バイク事故での過失割合は、事故が起きた当時の運転状況などによっても大きく変動するため、一概に決まっているとは言いがたい部分があります。
ただし「損害賠償額算定基準(赤本)」には、状況別の過失割合を示す基本的な基準があります。
不利な過失割合であることに気付かずに合意するようなことがないよう、過失割合の基準や決め方などについて押さえておきましょう。
本記事では、ケースごとのバイク事故の過失割合や、過失割合を決める際のポイントなどを解説します。
過失割合は弁護士が交渉することで大きく変わることがあります。
弁護士へ依頼することで以下のメリット受けられます。
・相手の主張内容に不適切な点がないか判断してくれる
・事故状況に適した過失割合を判断してくれる
・修正要素の見落としがないか確認してくれる
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バイク事故における過失割合とは?
過失割合とは、交通事故の当事者双方の責任の重さを数値で表したもので、「3対7」「30:70」などのように表記します。
過失割合は、双方の位置関係・道幅・交通ルール違反の有無などのさまざまな具体的事情も考慮したうえで、加害者側と話し合いをおこなって決定します。
交渉時に相手保険会社から過失割合を提示されても、必ずしもそれが最も適切とは限りません。
詳しくは「バイク事故の過失割合について知っておくべきポイント」で後述しますが、過失割合が何対何になるのかによって獲得できる示談金は変動するため、安易に示談に応じるのは避けましょう。
バイク事故の過失割合|信号機のある交差点での事故
まずは、信号機のある交差点でバイク事故が起きた場合の過失割合がどの程度になるのか見ていきましょう。
直進車同士のバイク事故での過失割合
右折車と直進車のバイク事故での過失割合
バイク直進・四輪車が右折の場合
バイク右折・四輪車直進の場合
バイク事故の過失割合|信号機のない交差点での事故
次に、信号機のない交差点でのバイク事故の場合、過失割合がどの程度になるのか見ていきましょう。
直進車同士のバイク事故での過失割合
バイク左方車・四輪車右方車の場合
バイク右方車・四輪車左方車の場合
一方が狭い道路・優先道路・一時停止標識・違反ありの場合
右折車と直進車のバイク事故での過失割合
バイク右折・四輪車直進の場合(左図)
バイク直進・四輪車右折の場合(中図・右図)
バイク右折・四輪車直進の場合(図1・図2)
バイク事故の過失割合について知っておくべきポイント
ここでは、バイク事故の過失割合について押さえておくべきポイントを解説します。
過失割合の大きさによって損害賠償金が変わる
交通事故の損害賠償請求において過失割合は重要で、相手方の過失が5%程度でも大きくなれば、そのぶん獲得できる損害賠償金額が増額します。
たとえば「被害者側の被害総額100万円・過失割合が加害者80:被害者20」という場合、過失相殺をおこなうと被害者側の請求額は以下のとおりです。
つまり、被害者側の過失分である20%(20万円)は、被害者自身で負担しなくてはならないということです。
このような過失割合での分担という考え方は、治療費や車の修理代などの全てに適用されるため、過失割合の程度によって被害者が受け取ることのできる金額には大きな差が生まれる可能性があります。
修正要素がある場合は過失割合が加算・減算される
過失割合には、加算や減算の対象になる事故態様があります。
車両同士の交通事故や車両と人の接触事故について、以下のいずれかに該当する場合は5%から20%程度の修正がおこなわれる可能性があります。
車両同士の交通事故で適用される修正要素
車両同士の交通事故で適用される修正要素の一例としては、以下のようなものがあります。
- 著しい過失:脇見運転・著しいハンドルやブレーキの操作ミスなど
- 重過失:居眠り運転・酒酔い運転・無免許運転・速度違反など
- 大型車:普通車に比べて求められる注意義務が高いため過失割合が加算
- 道交法違反:道交法違反の程度に応じて過失割合が加算
車両と歩行者の交通事故で適用される修正要素
車両と歩行者の交通事故で適用される修正要素の一例としては、以下のようなものがあります。
- 夜間の歩行:日没から日の出までに起きた事故では歩行者側の過失割合が加算
- 幹線道路:車幅が14m以上の道路の場合は歩行者側の過失割合が加算
- 横断禁止場所の横断:横断禁止の指定がある場所では歩行者側の過失割合が加算
- 幼児・老人・身体障害者との事故:車両側の過失割合が加算
- 集団通行:横断者が多数いた場合には車両側の過失割合が加算
あくまでも上記は一例であり、詳しく知りたい場合は弁護士などに直接確認しましょう。
過失割合は加害者側と示談交渉して決定する
原則として、過失割合は相手方と話し合いをおこなって決定します。
お互いの主張が平行線のまま解決が難しい場合、最終的には裁判に移行して決定します。
なお、相手保険会社との交渉では、できるだけ負担を小さく抑えるために被害者側に不利な過失割合を提示してくることもあります。
そのような主張に対して的確に反論するためには、ある程度の法律知識や証拠なども必要になるため、弁護士にサポートしてもらうのがよいでしょう。
バイク事故の過失割合に関する弁護士の解決事例
バイク事故に遭って納得のいく額の賠償金を受け取りたい場合は、交通事故トラブルが得意な弁護士に依頼することをおすすめします。
弁護士であれば、過去の裁判例などをもとに適切な過失割合を算定してくれるうえ、相手方との交渉や裁判などのやり取りを一任することもできます。
ここでは、当社が運営する「ベンナビ交通事故」に掲載している解決事例の中から、バイク事故の過失割合に関するものを紹介します。
過失割合を明確にして示談金を2倍以上に増額できたケース
被害者がバイクで交差点を直進していたところ、加害者が車で右折してきて衝突したという事例です。
この事例では、相手保険会社が主張する過失割合の内容や慰謝料の金額などに納得いかず、被害者は弁護士に対応を依頼しました。
依頼を受けた弁護士が、事故状況をもとに適切な過失割合を算出・提示したり、弁護士基準を用いて慰謝料増額の交渉をしたりした結果、示談金が約147万円から約300万円となり、2倍以上の増額に成功しました。
被害者側の無過失を立証して約1億円獲得できたケース
被害者がバイクで信号待ちをしていたところ、後方にいた加害者のダンプカーが追突してきて被害者が死亡したという事例です。
この事例では、加害者側は「自分が左折しようとしたところに被害者がすり抜けようとしてきたため、被害者側に過失がある」と主張していました。
しかし、弁護士がドライブレコーダーの映像解析を依頼した結果、被害者は事故の際に信号待ちをして動いておらず、加害者側の主張が誤りであることが判明しました。
この証拠などを用いて裁判で主張立証を尽くした結果、最終的には約1億円を獲得することができました。
さいごに|バイク事故で過失割合に納得いかないなら弁護士に相談を
バイク事故の過失割合は事故状況によって異なり、過失割合が何対何になるのかによって獲得できる示談金は変動します。
なかには話し合いでは解決できずに裁判にもつれ込むこともあり、その場合は解決まで1年以上かかることもあります。
「過失割合は何対何が妥当なのかわからない」「相手方の提示内容に納得いかない」などの場合は、交通事故トラブルが得意な弁護士に相談しましょう。
弁護士に相談すれば、裁判例などをもとに適切な過失割合を判断してくれるだけでなく、相手方との交渉や裁判などのやり取りを一任することもできます。
当サイト「ベンナビ交通事故」では交通事故トラブルに注力する全国の弁護士を掲載しており、初回相談無料の法律事務所なども多くあるので、まずは一度相談してみましょう。
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