外国人との交通事故に巻き込まれた!適用される法律や損害賠償のポイントを解説

外国人との交通事故に巻き込まれた!適用される法律や損害賠償のポイントを解説

交通事故に遭った際は、トラブルを避けるために適切な対処が求められますが、加害者が外国人だった場合は、さらに複雑なトラブルになりかねません

外国人との交通事故に遭ってしまったら、どの国の法律が適用されるのでしょうか。

また、適切な損害賠償請求をおこなうにはどうすればよいのでしょうか。

本記事では、外国人との交通事故に巻き込まれた際に知っておくべき法律や、損害賠償を適切に請求するためのポイントや注意点を紹介します。

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外国人との交通事故の発生件数はどれくらい?

まずは、訪日外国人との交通事故がどれくらい発生しているのかを確認してみましょう。

内閣府が公開した情報によると、2018年に外国人が起こした交通事故の件数は5,913件で、同年の訪日外国人数は3,119万人でした。

また、2017年の外国人との交通事故発生件数は6,218件で、訪日外国人数自体は2,869万1,000人です。

2023年の外国人との交通事故の発生件数そのものは公開されていませんが、年間の訪日外国人が約2,500万人だったことから、2018年や2017年の交通事故発生件数と大きく違いないと予想されます。

【外国人による交通事故の発生状況】
時期件数
2016年6,150件
2017年6,218件
2018年5,913件

外国人との交通事故では日本の法律が適用される

外国人との交通事故に遭った場合、法律はどのように適用されるのかと不安な方もいるでしょう。

この場合のルールについて定めているのは、法の適用に関する通則法です。

通則法第17条によれば、不法行為によって生じた債権の成立および効力は、加害行為の結果が発生した場所の法によることが規定されています

つまり、相手が外国人であっても日本で起きた交通事故なら、日本の法律を適用することが可能です。

また、民事訴訟法の第3条でも、日本国内で不法行為があった場合は、日本の裁判所に訴えを起こすことができると規定されています。

そのため、基本的には外国人との交通事故であっても、日本人同士で事故を起こしてしまったときと同じように対処することができるのです。

(不法行為)

第十七条不法行為によって生ずる債権の成立及び効力は、加害行為の結果が発生した地の法による。

ただし、その地における結果の発生が通常予見することのできないものであったときは、加害行為が行われた地の法による。

引用元:法の適用に関する通則法 | e-Gov 法令検索

外国人との交通事故で被害者側が注意すべき2つの課題

日本人同士の事故と同じように外国人が加害者である場合も、相手が任意保険に加入しているかどうかによって対応が異なります

自賠責保険は強制保険として、自動車の運転者は基本的に加入していなければなりません。

そのため、外国人であっても加入しているでしょうしかし、自賠責保険で賄える損害賠償額は最低限のものです。

適切な損害賠償の請求は、相手が任意保険に加入していれば保険会社に対しておこなうことができますが、加入していない場合には加害者本人と直接やり取りしなければなりません。

この際、相手が外国人だと、日本人同士の事故とは異なるトラブルが発生する可能性があります

以下で詳しくみていきましょう。

1.言語面でコミュニケーションが取りにくい

相手が訪日外国人であれば、日本語が通じない可能性が高いでしょう。

外国語でやり取りしなければならず、コミュニケーションや意思疎通が困難なケースが少なくありません。

交渉がうまく進まずに、損害賠償を十分に請求できないということが起こりえます

また、通訳が必要となり、余分な手間や費用がかかる可能性があります。

外国語対応も含めて弁護士に相談するのがよいでしょう。

2.帰国されると損害賠償請求をするのが難しくなる

日本国内で発生した交通事故であり、日本の法律が適用されるとしても、現実的に請求可能な損害賠償金を回収できるかどうかは別問題です。

日本人同士でも、交通事故で裁判にまで発展した場合、解決までに少なくとも6ヵ月から1年かかるのが通常です。

加害者が外国人でも法的に認められ得る損害賠償の金額は変わりませんが、訪日外国人であれば数日や数週間で帰国してしまうことが多いでしょう。

帰国してしまった加害者から損害賠償金を回収するのは容易なことではありません。

相手が事故を真摯に受け止め、すぐにでも損害賠償金を支払うつもりなら問題ありませんが、そうでなければ回収のために必要な労力や費用を考えるとハードルは非常に高いといえます。

また、相手と音信不通になってしまうこともあり、居場所がわからず日本国内に資産がないため、強制執行もできないということになりかねません。

外国で資産を差し押さえて回収することもできますが、海外現地の法律事務所に依頼しなければならず、現実的ではないといえます。

しかし、事件の大きさによってはそこまでしても損害賠償請求をするべきときもあるでしょう。

どこまでやるべきか迷ったら、まずは日本の弁護士に相談してください。

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【ケース別】外国人との交通事故における損害賠償請求のポイント

外国人との交通事故に遭ってしまったら、相手がレンタカーを運転していたのか自家用車を運転していたのかなどによって、損害賠償請求のポイントが異なります

それぞれのパターンで留意しておきたいことを見てみましょう。

1.外国人がレンタカーを運転していた場合

事故の加害者である外国人がレンタカーを運転していた場合、ドライバーだけでなくレンタカー会社にも慰謝料などの損害賠償請求をすることができます

これは、自動車損害賠償保障法第3条の規定に則り、加害者は運行供用者であると考えられるためです。

運行供用者とは、自己のために自動車を運行の用に供する者のことで、運転者が自動車の運行を支配していてかつ運行によって自動車を提供している企業などに利益を生んでいる場合に該当します。

レンタカー会社は運転者によって利益を得ているため、加害者が起こした事故によって被害者の生命や身体に関して損害が生じたのであれば、それを賠償する責任を負っていると考えられるのです。

また、もちろんレンタカーであっても、運転をしていて交通事故を起こした加害者本人が、被害者に対して損害賠償をしなければならないことには変わりありません。

そのため、ドライバーにもレンタカー会社にも損害賠償を請求することができるのです。

2.外国人が自家用車を運転していた場合

相手が外国人であっても、必ずしも訪日外国人で一時的に自動車をレンタルして運転しているとは限りません。

自家用車であった場合は、日本人同士の交通事故と同じように、加害者である外国人に対してのみ損害賠償請求をおこなうことができます

自賠責保険の範囲内であれば、自賠責保険の会社と交渉をおこないます。

さらに、加害者が任意保険に加入している場合は、保険会社に損害賠償請求をおこなうのが通常です。

しかし、任意保険に加入していない場合は直接、加害者と交渉しなければなりません

なお、外国人の加害者が日本の会社に勤めており、仕事中に事故を起こしたような場合は、民法第715条に則して、加害者の勤務先に損害賠償請求ができるケースもあります

外国人との交通事故トラブルを弁護士に相談・依頼する3つのメリット

外国人との交通事故トラブルに遭ってしまったら、弁護士に相談・依頼するのが一番です。

ここでは、弁護士を頼るメリットを3つ紹介します。

1.請求相手を判断してくれる

交通事故は、加害者が複数いるケースも少なくありません。

事故の原因は、必ずしも直接自分に被害を与えた相手とは限りません。

自分に被害を与えた加害者が事故を起こしてしまった原因が、さらに別の自動車の運転手にあることも珍しくありません。

このような事故を多重事故といいます。

この場合、共同不法行為が成立することになり、被害者は加害者全員に損害賠償を請求することが可能です。

最も過失が大きい加害者の任意保険会社が、治療費などの一括対応をすることが多いですが、誰にどこまでの損害賠償や慰謝料請求をするべきかはケースによってさまざまです。

加害者が複数いて請求相手がわからない場合、弁護士に相談することで誰に何をどのくらい請求すべきかを判断してもらうことができます。

外国人との交通事故トラブルでも、言葉が通じないから仕方がないと諦める前に、まずは弁護士に相談しましょう

事故の根本的な原因を引き起こした加害者は、日本人であるケースもあります。

その場合は、たとえ訪日外国人が帰国してしまっても、日本人の加害者に対して賠償請求をすることで、確実に受けるべき補償が受けられる可能性が高まります

2.示談交渉などを一任できる

交通事故の損害賠償請求をするには、損害の算定や過失割合の評価をおこなう必要があります

基本的な過失割合は決まっているものの、細かな割合は判例によって算出していくのが通常です。

そのため、交通事故処理に関する法的な知識や経験が必要になるでしょう。

また、損害賠償金額を算出したあとは、加害者や相手が加入している任意保険会社との交渉をしなければなりません。

たとえ法的に認められる金額だとしても、加害者側がすんなり支払いに応じるかどうかは相手次第で異なります

加害者もその保険会社も、なるべく少ない支払いで済ませたいと考え、被害者の希望金額がスムーズに支払われないケースは珍しくありません。

弁護士に依頼することで、被害者にとってほんとうに必要な損害賠償の最大限の金額を支払ってもらえる可能性が高くなります。

弁護士は交渉のプロです。判例や経験をもとに、被害者にとって決して不利にならない条件の補償を実現してくれるでしょう

また、加害者が支払いをしないときには、弁護士に訴訟や差し押さえなどの法的手続きを任せることもできます。

このような対応は、被害者自身がおこなうのは困難でしょう。

弁護士に依頼すれば、示談交渉でうまくまとまらなかったときでも、適切な対処法を提案してもらうことができ、煩雑な処理も一任できるのです。

3.損害賠償の増額が期待できる

そもそも、加害者側の任意保険会社が提示してくる損害賠償額は、被害者が想定しているものより低めであるケースがほとんどです。

なぜなら、保険会社は営利法人だからです。

営利法人であるからには、支払いを抑えて利益を最大化するのが通常です。

保険会社が加害者に代わって支払いをおこなわなければならず、損害賠償額や慰謝料を最低限に抑えることは保険会社のミッションともいえるでしょう。

また、保険会社は日々交通事故の対応などをおこなっているため、交通事故における賠償額の交渉のプロであるともいえます。

そのため、法律知識のない被害者本人が交渉しても、十分な賠償金が得られないケースは少なくありません。

同じく交渉のプロである弁護士が、法的な知識によって交渉をおこなえば、最大限の賠償額が得られる可能性は格段に高くなります

さいごに|交通事故が得意な弁護士はベンナビ交通事故で探せる!

外国人との交通事故は、日本人同士の事故とは異なるトラブルがつきまといます

言語の違いによるコミュニケーションの難しさや相手が帰国してしまうおそれがある場合は、自力での対応するのは非常に困難だといえるでしょう。

そのようなときは、専門知識をもつ弁護士に依頼するのがおすすめです。

請求相手の特定・適切な損害賠償額の交渉・法的手続きを一任することができ、なるべく治療や生活に専念することができるでしょう。

ポータルサイト「ベンナビ交通事故」には、交通事の被害に遭った方をサポートしている法律事務所が多数登録しています。

相談内容や都道府県ごとの検索が可能で、相談料無料に応じている事務所を指定検索することもできるので、あなたにぴったりの弁護士が見つかるでしょう。

弁護士の話を聞いてから依頼するかを決めたいという場合も、一人で悩まず、まずは相談してみましょう。

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監修記事
リベルタ総合法律事務所
山口 謙都 (大阪弁護士会)
当事務所はみなさまの精神的負担を軽減しながら、迅速に問題を解決できるように努めております。事前にご予約いただければ、平日夜間・土日のご相談にも柔軟に対応させていただきます。
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アシロ編集部
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本記事は法律相談ナビを運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。
※法律相談ナビに掲載される記事は、必ずしも弁護士が執筆したものではありません。本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。
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