- 「交通事故の被害にあったら弁護士に相談したほうがいいって本当?」
- 「加害者との示談交渉を弁護士に任せたいけど、依頼先の見つけ方がわからない」
交通事故に巻き込まれると、損害賠償請求・慰謝料請求や後遺障害等級認定などの手続きをおこなう必要がありますが、加害者側の任意保険会社との示談交渉が難航するケースは少なくありません。
その際、弁護士に依頼をせずに被害者本人だけで示談交渉などに対応したり、交通事故トラブルの経験がない弁護士に依頼をしたりすると、有利な条件で解決できないリスクが高まります。
そこで本記事では、交通事故被害にあったときに弁護士に相談・依頼するメリットや、交通事故トラブルを依頼する弁護士を探す方法、弁護士に依頼するときの注意事項などについてわかりやすく解説します。
交通事故の被害について弁護士への依頼を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
交通事故の被害者が弁護士に相談・依頼したほうがよいケース
交通事故の被害にあったときには、どのような事案でも一度は弁護士に相談・依頼したほうがよいでしょう。
なぜなら、弁護士が介入することで、交通事故案件に詳しくない素人では気付けない論点に気づけたり、適切に対応できたりする可能性が高まるからです。
とくに、交通事故トラブルに以下の特徴があるときには、弁護士への相談・依頼を検討してください。
依頼すべきケース | メリット |
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加害者側の任意保険会社から提示された慰謝料が低額なとき | 慰謝料の増額を期待できる |
仕事、子育て、介護などの日常生活が忙しいとき | 示談交渉などを一任できる |
交通事故が原因で後遺症がのこったとき | 後遺障害等級認定関係の処理を有利に進めやすい |
交通事故後の通院期間中に治療費を一方的に打ち切られたとき | 治療継続や治療費回収の可能性を高めることができる |
交通事故の被害にあってから相当の期間が経過したのに示談がうまく成立しないとき | 消滅時効が原因で損害賠償請求できなくなる事態を避けられるから |
なお、交通事故トラブルについて少しでも有利な解決を希望するなら、事故後できるだけ早いタイミングで弁護士に依頼するのがおすすめです。
事故から時間が経過するほど、示談交渉や証拠収集のハードルが高くなる点に注意をしてください。
自分に合った交通事故が得意な弁護士を探す際の流れ|3ステップ
ここでは、交通事故トラブルについて依頼する弁護士を見つける方法について解説します。
1.悩みや希望などを明確にしておこう
交通事故の被害者ごとに、抱えている問題やトラブル内容は異なります。
また、弁護士についても専門領域や交通事故案件の取り扱い実績の内容に違いがあるのが実情です。
そのため、自分のケースに適した弁護士に依頼をするには、被害者自身がどのような悩み・希望を抱えているのかを明確にすることからスタートしましょう。
交通事故についてよくある悩み・希望として以下のものが挙げられます。自身の考えを整理する際に役立ててください。
交通事故に関するよくある悩み | ・加害者側の任意保険会社が提示する慰謝料額が低い ・いつまで治療費をもらえるか不安、いきなり打ち切りを打診された ・後遺症が原因で日常生活に支障が生じている ・過失割合や交通事故当時の状況について加害者側と意見が衝突している ・仕事が忙しくて加害者側の保険会社への対応が難しい など |
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交通事故に関するよくある希望 | ・もっと高額の慰謝料を受け取りたい ・けがが完治するまで安心して治療を受けられる環境がほしい ・納得できる後遺障害等級認定を受けたい ・交通事故トラブルに関する示談交渉の時間・労力を負担したくない など |
2.ポータルサイトを使って弁護士を探してみよう
被害者自身が抱えている不安・疑問・希望内容が明確になったら、そのニーズを満たしてくれる弁護士を実際に探してみましょう。
交通事故弁護を依頼する専門家を探す際は、ポータルサイトを活用するのがおすすめです。
交通事故トラブルに特化したポータルサイトを利用すれば、弁護士を一覧から探せるので、自分にぴったりの弁護士を簡単に見つけることができます。
交通事故トラブル関係のポータルサイトのなかでもおすすめなのが「ベンナビ交通事故」です。
ベンナビ交通事故では、以下の項目から依頼する弁護士を検索できるので、要望に即した専門家を見つけやすいでしょう。
検索種別 | 検索項目 |
---|---|
お住まいの地域 | 都道府県検索 |
相談したい内容 | ・損害賠償・慰謝料 ・示談交渉 ・過失割合 ・死亡事故 ・後遺障害 ・むちうち ・休業損害 ・自動車事故 ・自転車事故 ・バイク事故 ・人身事故 ・物損事故 |
その他サービス内容 | ・オンライン相談可 ・来所不要 ・電話相談可能 ・初回の面談相談無料 ・休日相談可能 |
弁護士を探す際はインターネット検索を使う方法もありますが、「〇〇(お住まいの地域) 交通事故 弁護士」でインターネット検索をしても、各弁護士事務所のホームページが出てくるだけで、複数の法律事務所を見比べることができません。
ベンナビ交通事故のような総合ポータルサイトをうまく活用すれば、弁護士のプロフィールや経歴、費用などの諸条件をいちどに比較できるので、条件に合う専門家にアクセスしやすいでしょう。
3.無料相談などを使って実際に弁護士に会ってみよう
交通事故トラブルについて弁護士に依頼する前に、依頼を検討している専門家と面談機会を設けるのがおすすめです。
なぜなら、実際に顔を合わせてコミュニケーションをとらなければ、弁護士の性格や熱意、被害者本人との相性を確認できないからです。
ベンナビ交通事故に掲載している法律事務所のなかには、無料相談サービスを提供しているところも少なくありません。
「弁護士に直接会ってみたいけれども、費用面が不安だ」という人は、無料相談のようなサービスも上手に活用してください。
交通事故トラブルの解決を依頼する際の弁護士選びの5つのポイント
ここでは、交通事故の被害者が依頼する弁護士を決めるときに考慮するべきポイントを5つ紹介します。
1.交通事故の解決実績が豊富にあるか
交通事故トラブルの解決を望む場合、依頼する弁護士が交通事故について精通しているかを核にしましょう。
なぜなら、法律分野は幅広く、弁護士によって専門分野が異なるからです。
たとえば、離婚問題に力を入れている弁護士、相続トラブルに強い弁護士、企業法務や刑事事件に特化した弁護士など、さまざまなタイプの弁護士がいて、分野によって必要な知識・経験・ノウハウも異なります。
交通事故の経験が浅い弁護士に相談・依頼をしても、示談交渉が難航したり、満足な慰謝料額を受け取れなかったりしかねません。
依頼する弁護士を決めるときには、ホームページや口コミを参考に、交通事故の解決実績や過去の取り扱い案件の内容を確認することを強くおすすめします。
2.解決方針や解決策に納得がいったか
弁護士に相談すると、実際に委任契約を締結する前の段階で、今後の活動方針・解決策の方向性について説明してくれるのが一般的です。
本当にその弁護士に依頼をするかを決めるときには、必ず「弁護士サイドが提示した解決方針などに依頼者本人が納得できるか」を確かめてください。
なぜなら、弁護士は依頼者の利益を最大化するために尽力するものの、依頼者自身が納得していない弁護活動を進めても、満足のいく解決を得にくいからです。
交通事故トラブルの解決を依頼する弁護士を決めるときには、弁護士から提示される解決方針の内容、解決方針を決めたときの理由・根拠、今後の示談交渉の流れなどを事前に具体的に提示してもらいましょう。
納得できない場合は、別の弁護士の意見を聞くことも検討してください。
3.相談してみて相性がよいと感じたか
交通事故トラブルの解決を依頼する弁護士を選ぶときには、弁護士との相性も重要です。
たとえば、どれだけ交通事故事案の受任実績が豊富な弁護士であったとしても、人間性や性格が依頼者と合わず、コミュニケーションをとるのが難しい状況なら、被害者本人が抱えている不安や疑問などを素直にぶつけることができません。
これでは、被害者の意向に沿った解決は難しいでしょう。
交通事故トラブルについて相談・依頼をするときは、けがの状況のこと、交通事故が仕事や家事に与える悪影響のこと、加害者に対する処罰感情や怒りなど、どのようなことでも気軽に話せる相性のよい専門家を選ぶようにしてください。
4.提示された弁護士費用が明確かどうか
交通事故トラブルの解決を弁護士に依頼するか決める前に、弁護士費用の総額・見積もりを教えてもらいましょう。
法律事務所ごとに相談料・着手金・報酬金・日当などの計算方法・費用体系は異なるため、事前に確認をしておかなければ、委任契約締結後に想像以上の高い弁護士費用を請求されるおそれがあります。
誠実な対応をしてくれる法律事務所の場合、委任契約を締結する前に料金体系や報酬額の算出方法、想定される弁護士費用などについて丁寧に説明してくれるはずです。
提示された金額が明確・明瞭かどうか、相場から解離していないかを確認したうえで、委任契約を締結するかを検討しましょう。
なお、「弁護士費用が高いほうが有利な解決を期待できる」というのは間違いです。
ノウハウや実績が不足している法律事務所でも、高い料金体系を設定しているところは少なくありません。
他の法律事務所の費用感はもちろん、どんな対応をしてくれるのかなど、費用以外の点も比べながら法律事務所選ぶのがおすすめです。
5.医学的な知識があるか、医師との連携があるか
交通事故トラブル特有の弁護士選びポイントとして挙げられるのが、医学的知見・医師との連携の有無です。
たとえば、交通事故で後遺症がのこった事案では、後遺症の状態に応じた後遺障害等級認定を受けたうえで、慰謝料を請求することになります。
その際、少しでも有利な後遺障害等級認定を取得するには、医師と直接コンタクトをとって認定申請に役立つ内容の診断書を用意したり、後遺障害等級認定申請に向けて必要な治療・診察・検査を受けたりする必要があるでしょう。
しかし、医学的知見が不足した弁護士に依頼をしてしまうと、後遺障害等級認定申請に必要な治療を受けることができず、結果として、希望通りの等級での認定を受けられないリスクが生じます。
そのため、交通事故トラブルの解決を依頼する弁護士を決めるときには、交通事故トラブルをめぐる法律的なノウハウだけではなく、交通事故で負うことが多いけが・後遺症に関する医学的知見や医師とのコネクションを持っている弁護士を選ぶのがおすすめです。
交通事故トラブルの解決を弁護士に依頼した際の3つのメリット
ここでは、交通事故トラブルの解決を弁護士に依頼するメリットを3つ解説します。
1.慰謝料や休業損害などの増額が期待できる
交通事故トラブルの解決を弁護士に依頼すれば、慰謝料や休業損害などの増額を期待できます。
なぜなら、慰謝料や休業損害の算定基準には以下3つの方式が用意されており、弁護士が介入することによって被害者にとってもっとも有利な「弁護士基準」での示談契約成立を期待しやすくなるからです。
自賠責基準 | 「最低限の保障」という意味での算定方式。被害者側にとっては不利な基準。 |
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任意保険基準 | 任意保険会社が独自に設定した算定方式。自賠責基準よりは有利だが弁護士基準に比べるとはるかに低額なので、被害者側にとっては不利な基準。 |
弁護士基準 | 過去の裁判例・判例を前提に収集されたデータに基づく算定方式。もっとも高額の慰謝料などを算出できるので被害者側に有利な基準。 |
被害者本人・被害者側の保険会社と加害者本人・加害者側の保険会社との間の示談交渉では、自賠責基準か任意保険基準によって慰謝料などが算出されるのが一般的です。
しかし、自賠責基準や任意保険基準は被害者側にとって不利な算定基準なので、十分な慰謝料を受け取ることができません。
その点、弁護士に示談交渉を依頼すれば、弁護士基準を前提にした慰謝料額を主張してくれるので、十分な額の慰謝料や休業損害などの取得を期待できるでしょう。
2.手続きを任せられるため治療に専念できる
交通事故トラブルの解決を弁護士に依頼すれば、示談交渉における加害者側とのやり取りや民事訴訟の準備活動などの全ての手続きを弁護士に一任できます。
交通事故の被害者は、入院・通院による治療に専念できるので交通事故トラブルの事後処理が負担になることはありません。
また、仕事・学校・育児・介護・家事などの日常生活も支障なく過ごせるでしょう。
3.スムーズに交渉が進むため短期での解決が望める
交通事故トラブルを弁護士に依頼することで、スムーズな解決を望めるのもメリットです。
交通事故後はさまざまな手続きをおこなう必要があり、被害者本人だけではスムーズに進めることができません。
ましてや、交通事故でけがなどを負った状態で、加害者側の保険会社とのやり取り、後遺障害等級認定の申請手続き、民事訴訟手続きなどの事後処理をするのは肉体的・精神的に過度な負担でしかないでしょう。
その点、交通事故の被害にあった時点で弁護士に相談・依頼をすれば、事後処理の初期段階から加害者側の保険会社に対して的確な主張をおこない、スピーディーかつ有利に交通事故トラブルを解決に導いてくれるはずです。
交通事故トラブルの解決を弁護士に依頼するにあたっての注意点
交通事故トラブルを弁護士に依頼すれば数多くのメリットを得られる半面、依頼をするときにはいくつかの注意事項を踏まえる必要があります。
さいごに、交通事故被害にあったときに弁護士に依頼するリスクと注意点を3つ紹介します。
1.費用倒れになるリスクがある
交通事故の内容や弁護士費用次第では、弁護士に依頼することで費用倒れになるリスクがあります。
たとえば、弁護士に依頼をしていない段階で加害者側から総額150万円の示談金を提示されていたケースについて考えてみましょう。
この場合、弁護士に依頼をすることによって慰謝料額を20万円増額することに成功し、総額170万円の示談条件で和解契約が成立しました。
ところが、弁護士費用として合計50万円が必要になると、結果として被害者本人の手元に残るのは120万円だけです。
弁護士に依頼することで慰謝料額の増額に成功したものの、増額分が弁護士費用に満たなかったために、被害者本人が経済的に損をする結果になっています。
以上を踏まえると、弁護士に依頼をする前の段階で、以下の点について判断してもらうことが重要だといえるでしょう。
- 弁護士の介入によってどの程度の増額を期待できるか
- 弁護士費用の目安額
- 費用倒れになる可能性
とはいえ、交通事故トラブルを得意とする弁護士に相談すれば、無料相談の範囲内でもこれらの事項について予測してくれるはずです。
何も知らされずに費用倒れになっていた、ということはほぼほぼないので、安心して相談してください。
2.期待通りの結果にならないことがある
交通事故トラブルを弁護士に依頼したからといって、常に満足のいく結果が得られるとは限りません。
被害者のなかには、弁護士に依頼をした時点で「弁護士に依頼をしたから全て希望通りの結果を得られる」と考えてしまう人もいます。
しかし、交通事故トラブルはあくまでも法律に則って解決に至るものです。
弁護士の介入によって「有利な法律的解決」を得やすくなるのは間違いありませんが、「弁護士が介入すれば法律とは無関係に被害者本人の希望を実現できる」というわけではありません。
次に、交通事故に関する客観的証拠が不足していると、被害者本人の認識通りの事実関係を立証できない可能性があることも覚えておきましょう。
「自分は悪くないのに加害者が勝手にぶつかってきた」と主張したくても、ドライブレコーダーや近隣の防犯カメラ、目撃者の証言がなければ、被害者側の主張を立証できず、こちらが主張する条件での合意形成には至らないでしょう。
このように、弁護士に依頼する際も「交通事故被害者だから」「弁護士に依頼をしたから」という理由だけで全ての希望が満たされるわけではないことを念頭においておきましょう。
3.場合によっては紛争が激化することがある
交通事故が起きたときには、弁護士に依頼をせず双方の任意保険会社同士が交渉をして示談が成立するケースも多いです。
任意保険会社には数多くの交通事故紛争処理実績があるので、定型的な流れに沿ってスムーズな解決を目指すこともできます。
「慰謝料額の増額を狙いたい」「有利な過失割合での合意形成を目指したい」などの理由で弁護士に相談・依頼をするのは被害者側としては当然の動機ですが、被害者側が弁護士を介入させた結果、加害者側も弁護士を立ててくる可能性があります。
そして、弁護士は依頼者の利益を最大化することを使命とするため、被害者側と加害者側双方の弁護士が厳しく意見を出し合い、また、双方が一切譲歩をしないという状況に陥りかねません。
そうなると、示談交渉が長期化するだけではなく、紛争が民事訴訟に発展するパターンもあり得るのです。
そのため、交通事故トラブルの解決を弁護士に依頼するときには、個別具体的な交通事故の状況を踏まえたうえで、弁護士の介入によってどこまで有利な示談条件を目指せるのか、どこまでの示談条件なら妥協できるのか、紛争解決までのスピード感などについても事前に判断してもらうべきでしょう。
さいごに|交通事故の被害に遭ったら一度は弁護士に相談しておこう
交通事故の被害者になったときには、念のために一度は弁護士に相談しておきましょう。
実際に依頼をしなくても、無料相談や事前相談の範囲内で、「弁護士に依頼をすればどのようなメリットがあるのか」「どの程度の弁護士費用が発生するのか」「最終的な示談条件の目安」などについて丁寧に説明してくれます。
もちろん、無料相談をしたからといって必ず依頼しなければいけないわけではないので、説明の内容を踏まえて、実際に弁護士へ依頼をするか検討すればよいのです。
さらに、自動車保険に弁護士費用特約が付いているなら、弁護士への相談・依頼で発生する諸経費の全額または大半を保険から捻出することもできます。

