交通事故で法テラスを利用するメリットは?活用方法や注意点も解説

交通事故で法テラスを利用するメリットは?活用方法や注意点も解説

交通事故に遭ったとき、経済的な不安はあるけれど弁護士に依頼したいと思ったら、まず法テラスの利用を思い浮かべるかもしれません

法テラスでは、経済的な理由で弁護士費用を支払うのが難しい方でもリーガルサービスを受けられるよう、「法律扶助制度」を設けています。

法テラスの法律扶助制度を利用すれば、収入や資産がなくても安心して弁護士に依頼できるでしょう。

本記事では、交通事故で法テラスを利用するメリットや利用するための条件について解説します。

法テラスの法律扶助制度以外にも、弁護士費用の負担を軽減できる方法もあります。

法テラス以外の交通事故相談先も解説しますので、専門家への相談を検討している方はぜひ参考にしてみてください。

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この記事を監修した弁護士
大隅愛友弁護士(弁護士法人ベストロイヤーズ法律事務所)
熟年離婚/不倫慰謝料請求に注力!「子どもが独立したので離婚したい…」といったご相談に対応。金銭面で納得できる結果に導くため、徹底的に戦います。

交通事故相談は法テラスを利用できる

交通事故を弁護士に依頼したいときの相談窓口はいくつかあり、法テラスもそのひとつです。

法テラスで受けられるサービスは、以下の2点です。

  • 無料法律相談
  • 民事法律扶助

詳しく解説しました。

法テラスは公的な法律相談窓口

法テラスとは、必要とする全ての方にリーガルサービスを提供するために設立された法務省所管の法人です。

収入や資産がなく、弁護士費用をすぐに捻出できない場合でも、資力水準を下回る方に対し、法テラスと契約している弁護士が当番制で以下のサービスを提供しています。

  • 無料法律相談:1回30分、同案件なら3回まで無料
  • 民事法律扶助:弁護士費用の立て替え

法律相談は30分で、同じ案件なら3回まで無料で相談することが可能です。

法律事務所のなかには、収入や資力要件に関わらず無料法律相談を実施しているところも多くあります。

また、あくまで法テラスは弁護士費用の「立て替え」をするのみで、生活保護受給中などの特別な事情がない限り、弁護士費用は免除されません。

法テラスの費用目安

法テラス経由で契約弁護士に交通事故事件の示談交渉を依頼した場合、弁護士費用の目安は以下のとおりです。

着手金66,000円~110,000円
報酬金現実に入手した金額が3,000万円まで:×10%(税別)

現実に入手した金銭が3,000万円を超える部分は、超える部分の6%(税別)を加算する

実費など2万円

【参考記事】別表3 1.代理援助立替基準

法テラスを経由して弁護士に依頼した場合、一時的に弁護士費用を法テラスが立て替えます。

立て替えてもらった金額は分割で法テラスへ返済しなければなりません。

事件が終了し、相手方保険会社から示談金が入金された際に、その中から一括して支払うことも可能です。

ただし、着手金は事件が開始したときから発生するため、事件終了前から分割払いを開始しなければなりません。

交通事故で法テラスを利用できる3つの条件

法テラスは、経済的事情から通常の弁護士費用を捻出できない方のために無料法律相談と弁護士費用の立て替えをおこなっています。

そのため、全ての方が法テラス利用の対象となるわけではありません。

法テラスを利用するためには、以下の3つの条件を満たさなければなりません。

  • 収入と資産が資力基準以下であること
  • 勝訴の見込みがないとはいえないこと
  • 民事法律扶助の趣旨に適すること

順番に解説します。

①収入と資産が資力基準以下であること

法テラスを利用して弁護士に相談・依頼するためには、収入や資産が一定基準以下でなければなりません。

特に3つの条件の中では、重要な内容で、資力基準は、家計単位で判断されるため、配偶者の収入・資産なども対象となります。

具体的な基準は、以下のとおりです。

人数手取り月収額の基準家賃または住宅ローンを負担している場合に加算できる限度額
1人18万2,000円以下

(20万200円以下)

4万1,000円以下

(5万3,000円以下)

2人25万1,000円以下

(27万6,100円以下)

5万3,000円以下

(6万8,000円以下)

3人27万2,000円以下

(29万9,200円以下)

6万6,000円以下

(8万5,000円以下)

4人29万9,000円以下

(32万8,900円以下)

7万1,000円以下

(9万2,000円以下)

※注1:申込者と同居中の家族の収入は、家計の貢献度の範囲内で申込者の収入に合算
※注2:()内は、東京、大阪など生活保護一級地の基準
※注3:申込者等が家賃や住宅ローンを負担している場合、基準表の額を限度に負担額を基準に加入できる

引用元:資力要件とは|法テラス

人数資産合計額の基準
1人180万円以下
2人250万円以下
3人270万円以下
4人以上300万円以下

※将来負担すべき医療費、教育費などの出費がある場合は、相当額が控除されます。

引用元:資力要件とは|法テラス

上記の基準を満たす場合に法テラスの審査を受け、それをクリアした方のみが法テラスの無料相談及び法律扶助を受けられます。

審査には給与明細や確定申告書の写しなど、収入を証明する資料が必要です。

②勝訴の見込みがないとはいえないこと

勝訴の見込みがないとはいえないこととは、必ずしも調停や裁判で勝訴する見込みのことだけを指しません。

交通事故の場合、訴訟に発展しなくても、示談で双方が和解し、解決する可能性があれば、この条件を満たしているといえるでしょう。

③民事法律扶助の趣旨に適すること

民事法律扶助とは、本来経済的に余裕のない方も自分の正当な権利を主張できるよう、弁護士費用を補助するための制度です。

そのため、単に自分の報復感情を満たすことを目的として法テラスを利用することはできません。

また、事実を歪めてでも自分の有利な示談を結びたい、という目的も民事扶助の趣旨に適さないといえるでしょう。

交通事故を法テラスに依頼するメリット

交通事故に遭った方が法テラスを利用するメリットは、主に以下の3つです。

  • お金がなくても弁護士に依頼や相談ができる
  • 慰謝料を増額できる可能性がある
  • 弁護士費用を低額の分割払いにできる

ただし、交通事故の場合、このようなメリットは法テラスを利用しなくても得られる可能性もありますので、以下であわせて解説します。

お金がなくても弁護士に依頼や相談できる

一定の資力基準以下であれば、法テラスの法律扶助制度を利用して交通事故を弁護士に依頼できます。

また、一般的には法テラスの法律扶助を利用した場合、利用しなかった場合と比べて弁護士費用を抑えられるでしょう。

ただし交通事故の場合、保険の弁護士特約に加入していれば、自己負担なしで弁護士に依頼できます。

慰謝料を増額できる可能性が高い

交通事故の被害者側なら、弁護士に交通事故の弁護を依頼することで、保険会社から支払われる慰謝料が増額される可能性がかなり高くなります。

交通事故の慰謝料の算定基準は、低い方から「自賠責基準」「任意保険基準」「弁護士基準」があり、弁護士が介入しない場合には、任意保険基準で算定されます。

しかし、弁護士が介入して示談をまとめる場合、最も高い弁護士基準で慰謝料が算定できるからです。

けがの治療が通院のみだった場合の通院慰謝料の基準は以下のとおりです。

交通事故の賠償金は、慰謝料の他にも以下のような項目で構成されています。

  • 治療費
  • 休業損害
  • 逸失利益
  • 修理費
  • 通院交通費

ただし、法テラスを通さなくても弁護士に依頼すれば上記の弁護士基準で交渉できます。

弁護士費用を低額の分割で支払える

法テラスの立替金の分割償還は、経済的な事情に合せて毎月5,000円から1万円程度の分割で支払うことが可能です。

また、利息はかからず、ゆうちょ銀行からの引き落としであれば、手数料もかかりません。

毎月の返済負担が軽いため、収入に余裕のない方でも利用できるでしょう。

交通事故を法テラスに依頼する際の注意点

ここまでで、法テラスの法律扶助を利用することで、経済的に不安定な方でも弁護士に依頼できることがわかりました。

しかし、交通事故の交渉を弁護士に依頼したいと思ったとき、法テラスがベストの選択肢というわけではありません。

以下で、交通事故を法テラスに依頼する際の注意点について解説します。

交通事故に精通した弁護士に当たるとは限らない

法テラスの法律相談や法律扶助を利用すると、自分で弁護士を選べません。

法テラスに登録している弁護士が、当番制で相談を受け付け、事件を受任します。

そのため、偶然相談を受けた弁護士が、交通事故に精通していない可能性もあります。

なかには得意分野が他にあり、交通事故処理に不慣れな弁護士もいるでしょう。

弁護士は基本的に交通事故の交渉等を代理できますが、経験や専門分野にばらつきがあります。

担当した弁護士が必ずしも交通事故の処理に精通している保証はありません。

審査が通るまで時間がかかる

法テラスの民事法律扶助には審査があります。

申請するためには、自分や配偶者の所得を証明する書類などを申込書と一緒に提出しなければなりません。

提出してから結果がわかるまでには1〜2週間かかります。

交通事故の被害者のなかには、事故のために休業や失業を強いられていることから、いち早く保険会社と交渉して示談金を受け取りたい方もいるでしょう。

審査の結果が出るまでには2週間程度かかり、さらに審査に通らなかった場合、また最初から相談先を探さなければなりません。

法テラス事務所以外からでも民事法律扶助の利用は可能

実は、法テラスの民事法律扶助は、法テラスの事務所を経由しなくても利用できます。

法テラスと契約している弁護士に依頼すれば、相談者が法テラスの資力基準を満たすと判断した場合、持ち込みで法律扶助申請をしてくれるからです。

交通事故を無料相談できる法テラス以外の窓口一覧

法テラス以外にも、交通事故を無料で相談できる窓口はあります。

以下は、交通事故の相談ができる窓口の一覧表です。

名称受付時間など
ベンナビ交通事故電話受付は各事務所により異なる

メール受付は24時間可能

日弁連交通事故相談センター平日10:00~16:30

第1水曜日は19:00まで

webからの予約は24時間可能

交通事故紛争処理センター平日9:00~17:00

(12:00~13:00までは昼求刑)

そんぽADRセンター平日9:15~17:00
各自治体各自治体によって異なる

何を相談したいか、誰に相談したいかによって窓口は変わってきますので、以下でそれぞれの特徴を解説します。

ベンナビ交通事故

ベンナビ交通事故は、交通事故に精通した法律事務所を多く掲載する弁護士検索サイトです。

自分の居住地域に近い弁護士から検索し、相談予約ができます。

弁護士によっては初回相談無料としているところもあるため、何ヵ所か話をしてみて、自分に最も合う弁護士を選びましょう。

交通事故に力を入れて取り組んでいる弁護士ばかりを扱っているため、慰謝料が増額できる可能性も高いでしょう。

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日弁連交通事故相談センター

日弁連交通事故相談センターでは、弁護士の交通事故無料相談・示談あっせん・審査などをおこなっています。

示談あっせんでは、双方の話を弁護士が別々に聞き、公平な立場で和解を図ります。

そのため、ほとんどのケースでは1回から2回の交渉で解決しています。

ただし、相談センターは全国各地にあり、それぞれ運用が異なります。

なかには相談のみで、示談あっせんに対応していないセンターもありますので、事前に確認が必要です。

交通事故紛争処理センター

交通事故紛争処理センターは、弁護士による相談受付や示談あっせんなどをサポートしています。

これらのサポートは無料で受けられますが、弁護士はあくまでも双方に中立な立場から示談のサポートをおこないます。

自分の立場に立ってサポートをしてくれる弁護士を選びたい方は、他の窓口をおすすめします。

そんぽADRセンター

一般社団法人日本損害保険協会が設置している相談窓口です。

専門の相談員が、特定の保険会社に対する苦情や相談のみを受け付けています。

相談料は無料ですが、電話相談の場合、通話料は発信者負担になるため注意が必要です。

ただし、協会に加盟している保険会社に対する相談のみが対象です。

交通事故の示談交渉を弁護士に依頼したい場合には、ほかの相談窓口に相談すべきでしょう。

自治体の法律相談窓口

弁護士による無料法律相談窓口を設けている自治体もあります。

各自治体が無料相談日を設け、委託している弁護士が市民の法律相談に対応しています。

どこに相談したらいいかわからない、まだ弁護士に依頼することを迷っている、という方におすすめできます。

ただし、運営方法は各自治体によって違います。

また、基本的にはその自治体が委託している弁護士が相談を担当するため、自分で弁護士を選ぶことはできません。

相談を担当する弁護士が交通事故に精通している弁護士とも限りません。

交通事故は無料相談を利用して自分で選ぶのがおすすめ

交通事故を相談する弁護士は、自分で選ぶことをおすすめします。

法テラスは選択肢のひとつですが、必ずしも誰にでもベストな方法とはいえません。

経済的に問題があり、弁護士費用をなるべく抑えたい場合でも、自分で選んだ弁護士が法テラス契約弁護士であれば、法テラスの法律扶助を申し込むことが可能です。

また、特に交通事故の場合は、「弁護士特約」に入っていれば基本的に弁護士費用は無料です。

交通事故の示談などを相談するなら、弁護士検索サイトから無料法律相談を実施している弁護士を探し、交通事故に精通している弁護士を選ぶのがおすすめです。

まとめ

交通事故を法テラスに依頼することのメリットは、以下の3点です。

  • お金がなくても弁護士に依頼できる
  • 慰謝料を増額できる可能性がある
  • 弁護士費用を低額の分割で返済できる

しかし、交通事故に精通した弁護士を自分で選べないことや、審査に時間がかかることなどのデメリットもあります。

法テラスはあくまでも弁護士に相談する際の選択肢のひとつにすぎません。

交通事故に精通した弁護士を自分で選びたい方は、「ベンナビ交通事故」で検索し、弁護士の無料相談を受けてみましょう。

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この記事の調査・編集者
アシロ編集部
本記事は法律相談ナビを運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。※法律相談ナビに掲載される記事は、必ずしも弁護士が執筆したものではありません。本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。
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