弁護士相談
警察に逮捕されるまでの流れと逮捕後の流れまとめ
2024.11.18
刑事事件を起こしてしまった加害者の方の中には、経済的な理由から法テラスへの相談・依頼を考えている方もいるのではないでしょうか。
しかし、結論からお伝えすると、刑事事件について法テラスで相談・依頼することはできません。
刑事事件に悩んでいる場合は、無料相談に対応している弁護士を自分で探したり、国選弁護人に依頼したりする必要があるのです。
本記事では、刑事事件で法テラスを利用できない理由や、加害者が刑事事件について相談できる窓口を紹介します。
刑事事件は、逮捕される前や逮捕されてからの72時間以内に対応することがカギとなります。
自分や家族が逮捕される可能性がある、またはすでに逮捕された場合は、ぜひ本記事を参考にして対応を検討してください。
法テラスでは、刑事事件の加害者は、相談・依頼をすることはできません。
Q どんな内容でも相談できるのでしょうか?
A 借金や離婚、労働問題、相続・遺言などの民事・家事・行政に関する内容について、相談ができます。
刑事事件に関する相談ではご利用いただけませんのでご注意ください。刑事事件に関する相談はお住まいの地域の弁護士会などの相談窓口をご利用ください。
引用元:無料法律相談に関するよくあるご質問|法テラス
そのため、刑事事件を起こしてしまった加害者の方は、自分で弁護士を探して相談・依頼する必要があるのです。
刑事事件について、逮捕・勾留される前であれば、自分で弁護士に相談することができます。
ここでは、逮捕・勾留前に刑事事件の加害者が弁護士に相談できる窓口を3つ紹介します。
加害者が刑事事件について弁護士に相談するなら、ベンナビ刑事事件がおすすめです。
ベンナビ刑事事件には、刑事事件に注力している弁護士が多数掲載されています。
地域はもちろん、無料相談に対応しているかどうかや、傷害事件・窃盗事件など、刑事事件の内容ごとに弁護士を検索可能です。
今すぐ電話がつながる弁護士も掲載しているので、逮捕まで時間が少ない場合は活用するとよいでしょう。
刑事事件の相談をしたい場合、各都道府県の弁護士会に問い合わせるのもひとつの方法です。
弁護士会の法律相談センターでは、30分あたり5,500円の相談料で弁護士に相談できます。
もし相談した弁護士を信頼できると感じた場合、その弁護士と個別に契約して私選弁護人として対応を依頼することも可能です。
利用する際は、開催日時や予約方法を事前に確認してください。
また、利用する弁護士会は自分が住んでいる地域の弁護士会を選ぶとよいでしょう。
【参考】法律相談|日本弁護士連合
刑事事件について弁護士に相談したい場合は、自治体の定期相談会を利用するのも手です。
各自治体が定期的に無料の法律相談会を開催しており、弁護士が住民向けに離婚や相続、傷害事件などの法律相談を無料で提供することがあります。
自治体の法律相談会の開催状況は、各自治体のホームページに掲載されています。
自治体によっては開催頻度が少ないケースや、事前予約制であったり、実施されるまで時間がかかることもありますので、前もって確認しておくほうが良いでしょう。
逮捕・勾留後に呼べる弁護士は、当番弁護士・国選弁護人・私人弁護人の3種類です。
それぞれの弁護士の違いは、以下のとおりです
当番弁護士 | 国選弁護人 | 私選弁護人 | |
---|---|---|---|
呼べるタイミング | 逮捕後 | 勾留後 | 逮捕前からいつでも |
呼べる人 | 誰でも | 本人のみ | 誰でも |
弁護士の選択可否 | 選べない | 選べない | 選べる |
弁護士費用 | 無料 | 原則として無料 | 有料 |
注意点 | 呼べるのは1度だけ | 勾留後でないと呼べない | 費用がかかる |
ここからは、それぞれの弁護士について詳しく解説します。
当番弁護士は、逮捕後に一度だけ無料で面会に来てくれる弁護士です。
当番弁護人は、逮捕後の身柄拘束中に限り利用可能で、警察での取り調べ対応や今後の見通しに関する法的アドバイスを受けられます。
逮捕された直後の期間には、刑事手続の流れや自身の権利を理解できないまま、不本意な内容の供述調書に署名させられたりする危険に晒されているといえ、この期間に弁護士の援助を受ける必要性は高いため、当番弁護士制度が設けられました。
当番弁護士を呼べば、初回の接見を無料で受けることができます。
また、仮にその弁護士に引き続き弁護を依頼する場合は、私選弁護人として契約することもできます。
当番弁護士は、1回の接見のみが業務です。
あくまで一時的な相談相手でしかないので、外部との連絡や、示談交渉といった弁護活動を依頼することはできません。
外部との連絡を希望して当番弁護士を呼んだとしても、当番弁護士ではそのような業務を実施できないので、注意しましょう。
当番弁護士を呼ぶ方法はふたつあります。
第一に逮捕された本人が警察官に希望を伝える、第二に家族や友人が逮捕された都道府県の弁護士会に連絡して依頼する方法です。
なお、当番弁護士は自分で選べず、弁護士会が選定します。
当番弁護士が選定されると、弁護士は通常は24時間以内に警察署に赴き、逮捕された人と面会します。
家族や友人が逮捕された場合、早急に当番弁護士を呼ぶことで、逮捕された方の精神的な支えとなり、迅速で適正な法的サポートを受けることが可能になるでしょう。
国選弁護人は、被疑者が希望した場合に国が選ぶ弁護士で、被疑者が勾留された場合のみ利用できます。
最大のメリットは原則として依頼料が無料(最終的に裁判所から訴訟費用の負担を命じられることがあります。)である点です。
利用条件は「被疑者に勾留状が発せられていること」と「資力が50万円未満であること」の2つを満たす必要があります。
実務では、逮捕から2日〜4日後に選定されることが一般的ですが、その間に不利な供述調書を取られるリスクがあります。
また、国選弁護人も刑事弁護の実績が豊富とは限らず、経験が少ない場合もあるでしょう。
逮捕後に当番弁護士を呼んだ場合、その弁護士が国選弁護人になることもあります。
勾留質問の際に私選弁護人がいない場合、裁判官によって国選弁護人を選任するかどうかが尋ねられ、その際に希望を出すことができます。
国選弁護人は家族や友人から直接頼むことはできず、本人が希望を出さなければなりません。
なお、国選弁護人を依頼後に私選弁護人に切り替える場合は、国選弁護人は解任されます。
第三十八条の三 裁判所は、次の各号のいずれかに該当すると認めるときは、裁判所若しくは裁判長又は裁判官が付した弁護人を解任することができる。
一 第三十条の規定により弁護人が選任されたことその他の事由により弁護人を付する必要がなくなつたとき。
引用元:刑事訴訟法 | e-Gov 法令検索
第三十条 被告人又は被疑者は、何時でも弁護人を選任することができる。
② 被告人又は被疑者の法定代理人、保佐人、配偶者、直系の親族及び兄弟姉妹は、独立して弁護人を選任することができる。
引用元:刑事訴訟法 | e-Gov 法令検索
私選弁護人とは、依頼者が料金を支払い、自分で選んで雇う弁護士です。
私選弁護人は逮捕前から弁護活動を開始できます。
家族が知り合いやインターネット、自治体の法律相談などで希望に沿った弁護士を選び、依頼することが一般的で、裁判所が選任するのではなく、ご家族の選んだ弁護士が業務をおこなうというところが、国選弁護人や当番弁護士にはないメリットです。
逮捕直後に面会し、1対1で法律相談や勾留回避のための弁護活動をおこないます。
また、私選弁護人は依頼者の事情や希望に応じて柔軟に対応できる点も魅力です。
たとえば、勾留期間中の頻繁な面会や、法廷での戦略的な弁論準備など、依頼者の利益を最大限に守るための詳細なサポートを期待できます。
一方で、私選弁護人に依頼するためには一定の費用が必要です。
依頼者やその家族が経済的に余裕がある場合には問題になりませんが、そうでない場合には負担となることがあります。
私選弁護人を選ぶ際には、費用対効果を十分に考慮し、ご自身のニーズに最も適した弁護士を選ぶことが重要です。
逮捕された被疑者は、私選弁護人に直接連絡することができません。
留置場や拘置所では、携帯電話の使用はできません。
ただし、逮捕前に弁護士を依頼していれば、留置場で警察官に伝えることで弁護士に接見要請をすることができます。
逮捕後に本人が弁護士に連絡できない場合、家族で刑事弁護に精通し迅速に対応できる弁護士を探すべきです。
弁護士を選ぶ際には刑事弁護の経験と、本人の人生を守る熱意をもつ弁護士を選ぶことを重視してください。
結局のところ、逮捕・勾留後にはどの弁護士を呼ぶのがよいのでしょうか。
ここでは、逮捕・勾留後に呼ぶべき弁護士の種類について説明します。
当番弁護士を呼ぶメリットは、弁護士という専門家と、迅速に相談ができる点です。
逮捕をともなう刑事事件では、勾留請求の決定が3日以内におこなわれるなど、法律上、手続きに厳格な時間制限があります。
そのため、刑事事件の弁護活動は迅速さが求められます。
特に、逮捕された被疑者に対する弁護士の初回接見は、弁護士が、検察官や警察とは異なる立場から、重要な助言や説明をおこなう機会といえます。
ただし、当番弁護士制度はあくまで1回限りで、継続的な弁護活動はおこなうことができません。
その当番弁護士に対して継続的な弁護活動を望む場合は、私選弁護人として依頼することが考えられます。
刑事被疑者弁護援助制度は、日本弁護士連合会が、私選弁護人の費用を支払えない人のために弁護士費用を立て替える制度です。
この制度は逮捕された人が利用でき、逮捕から勾留されるまでの最長3日間が対象です。
勾留後は国選弁護人を利用できるので、この制度は利用できません。
また、利用条件として資産が50万円未満であることが求められます。
ただ、この制度を利用して当番弁護士から私選弁護人、国選弁護人へと順次切り替えることで、これらのデメリットをカバーし、逮捕直後から継続的に同じ弁護士に弁護してもらうことができるでしょう。
刑事被疑者弁護援助制度費用を利用する方法は、それぞれ以下の通りです。
逮捕直後に警察職員に「当番弁護士を呼んでください」と申し出ます。
家族も弁護士会に電話して無料で依頼できます。
当番弁護士は無料で1回のみ面会します。
継続的な弁護を希望する場合は、私選弁護人として依頼します。
資産が50万円未満の場合、この制度に申し込むことで援助が受けられることがあります。
勾留後、同じ弁護士が私選弁護人から国選弁護人に切り替わります。
国選弁護人のメリットは、安価で利用できることが多く、勾留後の継続的な弁護活動が受けられる点です。
しかし、裁判所が選任する弁護士なので、必ずしも依頼者の希望に沿った弁護活動を実施してもらえるとは限りません。
被疑者・被告人のニーズに即した弁護活動を希望するのであれば、信頼できる弁護士を自ら依頼するべきでしょう。
また、選任に裁判所を介するので、若干の時間的な遅れは生じてしまうことがあります。
そして、裁判所が選任するものなので、国選弁護人を解任することは、法律の規定に従っておこなう必要があります。
たとえ国選弁護人との相性が悪かったとしても、簡単には解任することはできません。
この場合には、私選で弁護人を選任することで、弁護活動を依頼するのが望ましいでしょう。
国選弁護人制度は、資力が乏しい場合でも国が費用を負担することで刑事弁護を受けられる制度です。
弁護士費用の負担が難しい方にとっては特に有益な制度といえるでしょう。
他方で、事案に応じた個別具体的なニーズがあったとしても、これを実現することは難しいことが多いかもしれません。
私選弁護人の主なメリットは、早期から継続した弁護活動を受けられることです。
また、自らが選んで決めた弁護士ですので、各弁護士の得意分野に応じた対応を求めることができます。
したがって、早期釈放を希望する人や会社に知られたくない人に適しています。
また、冤罪の場合も早期の弁護活動が有利です。
不起訴処分を望む人は、自分で信頼できる弁護士を選べますし、逮捕前から打ち合わせをおこなうことで、万が一逮捕されてしまったとしても、会社対応や家族への連絡といった外部との連絡や、不起訴処分に向けた活動の準備を逮捕前から準備することができます。
勤務先との関係や、業務の引継ぎ、家族への連絡といった、逮捕されてしまった場合に不安がある方は、すみやかに弁護士に相談をすべきでしょう。
なお、勾留がされない在宅事件では、国選弁護人や当番弁護士が利用できないため、私選弁護人に被害者との示談交渉といった弁護活動を依頼することが重要です。
「ベンナビ刑事事件」は、刑事事件に強い弁護士を紹介するポータルサイトです。
地域や相談内容を選ぶだけで、適した弁護士を一括表示します。
「初回相談無料」や「休日相談可能」などの条件でも検索可能です。
弁護士への直接連絡ができるのはもちろん、詳細な解決事例や料金体系も確認できます。
複数の法律事務所に問い合わせることも問題ありません。
なお、弁護人を選ぶ際の重要ポイントは以下のとおりです。
刑事事件では迅速な対応を求められるため、弁護士選びに時間をかけられない場合があります。
少しでもよい弁護士を選ぶためにも、ベンナビ刑事事件のようなポータルサイトを活用するのがおすすめです。
ここでは、刑事事件で弁護士に対応・依頼する際によくある質問を紹介します。
同様の疑問を抱えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
弁護士費用の分割払いに対応する法律事務所や弁護士もありますが、逮捕や実刑判決による長期の身柄拘束で働けなくなると、分割払いが難しくなる可能性があります。
代替案として、家族に一時的に分割費用を負担してもらう方法も検討するとよいでしょう。
なお、ベンナビ刑事事件では、分割払いの相談可否を検索条件にして弁護士を探すことができます。
国選弁護人から私選弁護人への切り替えは可能で、手続きは私選弁護人がおこないます。
依頼主が手続きをする必要はありません。
現在の国選弁護人に不満がある場合、刑事事件に強い私選弁護人を探すとよいでしょう。
国選弁護制度では、基本的に国が弁護士費用を負担しますが、被疑者や被告人の経済状況によっては裁判所が費用負担を命じる場合があります。
刑事事件については、法テラスに相談・依頼することができません。
ご自身やご家族が、逮捕・勾留後に依頼できる当番弁護士や私選弁護人を探す必要があります。
ただ、それぞれの弁護士は呼べるタイミングや面会できる回数など制限がある場合がほとんどです。
そのため、自身の状況に合わせた最適な弁護士に迅速に依頼しなければなりません。
特に、逮捕前から、適切かつ迅速な弁護活動をおこなうには、ご自身と相性のいい弁護人を逮捕前から探しておく必要があります。
そして、刑事事件に強い弁護士を探すなら、ベンナビ刑事事件がおすすめです。
今すぐ直接電話できる弁護士も掲載しているので、頼れる弁護士に相談したい方は、ぜひ活用してみてください。