動いている車同士の事故でも過失割合100:0はありえる!基礎知識から対処法まで解説

動いている車同士の事故でも過失割合100:0はありえる!基礎知識から対処法まで解説

「動いている車同士の事故に過失割合100:0はあり得ない」と相手に主張されて困っていませんか?

動いている車同士が接触して事故が発生した場合、一般的には両者に対して過失が認められるケースが多いです。

しかし、「両方とも動いていた」という理由だけで過失割合が100:0にならないわけではありません。

動いている自動車同士の交通事故であったとしても、事故の原因によっては過失割合が100:0になることもあるのです。

この記事では、事故相手との間で過失割合などの諸条件について争いが生じたときの対処法、交通事故発生時に弁護士に相談・依頼するメリット、過失割合を認定するときの流れなどについてわかりやすく解説します。

相手が「動いている車同士の事故に過失割合100:0はあり得ない」と主張して対応に困っている場合は、ぜひ参考にしてください。

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動いている車同士の事故で「100:0」はありえない?過失割合の基本

「動いている車同士の事故で過失割合100:0はありえない」と説明されることがありますが、これは間違いです。

まずは、動いている車同士の事故が交通事故実務でどのように扱われるのかについて解説します。

原則として動いている車同時の事故では双方に過失があると考えられている

原則として、自動車同士の交通事故が起きた場合には、類型的に双方に何かしらの過失があることが多いです。

わかりやすく言い換えると、自動車同士の交通事故では、当事者それぞれが加害者であり被害者でもあるシチュエーションがよく見られるということです。

そのため、「動いている車同士の事故で過失割合100:0はありえない」という説明がなされることがあるのです。

例外として一方が道路交通法違反などをしている場合は「100:0」もありえる

交通事故実務では、「交通事故を起こした自動車がどちらも動いていたから過失割合100:0はありえない」という決めつけでものごとが動くことはありません。

あくまでも、交通事故を起こした当時、当事者それぞれがどのような注意義務違反を起こしていたのかを分析した結果、過失割合が決定されるのです。

そのため、動いている車同士の事故であったとしても、一方当事者は注意義務違反が一切存在せず、他方当事者だけが注意義務違反を犯している状況なら、過失割合が100:0になることもあり得ます

動いている車同士の事故で過失割合が「100:0」になる2つのパターン

ここでは、動いている車同士の交通事故で最終的な過失割合が100:0になる2パターンについて解説します。

1.そもそも過失割合が100:0になる場合

まず、交通事故の態様が以下のようなものの場合、そもそもの基本過失割合が100:0になります

【過失割合が100:0になる事故のケース(動いている車同士の事故に限る)】

  • 信号機が設置された交差点において、青信号で交差点に進入したところ、赤信号を無視して交差点に進入した車両が衝突した場合
  • センターラインオーバーで対向車同士が衝突した場合
  • やむを得ない理由で急ブレーキを踏んだ自動車に後続車が追突した場合
  • 混雑した道路を低速走行していた自動車に後続車両が追突した場合

それぞれのケースについて、詳しく見ていきましょう。

加害者が赤信号を無視して交差点で衝突した交通事故(被害者が青信号)

信号機が設置された交差点において、青信号で交差点に進入したところ、赤信号を無視して交差点に進入した車両が衝突した場合、過失割合は100:0になる可能性が高いです。

そもそも、信号機のある交差点で起きた自動車同士の交通事故では、当事者双方の信号機の色によって基本過失割合が決定されます。

そして、赤信号が表示されている場合には交差点への進入を禁止されているので、このケースにおいては加害者側に圧倒的な過失があるといえるでしょう。

一方、被害者側は青信号に伴って進行していたにすぎず、過失はありません

以上の理由から、基本過失割合が100:0となるのです。

センターラインオーバーで対向車同士が衝突した交通事故

道路交通法第17条第4項では、自動車は道路の中央線の左側部分を通行しなければいけないとされています。

そのため、センターラインをオーバーして交通事故が発生した場合には、センターラインを超えた側の車の過失が認められ、基本過失割合が100:0と判断されるのです。

なお、道路交通法第17条第5項では、例外的に、以下の場合には中央線の右側部分を通行できると定めています。

  • 当該道路が一方通行になっているとき
  • 当該道路の左側部分の幅員が当該車両の通行のために十分なものではないとき
  • 道路の損壊、道路工事、その他の障害が原因で、当該車両が当該道路の左側部分を通行できないとき
  • 当該道路の左側部分の幅員が6メートルに満たない道路において、ほかの車両を追い越そうとするとき(当該道路の右側部分を見とおすことができ、かつ、反対の方向からの交通を妨げるおそれがない場合、道路標識などによって追い越しのための右側部分へのはみ出しが禁止されていない場合に限る)
  • 勾配の急な道路の曲がり角付近について、道路標識などによって通行の方法が指定されている場合において、当該車両が当該指定にしたがって通行するとき

このような例外的ケースに該当し、かつ、右側へのはみ出しかたができるだけ少なくなるようにしていた場合には、基本過失割合100:0から一定割合が修正されるケースもあります。

やむを得ない理由で急ブレーキを踏んだ自動車に後続車が追突した交通事故

道路交通法第24条では、車両の運転者は、危険を防止するためにやむを得ない場合を除き、急ブレーキをかけることを禁止しています

これを言い換えれば、危険を防止するためにやむを得ない理由がある場合には、急ブレーキをかけることができるということです。

また、道路交通法第26条では、同一の進路を進行しているほかの車両などの直後を進行するときには、その直前の車両などが急に停止したとしても追突を避けることができるだけの必要な車間距離を維持しなければいけないと定めています。

さらに、道路交通法第70条では、車両などの運転者に対して、ハンドルやブレーキなどの装置を確実に操作し、かつ、道路交通事情に応じて他人に危害を及ぼさないような速度・方法で自動車などを運転する安全運転義務を課しています。

つまり、やむを得ない理由で急ブレーキを踏んだ自動車に後続車両が追突したケースでは、後続車両側に車間距離不保持義務違反・安全運転義務違反があるということです。

前方を走行していた車両には注意義務違反は存在しません。

したがって、このケースにおいても基本過失割合は100:0と扱われます。

混雑した道路を低速走行していた自動車に後続車両が追突した交通事故

混雑した道路を低速走行していた自動車に後続車両が追突した場合、基本過失割合は100:0と扱われます。

後続車両の運転手は安全運転義務違反・車間距離不保持義務違反を犯している一方で、前方を走行していた車両の運転手には何の注意義務違反も存在しないからです。

2.基本過失割合が修正されて100:0になる場合

基本過失割合が100:0ではない交通事故類型でも、修正要素を考慮した結果、最終的な過失割合が100:0になることがあります。

たとえば、信号機のある交差点で、青信号を直進で進入してきた自動車(A)と、青信号を右折しようとした自動車(B)が衝突したケース(右直事故)では、基本過失割合は「A:B=20:80」とされています。

しかし、右折車側に以下のような事情があると、基本過失割合から大幅に修正が加えられ、最終的な過失割合が100:0になる可能性があります。

  • 無免許運転
  • 飲酒運転
  • 右折時にウインカーを出していない
  • 右折時に一切ブレーキを踏まずに危険な速度で走行していた
  • 車線を守らずに大回りや小回りで曲がろうとした など

このように、基本過失割合の過失が大きいほうに不利になる修正要素があれば、基本過失割合が100:0ではない交通事故類型であったとしても、最終的には過失割合100:0での示談成立を目指す余地は残されているといえるでしょう。

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過失割合が100:0の事故なのに相手方と揉めた場合の3つの対処法

交通事故が起きたあとは、事故相手との間で示談交渉をおこない、過失割合や賠償額・賠償範囲などの示談条件について合意形成を目指すのが一般的です。

しかし、相手方との間で示談条件がまとまらないと、いつまでも賠償金を支払ってもらえなかったり、高額の賠償金を請求されたりしかねません。

そこでここからはでは、事故相手との間で過失割合の内容について争いが生じたときの対処法を3つ紹介します。

1.客観的な証拠を用意して交渉する

過失割合について事故相手と揉めたときには、自分が主張する過失割合を根拠づける客観的証拠を用意してください。

事故当時の状況を示す客観的な証拠があれば、有利な過失割合での合意形成を目指しやすくなるでしょう。

過失割合に関する争訟で役立つ客観的証拠として、以下のものが挙げられます。

  • 交通事故当時の状況を撮影したドライブレコーダーの映像
  • 交通事故現場の様子を撮影した防犯カメラ・監視カメラの映像
  • 交通事故の現場を目撃した人の証言やスマートフォンで撮影された映像
  • 警察が作成した実況見分調書 など

2.ADRや民事調停を利用する

過失割合についての話し合いがまとまらない以上、当事者間の示談交渉だけで紛争を解決することではできません。

その際に役立つのが、ADR(裁判外紛争解決手続き)と民事調停です。

以下では、それぞれの手続きの内容について詳しく解説します。

ADR|裁判所とは無関係の専門機関が話し合いを仲介してくれる

ADR(裁判外紛争解決手続き)とは、公正中立な第三者専門機関が交通事故当事者の間に入って話し合いをサポートしてくれる裁判外の紛争解決手続きのことです。

ADRでは、専門の第三者機関が当事者間で揉めごとになっているポイントをピックアップして、当事者それぞれの意見を集約します。

そして、客観的な証拠と照らし合わせながら、当事者双方の妥協を引き出したうえで合意形成を目指します。

交通事故実務に詳しいプロが話し合いを仲介してくれるほか、民事裁判のような厳格な手続きは要求されないので、スムーズに相場どおりの合意形成を目指しやすい点が特徴です。

なお、交通事故トラブルの際に役立つADR機関としては、以下のものが挙げられます。

ADR機関によって予約方法や利用の流れは異なるので、詳細については各公式ホームページを確認してください。

民事調停|裁判所が話し合いを仲介してくれる

民事調停とは、裁判所が紛争当事者の間に入って、円滑な合意形成の実現をサポートしてくれる手続きです。

交通事故実務に詳しい裁判官(調停官)と二人の調停委員で構成される調停委員会が、各当事者から過失割合などの争点に関する意見を聞き取りながら、意見を擦り合わせて最終的な合意形成を目指してくれます。

また、裁判所を利用する制度ですが、民事訴訟よりも低額で利用できる点もメリットです。

民意調停を利用するには、原則として、事故相手の住所がある地区を管轄する簡易裁判所への申し立て手続きが必要です。

管轄裁判所の連絡先については「裁判所の管轄区域|裁判所」で確認してください。

3.民事訴訟を提起して争う

示談交渉が決裂したり、ADRや民事調停を利用しても和解契約締結に至らなかったりする場合には、相手方に対して損害賠償請求訴訟や債務不存在確認訴訟を提起することによって、交通事故の過失割合について最終的な決着を目指す必要があります。

民事調停とは異なり、民事訴訟では口頭弁論期日に各当事者が出席をしたうえで、証拠を提出したり弁論を展開したりしなければいけません。

丁寧かつ厳格に手続きが進められるので、判決が出るまで年単位の期間を要するケースも多いです。

示談交渉が決裂した場合には民事訴訟を提起せざるを得ませんが、交通事故トラブルの早期解決を目指すなら、できるだけ早いタイミングで弁護士に相談・依頼をして、示談交渉段階で合意形成を目指すべきでしょう。

「100:0はありえない」と主張された場合に弁護士に相談するメリット

加害者側の圧倒的な過失が明らかな交通事故であったとしても、「動いている車同士の事故で過失割合100:0はあり得ない」などと主張されるケースは少なくありません。

ここでは、事故相手から理不尽な主張をされたときに交通事故トラブルの対応を得意とする弁護士に相談・依頼するメリットについて解説します。

  • 交通事故の実態に即した過失割合を判断してくれる
  • 収集するべき客観的証拠の種類や集める方法などについてアドバイスをくれる
  • 示談交渉や民事裁判の手続きなどを全て任せることができる
  • 有利な解決結果を引き出しやすくなる

それぞれのメリットについて、以下で詳しく見ていきましょう。

1.過失割合が適切かどうか判断してもらえる

交通事故の過失割合を判断する際には、交通事故当時の状況や客観的証拠を丁寧に分析しなければいけません。

その点、交通事故に詳しい弁護士に相談すれば、相談者の話を聴取したり、実況見分調書などの客観的証拠をチェックしたりするなどして、適切な過失割合を判断してくれます

「弁護士がこの交通事故について100:0の過失割合であると判断してくれた」という材料があれば、示談交渉を進めやすくなるでしょう。

2.証拠や証拠集めに関するアドバイスがもらえる

事故相手と過失割合の条件についての意見が分かれた場合、自己の主張する過失割合での合意形成を目指すために、客観的証拠を収集する必要があります。

しかし、交通事故実務に詳しくない素人だけでは、どのような証拠を収集するべきかや、証拠を集める方法などがわからないことも多く、証拠の収集に躓いてしまうケースも少なくありません。

その点、交通事故トラブルの対応を得意とする弁護士に相談すれば、交通事故の状況を踏まえたうえで、こちら側で用意するべき客観的証拠の種類などについてアドバイスをもらえるので、有利な過失割合条件での合意形成を目指しやすくなるでしょう。

3.依頼することで交渉や裁判手続きを任せられる

交通事故が起きたあとは、けがを治すために通院をしたり、警察の実況見分への対応を強いられたりするなど、事後処理に時間・労力を割かれます

このような状況で、事故相手の保険会社とやり取りをしたり、民事訴訟に対応したりするのは簡単なことではありません。

しかし、弁護士に依頼をすれば、示談交渉や民事訴訟などの手続きを全て代理してくれるので、依頼者本人は自分の生活を立て直すことに専念できるでしょう。

4.交通事故トラブルを有利に解決しやすくなる

交通事故トラブルに巻き込まれた場合には、弁護士に対応を任せたほうが有利な解決を導きやすいです。

その理由として、以下のものが挙げられます。

  • 示談交渉のノウハウを活かして民事訴訟に発展する前の示談交渉段階での和解契約締結を目指してくれる(紛争の早期解決を期待できる)
  • 弁護士基準で慰謝料額が算定されるので、賠償額などの増額を期待できる
  • 後遺障害等級認定申請の手続きを代理してくれるので、後遺症に対して適切な認定結果を得やすくなる
  • 車両の買い替え費用、休業損害、休車損害など、被害者側に生じた損害項目を漏れなくピックアップして加害者側に請求してくれる
  • 治療費の打ち切りなど、加害者側の保険会社からの嫌がらせにも粛々と対応してくれる など

なお、ベンナビ交通事故では、交通事故に詳しい弁護士を多数掲載中です。

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さいごに|過失割合の交渉が得意な弁護士は「ベンナビ交通事故」で探せる

「動いている車同士の事故で過失割合100:0はあり得ない」などと交通事故相手から理不尽な主張をされたとしても諦める必要はありません。

過失割合を根拠付ける客観的な証拠を用意して、こちら側の主張する過失割合での合意形成を目指すために、粛々と示談交渉を進めてください

その際には、交通事故対応を得意とする弁護士の力を借りるのがおすすめです。

示談交渉のノウハウ豊富な弁護士が事故対応のサポートに入ることで、紛争の早期解決や有利な解決結果を実現しやすくなるでしょう。

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監修記事
立花志功法律事務所
立花 志功 (札幌弁護士会)
立花志功法律事務所は、北海道札幌市の法律事務所。トラブルに巻き込まれた方々を全力で助けるため、活動している。
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アシロ編集部
編集部
本記事は法律相談ナビを運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。
※法律相談ナビに掲載される記事は、必ずしも弁護士が執筆したものではありません。本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。
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