危険運転致死傷罪とは|該当する行為・罰則(法定刑)・刑事手続きの流れなどを解説

危険運転致死傷罪とは|該当する行為・罰則(法定刑)・刑事手続きの流れなどを解説

危険運転致死傷罪は、酩酊状態での運転や高速度での運転など、悪質な運転によって交通事故を起こした場合に成立します。

危険運転致死傷罪には非常に重い法定刑が設定されているため、初犯であっても実刑となる可能性が極めて高いです。

その中でも、できる限り重い刑罰を回避するためには、早期に弁護士へ相談することをおすすめします。

今回は危険運転致死傷罪について、該当する行為・罰則(法定刑)・刑事手続きの流れなどを解説します。

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この記事を監修した弁護士
阿部 由羅
阿部 由羅弁護士(ゆら総合法律事務所)
ゆら総合法律事務所の代表弁護士。不動産・金融・中小企業向けをはじめとした契約法務を得意としている。その他、一般民事から企業法務まで幅広く取り扱う。

危険運転致死傷罪とは

「危険運転致死傷罪」とは、きわめて危険な方法・態様で自動車を走行させ、よって人を死傷させる犯罪です。

交通事故について運転者の処罰規定を定めた「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律」(以下「自動車運転処罰法」)において、危険運転致死傷罪が規定されています。

危険運転致死傷罪については、一般的な過失による交通事故のケース(過失運転致死傷罪)に比べて、非常に重い刑罰が設定されています。

危険運転致死傷罪に該当する行為

危険運転致死傷罪に該当する行為は、自動車運転処罰法2条と同法3条に分けて規定されています。

本記事では便宜上、前者を「2条類型」、後者を「3条類型」と呼称して解説します。

2条類型に当たる行為

危険運転致死傷罪の2条類型に当たるのは、以下の行為によって人を死傷させた場合です。

  1. アルコールまたは薬物の影響により、正常な運転が困難な状態で自動車を走行させる行為
  2. その進行を制御することが困難な高速度で自動車を走行させる行為
  3. その進行を制御する技能を有しないで自動車を走行させる行為
  4. 通行妨害の目的で、走行中の自動車の直前に進入し、その他通行中の人または車に著しく接近し、かつ重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為
  5. 通行妨害の目的で、走行中の車(重大な交通の危険が生じることとなる速度で走行中のものに限る。)の前方で停止し、その他これに著しく接近することとなる方法で自動車を運転する行為
  6. 高速自動車国道または自動車専用道路において、通行妨害の目的で、走行中の自動車の前方で停止し、その他これに著しく接近することとなる方法で自動車を運転することにより、走行中の自動車に停止または徐行をさせる行為
  7. 赤色信号またはこれに相当する信号を殊更に無視し、かつ重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為
  8. 通行禁止道路を進行し、かつ重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為

2条類型としては総じて、故意犯と同視し得る程度にきわめて危険かつ悪質な運転行為が挙げられています。

3条類型に当たる行為

危険運転致死傷罪の3条類型に当たるのは、以下の行為によって人を死傷させた場合です。

  1. アルコールまたは薬物の影響により、走行中に正常な運転に支障が生じる恐れがある状態で自動車を運転し、よってその影響により正常な運転が困難な状態に陥る行為
  2. 統合失調症・てんかん・再発性の失神・低血糖症・躁うつ病・重度の睡眠障害の影響により、走行中に正常な運転に支障が生じる恐れがある状態で自動車を運転し、よってその影響により正常な運転が困難な状態に陥る行為

3条類型に当たる行為は、故意犯と同視し得る2条類型の行為に比べると、悪質性の程度は低いと考えられます。

しかし、正常な運転が困難な状態で自動車を運転することはきわめて危険であるため、危険運転致死傷罪の一類型として重く処罰されます。

危険運転致死傷罪の法定刑

危険運転致死傷罪の法定刑は、以下のとおりです。

2条類型と3条類型の間では法定刑が異なり、さらに被害者が負傷した場合と死亡した場合でも法定刑が異なっています。

危険運転致死傷罪(自動車運転処罰法2条①被害者を負傷させた場合

15年以下の懲役

※無免許運転の場合は6か月以上(20年以下)の有期懲役(同法6条1項

 

②被害者を死亡させた場合

1年以上(20年以下)の有期懲役

危険運転致死傷罪(同法3条①被害者を負傷させた場合

12年以下の懲役

※無免許運転の場合は15年以下の懲役(同法6条2項

 

②被害者を死亡させた場合

15年以下の懲役

※無免許運転の場合は6か月以上(20年以下)の有期懲役(同法6条2項

危険運転致死傷罪の違反点数と運転免許の取り扱い

危険運転致死傷罪に当たる行為には、免許証の違反点数が付されます。

違反点数は、被害者の死傷の結果に応じて以下のとおりです。

危険運転致死62
危険運転致傷(治療期間3か月以上または後遺障害)55
危険運転致傷(治療期間30日以上3か月未満)51
危険運転致傷(治療期間15日以上30日未満)48
危険運転致傷(治療期間15日未満)45

上記の違反点数が付された結果、運転者の免許は取り消された上で、その後も累積点数※と前歴※に応じて欠格期間が設けられます。

累積点数:過去3年間の合計違反点数

前歴:過去3年以内の免許取消し・免許停止等の処分回数

前歴0回1回2回3回
累積点数45~49点欠格5年(7年)欠格6年(8年)欠格7年(9年)欠格8年(10年)
50~54点欠格6年(7年)欠格7年(9年)欠格8年(10年)欠格9年(10年)
55~59点欠格7年(9年)欠格8年(10年)欠格9年(10年)欠格10年
60~64点欠格8年(10年)欠格9年(10年)欠格10年欠格10年
65~69点欠格9年(10年)欠格10年欠格10年欠格10年
70点~欠格10年欠格10年欠格10年欠格10年

※カッコ内は、欠格期間またはこれに引き続く5年以内に、特定違反行為(危険運転致死傷など)をして取消し等の対象となった場合の年数

危険運転致死傷罪に関するQ&A

危険運転致死傷罪について、よくある質問とその回答をまとめました。

Q1 危険運転致死傷罪と過失運転致死傷罪の違いは?

Q2 危険運転致死傷罪を犯した場合、逮捕されるのか?

Q3 危険運転致死傷罪でも、処罰を回避できる場合はあるのか?

危険運転致死傷罪と過失運転致死傷罪の違いは?

危険運転致死傷罪に当たるのは、自動車運転処罰法2条と同法3条に列挙された行為により、人を死傷させた場合です。

故意犯と同視し得るきわめて悪質な運転や、アルコール・薬物・疾病の影響により正常な運転が困難な状態での運転のみが、危険運転致死傷罪の対象とされています。

過失運転致死傷罪(同法5条)は、自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させる行為について成立します。

一般的な過失による交通事故(人身事故)では、多くの場合過失運転致死傷罪の対象となります。

過失運転致死傷罪の法定刑は「7年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金」で、被害者の傷害が軽いときは、情状により刑が免除されることがあります。

これに対して危険運転致死傷罪は、2条類型では最長20年、3条類型では最長15年の懲役刑が認められています。

危険運転致死傷罪を犯した場合、逮捕されるのか?

罪証隠滅のおそれがなく、かつ逃亡のおそれもないと考えられるケースでは、逮捕されずに在宅捜査となることもあり得ます。

しかし、危険運転致死傷罪は重大な犯罪であり、被疑者が逮捕される可能性は高いと考えられます。

そのため弁護士に相談して、逮捕に備えた準備を整えておくべきです。

危険運転致死傷罪でも、処罰を回避できる場合はあるのか?

客観的に危険運転致死傷罪に該当する行為をした場合、処罰を免れることは困難です。

ただし、危険運転致死傷罪と過失運転致死傷罪は、区別が難しいケースがあります。

被疑者・被告人としては、危険運転致死傷罪ではなく過失運転致死傷罪であると主張して、重い科刑を回避する方針をとることが考えられます。

被疑事実が過失運転致死傷罪となれば、被害者の傷害が軽い場合などには、懲役刑を回避できる可能性も出てくるでしょう。

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危険運転致死傷罪で逮捕された場合の刑事手続きの流れ

危険運転致死傷罪で逮捕された場合は、以下の流れで刑事手続きが進行します。

適切に刑事手続きへ対応するためには、早い段階で弁護士にご相談ください。

  1. 逮捕(最長72時間)・勾留請求
  2. 起訴前勾留(最長20日間)
  3. 検察官による起訴・不起訴
  4. 公判手続き
  5. 判決の言渡し・確定

逮捕(最長72時間)・勾留請求

逮捕による身柄拘束は、最長で72時間です(刑事訴訟法205条2項)。

逮捕期間中は警察官や検察官の取調べがおこなわれるので、弁護士のアドバイスを受けて心構えを整えましょう。

さらに、検察官が被疑者を引き続き身柄拘束すべきと判断した場合、裁判官に対して勾留請求をおこないます。

裁判官は、勾留の理由と必要性がいずれも認められると判断すれば、勾留状を発します(刑事訴訟法207条5項)。

起訴前勾留(最長20日間)

裁判官が勾留状を発した場合、逮捕から起訴前勾留に切り替わって、引き続き被疑者の身柄が拘束されます。

起訴前勾留の期間は当初10日間、延長により最長20日間です(刑事訴訟法208条2項)。

起訴前勾留期間中も、引き続き警察官や検察官の取調べがおこなわれます。

接見に来た弁護士と相談しながら、供述する内容を慎重に検討しましょう。

検察官による起訴・不起訴

検察官は、起訴前勾留期間が満了するまでに、以下のいずれかの処分を行います。

正式起訴(公判請求)

公開法廷で行われる公判手続き(刑事裁判)による審理・科刑を求めます。

略式起訴(略式命令請求)

略式手続きによる審理・科刑を求めます。

100万円以下の罰金または科料を求刑する場合にのみ認められています。

被告人に反論の機会は与えられない反面、審理が迅速に終結し、早期に身柄が解放されるメリットがあります。

略式手続きによる審理を開始するには、被疑者の同意が必要です。

不起訴

被疑者を起訴せず、刑事手続きを終了させます。

犯罪の嫌疑が確実でも、社会における更生を促すのが適当と検察官が判断したときには、不起訴(起訴猶予)となることがあります。

被疑事実が危険運転致死傷罪のままであれば、正式起訴が濃厚です。

これに対して、過失運転致死傷罪に変更された場合は、略式起訴となる可能性もあります。

公判手続き

被疑者が正式起訴された場合は「被告人」と呼称が変更され、後に公判手続きが開催されます。

公判手続きでは、検察官がすべての犯罪要件を立証し、被告人は必要に応じて反論します。

罪を認めて情状のみを争う場合も、犯罪自体を否認する場合もあります。

綿密な打ち合わせをして、どちらの方針で臨むかを適切に判断しましょう。

判決の言渡し・確定

裁判所は、公判手続きを通じて犯罪要件がすべて立証されたと判断した場合は有罪判決を、要件のうち一つでも立証不十分と判断した場合は無罪判決を言い渡します。

第一審判決に対しては控訴、控訴審判決に対しては上告による不服申立てができます(控訴につき刑事訴訟法372条以下、上告につき刑事訴訟法405条以下)。
り控訴・上告の期間は、判決が言い渡された日の翌日から起算して14日間です(刑事訴訟法373条、414条)。

控訴・上告の手続きを経て判決が確定し、有罪の実刑判決なら刑が執行されます。

危険運転致死傷罪の刑事弁護を依頼する際の弁護士費用

危険運転致死傷罪は、長期間の懲役刑が科され得る重大な犯罪です。

罪を否認したい場合や、少しでも量刑を軽くしたい場合は、早い段階で弁護士に相談することをおすすめします。

危険運転致死傷罪の刑事弁護を弁護士に依頼する場合、主に以下の弁護士費用が発生します。

①相談料

正式な依頼前の法律相談について発生する費用です。

②着手金

正式に刑事弁護を依頼する際に支払う費用です。

③報酬金

弁護士による対応が終了した段階で支払う費用です。

事件処理の結果に応じて金額が変わり、発生しない場合もあります。

④日当

弁護士の出張について支払う費用です。

被害者との示談交渉や公判手続きへの出廷などについて発生します。

「日本弁護士連合会弁護士報酬基準」(現在は廃止)を参考に、各弁護士費用の目安額(いずれも税込)を紹介します。

実際の弁護士費用は弁護士によって異なるので、個別にご確認ください。

 相談料の目安

危険運転致死傷罪に関する刑事弁護の相談料は、30分当たり5,500円程度が標準的と思われます。

ただし弁護士によっては、無料相談を受け付けている場合があります。

着手金の目安

危険運転致死傷罪に関する刑事弁護の着手金額は、事件処理の難易度などによって決まります。

特に危険運転致死傷罪の場合、一般的な交通事故に適用される「過失運転致死傷罪」との区別が難しい面があります。

被疑者・被告人が危険運転致死傷罪への該当性を争う場合などには、着手金が高額になりやすい点にご注意ください。

<刑事弁護に関する着手金額の目安>

起訴前・起訴後の事案簡明な刑事事件(一審・上訴審)22万円~55万円
上記以外の起訴前・起訴後の刑事事件(一審・上訴審)

再審事件

22万円~55万円以上

※「事案簡明な刑事事件」とは、以下の①②を満たす刑事事件をいいます。

  1. 特段の事件の複雑さ・困難さ・煩雑さが予想されず、委任事務処理に特段の労力または時間を要しないと見込まれる事件であること
  2. 起訴前については事実関係に争いがない情状事件、起訴後については公開法廷数が2,3回程度と見込まれる情状事件(上告事件を除く)であること

報酬金の目安

危険運転致死傷罪に関する刑事弁護の報酬金額は、最終的な刑事処分の内容によって決まるのが一般的です。

具体的には起訴されるかどうかや、刑事裁判における有罪・無罪、量刑などによって決まります。

危険運転致死傷罪が問題となる場合、不起訴となる可能性は非常に低く、刑事裁判における有罪・無罪および量刑が争点となります。

したがって報酬金についても、刑事裁判の結果を基準に設定されることが多いです。

<刑事弁護に関する報酬金額の目安>

起訴前・起訴後の事案簡明な刑事事件(一審・上訴審)<起訴前>

不起訴:22万円~55万円

求略式命令:不起訴の報酬金額を超えない額

 

<起訴後>

刑の執行猶予:22万円~55万円

求刑された刑が軽減された場合:刑の執行猶予の報酬金額を超えない額

上記以外の起訴前・起訴後の刑事事件(一審・上訴審)

再審事件

<起訴前>

不起訴:22万円~55万円以上

求略式命令:22万円~55万円以上

 

<起訴後>

無罪:55万円以上

刑の執行猶予:22万円~55万円以上

求刑された刑が軽減された場合:軽減の程度による相当額

検察官上訴が棄却された場合:22万円~55万円以上

※「事案簡明な刑事事件」とは、以下の①②を満たす刑事事件をいいます。

  1. 特段の事件の複雑さ・困難さ・煩雑さが予想されず、委任事務処理に特段の労力または時間を要しないと見込まれる事件であること
  2. 起訴前については事実関係に争いがない情状事件、起訴後については公開法廷数が2,3回程度と見込まれる情状事件(上告事件を除く)であること

日当の目安

危険運転致死傷罪に関する刑事弁護の日当額は、出張時における弁護士の拘束時間を基準に決まるのが一般的です。

<刑事弁護に関する日当額の目安>

半日(往復2時間超4時間以内)3万3,000円以上5万5,000円以下
一日(往復4時間超)5万5,000円以上11万円以下

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この記事の調査・編集者
アシロ編集部
本記事は法律相談ナビを運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。※法律相談ナビに掲載される記事は、必ずしも弁護士が執筆したものではありません。本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。
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