後遺障害認定にデメリットはある?よくある誤解と注意点について詳しく解説

後遺障害認定にデメリットはある?よくある誤解と注意点について詳しく解説

交通事故にあって後遺症が残った場合、後遺障害等級認定を受けることになります。

後遺障害等級の認定を受けると、賠償金が増額するなどのメリットがありますが、反対に、後遺障害等級認定を受けることにデメリットはないのか気になっている方もいるのではないでしょうか?

そこで本記事では、後遺障害等級認定を受けるデメリットについて解説します。

後遺障害等級認定に関するよくある誤解や、後遺障害等級認定を受けるための申請方法・注意点も紹介するので、ぜひ参考にしてください。

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この記事を監修した弁護士
澤田 剛司弁護士
澤田 剛司弁護士(弁護士法人若井綜合法律事務所 新橋オフィス)
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後遺障害等級認定にデメリットはない!

後遺障害等級認定を受けることにデメリットはありません。

むしろ、相応の慰謝料を受け取ることができたり、賠償金の増額につながったりと、さまざまなメリットがあります。

審査に必要な書類を揃える手間がかかること、解決に時間がかかることなど留意すべき点はゼロではありませんが、適切な認定を受けられれば大きなメリットを得られます。

後遺症が残ってしまったら、後遺障害等級認定を受けるようにしてください。

後遺障害等級認定のデメリットに関するよくある5つの誤解

後遺障害等級認定にデメリットがあると考えられてしまう理由は、以下のような誤解があるからでしょう。

ここでは、それぞれの誤解を解くために知っておいてほしいことを解説します。

1.手続きに多くの時間や費用がかかるのでは?

後遺障害等級認定のデメリットとして誤解されやすい点として、手間や費用がかかることが挙げられます。

後遺障害等級が認定されるまでの期間はケースによって異なりますが、1ヵ月程度で完了するケースが約8割を占めています。

2ヵ月以上かかるケースは10%ほどなので、認定までに多くの時間を要することはほぼないでしょう。

後遺障害等級認定を受けるには、医師による後遺障害診断書や検査の受診が必要となります。

後遺障害診断書の作成や検査には費用がかかりますが、後遺障害診断書の作成費用は5,000円〜10,000円程度なので、金銭的に大きな負担がかかることもあまりないでしょう。

また、等級認定された場合は相手方の保険会社にあとで支払ってもらえます。

2.示談交渉で不利になる可能性があるのでは?

示談交渉で不利になる可能性があるというのも、後遺障害等級認定のデメリットとして誤解されやすい点です。

しかし、後遺障害等級認定を受けたからといって、示談交渉で不利になることはありません。

ただし、示談交渉は後遺障害等級認定を受けてからでないと進められないので、解決までに時間がかかる可能性があります。

解決までの期間の目安は、後遺障害等級認定を受けてから半年〜1年ほどと考えておくとよいでしょう。

また、示談成立に時間がかかるほど示談金を受け取るのが遅くなるので、経済的な負担がかかる可能性も考えられます。

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問題を早期解決し、示談金を少しでも早く受け取りたいなら、示談交渉が得意な弁護士に相談するのがおすすめです。

弁護士に相談・依頼すれば、後遺障害等級認定の申請手続きを任せられるほか、示談交渉を代わりにおこなってもらえます。

申請にかかる時間と労力を削減できたり、相手方の保険会社とのやりとりによるストレスを軽減できたりと、さまざまなメリットを受けられるでしょう。

また、弁護士は「弁護士基準」とよばれる方法で慰謝料金額を算定します。

慰謝料の算定基準は3つあり、なかでも弁護士基準は最も高額なので、自分で交渉するよりも慰謝料を大幅に増額できるでしょう。

示談交渉が得意な弁護士は、ベンナビ交通事故で簡単に検索できます。

お住まいの地域・相談内容を選択して、自分に合った弁護士を探してみてください。

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3.自動車保険の等級が下がってしまうのでは?

後遺障害等級認定のデメリットとして「保険の等級が下がるのでは?」という点も誤解されがちです。

後遺障害等級認定を受けても自動車保険の等級が下がることはありません。

慰謝料は基本的に相手方の保険会社から支払われるものであり、自分の保険を使って受け取るものではないからです。

自動車保険の等級は、車の盗難・落書き・台風による損害などで車両保険を使った場合に1等級相手を死傷させた場合や車を壊した場合などに3等級ダウンします。

後遺障害等級認定を受けたことで自動車保険の等級が下がることはないので、安心してください。

4.後遺障害認定が周りに知られてしまうのでは?

後遺障害等級認定を受けたことが周りの人に知られることをおそれて、認定を受けたくないという人もいるでしょう。

しかし、後遺障害等級認定を受けたことが周りの人に知られることはありません。

示談金の支払いをおこなう相手方の保険会社には認定結果が伝わりますが、それ以外の人・機関に漏れることはないので安心してください。

後遺障害等級認定を受けたことを誰かに伝える義務もないので、言いたくなければ言わなくてもかまいません。

公的文書に認定結果が記録されることもないため、自分から言わない限りは第三者に知られることはないと考えましょう。

5.仕事や転職などをする際に不利になるのでは?

後遺障害等級認定のデメリットとして、仕事や転職で不利になるという情報を目にすることもあるでしょう。

しかし、後遺障害等級認定を受けても、就職・転職が不利になることはありません。

後遺症が残ると就職先や仕事内容が限定されることがありますが、それは後遺障害等級認定を受けても受けなくても同じことです。

むしろ、後遺障害等級認定を受けたほうが、後遺症がなければ本来得られていたはずの生涯収入である逸失利益を保険会社から受け取れるというメリットがあります。

また、後遺障害等級はあくまで慰謝料を適切に算定するための基準であり、就職先に公表されるものではありません。

等級を受けたことが就職先に知られて不利になってしまったということは起こり得ないので、心配しないでください。

後遺障害等級認定の2種類の申請方法|メリット・デメリット

後遺障害等級認定の申請方法には、「事前認定」と「被害者請求」の2つがあります。

それぞれのメリット・デメリットは以下のとおりです。

【事前認定と被害者請求のメリット・デメリット】

申請方法メリットデメリット
事前認定✔書類準備の手間が少ない

✔手続きにかかる費用を抑えられる

✔十分な審査対策ができず、適切な等級に認定されない可能性がある

✔後遺障害慰謝料・逸失利益の受け取り時期が遅くなる

✔手続きの過程が不透明

被害者請求✔審査対策を十分におこなったうえで申請できる

✔後遺障害慰謝料・逸失利益を早く受け取れる

✔手続きの過程が明瞭

✔書類準備の手間がかかる

✔認定基準や書類に関する知識が求められる

✔医療情報の入手に費用がかかる

1.事前認定|保険会社を通じておこなう申請方法のこと

事前認定とは、相手方の保険会社に書類の準備・審査機関への書類提出を任せる方法です。

一般的な流れは以下のとおりです。

  1. 後遺障害診断書を相手方の任意保険会社に提出する
  2. 相手方の任意保険会社がほかの必要書類を用意する
  3. 後遺障害診断書とそのほかの書類を審査機関に提出する
  4. 相手方の任意保険会社から認定結果が知らされる

事前認定の場合、後遺障害診断書以外の書類は全て保険会社が用意してくれるので、書類作成の手間がかかりません。

特別な知識も必要ないので、比較的簡単に申請できます。

ただし、書類の作成を保険会社に一任するため、適切な等級を受けるための審査対策ができません。

実際よりも低い等級になってしまい、後遺障害慰謝料や逸失利益が本来よりも低額になってしまうおそれがあります。

また、示談が成立してからでないと後遺障害慰謝料・逸失利益を受け取れないため、できる限り早くお金が必要な場合は不向きでしょう。

2.被害者請求|被害者が自分でおこなう申請方法のこと

被害者請求とは、必要書類を自分で準備し、相手方の保険会社を通じて審査機関に提出する方法です。

具体的な流れは以下のとおりです。

  1. 申請に必要な書類を全て用意する
  2. 相手方の自賠責保険会社に書類を提出する
  3. 相手方の自賠責保険会社が審査機関に書類を提出する
  4. 相手方の自賠責保険会社から認定結果が知らされ、後遺障害慰謝料・逸失利益の一部が振り込まれる

被害者請求は自分で書類を用意する手間がかかりますが、審査対策をしっかりとおこなえます。

適切な等級を受けるために必要な情報が記載されているか、必要な検査資料が添付されているかなどを自分の目でチェックしながら手続きを進められます。

また、被害者請求の場合、認定結果の通知とほぼ同時に後遺障害慰謝料・逸失利益の一部を受け取れます。

お金を早く受け取りたい場合は被害者請求を選んだほうがよいでしょう。

後遺障害等級認定のデメリットと一緒に理解しておくべき注意点

後遺障害等級認定を受けることにデメリットはありませんが、認定を受けるうえで以下の2点は理解しておいたほうがよいでしょう。

1.必ずしも認定されるわけではない

後遺障害等級認定に申請しても、等級認定を受けられない「非該当」になることがあります。

非該当になりやすいケースとして、主に以下が挙げられます。

【後遺障害等級認定で非該当になりやすいケース】

  • 後遺障害診断書の内容に不備がある
  • 後遺障害の症状を裏付ける医学的な証拠が不十分である
  • 通院期間が短すぎる・通院日数が少なすぎる
  • 症状に連続性・一貫性がない
  • 交通事故の規模が小さい

非該当にならないためにも、後遺障害診断書に不備がないかを弁護士に確認してもらうこと・適切な頻度で通院すること・事故にあったらすぐに病院で検査を受けること・具体的な症状を医師に伝えることなどを心がけましょう。

なお、非該当になってしまった場合は、異議申し立て・紛争処理制度の利用・訴訟提起といった方法をとることが可能です。

2.認定結果が出るまで示談交渉は進められない

後遺症が残った場合、示談交渉を始められるのは後遺障害等級認定を受けてからです。

認定結果がわかるまでは、後遺障害慰謝料・逸失利益を受け取れるのか、受け取れる場合はいくらが妥当か、などを判断することができません。

認定結果が判明し、交通事故による損害が確定した時点で示談交渉がスタートすることから、解決に時間がかかってしまう点は留意しておきましょう。

お金を少しでも早く受け取りたい場合は、相手方の自賠責保険会社に被害者請求をするのもひとつの手です。

被害者請求とは、被害者自身で自賠責保険会社に直接損害賠償を請求する方法です。

示談成立を待たずにお金を受け取れるので、まとまったお金を早急に受け取りたい場合は活用するとよいでしょう。

なお、この被害者請求は、後遺障害等級認定の被害者請求とは異なるものなので、混同しないよう注意してください。

さいごに|後遺障害等級認定に不安があるなら弁護士に相談を!

後遺障害等級認定を受けることにデメリットはありません。

むしろ、後遺障害慰謝料や逸失利益を受け取れるというメリットがあるので、後遺症が残ったら後遺障害等級認定を受けるようにしましょう。

ただし、適切な等級に認定されるには、十分な審査対策が必要です。

「自分で書類をミスなく作成できるかな?」「どのくらい対策すればよいかわからない」などの不安があるなら、弁護士に相談しましょう。

交通事故のトラブルに詳しい弁護士に相談すれば、適切な等級に認定されるために必要な情報や書類などを教えてもらえるうえ、手続きを全て代わりにおこなってもらえます。

等級に認定されたあとの示談交渉も任せられるので、交通事故後の精神的・身体的なストレスを軽減することも可能です。

交通事故や後遺障害等級認定に詳しい弁護士は、ベンナビ交通事故で効率的に検索できるので、少しでも不安があるならぜひ活用してください。

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相談料無料※
交通事故に強い弁護士を探す
※一部の法律事務所に限り初回相談無料の場合があります

この記事の調査・編集者
アシロ編集部
本記事は法律相談ナビを運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。※法律相談ナビに掲載される記事は、必ずしも弁護士が執筆したものではありません。本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。
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