交通事故後の対応
自損事故で保険金はいくらもらえる?保険の種類ごとに詳しく解説
2024.10.16
「事故で頭を打ってから特に病院にも行ってないけど大丈夫かな?」
「事故で頭を打ってしまったらどうすべき?」
事故に遭い、頭を打ってしまうと動揺して適切な対応方法がわからずに悩んでしまったり、特に症状がないからといって病院に行かずに放置してしまう方もいるでしょう。
しかし、頭は体の中で最も重要な部位のひとつです。
事故で頭を打ったら、まずは適切な医療処置を受けるとともに、加害者に対して適切な法的措置をとる必要があります。
頭は目立った外傷がない限り、事故直後は「大丈夫」と思っていても、あとから後遺症や痛みなどが出てくることは珍しくありません。
そのため、適切な対処をすることが最も重要です。
本記事では、交通事故で頭を打ってからすべきことと、加害者に請求できる慰謝料相場などについて詳しく解説します。
事故に遭って頭を打ってしまった人や、その後症状がないが心配な方はぜひ参考にしてください。
交通事故で頭を打ったら、まずは「脳神経外科」を受診してください。
脳は、複雑な神経を司る体の中でも最もセンシティブな部位のひとつです。
事故処理や金銭的な解決などよりも先に、まずは体に問題がないかを最優先にしましょう。
なお、交通事故の被害に遭ったときは整形外科を受診すればよいと考える人も多いですが、頭に衝撃を受けた場合には脳神経外科の受診が必須です。
整形外科は主に骨折や捻挫・むちうちなどを治療する科です。
頭を打ったからといって安易に整形外科を受診すると、専門領域外であった場合、示談交渉に悪影響を及ぼす可能性があるので注意しましょう。
頭に衝撃を受けたにも関わらず、整形外科しか受診していなければ、脳や脊椎に損傷を受けても把握できない場合があります。
脳や脊椎に損傷があると命に関わる場合もあるため、少しでも「頭に衝撃を受けたかな」と考えた場合には、必ず脳神経外科を受診するようにしてください。
交通事故で頭を打ってから脳神経外科を受診すべき理由は、主に以下の2つです。
それぞれの理由について、以下で詳しく解説します。
頭の中は目に見えず、非常に複雑で繊細な作りとなっているため、例えば小さな外傷であっても実際には神経を損傷していたり、脳内で出血していたりする可能性があります。
また、頭部に衝撃を受けてすぐには影響がなくても、頭部外傷から1ヵ月~2ヵ月後に症状が現れる「慢性硬膜下血腫」という症状が出る可能性があります。
頭部の損傷や衝撃に関しては、一般人が怪我の有無や程度を把握するのは不可能です。
そのため、事故で頭を打った場合、自覚症状の有無に限らず、できる限り早くのうしんけい外科脳神経外科を受診した方が良いでしょう。
事故で頭を打ってから脳神経外科を受診すべき理由には、慰謝料請求や後遺障害認定で必要なことも挙げられます。
脳に損傷を負った場合には「脳外傷による高次脳機能障害」に該当する可能性があります。
脳外傷による高次脳機能障害とは、脳が損傷されたために、認知障害や人格変化等の症状が発現する障害のことで、以下のような公的な支援を受けられる場合があります。
「脳外傷による高次脳機能障害」の認定を受ける際は、損害保険料率算出機構が以下のような情報を参考に審査をおこないます。
高次脳機能障害は、治癒の過程での性格の変化等の医師の所見も重要になってきます。
したがって、その場合には、直後の診断書が、時間が経過してからの資料よりも有力な証拠となるとは一概にいえないこともあります。
そのため、早期に脳神経外科を受診して、診断書や資料を集める必要があるのです。
また、慰謝料請求においても脳神経外科の診断は必要です。
頭部に損傷を受け、入通院によって治療した場合には、入通院慰謝料を受け取れます。
また、事故によって後遺傷害が残った場合には後遺障害保険金を受け取ることも可能です。
後遺障害慰謝料の保険金相場は、後遺障害等級に応じて以下のように設定されています。(満額受け取れる訳ではありません。)
後遺傷害等級 | 保険金額 |
後遺障害等級1級(要介護) | 4,000万円 |
後遺障害等級2級(要介護) | 3,000万円 |
後遺障害等級1級 | 3,000万円 |
後遺障害等級2級 | 2,590万円 |
後遺障害等級3級 | 2,219万円 |
後遺障害等級4級 | 1,889万円 |
後遺障害等級5級 | 1,574万円 |
後遺障害等級6級 | 1,296万円 |
後遺障害等級7級 | 1,051万円 |
後遺障害等級8級 | 819万円 |
後遺障害等級9級 | 616万円 |
後遺障害等級10級 | 461万円 |
後遺障害等級11級 | 331万円 |
後遺障害等級12級 | 224万円 |
後遺障害等級13級 | 139万円 |
後遺障害等級14級 | 75万円 |
等級が高くなれば受け取れる保険金も多くなります。
また、慰謝料の判断の際にもやはり脳神経外科のCT・MRIなどの資料が必要になります。
慰謝料請求をスムーズにするためにも、事故で頭を打ってから迅速に脳神経外科を受診すべきでしょう。
交通事故で頭を打って脳神経外科へ行ったあとに取るべき対応は以下の3つです。
それぞれの対応について、以下で詳しくみてみましょう。
交通事故で頭を打ったら、必ず警察へ人身事故として届け出を出しましょう。
損害賠償請求には自動車安全運転センターが発行する「事故証明書」が必ず必要になります。
事故証明書は警察へ届出を出して、警察によって事故に遭ったことを証明してもらえないと発行されません。
もしも、事故で頭を打ってからすぐに警察への届出ができない状態でも、事故から1週間以内程度であれば、スムーズに事故処理をおこなってもらえます。
事故があったらできる限り早く、警察への届出をおこなってください。
加害者によっては警察沙汰にしたくないために、「警察は呼ばずに示談で解決しましょう」と言ってくることもあります。
しかし、警察沙汰にしなければ、証拠等の関係で損害賠償請求ができないうえ、慰謝料請求もできなくなってしまう場合もあります。
事故に遭ったら必ず、警察への届け出をおこなうようにしてください。
事故に遭ったら保険会社への連絡も忘れないでください。
保険会社へ連絡することで以下の効果があります。
人身傷害保険が付保されていれば、相手方がすぐに保険料の支払いに応じない場合でも、保険会社から保険金の支払いを受けられます。
また、弁護士特約がついていれば、弁護士費用は保険会社が負担するため、お金の心配をすることなく、早期に自己負担なく弁護士へ相談することが可能です。
なお、事故に遭ったら相手方が加入している任意保険へも連絡をしてもらい、早期の治療費の支払いやその他の損害補償を受けられるようにしましょう。
事故直後であっても、早期に弁護士へ依頼したほうがよいでしょう。
弁護士には得意分野があるため、交通事故トラブルを得意としている弁護士へ依頼するようにしてください。
交通事故トラブルが得意な弁護士へ相談することによって、以下のメリットを得られます。
事故対応には、損害賠償や慰謝料の請求、示談交渉や後遺障害認定などのほか、相手方との交渉が必要になります。
事故直後に加害者側や保険会社とやりとりをするには精神的な負担が大きいですが、弁護士へ依頼することで連絡や交渉を全て任せられます。
加入している任意保険に弁護士特約がついているのであれば弁護士費用もかからないため、弁護士へ早期に依頼したほうがよいでしょう。
事故で頭を打って、高次脳機能障害になったときには慰謝料を受け取れる可能性があります。
高次脳機能障害とは、脳の損傷によって思考・記憶・行為・言語・注意などに傷害が残ることです。
具体的には以下の症状を指します。
高次脳機能障害になった場合、後遺障害等級に応じて慰謝料を受け取れます。慰謝料の相場は以下のとおりです。(満額受け取れる訳ではありません。)
【高次脳機能障害の後遺障害等級と慰謝料相場】
後遺障害等級 | 自賠責基準 | 弁護士基準 |
第1級 | 1,150万円 | 2,800万円 |
第2級 | 998万円 | 2,370万円 |
第3級 | 861万円 | 1,990万円 |
第5級 | 618万円 | 1,400万円 |
第7級 | 419万円 | 1,000万円 |
第9級 | 331万円 | 830万円 |
自賠責基準とは、交通被害者救済のため、自賠責保険から受け取れる最低限の慰謝料です。
また、弁護士基準とは過去の判例などをもとに算定した慰謝料の相場で、裁判所に請求する際に基準となる金額になります。
自賠責基準では、自賠責保険から支給される最低限の慰謝料のみの相場となっているため、弁護士基準で算定される慰謝料こそが本来受け取るべき慰謝料だといえます。
事故によって高次脳機能障害になった場合には、弁護士基準で本来受け取るべき慰謝料を受け取るため、早めに弁護士へ相談してください。
事故で頭を打った際によくある質問は以下の3点です。
以下ではそれぞれの疑問に回答するので、似たような悩みがある方はぜひ参考にしてください。
交通事故後の検査費用は、原則として加害者が負担します。
事故の治療であることを脳神経外科へ伝えれば、脳神経外科は被害者へ請求をおこなわず、相手方の保険会社へ請求するのが一般的です。
また、被害者が立て替えて治療費を支払い、あとから加害者に対して請求する方法もあります。
治療費を立て替える場合には、領収書などの医療費の金額がわかる書類を必ず手元に残しておきましょう。
被害者が意識不明の場合、家族が加害者本人か加害者が加入している任意保険の保険会社と交渉をおこなうのが一般的です。
家族が交渉することが難しい場合には、弁護士へ依頼します。
交通トラブルに強い弁護士であれば、後遺障害認定、慰謝料請求、示談等のあらゆる手続きを任せられます。
ベンナビ交通事故などのポータルサイトを活用し、交通事故に強い弁護士を探してみてください。
高次脳機能障害にもさまざまな程度があります。
傷害に合わせた適切な訓練(リハビリテーション)を受けることで回復することはありますが、全ての人に明確な効果があるとは限りません。
数年かけて回復する方もいますが、一般的には回復の程度には限界があることから、早期に受診し適切な処置を受けることが重要です。
万が一、交通事故で頭を打ったら、できる限り速やかに脳神経外科を受診しましょう。
頭の中は外からは見えないため、事故当初は何もないと思っていても、大きな傷害が発生することがあるうえ、事故から数日から数週間後に異変を自覚する可能性もあります。
少しでも頭に衝撃を感じた場合には、必ず脳神経外科を受診するようにしてください。
また、脳神経外科の診断書や検査資料は損害賠償や慰謝料請求の際にも必要になります。
事故当初からの資料の提出を求められることもあるため、スムーズな補償を受けるためにも早めに脳神経外科へいきましょう。
医療機関や加害者との交渉や、後遺障害の認定などに不安がある場合には、交通トラブルに強い弁護士へ相談してください。