交通事故後の対応
自損事故で保険金はいくらもらえる?保険の種類ごとに詳しく解説
2024.10.16
もらい事故の被害にあった方のなかには、加害者が損害賠償請求にまともに取り合ってくれず悩んでいる方もいるでしょう。
もらい事故にあったときは、相手に過失がある分、できるだけ多く損害賠償請求をしたいと感じるのは当然のことです。
では、もらい事故で慰謝料をできる限り多く請求するにはどうしたらよいのでしょうか?
本記事では、もらい事故で得する方法を4つ紹介します。
損害賠償や慰謝料をできるだけ多く請求したい方やもらい事故で損をするのを避けたい方は、ぜひ参考にしてください。
「もらい事故で得する」とは、損害の程度に見合った適正な賠償金を受け取ることを意味します。
保険金を二重で請求したり、故意に通院期間を延ばしたりして賠償金を不正に増やすことではないので、くれぐれも誤解しないようにしましょう。
不正な方法を使わなくても、賠償金を増やすことは可能です。本記事を参考に、賠償金を正しく増やす方法を身につけましょう。
もらい事故で得するには、弁護士基準で損害賠償金額を算定することが大切です。
損害賠償金の算定基準には、自賠責基準・任意保険基準・弁護士基準の3つがあります。
自賠責基準は自賠責保険会社が用いる基準、任意保険基準は任意保険会社が使う基準、弁護士基準は弁護士や裁判所が使用する基準です。
どの基準で算定するかによって、損害賠償額は大きく異なります。
それぞれの基準ごとのケース別の損害賠償額の目安は以下の表のとおりです。
【各基準で請求できる慰謝料額の例】
自賠責基準 | 任意保険基準 | 弁護士基準 | |
入院0ヵ月・通院3ヵ月(実入通院日数30日)の場合 | 25万8,000円 | 37万8,000円 | 73万円 |
入院1ヵ月・通院2ヵ月(実入通院日数40日)の場合 | 34万4,000円 | 50万4,000円 | 98万円 |
入院3ヵ月・通院6ヵ月(実入通院日数150日)の場合 | 116万1,000円 | 119万8,000円 | 211万円 |
上記のとおり、どのケースにおいても弁護士基準が最も高額で、最も低額な自賠責基準と比べると1.8倍〜2.8倍も高いことがわかります。
弁護士に示談交渉を依頼すれば、損害賠償額を弁護士基準で算定してもらえます。損害賠償を最大限に受け取りたいなら、まずは弁護士に相談しましょう。
自分のケースでどのくらいの損害賠償を受け取れるのかは、ベンナビ交通事故の「交通事故慰謝料計算機」で簡単に調べられます。
症状の程度を選択したあと、所在地・年齢・性別・職業・年収・治療の状況・後遺障害等級などを入力すれば、金額の目安が算出されます。
あくまで目安なので計算したとおりになるわけではありませんが、損害賠償の適正額を知るための参考として利用してみてください。
加害者に請求できる損害賠償金には、さまざまな種類があります。
損害賠償金で損をしないためには、それぞれを漏れなく請求することが重要です。
請求できる損害賠償金の種類を詳しく見ていきましょう。
もらい事故でけがをした場合は、以下の費用を請求できます。
請求できるお金の種類 | 概要 | |
治療にかかった費用 | けがの治療費・入通院交通費・付添看護費など | |
慰謝料 | 入通院慰謝料 | けがの治療のための入院・通院により生じた精神的苦痛に対する補償 |
後遺障害慰謝料 | 後遺障害が残ったことで被った精神的苦痛に対する補償 | |
死亡慰謝料 | 死亡したことで発生した精神的苦痛に対する補償 | |
休業損害 | けがの治療のために仕事を休んだことで減った収入 | |
逸失利益 | 後遺障害逸失利益 | 後遺障害が残ったことで受け取れなくなった生涯の収入・利益 |
死亡逸失利益 | 死亡したことで受け取れなくなった生涯の収入・利益 |
なお、治療に関する費用については、実際に通院したり、入院したりといった事実が必要になるケースがほとんどです。
通院を始める前から費用を決めて請求することはできないので、けがをした場合は病院に行って通院した実績を作っておくとよいでしょう。
もらい事故で車が破損した場合に請求できる費用は以下のとおりです。
請求できるお金の種類 | 概要 |
車の修理にかかった費用 | 車・バイク・自転車などが破損した場合の修理代。事故当時の時価を上限に請求できる |
代車料 | 車の修理中に代車を使った場合に請求できる費用 |
レッカー代 | 車を修理工場に運ぶ際にレッカーを使った場合に請求できる費用 |
評価損 | 事故により車両の価値が下がった場合に請求できる費用 |
休車損害 | 営業車の修理により休業した場合に請求できる費用 |
被害者に過失割合がつくと、その分損害賠償額が減ってしまいます。
そのため、過失割合をゼロにした状態で損害賠償を請求することが大切です。
加害者側の保険会社は、被害者に支払う賠償金を抑えるために「被害者にも過失がある」と主張してくることがあります。
また、加害者が自分の過失が増えるのを避けるために、嘘の証言をする可能性もあるでしょう。
しかし、もらい事故では基本的に被害者の過失はないので、保険会社が言うことを鵜呑みにしてはいけません。
一度示談が成立してしまうとあとから取り消すことはできないため、過失割合をゼロにするまでは合意しないようにしましょう。
過失割合を引き下げてもらえそうにない場合は、弁護士に依頼して代わりに交渉してもらうのがおすすめです。
勤務中や通勤中にもらい事故にあった場合、加害者の任意保険・自賠責保険に加え労災保険も使えます。
治療費や介護費用などの重複する項目はどちらかしか請求できませんが、以下の項目は労災保険でしか受け取れないため、忘れずに請求しましょう。
上記の項目は、労働者の福祉のために支給されるものです。
損害の補てんを目的としているわけではないため、任意保険・自賠責保険の補償と重複しないと考えられています。
もらい事故にあってしまった場合に知っておくとよい情報を4つ紹介します。
できるだけ損をしないために、ぜひチェックしてください。
弁護士特約とは、弁護士に損害賠償請求を依頼する場合の弁護士費用を、保険会社が代わりに負担してくれる特約のことです。
弁護士費用は高額になることが多いので、ケースによっては受け取った損害賠償額よりも弁護士費用のほうが高くなり、費用倒れになってしまうことがあります。
しかし、弁護士特約を使えば弁護士費用を自己負担する必要がないため、費用倒れになる心配がありません。
また、弁護士特約を使ったとしても等級は下がらず、翌年度の保険料もそのままです。
弁護士特約を使うことによるデメリットはないため、ぜひ活用してみてください。
日弁連交通事故相談センターでは、自動車による交通事故に関する法律相談を無料で実施しています。
電話もしくは面談形式で相談できるので、自分が相談しやすい方法を選ぶとよいでしょう。
また、弁護士が加害者との間に入って話し合いを進めてくれる示談あっせんサービスも無料で利用できます。
示談の成立率は87.37%、満足度は98%と、多くの利用者が結果に納得しているという実績もあります。
示談あっせんは全国に46ヵ所ある相談所で開催されているので、気になる方は最寄りの相談所に問い合わせてみましょう。
被害者自身の人身傷害保険や車両保険を使える場合もあります。
人身傷害保険は、保険の契約者やその家族、同乗者が死傷したときに補償される保険です。
また、車両保険は自動車が損害を受けたときに補償される保険のことです。
もらい事故では加害者が損害の全額を支払うのが基本ですが、なかには加害者の保険だけでは十分に補償されないこともあります。
自分の保険を使えば、加害者からの補償が不十分なときでも金銭的な負担をカバーできるので、利用を検討してみましょう。
ただし、歩行中のもらい事故は人身傷害保険では補償されません。
また、車両保険を利用すると等級が下がり、翌年度の自動車保険料が高くなってしまう点にも注意してください。
加害者が無保険だった場合や、当て逃げ・ひき逃げにあった場合は、政府補償事業を利用できます。
加害者が自動車保険に加入していない、もしくは加害者がわからない場合、加害者の自動車保険から補償を受けることができません。
しかし、政府補償事業を利用すれば、被害者が受けた損害を国に立て替えてもらえます。
加害者から賠償を受けられない場合でも、金銭的な負担をカバーすることが可能です。
利用したい場合や詳細を知りたい場合は、損害保険会社の窓口に問い合わせてみましょう。
もらい事故にあった場合、被害者の過失はゼロである可能性が高いため、適切な損害賠償額を請求すれば、損をせずに問題を解決できるでしょう。
しかし、個人で全ての手続きをおこなうには、手間も時間もかかります。相手の保険会社が強気の要求をしてきた場合、まるめ込まれてしまうリスクもあるでしょう。
そのため、もらい事故で損をしないためにはまずは弁護士に相談するのがおすすめです。
弁護士に示談交渉を依頼すれば、弁護士基準で損害賠償額を算定してもらえるので、自分で交渉するよりも高額な慰謝料を請求できる可能性が高くなります。
また、弁護士特約を利用すれば、保険会社に弁護士費用を負担してもらえます。
費用倒れの心配がないので、金銭的な負担が気になる方でも安心して弁護士に依頼できるでしょう。
納得できる結果につなげるために、ぜひ一度相談してみてください。