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自賠責保険の上限額は120万?費用の内訳と金額に納得いかない場合の対処法を解説
2024.10.16
交通事故紛争処理センターは、交通事故の相手方と賠償額について争いが生じたときに利用できる裁判外紛争解決機関(ADR機関)です。
加害者側の保険会社の主張内容に納得できないなど、示談交渉がうまく進んでいない場合に交通事故紛争処理センターに相談すれば、弁護士などの専門家のサポートを受けながら、示談条件について話し合いを進めることができます。
本記事では、以下5点についてわかりやすく解説します。
公益財団法人 交通事故紛争処理センターとは、交通事故の示談交渉が紛糾している場合に、被害者と加害者側の間に中立的な立場で立ち、解決をサポートしてくれる機関です。
交通事故紛争処理センターでは、担当弁護士による和解のあっせんや専用の審査手続きを無料で提供しています。
交通事故が発生した場合、修理費や治療費などの損害額や過失割合などについて、加害者側と見解が衝突するケースが少なくありません。
本来であれば、民事訴訟によって損害額や賠償責任の範囲について裁判所の判断を仰ぐことになりますが、訴訟手続きなどに慣れていない被害者にとって、精神的・肉体的にも経済的にも大きな負担になるのは否めません。
交通事故紛争処理センターでは被害者を救済する目的で、裁判より簡単で負担のかからない手続きにより、交通事故をめぐる賠償問題などの早期解決を目指しています。
交通事故に巻き込まれたときに、交通事故紛争処理センターを利用するメリットは以下4点です。
交通事故紛争処理センターを利用すれば、中立的な立場の相談担当弁護士によるサポートを受けることができます。
たとえば、交通事故に巻き込まれたとき、相手方の保険会社から納得できない見積もりを提示されるケースは少なくありません。
被害者が相手の保険会社に納得できない旨を伝えても、保険会社は簡単に譲歩しないでしょう。
交通事故紛争処理センターに相談すれば、専門知識が豊富な担当弁護士が、交通事故の状況や提示された賠償額が妥当かを客観的に判断しアドバイスしてくれます。
なお、交通事故紛争処理センターはあくまで中立的な立場で紛争解決のサポートを提供する機関なので、相談者の利益を最大化するためのアドバイスまで期待できません。
できるだけ有利な主張を展開したいなら、自分自身で弁護士を選任して示談交渉を進めるほうが適切です。
交通事故紛争処理センターに相談すれば、交通事故の賠償責任をめぐるトラブルを「あっせん」によって解決できます。
この場合のあっせんとは、交通事故紛争処理センターが中立的な立場で和解案を作成・提案することで解決を目指す裁判外の手続きです。
民事訴訟を提起すると1年~2年の期間をかけ複数回の口頭弁論手続きをおこなわなければいけませんが、交通事故紛争処理センターの和解あっせんであれば、数ヵ月程度で問題を解決できる可能性が高いです。
実際、2022年に交通事故紛争処理センターに寄せられた相談では、あっせんによる終了件数4,682件のうち、4,087件で和解が成立しています。
【参考元】「2022年度 取扱事案分類」交通事故紛争処理センター
交通事故紛争処理センターの和解あっせん手続きを利用すれば、少ない来訪回数での示談成立を期待できます。
一般的なあっせん手続きでは、交通事故の資料などを提出したうえで、双方当事者の意見を聴取し和解条件を探るため、相手方の主張内容を確認して反論をしたい場合、期日に来訪して再度主張を展開しなければいけません。
ただ、交通事故紛争処理センターの和解あっせんでは、担当弁護士が双方の意見を都度整理して妥協点を上手く探ってくれるので、いたずらに来訪回数が増えることは避けられます。
実際、2022年度に交通事故紛争処理センターが取り扱った事件のデータをみると、以下のとおり約4割が2回以内の来訪で、8割以上が4回以内の来訪で和解成立に至っています。
【和解成立に至るまでの来訪回数(和解成立件数:4,558 件)】
来訪回数 | 件数 | 割合 |
1回 | 406件 | 8.9% |
2回 | 1,432件 | 31.4% |
3回 | 1,178件 | 25.8% |
4回 | 662件 | 14.5% |
5回 | 330件 | 7.2% |
6回 | 260件 | 5.7% |
7回 | 143件 | 3.1% |
8回以上 | 147件 | 3.2% |
引用元:2022年度 取扱事案分類 | 交通事故紛争処理センター
交通事故紛争処理センターの法律相談や和解あっせん手続きは全て無料で利用できます。
ただし、医療関係書類の取付け費用・交通費・資料作成費・通信費・当事者が自主的に選任した弁護士への依頼料などは当事者負担になるので注意してください。
交通事故紛争処理センターが提供するサービスは以下3つに大別されます。
交通事故紛争処理センターでは、和解あっせんを前提とした法律相談を無料で受けることができます。
たとえば、相談担当弁護士との面談では、提出した資料と当事者の意見を前提として、生じる可能性がある法律問題や争点が整理されたり、想定される落としどころなどについてアドバイスを求めたりできます。
法律相談の結果、当事者が和解あっせんを希望したり、担当弁護士が和解あっせんの必要性があると判断したりしたときは、和解あっせんの段階に進みます。
一方、法律相談を受けた結果、相手方の主張を全面的に受け入れて良いと判断できたときや、そもそも和解になじまない交通事故事案では、別の司法手続きを提案されたり弁護士会などより適切な相談機関を紹介されたりします。
交通事故紛争処理センターの法律相談を受けたあとは、和解あっせん手続きで問題解決をはかることになります。
和解あっせんでは、被害者と加害者側の保険会社などが出席したうえで、相談担当弁護士が中立的な立場で双方の意見を聴取し、争点や賠償額などをまとめて和解案を提示します。
双方が和解案に合意をしたときには、相談担当弁護士立会のもとで示談書、もしくは免責証書を作成し手続きが終了となります。
和解あっせん手続きで合意に至らなかった場合、和解が成立しなかったことを通知されてから14日以内に当事者が申し立てをすることで、審査会による審査手続きを利用できます。
審査会は当事者間で交渉をし合うものではありません。
被害者・加害者の意見や証拠を確認したうえで、審査会が紛争の結論(裁定)を下します。
保険会社は審査会の裁定を尊重するルールなので、被害者(申立人)が裁定の内容に同意すれば和解が成立します。
一方、被害者が裁定の内容に同意しない場合、交通事故紛争処理センターの手続きは終了し、別途民事訴訟などで解決の糸口を探ることになります。
交通事故紛争処理センターを利用する流れは以下のとおりです。
交通事故紛争処理センターの利用を希望するときには、電話による事前予約が必須です。
申立人の住所地、もしくは事故地の最寄りのセンターまでお問い合わせください。
センター | 連絡先 |
札幌支部 | 011-281-3241 |
仙台支部 | 022-263-7231 |
東京本部 | 03-3346-1756 |
さいたま相談室 | 048-650-5271 |
名古屋支部 | 052-581-9491 |
静岡相談室 | 054-255-5528 |
金沢相談室 | 076-234-6650 |
大阪相談室 | 06-6227-0277 |
広島支部 | 082-249-5421 |
高松支部 | 087-822-5005 |
福岡支部 | 092-721-0881 |
※月曜日~金曜日(祝祭日と12月29日~1月3日を除く)の午前9時~午後5時(正午~午後1時を除く)
電話予約をした日時に交通事故紛争処理センターを訪れ、担当弁護士に交通事故の詳細と自分の考えを説明します。
担当弁護士との相談は、基本的に和解あっせんを目的におこなわれるものですが、明らかに申立人の主張が通らないようなケースでは、法律問題などについて解説を受けるのみで終了し、和解あっせんに至らずに終わることもあります。
交通事故紛争処理センターで弁護士に相談するときは、1回の相談で必要な情報を伝えられるように、適切な資料・書類を忘れず持参するようにしましょう。
相談時に持参するべき主な資料・書類として、以下が挙げられます。
物損事故・人身事故(けが、死亡、後遺障害)によって必要となる資料・書類は異なるので、事前に交通事故紛争処理センターまで確認ください。
【相談時に持参する必要がある資料・書類】
法律相談のあと、和解あっせん手続きに移行します。
通常は、第2回期日以降から相手方が参加して当事者双方の意見が聴取されますが、物損事故について代理人弁護士が和解あっせんを申し立てているのであれば、紛争の早期解決が望ましいことから第1回期日から相手方の出席が求められることが多いです。
この場合には、申立人が相手方に交通事故紛争処理センターでの和解あっせん期日を伝え、出席を依頼する必要があります。
和解あっせんで示談成立に至らないときには、調停不調の通知から14日以内に申し立てがあった場合に限り、審査会における審査を求めることができます。
審査会の裁定に申立人が同意した場合は、相手方の保険会社は審査会の裁定を尊重することになっているので示談が成立して手続きが終了します。
反対に審査会の裁定に不同意の回答をしたとき(回答期限までに返答をしなかったとき)には、交通事故紛争処理センター以外の場面で話し合いを継続するか、民事訴訟を提起して解決を目指すことになります。
交通事故紛争処理センターを利用した人の実際の声を紹介します。
昨年の交通事故。
紛争処理センターに相談したら賠償額が15万円くらいアップした。
無料だったし、担当してくれた弁護士さんはこちらの味方をしてくれた。
保険会社の言いなりになったら損するよ。— KSK (@KSK_FX_) July 1, 2023
状況次第では、保険会社が提示した賠償額が覆ることも少なくありません。
そもそも、保険会社は交通事故当事者ではない第三者ですが、「加害者側の代理人」という立場から、少しでも賠償額を引き下げようとしてくるものです。
賠償額や修理箇所などについて少しでも納得できない点があるなら、交通事故紛争処理センターの利用を検討ください。
#損保ジャパン 損保ジャパンとの話し合いがつかないので交通事故紛争処理センターへ持ち込みました。100%こちらの言い分が通りました。https://t.co/d1gdK4p6Ay
— 田舎道_Tyrell (@inakamichi2010) July 27, 2023
保険会社側は交通事故の発生状況を詳細にチェックして賠償額を提示するわけではなく、当事者から事故状況についてある程度の聞き取りをしたうえで、テンプレどおりに賠償額を決定するのが一般的です。
事故当時の個別具体的な状況や、過失の有無・割合などが見落とされているケースも少なくないのです。
交通事故紛争処理センターに相談をすれば、法律のプロである弁護士の判断で、事故当時の過失状況などが詳細に確認されることになります。
場合によっては、被害者側の主張が全面的に通ることもあり得るわけです。
交通事故紛争処理センターを利用する際には、以下3点について注意が必要です。
交通事故紛争処理センターは、「自動車事故の示談交渉が難航したケースを早期解決に導くこと」を目標にする組織です。
交通事故発生直後などで示談交渉が開始されていない段階では、交通事故紛争処理センターに連絡をしても対応してもらえません。
交通事故紛争処理センターでは、取り扱ってくれない交通事故の種類も少なくありません。
交通事故紛争処理センターが対応してくれるのは、基本的に自動車事故の被害者と加害者側の保険会社・共済組合間の示談をめぐる紛争の解決です。
以下に挙げるようなケースは、取り扱ってくれません。
交通事故紛争処理センターを利用すれば交通事故に詳しい弁護士の法的知見を活用した紛争解決を期待できますが、担当弁護士はあくまでも中立・公平な立場で和解案を作成する点に注意しなければいけません。
交通事故紛争処理センターの法律相談や和解あっせんでは、被害者側の利益を最大化するために担当弁護士が力を発揮してくれるわけではないということです。
場合によっては被害者側の主張が認められず、相手方保険会社の主張が全面的に採用されることもあり得ます。
より自分の希望に近い示談金を得たい場合は、ご自身で弁護士を選任して、最初から民事訴訟を提起するほうがよいケースも少なくありません。
交通事故に巻き込まれたとき、交通事故紛争処理センターだけではなく以下の相談窓口も利用できます。
日弁連交通事故相談センターは、日本弁護士連合会が運営する公益財団法人で、交通事故をめぐる法律問題全てを相談できます。
同一交通事故について原則5回まで無料相談を受け付けてくれるうえに、示談あっせんや審査事業もおこなっています。
示談交渉が開始してから相談が可能な交通事故紛争処理センターと違い、事故発生直後からどのような内容でもアドバイスを求めることができる点が大きなメリットといえるでしょう。
自賠責保険・共済紛争処理機構は、自賠責保険・自賠責共済の保険金・共済金・損害賠償額・後遺障害の等級認定制度についての紛争を対象とする組織です。
同じく交通事故を対象とする組織ですが、交通事故紛争処理センターと自賠責保険・共済紛争処理機構では扱う範囲がまったく異なる点に注意してください。
交通事故は人生で何回も巻き込まれるものではありません。
慣れない保険会社との対応に不安を感じたり、多少の不満は我慢したほうがよいのではないかと思いこんだりする方も少なくないでしょう。
加害者側の保険会社はあくまでも「加害者の代理人」として賠償額を提示しているに過ぎず、保険会社の主張内容を受け入れるだけだと、「受け取ることができたはずのお金を受け取れない」ということになりかねません。
交通事故紛争処理センターに連絡をすれば無料で担当弁護士のアドバイスを受けられますし、示談条件について疑問や不満がある場合は、和解あっせんや審査の手続きを利用することも可能です。
被害者側の意見が全面的に採用される確証はありませんが、法律相談を受けるだけでも、悩みや不安が軽減される可能性があります。
無料で気軽に利用することもできるので、興味があれば交通事故紛争処理センターに相談を申し込んではいかがでしょうか。