弁護士相談
警察に逮捕されるまでの流れと逮捕後の流れまとめ
2024.11.18
刑事事件を起こして捜査の対象になってしまったら、取調べを受けるなど厳しい時間を過ごすことになります。
嫌疑の内容によっては逮捕されることもあり得るため、被疑者となった方やそのご家族にとっては不安が続いてしまうでしょう。
刑事事件を起こしてしまったら、速やかに弁護士へ依頼しましょう。
弁護人として、身柄解放や不起訴処分、重い刑事処分の回避に向けたサポートをしてもらえます。
本記事では、刑事事件について弁護士がおこなう活動内容、弁護士に相談・依頼するメリット、弁護士の選び方、弁護士費用などを解説します。
弁護士に刑事事件の弁護活動を依頼すると、以下のようなさまざまな活動を通じたサポートを受けられます。
弁護人としての重要な役割の一つが、被疑者・被告人との接見(面会)です。
弁護士は、接見を通じて被疑者・被告人を安心させるとともに、弁護活動の方針を被疑者・被告人と話し合います。
接見の中で弁護士とコミュニケーションを密にとることができれば、精神的な安定や適切な弁護活動に繋がります。
重い刑事処分を回避する観点からは、被害者との示談を成立させることが非常に重要です。
示談によって被害弁償をおこなえば、被疑者・被告人にとって良い情状として考慮され、不起訴処分や執行猶予付き判決の可能性が高まります。
弁護士には、刑事弁護活動の一環として、示談交渉の代行も依頼可能です。
弁護士を通じて示談交渉をおこなうことにより、適正な金額による示談の早期成立が期待できます。
起訴されて公判手続き(刑事裁判)にかけられることになったら、裁判所の法廷における主張・立証の準備をしなければなりません。
被疑事実を争って無罪を主張する場合は、検察官立証を崩せるだけの物的証拠や証人を確保する必要があります。
弁護士に依頼すれば、証拠や証人を確保する方法についてアドバイスを受けられます。
被疑事実を争わずに量刑だけを争う場合でも、情状に関する物的証拠や証人を確保することが重要です。
たとえば被害者との示談書や反省文、更生をサポートする人の証言などは、被告人にとって有利に考慮される可能性があります。
弁護士に依頼すれば、情状に関する証拠・証人の確保もサポートしてもらえます。
逮捕・勾留によって身柄を拘束された状態は、被疑者・被告人にとって非常に大きなストレスがかかります。
弁護士は、被疑者・被告人の身柄を早期に解放するため、捜査機関や裁判所(裁判官)に対してさまざまな働きかけをおこないます。
たとえば、起訴前段階では勾留処分に対する準抗告や不起訴に向けた弁護活動、起訴後は勾留に処分に対する抗告や保釈請求などを通じて、身柄の早期解放を目指して尽力してもらえます。
身柄を拘束されている被疑者・被告人は、自ら家族や職場などとやり取りする時間をほとんどとれません。
面会の際には時間制限が設けられるうえに、接見禁止処分がおこなわれれば全く面会できなくなります。
弁護士は、弁護人または弁護人になろうとする者として、いつでも時間制限なく被疑者・被告人と面会できます。
家族や職場に伝えたいことがある場合には、弁護士に伝えれば適切な形で伝えてもらえるでしょう。
弁護士を通じて身近な人々との繋がりを維持すれば、身柄拘束中の精神的な安定にも繋がります。
ご自身やご家族が刑事事件の被疑者となった場合には、速やかに弁護士へ相談・依頼することをおすすめします。
刑事事件について弁護士に相談・依頼することの主なメリットは、以下のとおりです。
弁護士は、起訴前段階では勾留処分に対する準抗告や不起訴に向けた弁護活動、起訴後は勾留に処分に対する抗告や保釈請求など、被疑者・被告人の身柄解放に向けたさまざまな活動をおこないます。
弁護士があらゆる手を尽くして身柄解放を訴え続けた結果、その主張が認められて、被疑者・被告人の身柄が早期に解放されるケースもよくあります。
できる限り早く身柄拘束から解放されるには、速やかに弁護士へ依頼することが大切です。
弁護士は、被害者との示談・反省文の作成サポート・更生をサポートする人とのやり取りなどを通じて、検察官に対して被疑者の良い情状を訴え、被疑者を起訴しないように求めます。
特に起訴されるかどうか微妙な事案であれば、弁護士の粘り強い弁護活動によって不起訴処分となるケースが少なくありません。
不起訴処分となれば前科が付かないため、社会生活への影響も最小限に抑えられます。
被疑者が検察官に起訴された場合は、公判手続きにおいてどのような主張・立証をおこなうかが重要になります。
被疑事実を争わずに量刑のみを争う場合でも、公判手続きにおける被告人側の主張・立証は重要です。
被害者との示談・反省・更生をサポートする人の存在など、被告人にとって良い情状を訴えることができれば、執行猶予付き判決が言い渡され、または実刑であっても量刑が減軽される可能性が高まります。
弁護士に依頼すれば、公判手続きにおいて、被告人に有利な事情をさまざまな観点から示してもらえるので、執行猶予付き判決や量刑の軽減に繋がりやすいです。
捜査の対象となり、身柄を拘束されることもある被疑者や被告人を精神的に支えることも、弁護人の重要な役割です。
また、本人とともに辛い思いをしている家族にとっても、弁護人に相談できることは心の支えとなります。
刑事事件を精力的に取り扱う弁護士に依頼すれば、弁護人として親身になって、被疑者・被告人や家族の相談に応じてもらえるでしょう。
厳しい状況において精神的負担を軽減するためには、弁護士に依頼していつでも相談できるようにしておくことが大切です。
刑事事件の弁護活動をおこなう弁護人には、「私選弁護人」と「国選弁護人」の2種類があります。
「私選弁護人」とは、被疑者・被告人やその家族などが依頼した弁護人です。
私選弁護人は、依頼者と弁護士の間で締結する委任契約に基づいて選任されます。報酬も委任契約によって定められ、依頼者が負担することになります。
私選弁護人のメリットは、被疑者やその家族などが、信頼できる弁護士を自ら選んで依頼できる点です。
刑事弁護の経験を豊富に有し、親身になって対応してくれる弁護士に依頼したいなら、私選弁護人としての依頼を検討しましょう。
「国選弁護人」とは、国が選任した弁護人です。
勾留されている被疑者および起訴された被告人が、貧困その他の事由により弁護人を選任することができず、かつ私選弁護人が選任されていないときは、国選弁護人の選任を請求できます(刑事訴訟法36条、37条の2)。
また、裁判所が必要と認めるときは、職権で国選弁護人が選任されることもあります(刑事訴訟法37条)。
国選弁護人の報酬は公費によって賄われるため、被疑者・被告人やその家族の負担は発生しません。
ただし、国選弁護人を自分で選ぶことはできず、選任された国選弁護人が刑事事件の経験に乏しいケースもあるので注意が必要です。
刑事事件への対応について、私選弁護人として活動してもらう弁護士を選ぶ際には、以下の各点に注目するとよいでしょう。
私選弁護は、刑事事件の取り扱い実績や経験を豊富に有する弁護士に依頼するのが安心です。
経験豊富な弁護士に私選弁護を依頼すれば、多様な経験を活かして、状況に応じた適切な弁護活動をおこなってもらえるでしょう。
刑事事件に関する経験は、法律事務所のウェブサイトや弁護士ポータルサイトの事務所紹介ページなどに掲載されていることがあります。
また、弁護士に法律相談をする中で的を射たアドバイスをしてくれる弁護士は、刑事事件に関する経験を豊富に有する可能性が高いです。
特に被疑者が身柄拘束されている場合には、刑事手続きが非常に速いスピードで進行します。
逮捕は最長72時間、勾留は最長20日間の合計23日間で、遅くとも勾留期間が完了するまでには、被疑者が起訴されるかどうかが決まります。
刑事手続きの速い進行に対応するためには、弁護人は夜間や土曜・日曜・祝日を含めて、必要であれば被疑者と接見して弁護活動をおこなうべきです。
私選弁護人を選ぶ際には、夜間や土日祝日でも活動してもらえるかどうかを確認しましょう。
私選弁護の弁護士費用は、依頼先の弁護士によって異なります。
弁護士費用には大まかな目安額があるので、その水準と大きくかけ離れておらず、合理的な金額を提示する弁護士に依頼するのがよいでしょう。
弁護士費用が適正かどうかを判断するためには、複数の弁護士から見積もりを取得して比較することが効果的です。
私選弁護人の弁護士費用の目安額は、項目ごとに以下のとおりです。
総額で60万円から100万円程度かかるのが標準的と思われます。
実際の弁護士費用の額は、事件の内容や依頼先の弁護士によって異なるので、正式に依頼する前に必ずご確認ください。
費用項目 | 費用目安 |
相談料 | 無料~1時間当たり1万円程度 |
接見費用 | 1回当たり2万円~5万円程度 |
着手金 | 30万円~50万円程度 |
成功報酬 | 30万円~50万円程度 |
実費 | 事件による |
日当 | 期日1回当たり3万円~5万円程度 |
刑事事件について無料で相談できる弁護士を探すなら、「ベンナビ刑事事件」を利用するのが便利です。
刑事弁護に精通した弁護士が多数登録されており、地域や相談内容に応じて、スムーズに弁護士を検索できます。
無料相談に対応している弁護士も多く、電話やメッセージで直接の問い合わせが可能です。
特に、刑事弁護を依頼できる弁護士に心当たりがない方にとっては、「ベンナビ刑事事件」が大いに役立ちます。
ご自身やご家族が刑事事件の被疑者となってしまったら、「ベンナビ刑事事件」を通じて速やかに弁護士へご相談ください。
刑事事件に関する弁護士への依頼について、よくある質問とその回答をまとめました。
刑事事件について弁護士に相談するタイミングは、早ければ早いほど望ましいです。
早期に弁護士へ相談すれば、弁護活動の幅が広がり、スムーズな身柄解放や不起訴処分、重い刑事処分の回避に繋がりやすくなります。
捜査機関から取調べを要請された場合や、逮捕された場合には、速やかに弁護士へ相談しましょう。
また、まだ自分に嫌疑が及んでいるかどうか分からない段階でも、罪を犯した自覚がある場合には、念のため弁護士へ相談することをおすすめします。
すでに国選弁護人が選任されている場合でも、新たに私選弁護人を選任することは可能です。
私選弁護人が「弁護人選任届」を検察庁または裁判所に提出すれば、国選弁護人は解任されて私選弁護に切り替わります。
ただし、国選弁護人が被疑者・被告人や家族などに対して、私選弁護への切り替えを働きかけることはできません。
弁護士会によっては、国選弁護人である弁護士が私選弁護を受任することを禁止しているケースもあります。
これに対して、国選弁護人とは別の弁護士に私選弁護を依頼することについては、特に制限はありません。
国選弁護人の弁護活動に不満がある場合は、刑事事件の経験を豊富に有する弁護士を探して、私選弁護を依頼するとよいでしょう。
ご自身やご家族が刑事事件の被疑者となった場合、弁護士には必ず相談した方がよいです。
刑事手続きの見通しや取調べについてアドバイスを受けることができ、精神的な安定に繋がるほか、捜査機関に対して不本意な供述をしてしまうことを防げます。
ただし、最初から費用を払って弁護士に依頼する必要があるとは限りません。
当番弁護士制度※や各法律事務所が実施している無料法律相談などを利用して、費用をかけずに弁護士に相談することもできます。
※当番弁護士制度:逮捕された被疑者の相談に応じるため、各都道府県の弁護士会に当番弁護士が待機する制度です。逮捕された被疑者は、当番弁護士を無料で呼ぶことができます。
まずは当番弁護士による接見や無料相談を申し込み、弁護士の話を聞いたうえで、必要であると納得した場合には正式に依頼するのがよいでしょう。
捜査機関に犯罪の疑いをかけられた場合は、速やかに弁護士へ相談することが大切です。
さまざまな弁護活動を通じて、被疑者・被告人の身柄解放や重い刑事処分の回避などに向けて尽力してもらえます。
また、被疑者・被告人やその家族のよき相談相手として、精神的なサポートをおこなうことも弁護士の重要な役割です。
精神的に厳しい状況の中では、早期に弁護士へ相談することが精神的な安定に繋がります。
ご自身やご家族が刑事事件の被疑者となってしまったら、すぐに弁護士へご相談ください。
刑事事件については、こちらの記事で詳しく解説されています。あわせてご確認ください。参考:刑事事件相談 弁護士ほっとライン