- 「追突事故では診断書が受け取れない」
- 「追突事故なんかで病院の診断書は必要ない」
このように考えている方もいるかもしれません。
結論からいうと、追突事故であってもけがをしているなら医師に診断書を作成してもらうことが可能です。
その際、交通事故に関連する診断書はいくつかあるため、適切なものを作成してもらうことが重要になります。
そこで、本記事では追突事故の被害に遭った方に向けて、以下の内容についてわかりやすく説明します。
- 追突事故でも病院で診断書を入手できるかどうか
- 追突事故でけがを負った際に入手できる診断書の種類
- 追突事故でけがを負った際に警察に診断書を提出するメリット
- 追突事故後に病院を受診し診断書を作成してもらうときのポイント など
本記事を参考に、追突事故の被害に遭った際の診断書を正しく入手できるようになりましょう。
追突事故でも病院で診断書を入手できるって本当?
追突事故でも、事故によってけがを負い、医療機関を受診すれば診断書は入手できます。
一般的に、追突事故のあとに診断書を受け取ることができないのは、以下のようなケースです。
【追突事故で診断書を入手できないケース】
- けががないと思って医療機関に行かなかった場合
- 医療機関に行ったがけがが見つからなかった場合
- 整骨院や接骨院にしか通っていなかった場合 など
たまに「追突事故の場合は、対面事故などに比べるとけがになりにくい」と思われている方もいます。
しかし、むちうちなどになるケースは多いため、追突事故に遭ったら医療機関を受診することをおすすめします。
追突事故でけがを負った際に入手できる3種類の診断書
追突事故でけがや後遺症を負った場合には、以下のような診断書が必要になります。
- 警察用診断書
- 自賠責診断書
- 後遺障害診断書
ここでは、追突事故でけがを負った際に受け取る必要がある診断書の種類について説明します。
1.警察用診断書|人身事故として扱ってもらうために必要になる
事故直後には、医師に「警察用診断書」を作成してもらう必要があります。
警察提出用診断書に様式はありませんが、通常は氏名、住所地、生年月日、傷病名などが記載されます。
警察に対してこの診断書を提出することで、追突事故を人身事故として扱ってもらえるようになります。
作成日数 | 最短即日 |
作成費用 | 3,000~5,000円程度 |
2.自賠責診断書|保険会社に治療費などを請求するときに必要になる
けがの治療期間中は、医師に「自賠責診断書(自賠責様式の診断書)」を作成してもらいます。
自賠責診断書には正式な様式があるため、相手方の自賠責保険会社に連絡して書類を取り寄せましょう。
なお、作成が必要なのは、被害者が直接自賠責保険会社に対して保険料を請求する場合(被害者請求)です。
加害者側の任意保険会社が自賠責保険についてまとめて請求してくれる場合(一括対応)は不要となります。
作成日数 | 1~2週間程度 |
作成費用 | 3,000~5,000円程度 |
3.後遺障害等診断書|後遺障害等級認定の手続きをする際に必要になる
医師から症状固定の診断を受けたら、後遺障害診断書を作成してもらいます。
後遺障害診断書も正式な様式があるため、保険会社から取り寄せるようにしましょう。
この診断書は後遺障害等級認定で必須であり、慰謝料や逸失利益にも影響するため重要な書類となっています。
作成日数 | 数日~4週間程度 |
作成費用 | 5,000~1万円程度 |
追突事故でけがをしたときに警察に診断書を提出する2つのメリット
交通事故の被害者が警察などに診断書を提出するメリットは、以下のとおりです。
- 人身事故となり慰謝料などを請求できるようになる
- 事故状況をまとめた実況見分調書が作成してもらえる
ここでは、追突事故でけがをしたときに警察に診断書を提出するメリットについて説明します。
1.人身事故となり慰謝料などを請求できるようになる
けがのない物損事故のみの場合は、加害者に対して治療費や慰謝料などを請求することができません。
これに対し、警察に診断書を提出すると、交通事故証明書に「人身事故」と記載されることになるため、けがをしたことの一応の裏付けになります。
そのため、警察に診断書を提出することで、けがの程度・状況にあった十分な補償を受けられやすくなります。
2.事故状況をまとめた実況見分調書が作成してもらえる
人身事故として処理された場合は、警察により実況見分調書が作成されます。
実況見分調書には事故状況が詳細に記載されており、過失割合の根拠として扱うこともできます。
仮に加害者側と過失割合で争うことになったとしても、有利な結果になる可能性が高まるでしょう。
追突事故後に病院を受診し診断書を作成してもらうときの3つのポイント
交通事故の被害に遭い、医師に診断書を作成してもらうときのポイントは以下のとおりです。
- できる限り早く医療機関を受診する
- 自覚症状をしっかりと伝えるようにする
- 必要に応じて弁護士からアドバイスを受ける
ここでは、追突事故後に医療機関を受診し、診断書を作成してもらうときのポイントについて説明します。
1.できる限り早く医療機関を受診する
追突事故の被害に遭ったら、できる限り早く医療機関を受診することが重要です。
警察への診断書の提出期限はありませんが、ある程度の期間が経っていると受理されなくなる恐れがあります。
また、保険会社に保険金を請求する際も、受診が遅れると事故とけがの因果関係を否定されるリスクがあります。
事故直後は痛みなどがなかったとしても、追突事故の被害に遭った場合には一度医療機関を受診しておきましょう。
2.自覚症状をしっかりと伝えるようにする
追突事故で多いけがのひとつが、むちうち(頸椎捻挫・腰椎捻挫など)です。
むちうちは検査で異常が見つからないことが多いため、医師に自覚症状をしっかりと伝えることが重要です。
主な症状は首の痛み・コリ・違和感などであり、その他にしびれ、頭痛、吐き気などが生じることもります。
これらの症状をしっかりと伝えるようにし、追突事故によってけがが生じたことがわかるようにしてもらいましょう。
3.必要に応じて弁護士からアドバイスを受ける
追突事故の被害に遭った場合は、以下の理由から弁護士に相談することをおすすめします。
- 診断書の提出や今後の流れに関するアドバイスをしてくれるから
- 人身事故への切り替えができなかった場合の対処法を知れるから
- 後遺障害診断書の記載内容が適切かどうか確認してもらえるから など
交通事故のトラブル解決が得意な弁護士であれば、事故後の診断書に関するアドバイスもしてくれるでしょう。
ポータルサイトの「ベンナビ交通事故」で交通事故が得意な弁護士を探して、一度相談することをおすすめします。
さいごに|追突事故でけがを負ったら早めに警察に診断書を提出しよう
追突事故の場合、事故直後はけがに気付かないことが多いです。
しかし、むちうちなどのけがをしていることが多いため、一度医療機関を受診しておくことをおすすめします。
また、痛みや腫れ、違和感などがありむちうちと診断されれば医師に診断書を作成してもらうことが可能です。
診断書を入手したら、警察に提出し物損事故から人身事故へと切り替えてもらいましょう。

