むちうち
むちうち事故で弁護士に依頼するなら必見!弁護士特約のメリットと利用手順
2023.09.08
「追突事故に遭ってから頭痛がするようになった」「整骨院に通っているけど、痛みが全然治まらない…」など、むちうちの痛みに悩む交通事故被害者は少なくありません。
一口にむちうちといっても、医学的にはさまざまな種類に分類され、症状ごとに効果的な治療法は異なります。1日でも早く治すために、この記事でむちうちの種類や治療法などについて押さえておきましょう。
また、人身事故の被害に遭った際は、治療費や慰謝料などの損害賠償請求が可能です。ただし、むちうちのように症状の有無がわかりにくい怪我の場合、治療の受け方によっては賠償金が低額になってしまう恐れがあります。損害賠償請求で損をしないための対処法も、あわせて押さえておきましょう。
本記事では、むちうちの痛みの原因や症状、治療の方法や治療時の注意点、交通事故加害者に請求できる賠償金などについて解説します。交通事故でむちうちを負った方は参考にしてください。
むち打ち症は、後方や側面から強い衝撃を受けた際に発症しやすいケガと言われています。
痛みの原因については、急性期症状と慢性期症状の2種類に分けられます。
以下でそれぞれ解説します。
急性期とは、事故に遭った直後から1カ月の期間を指します。
この時期に出る急性期症状は、身体組織の損傷によって生じるもので、強い痛みを伴います。
医師の診察を受けて痛みの理由がわかっている状態であれば、急性期症状と言えるでしょう。
基本的に、損傷部位は時間の経過とともに修復されていき、徐々に疼痛も軽減していきます。
医師の指示どおりに治療を続けて安静にしていれば、完治する可能性が高いでしょう。
慢性期とは、事故に遭ってから3カ月以降の期間を指します。
慢性期症状とは、身体組織の損傷部位が修復されてからも生じている痛みのことです。
長期間治療を続けているにもかかわらず、痛みが改善しない状態であれば、慢性期症状と言えるでしょう。
慢性期症状については、神経の損傷や心因的なものが影響していると言われることもありますが、詳しいことは解明されていません。
3カ月以上も痛みが長引いている場合は慢性期症状を疑い、医師の指示を仰いでください。
一般的に使われる「むちうち」はあくまで通称で、正式な傷病名ではありません。
種類・症状別に、以下のようなものがあります。
頚椎捻挫は、首周りの筋肉や靭帯が部分的に断裂していたり、過度に伸びていたりする状態のことです。
衝突事故などで頚部に衝撃を受けた際に発症することが多く、以下のような症状があります。
神経根症状型は、首の骨の並びが歪んで、頚椎から枝分かれしている細い神経部分(神経根)が損傷している状態のことです。
神経根には知覚神経や運動神経などが集まっており、損傷すると身体のさまざまな部位に影響が出ることが多く、また多くの場合は片側のみに症状が出るのも特徴です。
代表的な症状には以下のようなものがあります。
脊髄症状型とは、頸椎を支える管(脊柱管)の中にある脊髄や、そこから伸びる神経が損傷している状態のことです。
脊髄は神経の塊ですので、損傷すると深刻な状態に陥る可能性もあります。
主な症状としては以下のとおりです。
バレリュー症候群は、外傷がきっかけで自律神経が乱れている状態を指します。
はっきりとした原因は解明されていないようですが、症状としては以下が多いようです。
むちうち症の場合、理学療法・電気療法・物理療法・ストレッチ・マッサージなど、さまざまな治療法があります。
軽症であれば自然に回復することもあるようですが、放置すると重症化し、筋肉や関節が炎症を起こして激しい痛みが生じることもあります。
受傷後は、速やかに医療機関を受診しましょう。
病院であれば、レントゲンやMRIなどで患部の状態を確認してもらい、症状の程度に応じて投薬(痛み止めや湿布など)・神経ブロック注射・手術・リハビリなどが受けられます。
なお、交通事故の損害賠償請求においては、病院から発行される診断書が必須です。
医師の診断を受けていなければ、事故で負傷したものとして認めてもらえず、加害者側(保険会社を含む)から十分な賠償金が得られない恐れがあります。
また人身事故として警察に届け出る際にも、診断書の提出は必須です。
事故に遭ったらまず病院を受診するようにしましょう。
そして、交通事故後はなるべく速やかに受診してください。
例えば、事故から初診まで2週間以上空くと、交通事故とむちうちの因果関係を認めてもらえず、賠償金が低額になる可能性も高くなるでしょう。
また、診断書は自動的に発行されるものではないので、受診時には忘れずに医師に依頼するようにしましょう。
整骨院や接骨院では、手技治療・電気治療・温熱治療・運動療法などの治療が受けられます。
整骨院や接骨院での施術も一定の効果があるとされていて、直接身体に触れることで、MRIなどではわからなかった筋肉や靭帯の損傷が見つかったりすることもあるようです。
整骨院や接骨院の施術費用についても、賠償金として相手方に請求できる場合があります。
ただし、そのためには、施術を受ける前に、病院の担当医に相談しておく必要があるでしょう。
担当医に無断で施術を進めてしまうと、加害者側に「治療に必要な行為ではない」と主張され、施術費用の支払いを拒否される可能性があります。
なお、整骨院・接骨院はあくまで施術をおこなうところであり、負傷について診断するところではありません。
そのため、病院への定期通院が一切ない場合、施術が必要なものであったかどうかの判断ができず、結果、施術費用の支払いを拒否される可能性があります。
整骨院や接骨院で施術を受ける場合も、病院には、担当医と相談しながら定期的に通う必要があるでしょう。
鍼灸院では、鍼灸治療(針状のものを身体に刺してツボを刺激したり、きゅうを据えたりする治療法)が受けられます。
鍼灸治療を受けることで血液の流れが改善し、むちうちの症状が緩和することもあるようです。
なお、整骨院や接骨院と同様、鍼灸院の施術費用を請求するためには、施術を受ける前に病院の担当医と相談しておく必要があるでしょう。
ここでは、むちうちが完治するまでの期間や、症状が長引いている場合の対応などについて解説します。
むちうちの症状は、一般的に3カ月ほど通院すれば完治すると考えられています。
以下のとおり、むちうちを負った方の約9割は3カ月以内に完治しています。
治療期間 | 累計治癒率 |
1日のみ | 40.7% |
1週間以内 | 60.4% |
1か月以内 | 79.1% |
3か月以内 | 89.6% |
6か月以内 | 93.9% |
1年以内 | 97.4% |
【参考】交通事故による いわゆる“むち打ち損傷”の治療期間は長いのか|JA共済総合研究所
なかには、半年以上治療を続けても症状が軽快せず、後遺障害として残ってしまうケースもあります。
痛みが長期間続いている場合は、後遺障害申請を検討した方がいいでしょう。
後遺障害とは、病院での治療を続けた結果、医師から「これ以上治療しても状態が改善しない(症状固定)」との診断を受けて、症状が残っている状態のことです。
後遺障害には14段階の等級があり、後遺障害申請をおこなって等級認定を受けることで、後遺障害慰謝料や後遺障害逸失利益といった賠償金を請求できるようになります。
事前認定の場合、後遺障害診断書だけ準備すれば、あとは相手方の保険会社が全て対応してくれます。
ただし、相手保険会社は等級獲得のために積極的に資料を集めてくれるわけではないため、想定していたよりも低い等級が認定されたり、非該当の判断が下されたりすることもあるでしょう。
一方、被害者請求の場合、被害者が全ての必要書類を準備することになります。
そのぶん、自身が有利と考える資料を準備してから申請できるため、事前認定よりも納得のいく等級認定を受けられる可能性が高まるでしょう。
損害賠償請求で損をしないためには、治療の受け方にも注意が必要です。
以下のポイントを押さえておきましょう。
むちうちの場合、病院で検査を受けても発症しているのかどうか不明確(他覚的所見に乏しい)ということもあるでしょう。
このようなケースでは、定期的な治療を継続しているかどうかが、賠償額に大きな影響を及ぼします。
もし通院頻度が極端に少ない場合には(月1回など)、相手方から「治療の必要性は高くない」と主張され、こちらが希望する金額を支払ってくれない可能性は高くなるでしょう。
もちろん、賠償金をもらいたいからといって、過剰に通院することはおすすめしません。
どれほどの頻度で通院すればいいか、担当医とよく相談して決めましょう。
むちうちは他者からみて症状がわかりにくい怪我であるため、症状の一貫性や継続性なども重要な判断材料になります。
例えば、「首が痛い」「今度は右肩が痛い」などと、診察のたびに症状の部位がコロコロ変わる場合、相手方から「交通事故が原因の症状なのかどうか明確でない」と主張され、十分な賠償金が得られないこともあるでしょう。
身体の異常や違和感などの自覚症状が続いているのであれば、その点を端的かつ具体的に主治医に伝えて治療してもらう、ということが大切でしょう。
病院では、下記のような神経症状に関する検査(神経学的検査)を受けることも可能です。
これらの検査を受けることで、むちうちの症状が継続していることを推認する根拠材料となる可能性がありますので、受けてみるのもいいでしょう。
検査 | 内容 |
ジャクソンテスト | 頭を後ろに曲げ圧迫して、痛みの有無について確認する検査 |
スパーリングテスト | 頭を痛みのある方向に曲げて、その際の反応について確認する検査 |
ショルダーデプレッションテスト | 肩を押し上げて頭を逆側に倒して、痛みの有無について確認する検査 |
もっとも、これらはあくまで主観的な検査に過ぎません。
痛みの存在が判明したからといって、客観的に症状が認められるというものでもない、ということは覚えておきましょう。
むちうちの治療終了時期は、個別の症状次第で、特に決まったものはありません。
ただし、3カ月程度の治療で概ね軽快するケースが多いことから、3カ月を超えたタイミングで相手保険会社が「そろそろ治療を終了してはどうか」と、治療費の立替払いを打ち切ろうとすることもあります。
もちろん、相手保険会社が治療費の立替払いを打ち切っても、被害者が自己負担で治療を続けることは可能です。
自分で支払った治療費等も、通院の必要性が客観的に認められれば、のちに加害者側に請求できます。
もし治療費の打ち切りを告げられた場合は、担当医に「今後も治療を続ける必要があるのかどうか」を相談してください。
医師が「まだ治療が必要」と判断するのであれば、まずは相手保険会社へ打ち切らないよう説得しつつ、難しいようであれば一旦自己負担で治療費を支払い、治療を続けるべきでしょう。
一方、「これ以上治療を続けても症状が改善するかどうかわからない」という場合は、その時点で治療を終了し、後遺障害等級の認定に向けて準備を進めることを検討しましょう。
むちうちを負った場合、主に以下のような賠償金を請求できます。
治療関係費とは、交通事故で負った怪我の治療にかかった費用のことです。
一例として、以下のものが該当します。
接骨院・整骨院・鍼灸院などの費用については、施術前に病院の担当医から同意・許可を得ていないと、相手方が支払いを拒否する恐れがあります。
接骨院や整骨院などでの治療を検討している方も、まずは病院で診察を受けてください。
入通院慰謝料とは、交通事故で負った怪我を治療するための入院や通院で生じた精神的苦痛に対する慰謝料のことです。
入院期間・通院期間に応じて金額が算出されます。
詳しくは「■交通事故でむちうちを負った場合に弁護士に依頼するメリット」で後述しますが、慰謝料には3種類の計算基準があり、以下のようにそれぞれ金額が異なります。
通院期間 | 自賠責基準(※1) | 任意保険基準(推定) | 弁護士基準(※2) |
1カ月間 | 8万6,000円 (8万4,000円) | 12万6,000円 | 28万円 (19万円) |
2カ月間 | 17万2,000円 (16万8,000円) | 25万2,000円 | 52万円 (36万円) |
3カ月間 | 25万8,000円 (25万2,000円) | 37万8,000円 | 73万円 (53万円) |
4カ月間 | 34万4,000円 (33万6,000円) | 47万8,000円 | 90 万円 (67万円) |
5カ月間 | 43万円 (42万円) | 56万8,000円 | 105万円 (79万円) |
6カ月間 | 51万6,000円 (50万4,000円) | 64万2,000円 | 116万円 (89万円) |
※1:1カ月につき通院期間10日と仮定して計算しています。()内は、2020年3月31日までに発生した事故の慰謝料です。
※2:()内は、むちうちのように他覚症状がない負傷の慰謝料です。
後遺障害慰謝料とは、交通事故で負った怪我が等級認定された際に請求できる慰謝料のことです。
等級ごとに金額が決められており、むちうちの場合は第12級・第14級が認定されることが多いでしょう。
入通院慰謝料と同様、後遺障害慰謝料も計算基準ごとに金額が異なります。
等級 | 自賠責基準 (2020年3月31日までに発生した事故) | 任意保険基準(推定) | 弁護士基準 |
第12級 | 94万円(93万円) | 100万円 | 290万円 |
第14級 | 32万円 | 40万円 | 110万円 |
休業損害とは、交通事故が原因で休業せざるを得なくなった際に請求できる損害のことです。
1日あたりの基礎収入額と休業日数に応じて、以下の式で算出されます。
休業損害=1日あたりの基礎収入×休業日数 |
なお、被害者が就いている職業によって賃金基礎額の計算は異なります。
賃金基礎額の計算例 | |
サラリーマン(給与取得者) | 事故前3カ月の給与合計÷90日 |
専業主婦(夫) | 251万円*÷365日 |
自営業者 | (事故前年の所得額+固定費)÷365日 |
※専業主婦は賃金センサスの平均賃金を基に計算します(上記は令和元年の女性平均賃金)。
例えば、月給30万円のサラリーマンが10日間休業した場合、計算式は以下のとおりです。
(30万円×3)÷90日×10日=10万円 |
したがって、上記のケースの休業損害は10万円になります。
交通事故で負った怪我が原因で後遺障害が残り、仕事が全くできなくなったり、一部の仕事しかできなくなったりすることがあります。
後遺障害逸失利益とは、事故前の状態で本来得るはずだった収入を損害として請求するものです。
被害者の収入や年齢などに応じて、以下の式で算出されます。
逸失利益=基礎収入額×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数 |
後遺障害逸失利益については計算が複雑なため、詳しくは以下の記事をご覧ください。
【関連記事】逸失利益とは?職業別・収入別の計算方法や計算例を解説
交通事故被害者のために、弁護士は問題解決のアドバイスやサポートをおこなっています。
ここでは、弁護士に依頼することでどのようなメリットがあるのか解説します。
後遺障害申請の際、少しでも等級獲得の可能性を高めるためには、自身で必要資料を準備できる被害者請求を選択するのが効果的です。
しかし、交通事故被害者のなかには、そもそもどのような資料が必要なのかわからないという方も多いでしょう。
弁護士であれば、資料収集や提出といった被害者請求の手続きを一任できます。
症状に見合った等級を認定してもらうためにはどのような資料が必要か判断してくれますので、自力で対応するよりも満足のいく結果が得られるでしょう。
交通事故で生じた各損害の賠償請求については、請求し得る金額の計算方法はある程度決まっています。
交通事故処理の経験がない場合、計算ミスや請求漏れが生じたりして、本来受け取れたはずの金額よりも低額になってしまうこともあり得ます。
弁護士であれば、代わりに各損害額を算出してくれますので、計算ミスや請求漏れなども起こらず安心でしょう。
さらに、弁護士に慰謝料請求を依頼した場合には、過去の裁判例に基づいた弁護士基準での慰謝料獲得が望めます。
慰謝料には、自賠責基準・任意保険基準・弁護士基準という3種類の計算基準があり、自賠責基準<任意保険基準<弁護士基準の順に高額になる傾向があります。
通常、相手保険会社の担当者は、任意保険基準に基づいた金額を提示してくるため、増額の余地があることがほとんどです。
例えば、後遺障害等級第12級の認定を受けて後遺障害慰謝料を請求する場合、任意保険基準と弁護士基準では3倍近くの差額が生じることもあります。
弁護士に請求対応を依頼することで、賠償金の増額が望めるでしょう。
交通事故に遭ったために仕事を休み、通院治療も続けているという場合、少なからず日常生活でストレスを感じているでしょう。
そのような状況のなか、相手方との示談交渉などに時間と労力を取られてしまうのは、できるだけ避けたいという方も多いはずです。
弁護士であれば、事故後の必要な手続きを一任できますので、交通事故処理の負担からは概ね解放されます。
自身の治療や生活の再建に専念できるということも、大きなメリットといえるでしょう。
交通事故でむちうちを負った場合、まずは病院で医師の診断を受けて、今後の治療方針について話し合いましょう。
3カ月ほど治療を続けて、それ以上症状が改善しないようであれば、後遺障害申請の手続きを検討することになるでしょう。
ただし、むちうちのように症状がわかりにくい怪我の場合、等級認定や相手方への賠償金請求などが思うように進まないこともあるかもしれません。
医師の指示のもと、病院には定期的に通って、自覚症状が続いている場合は正しく伝えるなど、適切な対応を取りましょう。
自力で事故対応できるか不安な方は、弁護士に依頼するのがおすすめです。
相手方とのやり取りや書類対応などを一任でき、症状に見合った等級の獲得や獲得できる賠償金の増額などが望めます。
初回相談無料の事務所も多くありますので、まずは一度お気軽にご相談ください。