交通事故に遭って慰謝料を請求する場合、弁護士に相談するのがおすすめです。
交通事故の慰謝料の算定方法には、「自賠責基準」「任意保険基準」「弁護士基準」の3種類がありますが、弁護士のサポートを受けることで最も高額になりやすい弁護士基準での慰謝料請求が可能になります。
本記事では、交通事故慰謝料の弁護士基準の相場や、慰謝料請求を弁護士に依頼するメリットなどを紹介します。
なぜ弁護士に依頼することで慰謝料が増額されるのかなども解説しているので、ぜひ参考にしてください。
交通事故の慰謝料は弁護士に依頼すると増額する?
弁護士に慰謝料請求を依頼すれば、当初相手方から提示された金額などよりも増額できる可能性があります。
交通事故で慰謝料請求する場合、自賠責基準・任意保険基準・弁護士基準のいずれかを用いて請求します。
この中で最も高額になりやすいのは弁護士基準ですが、弁護士の介入がないと自賠責基準や任意保険基準などが適用されるのが一般的です。
法律知識などのない素人が弁護士基準で請求しようとしても基本的に対応を渋られてしまうため、できるだけ慰謝料を増額したい場合は弁護士に依頼することをおすすめします。
交通事故の慰謝料金額のシミュレーション
交通事故の慰謝料額などについて相手方の保険会社から提示されているものの、その金額に納得していないという方もいるでしょう。
この場合、弁護士に依頼して増額交渉をしてもらうことでどのくらい慰謝料を請求できるのかを知りたいところです。
ベンナビ交通事故の「交通事故の慰謝料計算機」を使えば、入院日などを入力するだけで以下2つを簡単に算出できます。
- 保険会社の想定提示額
- 弁護士基準の金額(慰謝料など)
※慰謝料を含め交通事故被害者が相手へ請求できる(保険会社が被害者に提示する)総額
※目安となる参考額になります
実際の金額とは差が生じる場合もあります。
30秒程度の入力で上記2つの差がどのくらいあるのかすぐにわかるので、ぜひお試しください。
【参考元】慰謝料は弁護士依頼で増額が可能!交通事故の慰謝料計算機
交通事故の慰謝料とは?
ここでは、交通事故における慰謝料の種類や計算基準などについて解説します。
交通事故被害者が請求できる慰謝料は3種類ある
交通事故に遭った場合、被害状況に応じて以下のような慰謝料を請求できます。
- 入通院慰謝料:交通事故のけがで入通院した場合に請求できる慰謝料
- 後遺障害慰謝料:交通事故のけがが治らずに等級認定された場合に請求できる慰謝料
- 死亡慰謝料:交通事故で被害者が死亡した場合に請求できる慰謝料
たとえば「交通事故のけがで通院したが完治せず、後遺障害等級14級が認定された」というようなケースでは、入通院慰謝料と後遺障害慰謝料の2つを請求することができます。
各慰謝料の計算方法・相場などについては「交通事故の弁護士基準の慰謝料相場・計算方法」で後述します。
交通事故の慰謝料には3種類の計算基準がある
交通事故の慰謝料の計算方法としては、以下の3つがあります。
自賠責基準 | 法令で定める最低限の補償をおこなうことを目的とした基準 |
任意保険基準 | 各保険会社が独自に設けている基準で、一般的には自賠責基準よりも高めに設定されている |
弁護士基準 | 裁判所の判例などを参考にした基準で、基本的には自賠責基準や任意保険基準よりも高額になる |
相手が任意保険未加入の場合は自賠責基準、任意保険に加入している場合は任意保険基準、弁護士に請求対応を依頼する場合は弁護士基準が適用されるのが一般的です。
交通事故の弁護士基準の慰謝料相場・計算方法
ここでは、各慰謝料の相場や計算方法について解説します。
入通院慰謝料|けがの治療のために入通院した場合
入通院慰謝料の場合は以下のとおりです。
弁護士基準の慰謝料相場・早見表
入通院慰謝料では、通院期間や入院期間、客観的に見て症状の存在がわかるかどうかなどによって金額が異なります。
<通常の弁護士基準による入通院慰謝料の表(単位:万円)>
<むちうち症で他覚症状がない場合に適用される弁護士基準での入通院慰謝料の表(単位:万円)>
計算例
いくつか計算例を紹介すると、入通院慰謝料はそれぞれ以下のような金額になります。
- むちうちを負って1ヵ月通院した場合:19万円
- 骨折をして2ヵ月入院した場合:101万円
- 骨折で1ヵ月入院したあとに5ヵ月通院した場合:141万円
後遺障害慰謝料|後遺症が残って等級認定された場合
後遺障害慰謝料の場合は以下のとおりです。
弁護士基準の慰謝料相場・早見表
後遺障害等級は第1級から第14級まであり、1級に近づくほど症状が重くなって金額も高くなります。
等級 | 弁護士基準 |
第1級 | 2,800万円 |
第2級 | 2,370万円 |
第3級 | 1,990万円 |
第4級 | 1,670万円 |
第5級 | 1,400万円 |
第6級 | 1,180万円 |
第7級 | 1,000万円 |
第8級 | 830万円 |
第9級 | 690万円 |
第10級 | 550万円 |
第11級 | 420万円 |
第12級 | 290万円 |
第13級 | 180万円 |
第14級 | 110万円 |
計算例
いくつか計算例を紹介すると、後遺障害慰謝料はそれぞれ以下のような金額になります。
- むちうちを負って14級が認定された場合:110万円
- 一部の指を失って8級が認定された場合:830万円
- 両目が失明して1級が認定された場合:2,800万円
死亡慰謝料|被害者が死亡した場合
死亡慰謝料の場合は以下のとおりです。
弁護士基準の慰謝料相場・早見表
死亡慰謝料の場合、生前の被害者の立場によって金額が異なります。
生前の被害者の立場 | 弁護士基準 |
一家の支柱 | 2,800万円 |
配偶者・母親 | 2,500万円 |
上記以外 | 2,000万円~2,500万円 |
計算例
いくつか計算例を紹介すると、死亡慰謝料はそれぞれ以下のような金額になります。
- 被害者が子どもだった場合:2,000万円~2,500万円
- 被害者が子どもを育てている母親だった場合:2,500万円
- 被害者が一家の支柱として働いている父親だった場合:2,800万円
弁護士に依頼すると交通事故の慰謝料が増額する5つの理由
ここでは、弁護士に依頼した場合に慰謝料の増額が望める理由について解説します。
1.弁護士基準をもとに請求をしてくれるから
弁護士に依頼することで慰謝料増額が望める大きな理由は、弁護士基準をもとに慰謝料の請求がおこなえるからです。
慰謝料の算定基準には自賠責基準・任意保険基準・弁護士基準の3つがありますが、弁護士基準が最も慰謝料が高くなりやすい算定方法です。
弁護士に依頼すれば慰謝料の算定を弁護士基準でおこなうことができ、結果として慰謝料の増額が期待できます。
2.過失割合についても交渉をしてくれるから
相手方の保険会社が提示する過失割合は、個別の事情が反映されていないケースが少なくありません。
そこで十分な知識を備えた弁護士に依頼することで、妥当な過失割合を相手方に主張してもらえるのです。
過失割合は賠償金の獲得額に大きく影響するもので、たとえば「事故で1,000万円の損害を負って、加害者と被害者の過失割合が7:3」という場合、被害者側の過失分にあたる300万円を差し引いた700万円しか請求できません。
弁護士に依頼して被害者側の過失割合が低くなれば、相手から獲得できる慰謝料額などもその分増額できます。
3.治療費の打ち切りについて交渉してくれるから
保険会社は、被害者のけがが治癒または症状固定と判断されるまで治療費を支払う義務があります。
症状固定とは「治療を続けてもこれ以上症状が改善することがない」という状態のことです。
ただし、保険会社によっては早い段階で症状固定と判断して治療費の支払いを打ち切ることがあります。
交通事故対応の経験が豊富な弁護士に依頼することで、治療の継続が必要な理由を証明する資料の集め方などを教えてもらうことが可能です。
十分な証拠を備えて弁護士に交渉してもらうことにより、治療費支払いの打ち切りを回避できるケースも少なくありません。
4.後遺障害認定の手続きもサポートしてくれるから
後遺障害等級は第1級から第14級まであり、1級に近いほど請求可能な慰謝料額なども大きくなります。
しかし「交通事故に遭い医師から後遺症と診断されたにもかかわらず、適切な後遺障害等級認定がされない」ということも少なくありません。
原因は複数考えられますが、その1つが提出書類の不備や証拠不足です。
後遺障害等級認定の申請手続きでは、医療だけでなく法律の知識なども必要となります。
医師の診断があったからといって、必ずしも適切な後遺障害等級認定がされるとは限らないのです。
交通事故対応の経験が豊富な弁護士であれば、後遺障害診断書の適切な書き方や証拠として有効な書類や検査などを熟知しています。
弁護士に依頼して手続きのサポートをしてもらうことで、適正な後遺障害等級認定が受けられないリスクを軽減できるのです。
5.増額事由がある場合に適切に主張してくれるから
交通事故の態様(故意性・無免許運転・飲酒運転など)や加害者の態度(被害者に謝罪しないなど)によっては、慰謝料の増額が認められることがあります。
ただし、交通事故では迅速な処理をおこなう必要があることから、裁判の際の慰謝料額はできるだけ定額化しようとする動きが進んでおり、慰謝料の増額を認めてもらうためには適切な主張が必要となります。
交通事故対応の経験が豊富な弁護士に依頼すれば、このような増額事由を見逃さずに相手へ適切に主張してくれるのです。
その結果、慰謝料の増額が期待できます。
交通事故の慰謝料請求を依頼する場合の弁護士費用
交通事故の慰謝料請求を弁護士に依頼する場合、費用相場は以下のとおりです。
費用項目 | 着手金あり | 着手金なし |
相談料 | 1時間あたり5,000円~1万円程度 | 1時間あたり5,000円~1万円程度 |
着手金 | 経済的利益(得られた利益)の額に応じて変動する ・300万円以下:経済的利益の8% ・300万円を超え3,000万円以下:5%+9万円 ・3,000万円を超え3億円以下:3%+69万円 ・3億円を超える:2%+369万円 | 0円 |
報酬金 | 経済的利益(得られた利益)の額に応じて変動する ・300万円以下:経済的利益の16% | 10万円~20万円程度+経済的利益(得られた利益)の額に応じて変動する ・300万円以下:経済的利益の16% |
実費 | 交通費・収入印紙代・通信費など、依頼状況により異なる | 交通費・収入印紙代・通信費など、依頼状況により異なる |
日当 | ・半日の場合:3万円~5万円程度 ・1日の場合:5万円~10万円程度※移動距離・移動時間・日数などにより異なる | ・半日の場合:3万円~5万円程度 ・1日の場合:5万円~10万円程度※移動距離・移動時間・日数などにより異なる |
ただし、依頼先事務所などによっても金額にはバラつきがあります。
費用倒れを防ぐためにも、弁護士に依頼することで慰謝料をどのくらい増額できるのかなども含めて、弁護士にあらかじめ相談のうえ依頼するのがよいでしょう。
交通事故の慰謝料増額は自分でもできる?弁護士基準まで上げることは可能?
交通事故の慰謝料請求は自力でも可能ですし、弁護士基準などを用いて増額を目指して交渉することもできます。
ただし、必ずしもこちらの主張に相手方がすんなり応じてくれるとはかぎりません。
特に保険会社が相手の場合、法律知識や交渉経験のない素人では主導権を握られてしまい、任意保険基準などでの金額で示談成立となってしまうおそれがあります。
できるだけ慰謝料を増額したいのであれば、弁護士に依頼することをおすすめします。
交通事故の慰謝料請求を弁護士に依頼するときの3つのポイント
交通事故の慰謝料請求を弁護士に依頼する際には、以下の3つのポイントを押さえておきましょう。
1.保険会社との示談交渉が得意な弁護士を選ぶ
一口に弁護士といってもさまざまなタイプがおり、相続問題が得意な弁護士もいれば、離婚トラブルが得意な弁護士などもいます。
弁護士を探す際は、交通事故トラブルの解決実績が豊富な弁護士を選ぶことが大切です。
交通事故トラブルが得意な弁護士であれば、交通事故に関する判例の知識や保険会社との交渉経験などを活かして、依頼者にとって有利になるように的確に動いてくれてスムーズな問題解決が望めます。
2.できる限り早い段階から弁護士に相談しておく
弁護士に依頼するのであれば、できるだけ早いタイミングで依頼することをおすすめします。
基本的には、早い段階で依頼して契約期間が長くなったからといって、それが理由で弁護士費用が高くなるということはありません。
弁護士との契約は、依頼のタイミングにかかわらず基本的には示談成立まで続き、示談成立した際に報酬金などを支払うことになります。
せっかく同じ弁護士費用を支払うのであれば、なるべく早いタイミングで弁護士に依頼し、早いうちから相手方の保険会社との交渉などに対応してもらったほうがよいでしょう。
3.無料相談を活用し自分に合う弁護士を見つける
弁護士に依頼した場合は二人三脚で問題解決を目指すことになるため、弁護士を選ぶ際には自分と弁護士の相性の良さなども重要です。
できるだけ自分に合った弁護士に依頼するためにも、複数の弁護士に相談し、ある程度比較をしてから依頼するのがおすすめです。
弁護士に相談する際には、無料相談をうまく活用するようにしましょう。
通常、弁護士との相談には1時間あたり5,000円~1万円程度の費用がかかりますが、法律事務所によっては初回の相談を無料としている場合があります。
そのような無料相談などもうまく活用し、自分に合う弁護士を見つけて依頼することで、示談交渉などを有利に進められます。
交通事故慰謝料の請求を弁護士に依頼する際の3つのデメリット
交通事故の慰謝料請求を弁護士に依頼することには多くのメリットがありますが、いくつかのデメリットも考慮する必要があります。
主なデメリットとしては、以下のようなものがあります。
費用倒れになるリスクがある
弁護士に依頼する際の大きなデメリットが、費用倒れのリスクです。
弁護士に依頼することで慰謝料などが増額される可能性がありますが、その増額分が弁護士費用よりも低額で、結果的に被害者が損をしてしまうこともあります。
特に、軽傷で通院期間が短い場合や物損のみの事故などでは、弁護士に依頼することによる経済的なメリットが少ないおそれがあります。
また、弁護士費用特約がない場合は自己負担となるため、事前に費用対効果なども十分に検討しておく必要があります。
費用倒れを避けるためにも、弁護士に依頼する前には慰謝料の増額見込みや費用総額などについてしっかりと確認しておきましょう。
示談金を大幅に増額できない可能性がある
弁護士に依頼することで示談金が大幅に増額することを期待している方もいるかもしれませんが、必ずしもそうなるとは限りません。
特に軽微な事故や自身の過失が大きい場合などでは、弁護士が介入しても示談金の大幅な増額が期待できないおそれがあります。
このような場合、弁護士費用と示談金の増額分が釣り合わない可能性があるため、事前に弁護士と相談して増額見込みなどについて確認することが重要です。
初回無料相談などを活用して一度話を聞いてみましょう。
損害賠償請求手続きに時間がかかることもある
弁護士に依頼すればスムーズな問題解決が期待できますが、場合によってはある程度の時間がかかることもあります。
特に、複雑な法的手続きが必要な場合などは対応が長引くおそれがあります。
また、弁護士が介入することで保険会社側が慎重になり、交渉が長期化することも考えられます。
できるだけ迅速な問題解決を望む場合は、事前に弁護士と相談して手続きの進行状況や今後の見通しなどについて確認することが重要です。
交通事故の慰謝料請求に関するよくある質問
ここでは、交通事故の慰謝料請求に関するよくある質問について解説します。
交通事故の慰謝料は弁護士基準だといくらになる?
交通事故では入通院慰謝料・後遺障害慰謝料・死亡慰謝料などを請求でき、被害状況によってそれぞれ金額が異なります。
ケースごとの詳しい金額については「交通事故の弁護士基準の慰謝料相場・計算方法」を確認してください。
いずれにしても、弁護士基準で請求すればほかの計算基準よりも高い金額を受け取れる可能性があります。
交通事故で入通院慰謝料はいくらもらえる?
弁護士基準の場合、通院期間・入院期間・客観的に見て症状の存在がわかるかどうかなどによって金額が異なります。
以下は計算例ですが、詳しくは「入通院慰謝料|けがの治療のために入通院した場合」を確認してください。
- むちうちを負って1ヵ月通院した場合:19万円
- 骨折をして2ヵ月入院した場合:101万円
- 骨折で1ヵ月入院したあとに5ヵ月通院した場合:141万円
交通事故の慰謝料は1日8,600円~8,400円
ここでいう「8,600円(8,400円)」とは、自賠責基準で入通院慰謝料を計算する際に出てくるものです。
自賠責基準の場合、「治療期間×4,300円(2020年3月31日以前の事故では4,200円)」と「実通院日数×4,300円(2020年3月31日以前の事故では4,200円)×2」のどちらか小さいほうの金額が入通院慰謝料となります。
後者の計算式では「実通院日数×8,600円(2020年3月31日以前の事故では8,400円)」となることから、「慰謝料は1日8,600円(8,400円)」などと言われることもあります。
これは自賠責基準での入通院慰謝料であり、弁護士基準の場合はより高い金額を獲得できる可能性があります。
交通事故の慰謝料請求は弁護士に依頼するべき?
弁護士無しで慰謝料請求をおこなうと、自賠責基準や任意保険基準などが適用されて低額になったり、交渉がうまく進まずに解決が長引いたりするおそれもあります。
できるだけスムーズに示談成立して納得のいく金額を受け取りたいのであれば、弁護士に対応を依頼することをおすすめします。
さいごに|交通事故の慰謝料請求を依頼するならベンナビ交通事故で探そう
交通事故の慰謝料請求をおこなうなら、弁護士に依頼するのがおすすめです。
弁護士に依頼することで慰謝料の増額が見込めるほか、スムーズな問題解決が期待できます。
弁護士に依頼をおこなう際には弁護士選びが重要です。
特に「交通事故問題の解決実績が豊富かどうか」は、必ず確認しておきたいポイントといえるでしょう。
交通事故問題の解決実績が豊富な弁護士を探すなら「ベンナビ交通事故」がおすすめです。
ベンナビ交通事故は、交通事故問題の解決実績が豊富な弁護士が数多く掲載されている弁護士ポータルサイトで、所在地や相談内容から弁護士を一括検索することができます。
信頼できる弁護士を探して、慰謝料請求・示談交渉をスムーズにおこなえるようにしましょう。

