交通事故後の対応
自損事故で保険金はいくらもらえる?保険の種類ごとに詳しく解説
2024.10.16
交通事故の当事者になってしまったときは、誰もが大きなショックを受けるものです。
けがをしたり、大切な自動車が壊れてしまったりすれば、目の前が真っ暗になってしまい、適切な行動を起こせなくても無理もありません。
そのうえ、明らかに事故を引き起こす行動をした相手が「自分は悪くない」「こんな過失割合は認めない」などと主張してきたら、どんなに温厚な人でも頭にくるものです。
本記事では、相手が過失を認めない場合の対処方法について解説します。
やみくもに異議を唱える前に、まずは本記事を参考にしてみてください。
過失割合とは、交通事故が発生したときに「どちらにどの程度の過失(交通事故が発生した要因)があるのか」を示すものです。
例えば、「信号待ちで停車中に後ろから追突された」というような場合は避けようがないため、追突された側の過失は0で、追突した側の過失が100となることが一般的です。
しかし、どちらか一方だけに過失がある交通事故というのはまれで、双方に何らかの過失があるとされるケースがほとんどです。
「お互いに同じだけ過失がある」とみなされた場合は、過失割合は「自分50:相手50」となります。
過失割合は、当事者または代理人同士が話し合い、過去の裁判例を参考にして決定されます。
例えば、交差点の青信号で自分が直進したところ、相手が右折してきて衝突した場合は「自分(直進車)20:相手(右折車)80」という過失割合が基本です。
ただし、交通事故が過去の裁判例とまったく同じ状況で起こることは基本的にないため、事故ごとに独自の要素(修正要素)が考慮され、最終的な結論が出されます。
過失割合を決める際は、実際のところ双方が加入している保険会社の担当者同士が連絡を取って決めることが多いでしょう。
任意保険会社に事故後の対応を任せる過程で「今回の過失割合はこうなります」といった連絡が入る、という流れが一般的です。
なお、過失割合は交通事故の責任をどのくらい負うべきかを示すものではあるものの、あくまでも損害賠償という「民事上の責任」にかかわることであるため、過失割合の決定に警察は介入しません。
過失割合が決まったら、その割合に応じて慰謝料を含む損害賠償金が支払われます。
例えば、自分が交通事故の被害者になって500万円の損害を被った場合、過失割合が「自分0:相手100」であれば相手方に500万円を請求できます。
しかし、過失割合が「自分50:相手50」の場合は500万円の50%、つまり250万円しか請求できません。
交通事故の当事者が過失割合について争う大きな理由のひとつは、上記のとおり過失割合の内容が損害賠償額に大きく影響するからです。
【関連記事】交通事故における「過失割合」を算定する基準|代表的なケースの過失割合
過失割合は一般的に保険会社同士の話し合いで決めるものであり、必ずしも事故に遭った当事者同士がすんなりと納得するとは限りません。
相手が過失割合に不満を持ち、「自分の過失はもっと軽い」などと主張してくる場合があります。
ここでは、そのような場合の対処法を解説します。
まずは、相手保険会社に事故状況を明確に示す証拠を提出するという対応が考えられます。
交通事故の証拠になるものとしては、次のようなものがあります。
特に、ドライブレコーダーは、過失割合を定める重要な証拠となることが多いです。
クルマには必ずドライブレコーダーを搭載することをおすすめします。
注意点としては、ドライブレコーダーの記録は上書きされて消えてしまうケースがあります。
事故が発生したら、必ず動画データは大切に保管し、可能な限り速やかに自分や相手の保険会社へ提出しましょう。
このような証拠を提出するのは、事故の状況をできる限り正確に把握してもらうためです。
相手が過失割合を認めない場合、「確かこうだったはず」という単純な思い違いのほか、悪質なケースではわざと事実と異なる嘘の主張をしていることもあります。
それを覆すためにも、証拠を用いて事故がどのような状況で起きたのかをはっきりさせましょう。
相手方との交渉手段としては対面や電話などがありますが、書面でおこなう方法もあり、その際は内容証明郵便を利用するのが効果的です。
内容証明郵便とは「誰が誰に対して、どのような内容の郵便物をいつ差し出したのか」などを郵便局が証明してくれるサービスです。
内容証明郵便を利用すれば配達記録が残り、裁判の際は証拠としても役立ちます。
普通郵便よりも厳格な形式のものであるため、相手方に心理的なプレッシャーを与えることができる可能性もあります。
交通事故の過失割合については話し合いで決定するのが通常ですが、当事者同士では解決が難しい場合は調停にて解決を図りましょう。
調停とは、裁判所で調停委員による仲介のもと、双方で話し合いをして合意を目指す手続きのことです。
ただし、調停をおこなっても相手が出席してくれなかったり、平行線のまま進展がなかったりして調停不成立となることもあり、そのような場合は裁判に移行して解決を図りましょう。
裁判では、双方が証拠をもとに主張を尽くしたのち、裁判所によって最終的な判断が下されます。
なお、裁判手続を適切に進めるには法律知識などが必要となるため、弁護士に依頼することをおすすめします。
交通事故の証拠を提出し、相手の保険会社と交渉や話し合いを重ねるのは大変なことです。
「事故で負ったけがの治療中なのに交渉するのは大変」と気が滅入ってしまっても無理はありません。
思うように交渉が進展しないときや、過失割合で揉めてどうすればよいか悩んでいるときは、法律の専門家である弁護士に相談してください。
弁護士であれば過失割合や交渉対応のアドバイスをくれるだけでなく、依頼者の代理人として交渉や訴訟などを一任することもでき、事故手続にかかる手間や負担を大きく軽減できます。
また、自分が過失割合に納得できない場合も弁護士に相談するのがおすすめです。
なかには「保険会社の担当者がいるから弁護士は不要」と考える方もいるでしょう。
しかし、保険会社のスタッフも契約者利益のために重要な役割を果たしますが、代理交渉や訴訟代理の専門家ではないため、ここぞというときに、専門家である弁護士の役割はとても大きくなります。
ご自身の保険会社の担当者と弁護士が協力的に進めることでよりよい解決に至るケースも多く存在します。
弁護士に相談すれば「相手の主張が正当かどうかを法的視点から判断してもらえる」というメリットがあります。
交通事故トラブルが得意な弁護士であれば、事故の状況から適切な過失割合は何対何か算定してくれます。
実際のところ、必ずしも事故相手の保険会社が提示してくる過失割合が適切なものとは限りません。
それは、相手方の保険会社はあくまで相手方の利益や主張を代弁しているケースもあり立場が異なるからです。
過失割合は過去の裁判例に基づいて決められるものですが、個別の修正要素が見過ごされているケースもあります。
過失割合は、最終的な損害賠償の獲得金額を決める重要なものです。
相手方との話し合いがまとまらないときは、弁護士に適切な過失割合を算定してもらったりすることで、適正な額の慰謝料などを受け取れる可能性が高まります。
弁護士に相談・依頼するときに、多くの方が気になるのが弁護士費用でしょう。
弁護士費用特約を保険につけていれば、これらの多くを保険会社に支払ってもらえます。
必ず付帯することをおすすめします。
弁護士費用の内訳としては以下のとおりです。
相談料は、正式な依頼前の法律相談時にかかる費用です。
相場は30分あたり5,000円程度ですが、初回無料相談に対応している法律事務所もあります。
着手金は弁護士に正式な依頼をしたときにかかる費用で、思うような結果を得られなかったとしても返金はされません。
報酬金は、弁護士に依頼して経済的利益を得たときにそこから支払います。
例えば、弁護士に依頼して損害賠償金を100万円増額できた場合に「報酬金は増額分の20%」という定め方であれば20万円を支払います。
日当は弁護士が事務所から離れて活動するときに発生するもので、実費は依頼に対応する際にかかった郵便代金や交通費などです。
【関連記事】交通事故の被害者必見!弁護士費用の相場と節約方法
交通事故のトラブルを解決するために弁護士を選ぶ際は、交通事故の案件を数多く取り扱っている弁護士を探しましょう。
弁護士の対応分野は幅広く、あらゆる分野に精通しているような弁護士はいません。
インターネットで検索すればたくさんの法律事務所が出てきますが、まずは「交通事故にどのくらい力を入れているのか」「どの程度の実績があるのか」をチェックすることが大切です。
当社が運営する「ベンナビ交通事故」では、交通事故問題が得意な全国の弁護士を掲載しているのでおすすめです。
信頼できそうな弁護士が見つかったら、実際に顔を合わせて相談してみましょう。
相談する際は事前に質問事項や知りたいことをまとめておき、「弁護士に依頼することで自分にどのくらいの利益が見込めるのか」などを確認することで今後の方針が立てやすくなります。
ほかにも「自分の知りたいことに的確に答えてくれるかどうか」「弁護士費用は妥当か」といった点も加味しつつ、正式に依頼するかどうかを判断しましょう。
交通事故の被害に遭ってしまったとき、ほとんどの方は「なるべく多くの慰謝料をもらいたい」などと考えるでしょう。
慰謝料とは、損害賠償金のうち「精神的苦痛に対して支払われるお金」のことです。
慰謝料のほか、治療費・通院交通費・車の修理費・休業損害などといった項目をまとめて損害賠償金と呼びます。
慰謝料を含む損害賠償の金額は過失割合によって変動しますが、過失割合だけで決まるわけではありません。
過失割合以外の要素についても確認しておきましょう。
交通事故の賠償金のうち、慰謝料などについては「どの計算基準が適用されるのか」によって金額が変わります。
算定基準は、金額の低いほうから順に「自賠責基準」「任意保険基準」「弁護士基準」の3種類があります。
自賠責基準 | 最低限の補償を目的とした基準であり、最も低額になる |
任意保険基準 | 保険会社が独自に定める基準であり、自賠責基準と同額かやや高い程度 |
弁護士基準 | 過去の判例に基づく基準であり、最も高額になる |
相手方の任意保険会社が利用するのは、会社が独自に設定した「任意保険基準」です。
これは「自賠責基準よりも高く、弁護士基準よりも低い」とされる計算基準です。
一方、弁護士に事故対応を依頼すれば、一番高額になりやすい「弁護士基準」に基づいて金額が算出されます。
つまり、損害賠償請求を弁護士に依頼することで、相手の保険会社が提示してくる金額よりも高額な示談金を受け取れる可能性があるというわけです。
後遺障害とは、「交通事故でけがを負って継続的に治療を受けたものの、けがが完治せずに後遺症が残った」という場合に等級認定されたもののことを指します。
後遺障害等級が認定されることで、後遺障害慰謝料や後遺障害逸失利益などの賠償金も請求できるようになります。
後遺障害等級は14段階に分けられていて、もっとも重いのが第1級で慰謝料なども高額になります。
後遺障害の等級認定を受けるためには、必要な書類や資料を揃えて申請する必要があります。
提出された書類などをもとに審査がおこなわれたのち、等級が決まります。
しかし、「けがの症状が残っているのに認定してもらえない」「認定された等級に納得がいかない」というケースも少なくありません。
このような場合も、交通事故・後遺障害等級認定に詳しい弁護士に依頼すれば、適正な等級認定を受けるためのサポートをしてもらえます。
逸失利益とは「交通事故がなければ本来得られるはずだった利益」のことです。
交通事故で後遺障害が残ると、仕事を失うこともあれば、転職を余儀なくされて年収が減ってしまうこともあります。
そのような収入の減少に対応する補償が逸失利益で、後遺障害の等級認定を受けることで請求できます。
逸失利益をいくら受け取れるのかはケースによって異なり、主にベースとなるのは事故に遭う前の被害者の収入です。
なお、逸失利益にも慰謝料と同様に「自賠責基準」「任意保険基準」「弁護士基準」という3つの計算基準があります。
弁護士に交渉を依頼すれば弁護士基準が適用され、逸失利益を増額できる可能性があります。
交通事故の相手が過失を認めないときや、相手方から提示された過失割合に納得できないときは、交通事故トラブルが得意な弁護士に一度相談してみてください。
弁護士に相談すれば適正な過失割合を算定してくれるうえ、依頼者の代理人として示談交渉などの事故後手続きを一任することもできます。
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