性犯罪事件
未成年淫行で逮捕されるリスクとは?バレるきっかけと知っておくべきこと
2024.04.19
2023年7月より、強制性交等罪は不同意性交等罪に改称されました。
強制性交等罪(不同意性交等罪)に問われる可能性がある方は、法改正により変更された概要や構成要件について知りたい方もいるでしょう。
また、強制性交等罪(不同意性交等罪)に問われないためにできることがあれば、知りたい方もいるのではないでしょうか。
本記事では、強制性交等罪の概要や構成要件、法改正により変更されたポイントや事件の流れについて解説します。
強制性交等罪について深く理解して、トラブルに対処したい方はぜひ参考にしてみてください。
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強制性交等罪は、暴行や脅迫を用いて性交等をした場合に成立します。
構成要件は、被害者の年齢によって異なります。
被害者が13歳未満の場合の場合は、暴行や脅迫を用いずとも強制性交等罪が成立する可能性があります。
強制性交等罪の構成要件の1つ目は、暴行または脅迫があることです。
暴行は他人の身体に対して不法に有形力を行使すること、脅迫は他人の生命や身体に対して危害を加える旨を告知する行為です。
強制性交等罪において、暴行や脅迫のレベルは被害者が全く抵抗できない状態まで達している必要はありません。
被害者の反抗を著しく困難ならしめる程度であれば、要件を満たしていることになります。
また、暴力や脅迫のレベルの程度については、次の点が考慮されます。
上記の事情を考慮し、暴行や脅迫が「被害者の反抗を著しく困難ならしめる程度」であったかを判断します。
強制性交等罪の構成要件の2つ目は、性交などに及んでいることです。
性交等とは、一般的に性交、肛門性交、口腔性交を指します。
上記の定義は、性別による制限はなく、たとえば男性同士でも処罰の対象になります。
強制性交等罪の構成要件の3つ目は、故意があることです。
「故意」とは、犯罪に及ぶ意思があることを指します。
たとえば、被害者の同意があった場合は犯罪に及ぶ意思は認められないため、強制性交等罪は成立しません。
ただし、13歳未満の者との性交については、たとえその場で同意があったとしても、法的には同意が無効になります。
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2023年7月より、従来の「強制性交等罪」は「不同意性交等罪」に改称されました。
従来の「強制性交等罪」は、被害者が著しく抵抗できない状況での性交等が構成要件のひとつでした。
しかし、被害者の「抵抗可能性の程度」が多くの場合で争点となっており、本来処罰されるべき行為が適切に処罰されていないという批判の声が存在したのも事実です。
そこで今回の改正により、被害者が抵抗する「能力や状態」よりも被害者の「意志」が尊重されることになり、これによりこれまでに対象となってこなかった性犯罪行為の処罰が期待されています。
不同意性交等罪の概要や構成要件、強制性交等罪からの主な変更点を解説します。
不同意性交等罪とは、同意がない状態で性交等に及んだ場合に成立する犯罪です。
不同意性交等罪については、刑法第177条で次のように定めています。
(不同意性交等)
第百七十七条 前条第一項各号に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、性交、肛門性交、口腔性交又は膣若しくは肛門に身体の一部(陰茎を除く。)若しくは物を挿入する行為であってわいせつなもの(以下この条及び第百七十九条第二項において「性交等」という。)をした者は、婚姻関係の有無にかかわらず、五年以上の有期拘禁刑に処する。
2 行為がわいせつなものではないとの誤信をさせ、若しくは行為をする者について人違いをさせ、又はそれらの誤信若しくは人違いをしていることに乗じて、性交等をした者も、前項と同様とする。
3 十六歳未満の者に対し、性交等をした者(当該十六歳未満の者が十三歳以上である場合については、その者が生まれた日より五年以上前の日に生まれた者に限る。)も、第一項と同様とする。
引用元:刑法 | e-Gov法令検索
不同意性交等罪の構成要件は、次のとおりです。
【不同意性交等罪の構成要件】
不同意性交等罪は、「同意しない意思を形成・表明・全うすることが困難な状態にさせ、又はその状態にあることに乗じて性交等をする」ことで成立します。
ここでいう「同意しない意思を形成・表明・全うすることが困難な状態にさせる行為」とは、暴行や脅迫に限らず、心身の障害やアルコールや薬物を用いた手法なども処罰の対象になります。
「性交等」は性交、肛門性交、口腔性交に加えて、膣や肛門に身体の一部、または物を挿入する行為であってわいせつなものも含まれます。
「故意」は犯罪に及ぶ意思のことを指しますが、「強制性交等罪」では13歳であった性同意年齢が16歳に引き上げられたことで、16歳未満の場合はたとえ同意があっても処罰対象になる可能性があります。
また、今回の改正で配偶者間においても罪が成立し得ることが明確化されました。
強制性交等罪から不同意性交等罪へ改称されたことによる主な変更点は、次のとおりです。
強制性交等罪(改称前) | 不同意性交等罪(改称後) | |
刑罰の種類 | 5年以上の有期懲役 | 5年以上の有期拘禁刑 |
罪の成立要件 | ・暴行又は脅迫 ・性交等 ・故意 | ・「同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態」にさせる行為 ・性交等 ・故意 |
公訴時効期間 | 10年 | 15年 |
性交同意年齢 | 13歳 | 16歳 |
強制性交等罪は「5年以上の有期懲役」とされていましたが、不同意性交等罪の刑罰の種類は「5年以上の有期拘禁刑」に変更になりました。
「拘禁刑」は懲役と禁錮を一元化し、受刑者の年齢や特性に応じて再犯防止に向けた柔軟な処遇をするために新設されました。
ただし、拘禁刑の導入は2025年を予定しているため、導入までは拘禁刑は「懲役」に該当すると解釈されます。
不同意性交等罪は、罪の成立条件が強制性交等罪よりも拡大されています。
強制性交等罪の成立要素のひとつは暴行や脅迫でしたが、不同意性交等罪での成立条件は「同意しない意思を形成、表明、全うすることが困難な状態」にさせる行為です。
具体的には、次のような行為を指します。
また、「行為がわいせつなものではないとの誤信をさせ、若しくは行為をする者について人違いをさせ、又はそれらの誤信若しくは人違いをしていることに乗じて性交等をする行為」も該当します。
強制性交等罪よりも成立要件が拡大されつつも明確な基準が示されたため、判断にばらつきが生じづらくなったといえるでしょう。
強制性交等罪の公訴時効は10年でしたが、不同意性交等罪の公訴時効は15年です。
改正により、公訴時効が5年間延長されました。
性犯罪は性質上、ほかの犯罪と比べて被害が表面化しづらいという特性があります。
その点、公訴時効が延長されたことで、被害者の権利がより守られやすくなったといえるでしょう。
強制性交等罪の性交同意年齢は13歳でしたが、不同意性交等罪の場合の性交同意年齢は、16歳に引き上げられました。
改正に伴い、相手が16歳未満の場合はたとえ同意があったとしても処罰対象となります。
なお、同年代同士の恋愛を考慮し13歳以上16歳未満の場合は、行為者が5歳以上年長の者に限り処罰対象になります。
強制性交等罪(不同意性交等罪)と似ている性犯罪に、次の2つがあります。
監護者性交等罪は、監護者が18歳未満の子どもに対して性的行為に及んだ場合に成立する犯罪です。
監護者性交等罪は刑法第179条第2項に明文化されており、5年以上20年以下の有期懲役が科されます。
強制性交等罪(不同意性交等罪)と異なる点は、加害者の身分が親や後見人、保護者など生活に深く関与する者が対象になることです。
監護者という特別な立場を悪用した性犯罪であり、監護者の権限や影響力を悪用して未成年者に対して不当な性的行為をおこなうケースが該当します。
不同意わいせつ罪は、同意がない状態でわいせつ行為に及んだ場合に成立する犯罪です。
刑法175条に規定されており、6ヵ月以上10年以下の拘禁刑に科せられます。
これは暴力や脅迫が使われたケースだけでなく、被害者が行為に同意していない状況全般が含まれます。
強制性交等罪(不同意性交等罪)は性交等の行為が対象になりますが、不同意わいせつ罪はわいせつな行為が処罰の対象です。
「わいせつ」な行為とは、判例で次のように定義されています。
刑法第一七五条にいわゆる「猥褻」とは、徒らに性慾を興奮又は刺戟せしめ且つ普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反するものをいう。
典型的なわいせつ行為としては、下着を触る、服を脱がす、キスをするなどの行為が該当します。
強制性交等罪(不同意性交等罪)で逮捕されてからの流れは、次のとおりです。
逮捕後は、警察署に連行されて取り調べを受けます。
事件の概要や事実、関係人物などについて調査されるでしょう。
逮捕から48時間以内に、事件が警察から検察官へ引き継がれます。
これは「検察官送致」と呼ばれる手続きです。
送致された後、検察官は24時間以内に裁判所に対して勾留請求をおこなうかどうか判断をします。
勾留請求がなされた場合は、警察署内の留置所で最長3日間の留置が続きます。
勾留が認められた際、最初の勾留期間は10日間です。
その後、検察官の請求により、さらに最大10日間勾留が延長されることがあります。
この期間中、裁判所から接見禁止の命令がない限り家族との面会は可能ですが、弁護士以外が面会をおこなう場合、警察の立ち会いなどの制約がつくでしょう。
勾留期間の終了までに、検察官は被疑者に対して起訴か不起訴の判断をします。
起訴後の有罪率は非常に高いので、前科をつけないためには早い段階での弁護士への相談が重要になるでしょう。
起訴された場合、刑事裁判が開始されます。
判決が下され有罪となれば、5年以上の有期懲役が科されます。
執行猶予は3年以下の懲役にしかつけることができないため、減刑事由などそれぞれ被告人に応じた特別な事情がない限りは執行猶予はつかないでしょう。
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強制性交等罪(不同意性交等罪)で弁護士から受けられる支援内容は、次のとおりです。
取り調べの対応方法について、専門的なアドバイスを受けることができます。
逮捕された段階で被疑者は、警察による連日の厳しい取り調べを受けるのが一般的です。
法的な知識がない場合、警察の指示にしたがって真実でない供述をしてしまうおそれもあります。
弁護士は被疑者に対し、正確な法的知識と取り調べにおける適切な対応について指導します。
また、家族との接見が制限されている場合、弁護士が被疑者の不安軽減のサポートもおこなえるでしょう。
早期釈放に向けたサポートを受けられます。
被疑者の身柄が拘束された際は、できる限り早く解放されるような工夫が必要です。
弁護士は担当刑事や検事と連絡を取り、事件の概要、捜査の状況、被害者の意向、処分の見通しなどについて情報を収集します。
さらに、被疑者に有利な事情を明らかにするなどして、勾留延長を防ぐように活動します。
弁護士が被害者との示談交渉をおこないます。
早期の釈放や不起訴を目指す場合は、示談を成立させることが重要です。
強制性交等罪(不同意性交等罪)は被害者の感情が非常に高ぶっていることが多く、示談交渉はデリケートな問題です。
そのため、被疑者ひとりで示談をおこなう場合、高いリスクが伴うでしょう。
弁護士が被疑者の代理人として交渉にあたる場合は、被害者の感情に十分配慮しながら、スピーディーに示談交渉をまとめられる可能性が高まります。
冤罪事件等の否認事件の場合は、起訴された事実が事実でないことや、法的に罪に当たらないことなど、被告人が無罪であることを証明するための活動をおこなってくれます。
無罪の立証には、様々な方針の検討が必要です。
被害者が犯人を間違えているケース、または虚偽の申告をしている可能性も考慮しながら、矛盾する証言や物証を見つけ出す作業が重要になるでしょう。
弁護士は事件によっては、目撃者の証言や防犯カメラの映像、DNAテストの結果などの多角的な証拠を集められることもあります。
まずは不起訴を目指すことが重要ですが、起訴されてしまう場合もあるでしょう。
そして、たとえ起訴された事実が事実でなかったとしても逮捕・勾留中の取調べの中で不用意な発言をしてそれが調書に残ってしまうと、不利に働くおそれがあります。
そのため、弁護士と被疑者の段階で事前に取調べ対応について打合せをおこない、シミュレーションしておくことが大切です。
無罪の獲得を目指す場合には、戦略を練る必要があるでしょう。
弁護士は事実関係を整理し、全ての法的手段を活用して、最善の結果を得られるように活動してくれます。
不同意性交等罪は複雑かつデリケートな犯罪です。
強烈な感情や社会的タブーも絡むため、専門の知識と経験が豊富な弁護士に依頼することが重要です。
被害者への配慮と被疑者の権利保護のバランスが求められるため、専門性をもった弁護士を選ぶ必要があるでしょう。
不同意性交等罪が得意な弁護士は、「ベンナビ刑事事件」で探すことをおすすめします。
刑事事件に強い法律事務所や弁護士が多数登録されているため、複雑なケースでも適切に対応できる弁護士を見つけられるでしょう。
不同意性交等罪に関する事件は、一般的な刑事事件とは一線を画す、複雑さと繊細さをもっています。
専門的な知識と経験が豊富なベンナビ刑事事件に登録されている弁護士に相談することで、最も適切な対応と解決が期待できるでしょう。
ひとりで悩む前に、まずは刑事事件に強い弁護士に相談してみてはいかがでしょうか。
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