その他
自賠責保険の上限額は120万?費用の内訳と金額に納得いかない場合の対処法を解説
2024.10.16
医療安全支援センターは、医療の安全性・信頼性を確保・普及するために設置された組織です。
医療行為を受けたときに患者側が疑問や不満を抱いている方や、介護問題の相談先がなく孤立している方の相談窓口としても機能しています。
本記事では、以下4点についてわかりやすく解説します。
医療安全支援センターは、医療法第6条の13に基づき、都道府県・保健所を設置する市及び特別区によって全国380ヵ所以上に展開されています。
まずは、医療安全支援センターの役割や業務内容について解説します。
国・都道府県・保健所を設置する市及び特別区は、医療の安全についての情報の提供、研修の実施、意識の啓発その他の医療の安全の確保に対して必要な措置を講じるように努める義務が課されています(医療法第6条の9)。
そして、「医療の安全性確保に必要な措置を講じる」ために全国各所に設置されているのが医療安全支援センターです。
以下の運営指針のもと、患者や地域住民から寄せられる相談や苦情に対応したり、医療に関する啓発活動をおこなったりすることで、安心・安全な医療の確保・普及に努めています。
お住まい地域の医療安全支援センターについては「こちら」から検索ください。
医療安全支援センターは、以下の疑問・不安をはじめとして、医療についてのさまざまな相談に対応しています。
医療安全支援センターの主な業務内容は、医療法第6条の13において規定されています。
ここからは、実際に医療安全支援センターに寄せられる相談の事例や、医療安全支援センターの回答例を紹介します。
体調不良に見舞われたとき、どこの医療機関を受診するべきかわからない方は少なくないでしょう。
医療安全支援センターでは、医療機関の紹介についての相談にも対応しています。
医療安全支援センターでは、相談者の症状から想定される診療科目の医療施設を紹介してくれます。
ただし、医療安全支援センターの電話相談では医療行為をおこなうわけではありません。
症状によっては医療安全支援センターで案内された診療科目の医療機関では対応できない場合があるので、かかりつけ医や受診を予定される医療機関まで事前に確認ください。
医療安全支援センターでは医療機関の評価はおこないません。
そのため「いい病院や悪い病院を教えてほしい」という相談には対応不可能です。
ただし、相談者の居住地の近くの標榜科目や診療時間に応じた医療機関は案内してくれます。
いつどのタイミングでけがや病気にかかるかわかりません。
医療安全支援センターでは緊急時の対応などについても相談にのってくれます。
医療安全支援センターでは、相談者のお住まい地域の小児医療救急体制を用意している医療機関や、小児救急電話相談窓口を案内してくれます。
また、各自治体では今すぐ受診可能な病院を紹介してもらえるナビダイヤルなどを設けているので、その連絡先も提供してくれるでしょう。
医療安全支援センターでは、子どもの誤飲による事故が起きたときの相談窓口の連絡先を案内してくれます。
たとえば、たばこや家庭用品などの化学物質、衣料品、動植物の毒を誤飲などしたときの急性中毒については、日本中毒情報センターが紹介されるでしょう。
【日本中毒情報センターの連絡先】
医療安全支援センターでは、医療機関で処方された薬についての悩みや疑問にも答えてくれます。
医療安全支援センターでは、処方された薬の服用で日常生活に支障が生じたときには、すみやかに薬を処方した医療機関の医師、かかりつけ薬局の薬剤師に相談することをすすめています。
また、各自治体に設置されている「お薬相談情報室」「休日・夜間お薬電話相談」などの窓口や、PMDA(医薬品医療機器総合機構)の医薬品・医療機器相談室も案内してもらえます。
医療安全支援センターでは、薬の副作用が生じたときには、医療機関や薬剤師への相談をすすめています。
また、薬の副作用によって重篤な健康被害や感染被害などが生じたときの救済制度として、PMDA(医療品医療機器総合機構)の健康被害救済制度相談窓口も案内してもらえます。
医療機関を受診していると、医師やスタッフの対応に疑問や不満を抱くこともあるでしょう。
医療安全支援センターでは、医薬品や治療内容だけではなく、医療サービス全体の相談にも分け隔てなく対応してくれます。
そもそも、医師・歯科医師・薬剤師・看護師などの医療の担い手は、医療を提供するにあたって、適切な説明をおこなって患者の理解を得るように努力をしなければいけません(医療法第1条の4第2項)。
しかし、医療機関によっては医師側からの説明が足りなかったり、また、専門用語が多くて患者側が説明内容を充分理解できなかったりするというケースも少なくありません。
そこで、医療安全支援センターでは、医師側としっかりコミュニケーションを図って納得のいく医療サービスを受けることができるように、以下「医師にかかる10ヵ条」に沿ってアドバイスを提供してくれます。
ほかにも、患者本人だけでは医療行為の内容について充分理解できないときには、家族の同席などの具体的な対策も紹介してくれるでしょう。
医師や看護師の言動で不快な思いをしたときにも、医療安全支援センターで苦情を受け付けてくれます。
まず、患者側が不快感を抱いたときの状況について丁寧に聞き取り調査をしたうえで、当該医療機関の患者相談窓口などへの相談を案内します。
さらに、相談者からの希望があったときには、「患者と医療者の良好なコミュニケーションの推進」のために、医療安全支援センターから当該医療機関に対して、苦情があった旨や改善要請などを提供します。
ただし、医療安全支援センターは患者側の味方ではなく、あくまでも「中立・公平」の立場の組織である点には注意が必要です。
特に、対応接遇についての苦情は感情的な問題が影響したり、相談者側の知識不足による誤解や相談者側にも非があるケースも少なくありません。
このようなケースでは、医療安全支援センター側の判断で、相談者に対して医療機関側の意図を説明したり、情報提供をおこなったりすることもあるでしょう。
医療安全支援センターに寄せられる相談事例は多岐にわたります。
ここからは、病院の案内、処方された薬や医療行為の内容、接客対応へのクレーム以外の代表的な相談事例を紹介します。
院内処方と比べると、院外処方は薬剤師による服薬指導が充実しているという特徴があります。
そのため、調剤基本料、薬剤服用歴管理指導料などが加算されるため、医療費が上がってしまいます。
とはいえ、治療費や薬代は患者側にとって大切な問題のひとつでもあるでしょう。
そのため、医療費について疑問がある場合には、病院の患者相談窓口や薬局に事前確認をすることをおすすめします。
さらに、保険適用の支払い金額については各自治体の厚生局でも相談対応しているので、医療安全支援センターに相談先を紹介してもらいましょう。
医師は診察治療の求めがあった場合に、正当な理由なく診療拒否をしてはいけません(医師法第19条第1項)。
裏を返せば、正当な理由があるときには医師は診療行為を拒否できるということです。
たとえば、医師が当該症例の専門外のケースや、高度な治療が必要と判断したケースでは、診療拒否をして別の医療機関を勧めることがあります。
また、患者側からの暴言・暴力・セクハラなどによってほかの患者に迷惑がかかると判断されたケースや、過剰な要求によって適切な医療行為を継続できないと判断されたケースでは、当該医療施設における診療を拒絶しても正当な理由があると評価されかねません。
診療拒否をされたときには、その理由について丁寧に医師側と話し合いをする必要があります。
あくまでも診療は医師と患者の信頼関係を前提に成り立つものなので、医療安全支援センターのアドバイスを参考に、医療機関側との丁寧なコミュニケーションを図りましょう。
「完治をするまで同じ病院で過ごしたい」と希望する患者は少なくありません。
その一方で、入院途中で転院を勧められたり、通院受診への切り替えを打診されたりする事例が多いのが実情です。
そのため、「もう少し病院で過ごしたいのに入院をさせてもらえない」という不満が生じます。
そもそも、退院・転院は、医師の専門的知見を前提に判断されるものです。
また、外来と入院の機能分担、病床(高度急性期、急性期、回復期、慢性期)の機能分化など、病院ごとに担うべき医療サービスに差異があるのが実情です。
したがって、納得できない場合には、医療機関側と丁寧に話し合いをするべきでしょう。
医療安全支援センターでは、医療行為だけではなく介護などの福祉サービスについての相談にも対応しています。
特に、認知症の家族を抱えている場合には、在宅介護から施設への入所などの幅広い選択肢から今後の方針を決定する必要があります。
医療安全支援センターでは、地域の行政組織や公益社団法人認知症の人と家族の会などの相談窓口を紹介してくれるので、どうぞお気軽に問い合わせください。
医療ミスが疑われる事例では、医療機関側からの丁寧な説明を求めるのが最優先です。説明内容に疑問が残る場合には、カルテ開示を求めましょう。
ただし、最終的に医療ミスがあったか否かの判断をするのは裁判所です。
患者側と病院側で医療行為の妥当性について争いが残る場合には法律問題に発展するため、弁護士への相談が欠かせません。
なお、医療過誤事件について相談できる弁護士が見つからないときには、法テラス(日本司法支援センター)への相談を足掛かりにするのも選択肢のひとつです。
収入要件などを満たす場合には法律相談や着手金などが無料になったり立替てもらえたりするので、経済的に余裕がない方でも利用できます。
医療過誤事件の被害にあったときや、医療ミスの疑いがあるときには、弁護士へ相談することを強くおすすめします。
弁護士に相談する主なメリットは、以下の2つです。
医療過誤事件は専門性の高い案件なので、対応できる法律事務所には限りがあります。
法律事務所のホームページなどを参照し、弁護士の実績や取扱案件に医療過誤事件が含まれているかを確認のうえ、お問い合わせください。
医療行為は相手方の施設内でおこなわれるものであり、また、医療ミスがあったか否かを判断するには医療と法律の専門知識が不可欠です。
そのため、法律や医学の素人には医療ミスの有無を判断するのは簡単ではありません。
弁護士に依頼をすれば、弁護士会照会・文書提出命令の申し立て・証拠保全の申し立てなどを駆使してカルテの内容やカメラの映像などを確認できる可能性があります。
これらの証拠保全と原因調査によって医療ミスを立証できた場合には、医療過誤事件として損害賠償請求をおこなえるでしょう。
弁護士に依頼をすれば、病院側との示談交渉や民事訴訟の対応を全て任せることができます。
示談交渉では、病院側に医療過誤があったことを認めさせて患者側が納得できるだけの慰謝料額を示談条件に盛り込む必要があります。
病院側も簡単には医療ミスを認めないでしょうから、厳しい折衝が予測されます。
また、示談が成立しなければ、民事訴訟を提起して損害賠償請求をしなければいけません。
医療過誤事件は民事訴訟手続きが長期化することが多く、場合によっては判決が確定するまで数年の月日を要するケースも少なくないので、患者本人が訴訟を追行するのは不可能に近いでしょう。
弁護士に相談をすれば、示談交渉による早期解決や、示談不成立の場合の訴訟追行などを全て一任可能です。
患者側は訴訟追行の負担なく体調回復に集中できます。
医療安全支援センターに連絡をすれば、医療行為や通院・介護についてのさまざまな疑問や不安を解決できます。
ただし、医療安全支援センターは患者の不安や心配事に寄り添いながらも、あくまで中立・公平の立場からアドバイスを提供する機関です。
現実的に問題を解決するには、医療安全支援センターに紹介された相談窓口や弁護士などを頼ることになることも少なくありません。
とはいえ、医療安全支援センターへの相談によって、解決に向けた第一歩をスタートできるのは間違いありません。
医療行為や病院対応などで少しでも疑問や不満を抱いたときには、どうぞお気軽に医療安全支援センターまで問い合わせのうえ、具体的な解決策についてアドバイスをもらいましょう。