痴漢事件
【加害者向け】痴漢事件の無料相談窓口|弁護士選びのポイントを解説
2023.05.19
痴漢で逮捕されてしまった場合に、前科がつくのかどうか気になる方もいるでしょう。
逮捕だけでは前科はつきませんが、裁判で有罪判決になったり、略式命令を出されたりすると前科がつきます。
痴漢で前科がつくのを防ぐためには、不起訴処分の獲得を目指すことが重要になるでしょう。
本記事では、痴漢で前科がつくか知りたい方に向けて、前科に関する基礎知識、痴漢で前科がついてしまうケースと前科がつかないケース、前科がつくことのデメリットを解説します。
また、不起訴処分を獲得するためのポイントや弁護士に相談・依頼する必要性なども紹介します。
痴漢による前科を防ぐためにぜひこの記事を役立ててください。
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痴漢行為で逮捕されたからといって、すぐに前科がつくわけではありません。
前科がつくのは、略式手続きを受けた場合か、裁判で有罪判決を受けた場合のいずれかです。
以下で、前科に関する基礎知識を確認しましょう。
前科とは、「有罪判決を受けた」という犯罪歴のことです。
痴漢行為の主な罪状には「迷惑防止条例違反」と「強制わいせつ罪」があり、それぞれ懲役刑や罰金刑といった罰則規定が定められています。
痴漢行為により逮捕・起訴されて有罪判決を受けてしまうと、懲役刑や罰金刑など刑罰の重さにかかわらず前科がついてしまいます。
【痴漢行為の主な罪状と刑事罰】
罪状 | 刑事罰 |
迷惑防止条例違反 | 1年以下の懲役または100万円以下の罰金(東京都の場合) |
強制わいせつ罪 | 6か月以上10年以下の懲役 |
痴漢で前科がつくケースには「裁判で有罪判決を受けたとき」と「略式裁判で略式命令が出されたとき」があります。
それぞれの裁判では取り扱う事件や手続きなどが異なります。
一般的な裁判(正式裁判)で有罪判決を受けた場合は前科がつきます。
正式裁判では裁判官が、被告人が痴漢行為をしたか、痴漢行為をしている場合はどのような刑罰を課すのが妥当かなどを判断します。
痴漢行為の場合は迷惑防止条例違反や強制わいせつ罪であることが多く、懲役刑や罰金刑が課されるのが一般的となっています。
略式裁判(略式手続)で簡易裁判所から略式命令を出された場合も前科がつきます。
略式裁判とは刑事訴訟法461条と461条の2に規定されている要件を満たしている場合に利用できる裁判で、簡易裁判所は検察が提出する書面のみで刑罰を決定します。
なお、略式裁判には「無罪が存在しない」ため、必ず前科がついてしまうことになります。
第六編 略式手続
第四百六十一条 簡易裁判所は、検察官の請求により、その管轄に属する事件について、公判前、略式命令で、百万円以下の罰金又は科料を科することができる。この場合には、刑の執行猶予をし、没収を科し、その他付随の処分をすることができる。
第四百六十一条の二 検察官は、略式命令の請求に際し、被疑者に対し、あらかじめ、略式手続を理解させるために必要な事項を説明し、通常の規定に従い審判を受けることができる旨を告げた上、略式手続によることについて異議がないかどうかを確めなければならない。
② 被疑者は、略式手続によることについて異議がないときは、書面でその旨を明らかにしなければならない。
痴漢で前科がつかないケースには「裁判で無罪判決を獲得したとき」と「不起訴処分を獲得できたとき」があります。
実際に痴漢行為をした方が前科を避けるためには、不起訴処分の獲得を目指すのが最善といえるでしょう。
正式裁判の判決で無罪を獲得できた場合は前科がつきません。
前科とは有罪判決を受けたときの犯罪歴のことなので、無罪になれば前科がつくことはないのです。
実際に痴漢行為をしている事件では難しいですが、痴漢冤罪事件で身の潔白を証明できれば「無罪」を獲得できる可能性もあるでしょう。
検察官が不起訴とした場合も前科がつきません。
不起訴とは「検察官が裁判所に訴えを起こさない」という決定のことなので、不起訴処分を獲得できればそもそも裁判が開かれることはなく、有罪判決になることもありません。
検察官が不起訴処分とする主な理由には「嫌疑なし」「嫌疑不十分」「起訴猶予」などがあります。
前科と似た用語に「前歴」があります。
前歴とは、一般的に被疑者として捜査機関の捜査対象になった履歴のことを指します。
具体的にいうと、警察に逮捕されたときや在宅捜査を受けたときなどです。
「起訴・不起訴」や「有罪・無罪」などは関係なく、捜査機関に被疑者として扱われた時点で前歴がつくと理解しておきましょう。
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痴漢事件であっても、有罪判決を受けたり、略式命令を出されたりすれば前科がつくことになります。
前科がついてしまうと、その後の人生において以下のようなデメリットを被ることになるでしょう。
勤務先の就業規則によっては、前科がつくことで会社に懲戒解雇されるリスクがあります。
痴漢行為は私生活上の犯罪行為として扱われるのが一般的ですが、会社の社会的評価にも重大な影響を与えている場合は懲戒処分の対象になりえます。
営利を目的とする会社がその名誉、信用その他相当の社会的評価を維持することは、会社の存立ないし事業の運営にとって不可欠であるから、会社の社会的評価に重大な悪影響を与えるような従業員の行為については、それが職務遂行と直接関係のない私生活上で行われたものであっても、これに対して会社の規制を及ぼしうることは当然認められなければならない。
引用元:労働基準判例検索-全情報
本来、個人の前科・犯罪歴は、検察官や検察事務官などの限られた人しか見ることができません。
しかし、メディアに報道されたり、インターネット上に情報が残ったりすると、他人に前科を知られてしまい社会的信用が失墜する可能性があります。
身近な人や近所の人などに前科を知られると、居場所がなくなったり、肩身が狭い思いをしたりするかもしれません。
弁護士、医師、公務員など、前科が原因で制限される職業・職種があります。
制限の内容や条件は職業・職種によって異なりますが、禁錮刑以上の刑に処された場合は一定期間その職業に就けなくなることが多いです。
【前科によって制限される主な職業・職種】
裁判官、検察官、弁護士、医師、教員など | 欠格事由などにあたるため当該職業に就けなくなる |
公認会計士、司法書士、行政書士、税理士など | 刑を終えてから3年間は当該職業に就けなくなる |
警備員、警備業 | 刑を終えてから5年間は当該職業に就けなくなる |
生命保険募集人・代理店 | 刑を終えてから3年間は当該職業に就けなくなる |
国家公務員・地方公務員 | 刑を終えるまで当該職業に就けなくなる |
なお、刑務所を出所してから10年間、何も問題を起こさなければ、「刑の言い渡しの効力は失う」とされています。
(刑の消滅)
第三十四条の二 禁錮以上の刑の執行を終わり又はその執行の免除を得た者が罰金以上の刑に処せられないで十年を経過したときは、刑の言渡しは、効力を失う。罰金以下の刑の執行を終わり又はその執行の免除を得た者が罰金以上の刑に処せられないで五年を経過したときも、同様とする。
引用元:刑法 | e-Gov法令検索
前科があると、転職や就職で不利になってしまいます。
基本的に前科の申告義務はないため、書類や面接などで質問されなければ自分から申告する必要はありません。
しかし、採用担当者から質問されたときには正直に答えなければならず、「前科がある」と伝えると良くない印象を持たれる可能性があります。
なお、「前科はない」と嘘の回答をすると経歴詐称になってしまうため、本当のことを答えるか、「答えたくありません」と伝えるようにしましょう。
痴漢事件で前科をつけないためには、不起訴処分の獲得を目指すのが重要になります。
日本では検察に起訴されると99.9%の確率で有罪判決になるため、起訴された場合はかなり高い可能性で前科がついてしまいます。
【参考】令 和 3 年 司 法 統 計 年 報 概 要 版 2 刑 事 編|裁判所
痴漢冤罪のケースでは裁判をする意義もありますが、実際に痴漢行為をしてしまった場合は不起訴処分の獲得を目指しましょう。
不起訴処分を獲得するためには、被害者と示談を締結することが重要です。
被害者に対して十分な謝罪と賠償をおこない、示談が成立している痴漢事件であれば、検察官は「刑事罰まで課す必要性はない」と考える傾向があるようです。
特に初犯であり、罪状が「迷惑防止条例違反」であれば、不起訴処分を獲得できる可能性は高くなります。
痴漢事件で被害者と示談交渉をするためには、弁護士の協力が欠かせません。
この理由は、弁護士であれば被害者の連絡先がわかる可能性があるからです。
弁護士が捜査機関に対して示談の申し入れをおこなうと、捜査機関から被害者に対して「連絡先を教えても良いか」を確認してくれます。
被害者から承諾が得られれば、弁護士は被害者と示談交渉を進めることが可能です。
なお、痴漢事件の示談金の目安額は以下のようになっています。
【痴漢事件の示談金の相場】
罪状 | 示談金の相場 |
迷惑防止条例違反 | 20万~50万円 |
強制わいせつ罪 | 数十万円~数百万円 |
痴漢冤罪事件(否認事件)の場合も、嫌疑なし・嫌疑不十分による不起訴処分の獲得を目指します。
しかし、痴漢をしているときと異なり、被害者との示談を締結しないのが一般的です。
また、最初の取り調べのときから一貫して「痴漢していない」と否認し続けることが重要になります。
むやみに謝罪をしてしまうと、裁判で不利になってしまうかもしれません。痴漢冤罪事件の対処法は、以下の記事で詳しく解説しています。
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痴漢事件による前科を避けるためには、事件発生直後や逮捕直後など、できる限り早い段階で弁護士に依頼するのが重要です。
ここでは、痴漢事件で弁護士に依頼する必要性やメリットを解説します。
弁護士には、「被害者の連絡先の入手」から「検察官への示談書の提出」まで、被害者との示談交渉の全てを任せることができます。
痴漢事件で被害者の連絡先を入手できる可能性があるのは弁護士だけで、妥当な内容・金額で示談を成立させられる可能性があるのも弁護士だけとなっています。
また、起訴・不起訴の決定までの時間が限られているため、迅速に対応してもらうには刑事事件での被害者との示談交渉を得意としている弁護士のサポートが必要になるでしょう。
不起訴処分を獲得するためには、被害者との間で示談を成立させるだけでなく、再犯する可能性がないことを検察官に証明する必要があります。
具体的には「反省文を提出する」「家族が監督できる環境であることを説明する」などの対応が求められます。
弁護士に依頼しておくことで、このような再犯可能性の否定がしやすくなるでしょう。
弁護士に依頼することで、示談以外にも適切なアドバイスも受けられるでしょう。
特に、痴漢冤罪事件の場合で前科を避けるためには「虚偽の自白を強要されない」「納得がいくまで供述調書にサインしない」「場合によっては黙秘する」などの適切な対応が必要になります。
その結果、検察官に起訴されたとしても、裁判で無罪を獲得できる可能性が高くなるでしょう。
痴漢事件で検察官に起訴されると、かなり高い可能性で前科がついてしまいます。
そのため、痴漢事件で前科を避けるためには不起訴処分を獲得することが何よりも重要です。
不起訴処分の獲得には「被害者との示談を成立させる」「再犯可能性を否定する」などがポイントになります。
できる限り早い段階で痴漢事件・刑事事件が得意な弁護士に依頼しましょう。
痴漢事件を得意としている弁護士を探すなら「ベンナビ刑事事件」を使うことをおすすめします。
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