保険会社との紛争に困ったらそんぽADRセンターへ!便利なサービスと利用前に知っておきたいこと

保険会社との紛争に困ったらそんぽADRセンターへ!便利なサービスと利用前に知っておきたいこと
目次
  1. そんぽADRセンターとは?損害保険会社との紛争解決に対応しているADR機関
  2. そんぽADRセンターで受けられる主なサービス
    1. 損害保険に関する相談
    2. 損害保険会社に関する苦情受付
    3. 損害保険会社との間で起きた紛争の対応
  3. 苦情解決手続を利用する際の流れ
    1. 1.センターへ苦情を申し出る
    2. 2.センターから損害保険会社へ解決依頼をする
    3. 3.解決依頼を受けた損害保険会社と話し合いをする
  4. 交通事故の紛争解決手続を利用する際の流れ
    1. 1.センターに紛争解決手続申立書を提出する
    2. 2.そんぽADRセンター東京で意見聴取を受ける
    3. 3.センターから和解案(特別調停案)が提示される
    4. 4.和解案を受諾する場合はセンターに受諾書を提出する
  5. そんぽADRセンターは効果ある?実際に利用した人の声
    1. 苦情を入れるのはかなり効果ある
    2. 保険会社の態度はよくなったが……
    3. 金融庁を利用したほうがよいと思う……
  6. そんぽADRセンターを利用前に確認すべき注意点
    1. センターが受け付けていないトラブルもある
    2. 全ての損害保険会社に対応しているわけではない
    3. 交通賠償紛争の意見聴取は東京都でしかおこなわれない
    4. 損害保険会社が特別和解案の受諾を拒否する場合がある
  7. そんぽADRセンター以外の相談窓口との違い
    1. 日弁連交通事故相談センター|事故直後から弁護士と相談できる
    2. 交通事故紛争処理センター|和解に向けたサポートが受けられる
  8. さいごに|損害保険会社とのトラブルはそんぽADRセンターに相談を!

損害保険会社との保険契約に関するトラブルが生じた場合は、そんぽADRセンターに相談するのがおすすめです。

そんぽADRセンターでは、損害保険会社や保険契約に関する相談、苦情受付、紛争解決などに対応してくれます。

専門家が仲介役となりサポートをしてくれるため、訴訟よりも迅速かつ低コストでのトラブル解決が望めます。

本記事では、そんぽADRセンターの利用を検討している方に向けて、概要や提供サービスなどを解説します。

また、苦情解決手続と紛争解決手続それぞれの流れや、利用するにあたっての注意点についても説明しています。

そんぽADRセンターを利用してトラブルを解決するためにも、ぜひ本記事を参考にしてください。

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当社在籍弁護士(株式会社アシロ)
この記事は、株式会社アシロの「法律相談ナビ編集部」が執筆、社内弁護士が監修しました。

そんぽADRセンターとは?損害保険会社との紛争解決に対応しているADR機関

そんぽADRセンターとは、一般社団法人日本損害保険協会が運営しているお客様対応窓口です。

保険業法に基づく指定紛争解決機関(金融ADR機関)に指定されており、損害保険会社に関する苦情の受付や和解に向けたあっせんをはじめとしたADR(裁判外紛争解決手続)の対応をおこなっています。

そんぽADRセンターは2009年の創設以来、中立・公正な立場から相談者と損害保険会社の間で生じた紛争を解決するためのサポートをしてきました。

近年は1年で2万件程度の相談、9,000件程度の苦情を受け付けています。

詳しい受付状況は以下のとおりです。

【近年のそんぽADRセンターの受付状況】

相談受付件数苦情受付件数
2020年度1万9,729件8,697件
2021年度1万9,024件9,298件
2022年度2万180件9,356件

そんぽADRセンターで受けられる主なサービス

ここでは、そんぽADRセンターで受けられる主なサービスについて説明します。

損害保険に関する相談

そんぽADRセンターでは、専門の相談員による損害保険や交通事故に関する無料相談に応じています。

相談が可能な主な内容は、自動車保険や火災保険などに関する一般的な悩み・疑問についてです。

また、交通事故に巻き込まれた際の保険金請求に関する相談も可能です。

このような疑問やトラブルがあった際には、そんぽADRセンターの無料相談を利用するとよいでしょう。

相談方法電話相談
対面相談(来訪相談・出張相談)
受付時間平日9時15分~17時00分
(祝日・休日および12月30日~1月4日を除く)
連絡先ナビダイヤル:0570-022808
そんぽADRセンター東京:03-4332-5241
そんぽADRセンター近畿:06-7634-2321

損害保険会社に関する苦情受付

そんぽADRセンターでは、損害保険会社に関する苦情受付に対応しています。

そんぽADRセンターが苦情を受け付けると、当該損害保険会社に対して対応を求めるよう要請を出してくれます

これにより損害保険会社の対応・態度が改善されて、トラブルの解決や不満の解消が望めるわけです。

損害保険会社との間で起きた紛争の対応

そんぽADRセンターでは、相談者と損害保険会社との間で生じた紛争解決に対応しています。

紛争解決手続は、損害保険全般に対応した一般紛争と、交通事故に特化した交通賠償紛争の2種類があります。

いずれの手続きでも紛争解決委員が仲介人となり、双方の意見を確認したうえで和解案の提示をしてくれます。

双方が和解案を受諾した場合は和解成立となり、その後は当該和解案に従って手続きを進めることが可能です。

苦情解決手続でもトラブル解決ができない場合などは、紛争解決手続の利用を検討してみるとよいでしょう。

苦情解決手続を利用する際の流れ

ここでは、交通事故の苦情解決手続を利用する際の流れについて説明します。

1.センターへ苦情を申し出る

まずは、そんぽADRセンターへ苦情を申し出ます。

苦情の申し出は、電話、文書、来訪のいずれかの方法でおこないます。

なお、匿名での苦情は受け付けていません

2.センターから損害保険会社へ解決依頼をする

苦情を受け付けたそんぽADRセンターは、その苦情内容などを確認します。

そして、当該損害保険会社に苦情内容を通知し、迅速に対応をするよう要請をおこないます。

3.解決依頼を受けた損害保険会社と話し合いをする

そんぽADRセンターから要請を受けた損害保険会社が、相談者に連絡します。

そして、改めて相談者と損害保険会社でトラブルについて話し合いをして、解決を目指すことになります。

トラブルが解決した場合は損害保険会社からそんぽADRセンターに報告がおこなわれ、手続きは終了となります。

交通事故の紛争解決手続を利用する際の流れ

そんぽADRセンターの紛争解決手続には、一般紛争向けと交通事故向けの2種類があります。

ここでは、交通事故向けの紛争解決手続を利用する際の流れについて説明します。

1.センターに紛争解決手続申立書を提出する

まずは、そんぽADRセンター東京に、トラブル解決を求める紛争解決手続申立書を提出します。

紛争解決手続申立書は、申し立て人の氏名・住所・電話番号、保険会社名、事故日などを記入するだけで作れます。

申立書を提出すると、そんぽADRセンター側で事実確認がおこなわれ紛争解決手続を実施するかの判断がおこなわれます。

紛争解決手続の申し立てに必要な書類

そんぽADRセンターの紛争解決手続を利用する際は、紛争解決手続申立書のほかに以下の書類を提出する必要があります。

申請書や添付書類に不備・不足があると、補正を求められるので注意しましょう。

【紛争解決手続の申し立てに必要な主な書類】

  • 提出書類一覧表
  • 申し立ての内容(紛争解決手続申立書の別紙)
  • 同意書 兼 誓約書 兼 確認書
  • 事故の事実を証する書面(交通事故証明書の写し、事故の発生状況図など)
  • 相手方を確認する資料(損害保険会社の住所・氏名・連絡先など)
  • 要求の根拠となる書面(診断書、診療報酬明細書、治療費領収書、領収書、見積書、写真など)
  • 所有権を確認する資料(自動車検査証の写し)
  • 代理人申請書(申立人本人が申し立てる場合は不要)
  • その他(保険会社または保険会社側弁護士からの通知文書など)

2.そんぽADRセンター東京で意見聴取を受ける

申し立てが受理された場合は、そんぽADRセンター東京にて面談(意見聴取)がおこなわれます。

面談では、申し立て内容の確認がおこなわれたり、損害保険会社の主張に対し意見を述べたりします。

意見聴取の日時や場所は、事前にそんぽADRセンター東京から連絡があるので確認しておきましょう。

3.センターから和解案(特別調停案)が提示される

意見聴取をおこなったそんぽADRセンターは、双方の主張を確認し和解の可能性があるかどうかを判断します。

和解の見込みがある場合は、改めて申し立て人に対する意見聴取を実施し、和解案(特別和解案)が提示されます。

一方、和解の見込みがないと判断された場合は、和解案の提示はされずに紛争解決手続が終了することになります。

4.和解案を受諾する場合はセンターに受諾書を提出する

そんぽADRセンターから提示された和解案を受諾する場合は、センターに受諾書を提出することになります。

損害保険会社も和解案を受諾した場合はその紛争は和解成立となり、後日、和解案受諾書の写しが交付されます。

一方、提示された和解案を受け入れられない場合は拒否することもでき、その場合は和解不成立として手続きは終了となります。

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そんぽADRセンターは効果ある?実際に利用した人の声

ここでは、実際にそんぽADRセンターを利用したことがある人の口コミを確認しましょう。

苦情を入れるのはかなり効果ある

こちらは、そんぽADRセンターと金融庁に相談したという口コミです。

具体的な事案はわかりかねますが、保険会社から提示された不利な条件を相談したことで、保険会社の対応が変わったことが伺えます。

保険会社の態度はよくなったが……

こちらは、保険会社の対応の悪さをそんぽADRセンターに相談したという口コミです。

相談したことで保険会社から連絡はあったものの、投稿者が提出していた資料を紛失していたという事実が発覚しました。

このように保険会社の態度が改善したとしても、トラブルそのものが解決しなかったというケースもあります。

金融庁を利用したほうがよいと思う……

こちらは、そんぽADRセンターよりも金融庁に相談したほうが有効という口コミです。

金融庁は、一般の方を対象とした「金融サービス利用者相談室」を開設しており、損害保険に関する相談も受け付けています。

あっせん・仲介などには対応していませんが、金融庁に相談したことで保険会社の対応が改善したという声も見られます。

そんぽADRセンターを利用前に確認すべき注意点

ここでは、そんぽADRセンターを利用する前に確認しておくべき注意点について説明します。

センターが受け付けていないトラブルもある

そんぽADRセンターの苦情解決手続と紛争解決手続では、受け付けていないトラブルもあります。

苦情受付手続で受け付けていないトラブルは、以下のとおりです。

1.その内容について正当な権利または権限を有していない者によってされたと認められるもの

2.その内容が法令に違反しまたは公序良俗に反するもの

3.不当な目的でされたものまたはその内容が社会的な公正性に欠くと認められるもの

4.主要な事項について虚偽が認められるもの

5.その内容について利用者と保険会社との間で一切の話合いが行われていないもの

6.その内容について紛争解決手続の申立てがされたもの

7.訴訟が係属している請求にかかるものまたは他の相談機関等(※)において紛争解決手続に相当する手続が開始されているものもしくは当該手続が終了したもの(いずれも実質的に同一の事象にかかるものを含みます。)
※「他の相談機関等」とは、公益財団法人交通事故紛争処理センターや公益財団法人日弁連交通事故相談センターの和解あっせん手続、独立行政法人国民生活センターの紛争解決手続などをいいます。

8.訴訟において裁判が確定したまたは民事調停において調停が成立した請求にかかるもの(いずれも実質的に同一の事象にかかるものを含みます。)

9.その内容が苦情解決手続を終了した苦情の内容と実質的に同じものであって、正当な理由なくされたもの

10.明らかに時効が成立していると認められる内容にかかるもの

11.反社会的勢力であると認められる者によってされたもの

引用元:3. 苦情解決手続|日本損害保険協会

一方、紛争解決手続の申し立て内容や状況が以下の条件にあてはまる場合、申し立て自体は受け付けられますが、手続実施委員の判断で、手続きが実施されないことがあります。

1.お客様が損害保険に関する知識を持つ専門家であるもの

2.お客様が大企業、それに準ずる企業であり、保険会社との間に交渉能力などの格差がないもの

3.紛争の金額が大きく、かつ、和解の前提として詳細な事実の認定・判断の必要性が高いと考えられるもの

4.経営判断の妥当性のみを争うもの、具体的な被害がないもの
【具体例】「保険会社の社員等の素行や接客態度に関するもの」等

5.他の相談機関等において紛争解決手続に相当する手続が開始されているもの、または当該手続が終了したもの

6.お客様が紛争解決手続において解決を図ることを目的とせず、保険会社の説明または関係資料を入手する目的で申立てを行っているもの

7.お客様が謝罪の要求を主な目的として申立てを行っているもの

引用元:4.紛争解決手続|日本損害保険協会

全ての損害保険会社に対応しているわけではない

そんぽADRセンターを通して苦情や紛争の申し立てができる損害保険会社は、日本損害保険協会との間で手続実施基本契約を締結した以下の会社です。

【そんぽADRセンターで対応できる損害保険会社の一例】

  • 東京海上日動火災保険株式会社
  • 損害保険ジャパン株式会社
  • 三井住友海上火災保険株式会社
  • あいおいニッセイ同和損害保険株式会社
  • AIG損害保険株式会社 など

基本的に大手損害保険会社は手続実施基本契約を締結しているため、そんぽADRセンターに対応を依頼できます。

しかし、手続実施基本契約を締結していない損害保険会社もあるため、事前に確認しておきましょう。

【参考記事】日本損害保険協会との間で手続実施基本契約を締結した損害保険会社一覧

交通賠償紛争の意見聴取は東京都でしかおこなわれない

そんぽADRセンターの紛争解決手続では、当事者の主張を確認する意見聴取がおこなわれます。

交通事故の紛争解決手続の場合、その意見聴取はそんぽADRセンター東京でしか実施されていません

標準的な紛争解決手続の場合であっても、申し立て内容の確認と和解案の提示の2回は出席が必要です。

遠方に住んでいる方の場合、そんぽADRセンター東京を訪れる時間や費用などが多く必要になるでしょう。

損害保険会社が特別和解案の受諾を拒否する場合がある

損害保険会社は、原則としてそんぽADRセンターが提示した特別和解案に受諾する義務があります。

しかし、申立事案に関し損害保険会社が民事訴訟を提起する場合に限り、特別和解案の受諾を拒否することが認められています。

そのため、必ずしも紛争解決手続で解決するとは限らず、かえってトラブルが長期化してしまうリスクもあります。

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そんぽADRセンター以外の相談窓口との違い

交通事故の相談は日弁連交通事故相談センター交通事故紛争処理センターでも受け付けています。

ここでは、これらの相談窓口とそんぽADRセンターの違いについて説明します。

日弁連交通事故相談センター|事故直後から弁護士と相談できる

日弁連交通事故相談センターは、日本弁護士連合会によって設立された交通事故専門の相談窓口です。

保険に関するトラブルに限らず、交通事故全般について弁護士と無料相談ができます(30分×原則5回)。

また、示談あっせんにも対応しており、事案によっては所属の弁護士が示談のサポートをおこなってくれます。

交通事故について保険以外の悩みがある場合は、日弁連交通事故相談センターに相談するのもひとつの手です。

【日弁連交通事故相談センターの基本情報】

名称公益財団法人日弁連交通事故相談センター
支援内容電話相談、面談相談、示談あっせん、審査
受付内容国内で起きた自動車事故・二輪車事故全般
※交通事故が発生した直後の相談も可能
相談時間電話相談:平日10時00分~16時30分(月・第5週以外の水曜日は19時00分まで)
面談相談:平日10時00分~16時00分(※相談先によって異なる)
連絡先電話相談:0120-078325
URLhttps://n-tacc.or.jp/

交通事故紛争処理センター|和解に向けたサポートが受けられる

交通事故紛争処理センターは、交通事故の和解あっせんを専門とするADR機関です。

損害保険会社から損害賠償額が提示されたあとの法律相談、和解あっせん、審査などに対応しています。

【交通事故紛争処理センターの基本情報】

名称公益財団法人交通事故紛争処理センター
支援内容法律相談、和解あっせん、審査
受付内容相手方から損害賠償額が提示されたあとの交通事故トラブル
相談時間(予約時間)平日9時00分~17時00分
連絡先管轄のセンターにて要予約(センター所在地一覧
URLhttps://www.jcstad.or.jp/

さいごに|損害保険会社とのトラブルはそんぽADRセンターに相談を!

そんぽADRセンターは、損害保険会社との保険契約などに関するトラブルに対応している相談窓口です。

苦情解決手続や紛争解決手続を利用することで、トラブルを迅速かつ低コストで解決できる可能性があります

損害保険会社の態度が悪くて苦情を言いたい、保険契約に不満があるといった場合は、そんぽADRセンターに相談しましょう。

ただし、そんぽADRセンターは公正中立な立場から支援をおこなうため、必ずしも相談者にとって有利な結果になるとは限りません。

交通事故の示談交渉をできる限り有利に進めたいなら、交通事故が得意な弁護士に相談するのがおすすめです。

ポータルサイトの「ベンナビ交通事故」では交通事故トラブルの解決を得意とする弁護士や初回の無料相談が可能な弁護士など、希望にあった弁護士を探すことができます。

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この記事の調査・編集者
アシロ編集部
本記事は法律相談ナビを運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。※法律相談ナビに掲載される記事は、必ずしも弁護士が執筆したものではありません。本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。
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