休業損害の計算方法と請求方法を教えます!自賠責基準だけでなく、実際の収入を基準にする方法も紹介

休業損害の計算方法と請求方法を教えます!自賠責基準だけでなく、実際の収入を基準にする方法も紹介
目次
  1. 休業損害とは
  2. 休業損害で用いられる三つの算定基準
    1. 自賠責基準|1日あたり原則6,100円となる
    2. 任意保険基準|任意保険会社によって異なる
    3. 弁護士基準|事故前の被害者の収入を基準にする
  3. 休業損害の日額の算出方法
    1. 給与所得者の場合|事故前3か月分の給与額を基準にする
    2. 自営業・個人事業主の場合|前年の所得金額を基準にする
    3. 会社役員の場合|役員報酬を基準にする
    4. 専業主婦(夫)の場合|賃金センサスを基準にする
    5. 学生の場合|賃金センサスなどを基準にする
    6. 無職・失業中の場合|賃金センサスなどを基準にする
  4. 休業日数の数え方
    1. 休業損害の対象日|実際に入通院した日数が対象
    2. 休業損害の対象期間|完治・症状固定した日までが対象
  5. 休業損害の請求方法
    1. 毎月請求する場合
    2. 示談交渉後に慰謝料と一緒に受け取る場合
  6. 休業損害証明書の入手方法と確認事項
  7. 休業損害について弁護士と相談できる窓口
    1. ベンナビ交通事故|交通事故が得意な弁護士を探せる
    2. 日弁連交通事故相談センター|最大5回まで無料で相談できる
  8. こんなとき休業損害はどうなる?【給与所得者編】
    1. 通院のために有給休暇を利用した場合
    2. 賞与を減額された場合
    3. 事故による休業が原因で退職した場合
    4. 事故による休業が原因で昇給できなかった場合
  9. こんなとき休業損害はどうなる?【自営業者編】
    1. 前年の所得が赤字だった場合
    2. 前年の所得が低すぎる場合
    3. 開業準備中だった場合
    4. 事故による休業が原因で廃業した場合
  10. こんなとき休業損害はどうなる?【その他】
    1. 兼業主婦(夫)の場合
    2. 家政婦を雇った場合
  11. まとめ|休業損害についてわからないことは弁護士に相談しよう

交通事故によるけがで仕事や家事ができなくなってしまった場合、事故の加害者側に休業損害を請求することができます。

仕事や家事ができなくなると生活に大きく影響するため、できるだけ多くの金額を請求したいと思う方は多いでしょう。

しかし「休業損害額をどのように計算すればよいのかわからない」「休業損害をもらうためには何をすればよい?」と、悩んでいる方は多いのではないでしょうか?

本記事では、休業損害とは何か、休業損害の計算方法、請求方法などについて解説します。

休業損害をこれから請求しようと考えている方は、ぜひ参考にしてください。

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この記事を監修した弁護士
佐々木 光嗣弁護士(札幌パシフィック法律事務所)
2018年2月に札幌パシフィック法律事務所を設立。スタッフも一丸となり「身近なリーガルパートナー」として迅速な問題解決を目指す。

休業損害とは

休業損害とは、交通事故によるけがが原因で休業ないし不十分な稼働を余儀なくされたことから生じる収入の喪失のことをいいます。

交通事故に遭い、仕事を休んだり遅刻や早退をしたりした場合、加害者側に休業損害分の支払を請求することができます。

なお、請求できる金額は、職業、休業前の収入、休業期間、休業中の通院日数などによって異なります。

また、会社員だけでなく専業主婦(夫)の場合でも、けがによって家事ができなくなってしまった場合は補償を請求することが可能です。

さらには、失業中の方や学生の場合であっても、状況によっては、休業損害の請求が可能です。

休業損害で用いられる三つの算定基準

休業損害の金額を計算する際に使用する算定基準は、3種類あります。

それでは、具体的にそれぞれどのような算定基準なのでしょうか?

ここからは、休業損害を算出する際に用いる三つの算定基準について解説します。

自賠責基準|1日あたり原則6,100円となる

自賠責基準は、加害者側が加入している自賠責保険会社に請求する際に用いられる算定基準です。

自賠責保険は、被害者に対して最低限の補償を支払うことを目的としているため、三つの基準のなかで金額が最も低いとされています。

自賠責基準を使用する場合は、1日あたりの損害額を原則6,100円として計算します。

ただし、休業前の収入が明らかに6,100円を超えていると証明できる場合は、1日あたり1万9000円を上限として休業損害を請求することが可能です。

任意保険基準|任意保険会社によって異なる

任意保険基準とは、加害者側の任意保険会社に対して休業損害を請求する際に使用する算定基準です。

任意保険基準は、事故を原因として実際に喪失した収入額をベースとして算定されますが、具体的な限度額や休業の上限日数については保険会社ごとに独自に定められており、公表はされておりません。

一般的には、下記の弁護士基準に比べると金額が低くなります。

弁護士基準|事故前の被害者の収入を基準にする

弁護士基準とは、弁護士及び裁判所が休業損害を計算する際に用いる算定基準です。

三つの基準のなかで金額が最も高いため、弁護士に加害者側の任意保険会社との示談交渉を依頼することで、休業損害の賠償額を増やすことができます。

休業損害額の計算式は、以下のとおりです。

1日あたりの基礎収入×認定休業日数

「1日あたりの基礎収入」は、交通事故に遭う前の収入を基に計算される金額のことで、被害者の職業により算出方法が異なります。

また、「認定休業日数」とは、入院や通院のために仕事を休んだ日数のことです。

なお、有給休暇を使って休んだ場合でも、休業日数に含めることができます。

休業損害の日額の算出方法

休業損害は、1日あたりの損害額を基に算出されますが、被害者の職業によって計算方法が異なります。

ここからは、休業損害の日額の算出方法について解説します。

給与所得者の場合|事故前3か月分の給与額を基準にする

被害者が、会社員やアルバイトなどの給与所得者の場合は、以下の計算式で休業損害を算出します。

断続的に欠勤している場合:(事故前3か月分の給与額÷出勤日数)×休業日数

ある程度連続して欠勤している場合:(事故3か月分の給与額÷90日)×休業日数

ただし、「事故前3か月分の給与額」は、税金や社会保険料などが控除される前のいわゆる額面での金額です。

手取額ではないので、給与明細を確認する際に間違えないよう注意しましょう。

なお、産休・育休明けで直近3か月の正確な給与額を算出できない場合は、産休・育休に入る前の年収を基に休業損害を計算します。

また、交通事故によるけがが原因でボーナスや手当が減少したり、昇給が遅れたりした場合も、休業損害として請求できることがあります。

自営業・個人事業主の場合|前年の所得金額を基準にする

被害者が自営業者や個人事業主の場合は、一例として以下の計算式で算出します。

(事故前年の所得金額+固定経費)×寄与率÷365日)×休業日数

「事故前年の所得金額」は、前年度の確定申告書で確認しましょう。

青色申告者の場合は「前年度の確定申告所得額+青色申告控除額」、白色申告者の場合は「前年度の確定申告所得額+専従者控除額」が「事故前年の所得金額」となります。

なお、確定申告をしていなかった場合は、以下の計算式で請求額を算出できます。

預金通帳や伝票などを基に算出した日額の所得金額×休業日数

また、過少申告をしていた場合は、以下のように算出します。

  • 賃金センサスに基づき算出した日額の所得金額×休業日数
  • 立証した実際の所得金額×休業日数

「賃金センサス」とは、政府が毎年実施している「賃金構造基本統計調査」の結果に基づき、労働者の性別、年齢、学歴などに応じて平均収入をまとめた資料です。

この資料を基に日額の所得金額を算出します。

会社役員の場合|役員報酬を基準にする

会社役員の場合は、以下の計算式で算出します。

労働対価分(役員報酬額から利益配当分を控除した額から算出した基礎収入(日額)×休業日数

基礎収入は、労働によって発生する報酬分の金額のみ含まれます。

利益配当は労働の対価ではないため、基礎収入には算入できません。

専業主婦(夫)の場合|賃金センサスを基準にする

専業主婦(夫)の場合は、以下の計算式で請求額を求めます。

女性労働者の全年齢平均賃金額から算出した基礎収入額(日額)×休業日数

「女性労働者の前年齢平均賃金額」は、賃金センサスを基に算出します。

なお、主夫の場合も女性の平均賃金を使って計算する点は覚えておきましょう。

学生の場合|賃金センサスなどを基準にする

被害者が学生の場合、以下のような状況なら休業損害を請求できることがあります。

  • 事故前から従事していたアルバイトで継続的な収入があり、実際に減収した場合
  • 内定取消しや留年などで就職時期が遅れた

アルバイトができなくなったケースの場合は、給与所得者として休業損害額を算出します。

就職時期が遅れたケースの場合は、内定をすでにもらっていたかどうかによって計算方法が異なります。

  • 内定をもらっていた場合:賃金センサスまたは内定先の給与推定額に基づいて算出
  • 内定をもらっていない場合:就職が遅れた期間分の損害額を賃金センサスに基づいて算出

ただし、就職時期が遅れたケースについては、交通事故が原因であることを立証しなければならないため、加害者側との交渉が難航する要因になる可能性が高いでしょう。

無職・失業中の場合|賃金センサスなどを基準にする

無職や失業中の場合は、以下の条件に該当すれば休業損害を請求できます。

  • 求職活動中で、交通事故前後に内定をもらっていた場合
  • 年齢、能力、本人の意欲などから、事故がなければ当然就労していたと考えられる場合

上記の条件に該当する場合は、以下のように損害額を計算することが可能です。

  • 求職活動中で、交通事故前後に内定をもらっていた場合:賃金センサスまたは就職予定先の給与推定額に基づいて算出
  • 年齢、能力、本人の意欲などから、事故がなければ当然就労していたと考えられる場合:賃金センサス又は失業前の収入額に基づいて算出

休業日数の数え方

休業損害を計算する際に用いる休業日数とは、具体的にどの期間を指すのでしょうか?

ここからは、休業日数の数え方について解説します。

休業損害の対象日|実際に入通院した日数が対象

基本的には、実際に入院や通院をした日数が休業日として認められます。

半休や早退など全日休業していない場合でも、日額のうち休んだ時間分を休業日に算入することが可能です。

自営業者や専業主婦(夫)など、いつ休業したかの記録がない場合は、病院や医師から発行される診療報酬明細書や診断書を基に休んだ日数を証明できます。

また、入院や通院だけでなく、リハビリで休んだ場合も休業日に含めることが可能です。

休業損害の対象期間|完治・症状固定した日までが対象

休業損害の対象となるのは、事故に遭った日から、けがが完治または症状固定した日までの休業日です。

症状固定とは、今後治療を続けても症状がよくならないと医師が判断した状態のことです。

ただし、症状固定後もリハビリを続ける場合、例外的に休業損害の補償を引き続き受けられることがあります。

このとき、症状固定したあとの補償は、休業損害ではなく「逸失利益」として請求することが可能です。

逸失利益とは、後遺障害が被害者に残り、労働能力が減少するために、将来的に発生するはずであった収入の減少をいいます。

症状固定の状態になると、仕事の能率やスキルの低下により事故前よりも給料が下がってしまう可能性があるので、仕事に支障が出るほどの症状が残った場合は逸失利益を請求しましょう。

休業損害の請求方法

休業損害を請求する方法は、毎月請求する方法と、慰謝料と一緒にまとめて請求する方法の2通りがあります。

それでは、それぞれどのような流れで請求するのでしょうか?

ここからは、休業損害を請求するための二つの方法について、具体的な流れや必要書類について解説します。

毎月請求する場合

休業損害を毎月請求する場合、その月に休んだ分の収入を都度補てんできます。

仕事を休んでしまうと生活に支障をきたすおそれがありますが、休業損害を毎月請求すれば月々の生活費を賄いやすくなるでしょう。

まずは、毎月請求する場合の流れについて解説します。

1.毎月、任意保険会社に必要書類を提出する

毎月の締め日までに、加害者側の任意保険会社に必要書類を提出します。

必要書類は以下のとおりです。

【休業損害を請求する際に必要になる書類】

  • 休業損害証明書(給与所得者の場合)
  • 前年の源泉徴収票(用意できない場合は事故前3か月間の賃金台帳の写し、雇用契約書、所得証明書など)
  • 報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書または事故前1年間の支払明細書(フリーランスの場合)
  • 税務署の受付印のある確定申告書の控え(白色申告事業主、青色申告事業主の場合)
  • 家族分の記載がある住民票(専業主婦(夫)の場合)

休業損害証明書は、任意保険会社から送られてきます。

手元に届いたら勤務先に必要事項を記入してもらい、ほかの書類とあわせて保険会社に返送してください。

2.任意保険会社から休業損害が支払われる

書類に不備がなければ、提出から1〜2週間ほどで休業損害が支払われます。

ただし、はじめて請求する際は提出から補償の受け取りまでに時間がかかる点に注意しましょう。

休業損害証明書は、勤務先にとってあまりなじみのない書類なので、記入に時間がかかって提出時期が遅れてしまうおそれがあるためです。

また、診断書を提出するわけではないため、けがの状況や程度がわからず審査が長引く可能性もあります。

休業損害証明書の記入や必要書類の取寄せは、早めにおこないましょう。

示談交渉後に慰謝料と一緒に受け取る場合

休業損害は、示談交渉後に慰謝料とあわせて請求することも可能です。

毎月請求する方法に比べ書類を何度も記入する手間を省けるので、1回の手続でまとめて補償を受け取りたい方におすすめです。

1.任意保険会社に必要書類を提出する

毎月請求する方法と同様、まずは加害者側の任意保険会社に必要書類を提出します。

必要な書類は以下のとおりです。

【休業損害を請求する際に必要になる書類】

  • 休業損害証明書(給与所得者の場合)
  • 前年の源泉徴収票(ない場合は事故前3か月間の賃金台帳の写し、雇用契約書、所得証明書など)
  • 報酬、料金、契約金および賞金の支払調書または事故前1年間の支払明細書(フリーランスの場合)
  • 確定申告書の控え(白色申告事業主、青色申告事業主の場合)
  • 家族分の記載がある住民票(専業主婦(夫)の場合)

2.慰謝料・休業損害の金額を交渉する

加害者側の任意保険会社に書類を提出したら、示談交渉をおこないましょう。

示談交渉では、任意保険会社が提出書類に基づいて算定した休業損害額や慰謝料を提示されます。

保険会社と話合いをしながら、お互いが合意できる示談金額を決めましょう。

3.示談が成立したら示談書を作成する

交渉の結果、双方が合意したら示談成立となり、示談書を作成します。

示談書は保険会社から送られてくるので、必要事項を記入して返送しましょう。

その際、交渉の内容や示談金額に誤りがないかを必ず入念にチェックしてください。

また、一度示談書に署名・捺印をしてしまうと撤回できないので、示談書が届いたら内容を隅々まで確認することが大切です。

4.任意保険会社から示談金が支払われる

加害者の任意保険会社側で書類のチェックと事務処理が完了したら、休業損害を含めた示談金が支払われます。

示談金を受け取れる目安は、示談成立から1〜2週間後と考えておくとよいでしょう。

休業損害証明書の入手方法と確認事項

休業損害証明書は、加害者側の保険会社に「休業損害を請求したい」と伝えれば書類様式が送られてきます。

休業損害証明書が届いたら勤務先の担当部署に記入してもらいますが、記入が終わったら必ず以下の点をチェックしましょう。

【休業損害を受け取った際に確認すべき内容】

  • 前年度分の源泉徴収票が添付されているか(源泉徴収票がない場合は、事故前3か月の賃金台帳)
  • 休業日が正しく記載されているか
  • 会社を休んだ期間の内訳が正しく記載されているか(欠勤、有給休暇、遅刻、早退など)
  • 休業日を表す表に印が正しくつけられているか
  • 給与の発生・不発生が正しく記載されているか
  • 事故前3か月に支給された給与額が記載されているか
  • 社会保険や労災保険からの給付の有無欄に漏れがないか
  • 休業損害証明書の作成者欄に漏れがないか

記載内容に誤りや不備があると、休業損害を受け取るまでに時間がかかって生活に支障をきたしたり、休業損害を受け取れなかったりするおそれがあります。

保険会社に提出する前に、内容を入念に確認してください。

休業損害について弁護士と相談できる窓口

休業損害を請求するなら、弁護士に相談するのがおすすめです。

弁護士は、三つの算定基準のうち最も金額が高い弁護士基準を用いて損害額を算定します。

そのため、自力で示談交渉をするよりも多くの休業損害を受け取れる可能性が高いでしょう。

また、交渉のプロである保険会社との示談交渉を素人が有利に進めることはほぼ不可能です。

弁護士なら法律の知識を基に交渉をスムーズに進められるので、納得できる条件で問題解決したいなら弁護士に依頼しましょう。

とはいえ、弁護士をどのように探せばよいのかわからない方は多いのではないでしょうか?

ここからは、休業損害に強い弁護士を探せる窓口や相談先について解説します。

ベンナビ交通事故|交通事故が得意な弁護士を探せる

休業損害を得意とする弁護士を手軽に探したいなら、ベンナビ交通事故がおすすめです。

ベンナビ交通事故は、相談内容やお住まいの地域から弁護士を検索できるポータルサイトです。

相談内容で「休業損害」を選択すれば、休業損害請求の解決事例が豊富な弁護士や、休業損害問題が得意な弁護士を簡単に見つけられます

「何度でも相談無料」「通院・治療中の相談可」など、細かい検索条件を指定することもできるので、好みの弁護士を効率よく探せるでしょう。

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日弁連交通事故相談センター|最大5回まで無料で相談できる

日弁連交通事故相談センターは、最大5回まで無料で自動車事故に関する相談ができる公益財団法人です。

弁護士が加害者との間に立って交渉する「示談あっせん」も無料で依頼できるので、コストをかけずに交渉を有利に進めたい方におすすめです。

示談の成立率が86.58%、示談成立までの交渉回数が平均1.66回と、スピーディかつ高確率で示談を実現させられる点も大きな魅力といえるでしょう。

【参考】日弁連交通事故相談センター

こんなとき休業損害はどうなる?【給与所得者編】

休業損害を受け取るのが初めての場合、わからないことが多く、戸惑ってしまう方は多いでしょう。

ここからは、会社員など給与所得者が迷うことが多いケースについて、正しい対処法を解説します。

通院のために有給休暇を利用した場合

有給休暇を使った場合でも、休業損害を請求できます

有給休暇は労働者の権利であるうえ、事故に遭わなければ有給休暇を消費する必要はなかったはずです。

交通事故によって有給休暇を使わざるを得なくなったこと自体が損害ととらえられるため、現実に収入が減っていなくても、休業損害の請求は可能です。

有給休暇日も休業日数にカウントされるので、有給休暇を使ったからといって休業損害が少なくなることはありません。

賞与を減額された場合

交通事故によるけがが原因で賞与を減額された場合も、加害者に減額分を請求できることがあります。

請求する場合は「賞与減額証明書」によって、具体的にいくら減収したのかを証明することが必要です。

賞与減額証明書は、任意保険会社に問い合わせれば郵送してもらえるので、届いたら勤務先に記入してもらいましょう。

また、会社が賞与を計算する際に使う基準である「賞与支給規定」があると、減収を証明しやすくなります。

賞与を算出するための計算式や基準がきちんと決められていれば、それらに従って賞与を計算することで、どのくらい減収したのかを正確に把握できるためです。

賞与を減額された場合は、賞与減額証明書と賞与支給規定の2つを用意しておきましょう。

事故による休業が原因で退職した場合

交通事故によるけがで仕事をやめてしまった場合は、退職に対する補償を請求することが可能です。

交通事故にあわなければ退職する必要がなかったはずなので、退職によって収入が失われてしまったことは交通事故による損害といえます。

交通事故によって退職を余儀なくされたことを証明すれば、休業損害を受け取れる可能性があるので、勤務先に退職理由を証明する書面を作成してもらいましょう。

退職の原因が交通事故であることが証明できれば、退職してから新しい会社に入るまでの間、休業損害を受け取れます。

事故による休業が原因で昇給できなかった場合

交通事故によって昇給や昇格ができなかった場合も、休業損害を請求できます。

交通事故がなければもらえていたはずの給与を失ったことになるので、交通事故による損害として支払を求めることが可能です。

請求する際は、「昇給予定があったこと」「昇級できなかったことでどのくらいの損害を被ったのか」を会社に証明してもらう必要があります。

昇級できなかった原因と具体的な損害額を立証できれば、休業損害として認められる可能性が高いでしょう。

こんなとき休業損害はどうなる?【自営業者編】

自営業者が休業損害を請求する場合、前年度の確定申告書の内容を基に休業損害額を算定します。

しかし、前年の所得額や事業の状況によっては「そもそも、休業損害を請求できる?」「休業損害の計算方法がわからない」と悩む場合もあるでしょう。

ここからは、自営業者が休業損害を請求する際に悩むことが多いポイントについて解説します。

前年の所得が赤字だった場合

「前年度の所得が赤字だと、収入がないとみなされて休業損害を受け取れないのではないか?」と、不安に思う方もいるでしょう。

しかし、実際に収入がないわけではないので、赤字だったとしても休業損害は認められる場合があります。

赤字の場合の休業損害額は、平均賃金額や自賠責基準によって計算するケースがほとんどです。

自賠責基準を使う場合は「日額6,100円×休業日数」の計算式を使って損害額を算出します。

もっとも、青色申告特別控除額、専従者給与及び固定費の全てを所得金額に加算しても、なお赤字になってしまう場合は、休業損害が認められないことがあります。

前年の所得が低すぎる場合

事業拡大やコロナ禍の影響により、今年に比べて前年度の所得が低すぎる場合があります。

その場合、前年度の確定申告書を提出してしまうと、休業損害が少なくなってしまうため注意が必要です。

前年の所得が低すぎるケースでは、本来得られたはずの所得額を証明すれば、より高い補償を受けられる可能性があります。

本来の収入は帳簿、領収証、預金通帳などで立証できるため、適切な休業損害を受け取るために厳選して提出しましょう。

開業準備中だった場合

開業に向けて準備をしている最中に交通事故に遭った場合、開業準備中であった事実を証明すれば休業損害を受け取れる可能性があります。

開業準備中だったことは、事業計画書、店舗やオフィスの賃貸借契約書、備品の購入費用、仕入れの明細書などで証明することが可能です。

交通事故に遭わなければ受け取れたはずの収入を、休業損害として請求できるでしょう。

事故による休業が原因で廃業した場合

交通事故によるけがで事業を続けられなくなり、やむを得ず廃業した場合は、休業損害を請求できます。

休業損害で補償されるのは、廃業にかかった費用、処分した資産の評価額の一部、事業投資に使っていた費用の一部などです。

ただし、事故前から業績が振るわず、交通事故に遭わなくても廃業していた可能性がある場合は、休業損害として認められない場合があるので注意しましょう。

こんなとき休業損害はどうなる?【その他】

会社員や自営業者だけでなく、兼業主婦(夫)の方も休業損害を請求できます。

しかし、会社員や自営業者とは計算方法が異なるため、休業損害をどのように算出すればよいのかわからない方は多いでしょう。

ここからは、主婦(夫)が休業損害を請求する際、計算方法に迷ってしまいがちなケースについて解説します。

兼業主婦(夫)の場合

会社員や自営業者だけでなく、主婦(夫)でも休業損害を請求できます。

しかし、会社員や自営業者と異なり、実際に収入を得ていない場合が多いので、休業損害をどのように算出するのか気になるでしょう。

兼業主婦(夫)が休業損害を請求する場合、以下2つのうち、いずれか高いほうを基準に休業損害を計算します。

  • 全年齢の女性の平均賃金
  • 実際に受け取っている収入額

上記の金額に休業日数をかけた金額を、休業損害として請求することが可能です。

なお、男女平等の観点から主夫の場合でも女性の平均賃金を基準とします。

休業日数は、実際に仕事ができなかった日数、もしくは家事を十分にできなかった日数のどちらかが適用されます。

仕事ができなかった日数は、勤務先に休業損害証明書を記入してもらうことで休業日数を証明することが可能です。

家事ができなかった日数については、具体的に制限された家事労働の内容や度合いなどを証明し、それに基づいて休業日数が算定されます。

家政婦を雇った場合

主婦(夫)が家事をおこなえず家政婦を雇った場合、家政婦に払った実費を損害額として加害者側の任意保険会社に請求できる場合があります。

ただし、家政婦に支払った費用を補償してもらった場合、主婦(夫)としての休業損害を受け取ることはできません。

家政婦に支払った費用も主婦(夫)としての休業損害も、家事ができなくなったことに対する補償なので、補てん目的は同じです。

同じ目的での保険金を重複して受け取ることはできないため、家政婦へ支払った実費を保険会社に請求した場合は、休業損害が減額されることがある点に注意しましょう。

まとめ|休業損害についてわからないことは弁護士に相談しよう

休業損害は、職業、事故前の収入、休業日数などを考慮して損害額を算定します。

しかし、休業損害の日額や休業日数を自分で正確に算出するのは簡単ではありません。

休業損害を請求するための手続も複雑なため、書類の提出に時間がかかってしまい、休業損害を受け取れる時期が遅れてしまう可能性もあります。

休業損害の計算方法や手続について不安があるなら、まずは弁護士に相談するのがおすすめです。

休業損害請求に強い弁護士に相談・依頼をすれば適切な休業損害を請求できるうえ、自分で交渉するよりも多くの休業損害を請求できるでしょう。

また、示談交渉は弁護士に代行してもらえるので、交通事故の問題をスムーズに解決できますよ。

休業損害をできるだけ多く受け取りたい方や、休業損害の手続を自分でできるか心配な方は、弁護士に一度相談してみましょう。

休業損害について弁護士に相談する

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この記事の調査・編集者
アシロ編集部
本記事は法律相談ナビを運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。※法律相談ナビに掲載される記事は、必ずしも弁護士が執筆したものではありません。本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。
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