」とされています。

ここで注目すべきポイントは、道路交通法・道路交通法施行令ともに酒酔い運転についてアルコールの保有量に触れていないという点です。

たとえ呼気検査などによって酒気帯び運転の基準値を超えるアルコールが検出されなかったとしても、警察官が「正常な運転ができない」と判断すれば酒酔い運転として検挙されます。

具体的には、次のような基準で酒酔い運転であるかが判別されています。

飲酒運転で問われる法的な責任

飲酒運転を犯すと、さまざまな責任を追及されることになります。

刑事責任|刑罰を受ける

飲酒運転は道路交通法の定めに違反する行為であり、犯罪のひとつです。

犯罪行為には法律で定められた範囲の刑罰が科せられることになり、飲酒運転も例外ではありません。

飲酒運転に対する刑罰は次のとおりです。

飲酒運転の種類 罰則
酒気帯び運転(道路交通法第117条の2の2第4号) 3年以下の懲役または50万円以下の罰金
酒酔い運転(道路交通法第117条の2第1号) 5年以下の懲役または100万円以下の罰金

行政処分|運転免許上の処分を受ける

道路交通法の定めに違反すると、所定の「違反点数」が加算されます。

違反点数が累積されると、運転免許の停止や取り消しといった処分が下されます。

これが「行政処分」です。

飲酒運転に対する行政処分は次のとおりです。

飲酒運転の種類 違反点数 行政処分
酒気帯び運転 0.15mg以上0.25mg未満 13点 90日間の免許停止
0.25mg以上 25点 免許取り消し+2年間の欠格
酒酔い運転 35点 免許取り消し+3年間の欠格

ここで挙げた行政処分は、過去に行政処分を受けたことがない「前歴なし」の場合です。

前歴なしでも酒気帯び運転ではいわゆる「一発免停」といわれる状態に、重大な酒気帯び運転や酒酔い運転では「一発取り消し」になります。

過去に前歴がある場合、さらに行政処分は厳しくなります。

たとえば、0.15mg以上0.25mg未満にあたる酒気帯び運転の場合、過去に1回でも行政処分を受けていれば免許取り消し・1年間の欠格です。

欠格期間中は運転免許を取得できないので、仕事や日常生活にも大きな支障が生じることになるでしょう。

民事責任|事故相手への賠償

飲酒運転のうえで交通事故を起こしてしまうと、事故相手への賠償責任も生じます。

相手車両の修理費や壁・塀などの修繕費、怪我の治療費や慰謝料などを支払わなければいけません。

基準値以下の飲酒運転だった場合

飲酒運転について「基準値以下の場合は問題ない」と考えている方は少なくないようです。

しかし、たとえ呼気検査をした結果が基準値以下の数値だったとしても「違反にならない」と考えるのは間違っています。

刑罰や行政処分は受けない

道路交通法では、酒気帯び運転について「政令で定める程度以上にアルコールを保有する状態」であることを要件としています。

酒気帯び運転の検挙基準の最低値は呼気1ミリリットルあたり0.15ミリグラムなので、この数値を超えない限り、道路交通法違反として刑罰や行政処分を科せられることはありません。

「基準値以下なら問題ない」という誤解はこのような点から生じているようです。

継続した運転は認められない

基準値を超えない限りは酒気帯び運転として検挙されないものの「基準値以下なら飲酒運転も許される」のではありません。

道路交通法第65条1項は「酒気を帯びて車両等を運転すること」を禁じており、アルコールの保有量などは問題にならないのです。

もし、警察の検問などで飲酒運転が発覚した場合は、基準値以下であっても継続した運転は認められません。

ほかに酒気を帯びていない同乗者がいれば運転を代わる、駐車可能な場所であれば車を置いて帰る、レッカー業者や運転代行業者に依頼するなどの対応をとることになります。

飲酒運転で逮捕される可能性はあるのか?

ニュースや新聞などに目を向けると、飲酒運転の容疑で逮捕されたケースが報じられています。

このような状況から「飲酒運転をすると逮捕される」と考えている方も少なくないようですが、かならず逮捕されるとはいえません。

かならず逮捕されるわけではない

「逮捕」とは、犯罪の被疑者が逃亡・証拠隠滅を図るおそれがある場合に身柄を拘束する強制処分のひとつです。

日本国憲法の原則に従えば、現行犯を除いて裁判官が発付した逮捕状がなければ逮捕されません。

そして、警察の捜査は「任意の方法による」のが原則です。

つまり、逃亡や証拠隠滅を防止する必要のない事件では、逮捕せず任意の在宅事件として処理されることになります。

飲酒運転そのものは悪質な違反行為と評価されるものですが、素直に運転免許証を提示して素性を明かし、降車して事情聴取に応じるなど逃亡や証拠隠滅を図る気配もなければ逮捕されるおそれは低いでしょう。

悪質なケースでは逮捕される危険が高い

飲酒運転のなかでも、深く酒に酔っており蛇行運転など危険な走行をしていた、基準値を大幅に超えるアルコールが検出された、飲酒検問を察してUターンし逃走の気配をみせたなどの悪質なケースでは、逮捕される可能性が高いでしょう。

また、警察に「日ごろから飲酒運転をしているようだ」という情報が提供され、行動をマークされていたようなケースでも、常習性が高く悪質だと判断されて逮捕されやすくなります。

【参考サイト】
自衛官「酒を飲んで運転したことに間違いない」現行犯逮捕|YAHOO!ニュース
「見つからないと思った」飲酒運転の情報でパトロール中に目撃…車内から”酒の空き缶”も 50歳男逮捕|YAHOO!ニュース

交通事故を起こせばほとんどのケースで逮捕される

飲酒運転のうえで交通事故を起こした場合は、負傷者の有無にかかわらず逮捕される危険が高まります。

実際の報道をみても、飲酒運転のうえで交通事故を起こして逮捕された事例が多数です。

【参考サイト】
酒気帯び運転で衝突事故 容疑で44歳男を現行犯逮捕 兵庫・加古川|YAHOO!ニュース
飲酒運転の疑いで会社役員の男を逮捕 基準値の3倍以上のアルコール分を検出【熊本】|YAHOO!ニュース

これらの情報をまとめると、飲酒運転で逮捕さやすいケースと逮捕されにくいケースは次のように区別できます。

飲酒運転でも逮捕されにくいケース 飲酒運転で逮捕されやすいケース
・基準値を大きく超えない酒気帯び運転
・飲酒検問や職務質問などで偶然に発覚した
・素性を明かして素直に事情聴取に応じている
・基準値を大きく超える酒気帯び運転や危険性が高い酒酔い運転である
・蛇行など危険な走行をしていた
・交通事故を起こして飲酒運転が発覚した
・逃走する気配を見せた、運転免許を提示しないなどの悪質な違反逃れ

飲酒運転で逮捕された場合の刑事手続きの流れ

飲酒運転は犯罪なので、逮捕されると窃盗や暴行・傷害といった事件と同じように刑事手続きが進みます。

逮捕による身柄拘束

飲酒運転が発覚して逮捕が告げられると、その瞬間から身柄拘束が始まります。

手錠をかける、腰縄をつけられる、両脇を取り押さえられるといった物理的な拘束を受けていなくても「逮捕する」と告げられた時点で自由な行動は許されません。

警察署に連行されると、逮捕の理由などを告げられて弁解を述べる機会が与えられたのちに取り調べが始まります。

どのような経緯で飲酒運転に至ったのか、当日の行動や飲酒の状況、発覚前の経路、運転の目的などが聴取され、供述調書という書類にまとめられます。

逮捕されると、自宅へ帰ることも、会社や学校に行くことも許されません。

取り調べ以外の時間は警察署の留置場で過ごすことになります。

逮捕による身柄拘束のうち、警察に与えられた時間は48時間が限界です。

通常の刑事手続きでは48時間以内に検察官へと事件が引き継がれます。

ただし、飲酒運転で逮捕されたケースでは、事実を否認している、死傷者がいるといった状況がない限り、送致されずに警察段階で釈放される可能性も高いでしょう。

48時間以内に釈放されることから、このような流れを警察内部では「48(ヨンパチ)」とも呼んでいます。

検察官への送致

事件が警察から検察官へと引き継がれる手続きを「送致」といいます。

ニュースなどでは「送検」と呼ばれるので、聞いたことがある方も多いはずです。

警察段階で釈放されなかった場合は48時間以内に検察官へと送致され、検察官による取り調べがおこなわれます。

ここで検察官は、引き継がれた身柄を釈放するか、引き続き拘束するための請求を申し立てるかを選択しなければなりません。

検察官に与えられた持ち時間は送致の受理から24時間以内です。

勾留による身柄拘束

検察官が「引き続き身柄を拘束する必要がある」と判断した場合は勾留が請求されます。

裁判官がこの請求を認めると、原則10日間、延長請求によってさらに最大10日間の合計最大20日間にわたる身柄拘束を受けることになります。

勾留中の身柄は警察へと戻され、検察官の指揮を受けながら警察による捜査が進みます。

否認事件や死傷事故を起こした事件では、厳しい取り調べを受けるとともに実況見分や再現見分といった捜査にも応じなければなりません。

起訴・不起訴の判断

勾留が満期を迎える日までに、検察官は起訴・不起訴を判断します。

「起訴」とは裁判所に刑事裁判を提起する手続きです。

検察官が起訴すると、被告人としてさらに勾留を受けます。

「不起訴」とは、刑事裁判を起こさないという手続きです。

刑事裁判は開かれないので身柄拘束も不要となり、ただちに釈放されます。

不起訴は刑事裁判の「無罪」とは異なるものです。

たとえば、飲酒運転の事実は明らかで、本人もその事実を認めているといった状況でも、厳しい処罰は必要ないと判断されれば不起訴となる可能性は大いにあります。

ただし、不起訴になっても飲酒運転の事実がある場合は違反点数が加算されるため、免許停止・取り消しなどの行政処分は免れません。

行政処分に不服がある場合は、公安委員会による意見の聴聞などの機会を活かして異議を申し立てる必要があります。

刑事裁判

検察官が起訴した事件は刑事裁判へと移行します。

公開の法廷で審理される「公判」をイメージする方が多いはずですが、飲酒運転ではとくに悪質なケースを除き「略式手続」によって審理されるケースもめずらしくありません。

略式手続とは、100万円以下の罰金または科料が予定されており、本人が罪を認めて略式手続による審理を容認している場合に限って選択される手続きです。

書面審理のみなので公開の法廷で傍聴人の目にさらされることもなく、迅速な結果が期待できます。

ただし、略式手続を選択すると、かならず有罪となり罰金または科料が言い渡されることになります。

迅速な結果と引き換えに前科がついてしまうので、慎重な判断が必要です。

在宅事件の場合

飲酒運転が発覚したものの逮捕されなかった、逮捕されたが48時間が経過する前に釈放されたといった場合でも、刑事手続きが終わったわけではありません。

身柄拘束を伴わない在宅事件でも、警察の捜査が終われば検察官へと送致されます。

身柄なしで書類と証拠品のみが送致されることから、この手続きをニュースなどでは「書類送検」と呼んでいます。

在宅事件の場合も、警察が捜査を尽くし、検察官が起訴・不起訴を判断するという点に変わりはありません。

検察官の判断次第では起訴されて刑事裁判に発展することもあるので、厳しい刑罰を受ける可能性は残っています。

飲酒運転の容疑をかけられたら弁護士に相談を

飲酒運転の容疑で逮捕された、飲酒検問などで飲酒運転が発覚したが逮捕されず在宅事件になったなどの状況があれば、ただちに弁護士に相談してサポートを求めましょう。

逮捕されて身柄拘束を受けている事件では、勾留を受けて長期にわたり社会から隔離されてしまう危険があります。

身柄拘束が長引けば解雇・退学などのリスクも高まるため、弁護士に依頼して早期釈放を目指したサポートを受けましょう。

在宅事件になったからといって安心してはいけません。

在宅事件でも身柄事件と同じように送致され、検察官が起訴・不起訴を判断します。

弁護士に依頼すれば、深く反省しており二度と飲酒運転はしないことを心から誓っていること、刑事裁判に発展することで失職するなど不利益が大きすぎることなどを検察官に主張できるので、不起訴の判断が下される可能性も高まるでしょう。

まとめ

飲酒運転に対する取締りは年々強化される一方です。

厳しい刑罰が科せられるだけでなく、逮捕されれば実名で報道されて社会的に強く非難され、解雇や退学といった不利益を招くでしょう。

飲酒運転が発覚して早期の釈放や処分の軽減を目指すには、弁護士のサポートが欠かせません。

容疑をかけられてしまった時点でただちに飲酒運転に関するトラブルの解決実績が豊富な弁護士を探して相談しましょう。

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この記事の調査・編集者
みーさん
2017年にライターとしてアシロに入社し、主に交通事故とIT分野の執筆に携わる。2019年によりIT媒体の専任ディレクターになり、コンテンツの執筆・管理などを行っている。