むちうち
むちうち事故で弁護士に依頼するなら必見!弁護士特約のメリットと利用手順
2023.09.08
交通事故にあってむちうちになってしまったら、相手にそれなりの慰謝料を支払ってほしいものです。
しかし、実際どのくらいの慰謝料を請求できるものなのかわからない方が多いのではないでしょうか?
できるだけ多くの慰謝料を受け取るためには、何をすべきなのかも気になるでしょう。
この記事では、むちうちで請求できる慰謝料の相場、慰謝料の計算方法、後遺障害等級認定、慰謝料を請求する際の注意点などについて解説します。
交通事故によるむちうちで悩んでいる方、慰謝料の相場を知りたい方はぜひ参考にしてください。
交通事故でむちうちになってしまったら、慰謝料はどのくらい請求できるでしょうか?
まずは、交通事故のむちうちで請求できる慰謝料の種類と、それぞれの相場について解説します。
むちうちになってしまった場合、入通院慰謝料を請求できます。
入通院慰謝料は、負ったけがや入院・通院などをおこなうことによる肉体的・精神的苦痛に対して支払われる慰謝料です。
入院慰謝料の相場は、以下のとおりです。
任意保険基準は、保険会社が独自に定めており一般に公表されていないため、推定値となっています。
通院期間 | 自賠責基準 | 任意保険基準 | 弁護士基準(裁判基準) |
1カ月間 | 8.6万円 | 12.6万円程度 | 19万円 |
2か月間 | 17.2万円 | 25.2万円程度 | 36万円 |
3カ月間 | 25.8万円 | 37.8万円程度 | 53万円 |
4か月間 | 34.4万円 | 47.8万円程度 | 67万円 |
5か月間 | 43万円 | 56.8万円程度 | 79万円 |
6カ月間 | 51.6万円 | 64.2万円程度 | 89万円 |
※自賠責基準は、月の通院日数を10日間で計算
後遺障害慰謝料とは、後遺障害等級に認定された場合に請求することができる慰謝料です。
むちうちで請求できる後遺障害慰謝料の相場は以下表のとおりです。
相場は、認定された後遺障害等級によって異なります。
後遺障害等級 | 自賠責基準 | 任意保険基準(推定) | 弁護士基準(裁判基準) |
12級13号 | 93万円 | 100万円程度 | 290万円 |
14級9号 | 32万円 | 40万円程度 | 110万円 |
どの等級に認定されるかは、むちうちの症状によって決まります。
一般的には、以下の等級に認定される可能性があります。
むちうちで認定される可能性のある後遺障害等級
交通事故によるむちうちの入通院慰謝料は、どのようにして算出されるのでしょうか?
慰謝料の算定基準は、「自賠責基準」「任意保険基準」「弁護士基準」の3種類があります。
それぞれについて、以下で詳しく見ていきましょう。
自賠責基準は、自賠責保険から慰謝料を支払う場合に使用する算定基準です。
慰謝料を算定する基準は3つありますが、自賠責基準はそのなかで最も低額な基準といえます。
自賠責保険は、被害者に対して最低限の補償をおこなうことが目的であるためです。
自賠責基準の計算方法は、以下のとおりです。
日額4,300円×対象日数
対象日数は、以下のいずれか少ないほうとなります。
たとえば、治療期間が90日、実際に通院した日数が40日だった場合、治療期間は90日、実際に通院した日数×2は80日です。この場合、対象日数はより短い80日となります。
この結果、本ケースで請求できる入通院慰謝料は、4,300円×80日=34.4万円です。
上限は、通院にかかる交通費、治療費、休業損害などと合わせて120万円までとなります。
ただし、過失割合が7割以上の場合は日額が低くなってしまうので注意してください。
任意保険基準とは、加害者側の任意保険会社が、被害者側に対し提示する慰謝料の基準のことをいいます。
保険会社も営利組織であるため、保険金の支払いをできるかぎり抑えられるように、弁護士基準未満の金額しか提示してこないケースが一般的です。
より実情に即していえば、任意保険基準は「自賠責基準に若干色がついた程度の基準」でしかありません。
任意保険基準の入通院慰謝料の大体の目安は以下のとおりです。
入院 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | |
通院 | 25.2 | 50.4 | 75.6 | 95.8 | 113.4 | 113.4 | 128.6 | 141.2 | 152.4 | 162.6 | |
1月 | 12.6 | 37.8 | 63.0 | 85.6 | 104.7 | 120.9 | 134.9 | 147.4 | 157.6 | 167.6 | 173.9 |
2月 | 25.2 | 50.4 | 73.0 | 94.6 | 112.2 | 127.2 | 141.2 | 152.5 | 162.6 | 171.4 | 176.4 |
3月 | 37.8 | 60.4 | 82.0 | 102.0 | 118.5 | 133.5 | 146.3 | 157.6 | 166.4 | 173.9 | 178.9 |
4月 | 47.8 | 69.4 | 89.4 | 108.4 | 124.8 | 138.6 | 151.3 | 161.3 | 168.9 | 176.4 | 181.4 |
5月 | 56.8 | 76.8 | 95.8 | 114.6 | 129.9 | 143.6 | 155.1 | 163.8 | 171.4 | 178.9 | 183.9 |
6月 | 64.2 | 83.2 | 102.0 | 119.8 | 134.9 | 147.4 | 157.6 | 166.3 | 173.9 | 181.4 | 185.4 |
7月 | 70.6 | 89.4 | 107.2 | 124.3 | 136.7 | 149.9 | 160.1 | 168.8 | 176.4 | 183.9 | 188.9 |
8月 | 76.8 | 94.6 | 112.2 | 128.6 | 141.2 | 152.4 | 162.6 | 171.3 | 178.9 | 186.4 | 191.4 |
9月 | 82.0 | 99.6 | 116.0 | 131.1 | 143.7 | 154.9 | 165.1 | 173.8 | 181.4 | 188.9 | 193.9 |
10月 | 87.0 | 103.4 | 118.5 | 133.6 | 146.2 | 157.4 | 167.6 | 176.3 | 183.9 | 191.4 | 196.4 |
※単位:万円
弁護士基準とは、弁護士や裁判所が慰謝料を計算する際に使用する算定基準です。
慰謝料の算定基準のなかで最も高額で、自賠責基準に比べ2〜3倍高くなる場合もあります。
弁護士に示談交渉を依頼すると、弁護士基準に基づいて弁護士が交渉をしてくれるので、慰謝料を大幅に増額できる可能性があるわけです。
弁護士基準で慰謝料を計算するときは、以下の算定表を使用します。
重傷用と軽傷用の2つに分かれていますが、むちうちの場合は基本的に軽傷用を参照してください。
<軽傷用>※単位:万円
入院 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | |
通院 | 35 | 66 | 92 | 116 | 135 | 152 | |
1月 | 19 | 52 | 83 | 106 | 128 | 145 | 160 |
2月 | 36 | 69 | 97 | 118 | 138 | 153 | 166 |
3月 | 53 | 83 | 109 | 128 | 146 | 159 | 172 |
4月 | 67 | 95 | 119 | 136 | 152 | 165 | 176 |
6月 | 89 | 113 | 133 | 148 | 162 | 173 | 182 |
<重傷用>※単位:万円
入院 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | |
通院 | 53 | 101 | 145 | 184 | 217 | 244 | |
1月 | 28 | 77 | 122 | 162 | 199 | 217 | 244 |
2月 | 52 | 98 | 139 | 177 | 210 | 246 | 260 |
3月 | 73 | 115 | 154 | 188 | 218 | 244 | 267 |
4月 | 90 | 130 | 165 | 196 | 226 | 251 | 273 |
6月 | 116 | 149 | 181 | 211 | 239 | 262 | 282 |
むちうちが交通事故による後遺障害と認定されると、慰謝料を含めた賠償金をより多く受け取ることができます。
慰謝料金額を大きく左右するものなので、相応の慰謝料を請求したいなら後遺障害等級認定についてしっかりと知っておくことが必要です。
ここからは、後遺障害等級認定について詳しく解説します。
後遺障害等級に認定されると、後遺障害慰謝料と逸失利益を請求できます。
後遺障害慰謝料は、認定された等級に応じて支払われる慰謝料のことです。
後遺障害等級は1〜14級の14段階に分かれており、上位の等級ほど多くの慰謝料を請求することができます。
逸失利益とは、後遺障害で仕事の能率やスキルが低下したことにより、将来受け取れるはずだった収入の減少分を補償するものです。
被害者の職業、収入、後遺障害等級、年齢などによって金額が変わります。
後遺障害等級認定を受けるには、以下の5つの条件を満たす必要があります。
後遺障害等級認定における審査では、提出した書類を基に症状の有無や程度を判断します。
主に、以下の検査結果を参考に、症状がどの程度のものなのかをチェックされます。
上記の検査の結果を基に、該当する等級があるか、あるとしたらどの等級に該当するかが判断されます。
該当する等級がなかった場合は等級認定されず、後遺障害慰謝料や逸失利益などは受け取れなくなります。
後遺障害等級認定を受けるために必要な検査が決められているので、全て検査できているかについては弁護士に相談するとよいでしょう。
事故直後からずっと同じ症状が続いていなければ、後遺障害等級に認定されるのは難しいです。
事故から時間がかなり経ってから症状が出始めた場合、途中で症状が変わった場合、天気によって症状にばらつきがある場合などは、交通事故との関連性が立証できず、後遺障害と認めるほどではないと判断されてしまいます。
症状が続いているか、一貫しているかは、主に医師が作成する後遺障害診断書から判断されます。
後遺障害診断書の内容は、後遺障害等級認定されるための重要な書類なので、提出前に念入りにチェックしましょう。
後遺障害によって仕事に悪影響を与えているかどうかも、後遺障害等級認定を受けるうえで重要なポイントです。
後遺障害により仕事の能率が下がったことで、昇給・昇格の機会を失った、収入が下がった、業務範囲が狭くなった、などの不利益を被っている場合は、そのことをしっかりと主張しましょう。
後遺障害等級は、1〜14級の14段階に分かれています。
それぞれの等級には認定基準があり、後遺障害診断書や検査資料などを基に、認定基準を満たしているかどうかが判断されます。
そのため、認定基準を満たしていることがわかる書類を提出することが大切です。
治療期間が短いと、後遺障害等級に認定されない可能性があるので注意してください。
具体的には治療期間が半年以上でないと、後遺障害等級に該当しないと判断される可能性が高いです。
ただし、足や腕を切断せざるを得ない場合など明らかに生活に支障をきたすレベルの後遺障害がある場合は、治療期間が短くても等級認定される可能性があります。
後遺障害等級には、どのような流れで認定されるのでしょうか?
ここからは、後遺障害認定の一般的な流れについて解説します。
これ以上治療をしても完治しない状態のことを症状固定といいます。
つまり、症状が後遺症として残ってしまうということです。
医師に症状固定と診断されたら、それ以降は保険会社から治療費や休業損害が支払われなくなります。
症状固定後の補償や、後遺症が残ったことによる慰謝料を請求するためには、後遺障害等級に認定される必要があるので、そのための手続きを進めましょう。
後遺障害等級認定の申請に向け、医師に後遺障害診断書を作成してもらいましょう。
後遺障害等級の認定審査では、後遺障害診断書の内容を基にどの等級がふさわしいかが決まります。
書類に不備があったり、等級認定されるための十分な根拠が記載されていなかったりすると等級認定されない可能性があるので注意しましょう。
後遺障害診断書を作成してもらったら、正しい内容や症状の詳細が書かれているかチェックしてください。
「相応の等級に認定されて、納得できる慰謝料を支払ってほしい」と考えているなら、弁護士に後遺障害診断書の内容をチェックしてもらうのがおすすめです。
「法的に十分な根拠が揃っているか」という観点で確認してもらえるので、自分でチェックするよりも等級認定される可能性が高くなります。
後遺障害等級認定の申請に必要な書類を揃えましょう。
必要書類は、加害者側の自賠責保険会社から取り寄せられるものと、病院や役所などで自分で集めるものとがあります。
<必要書類一覧>
自賠責保険会社から取り寄せられる書類
自分で集める書類
後遺障害診断書や各種検査資料など必要書類がそろったら、相手方の自賠責保険会社に書類を提出し、後遺障害等級認定の申請をおこないます。
なお、上記のように書類を全て自分で用意する申請方法を「被害者請求」といいますが、「事前認定」という方法でおこなうことも可能です。
事前認定の場合、後遺障害診断書のみ加害者側の保険会社に提出すれば、残りの書類は全て保険会社がまとめて準備してくれます。
手間がかからないのがメリットですが、ほとんどの書類の準備を加害者側の保険会社に任せてしまうので、書類の不備があっても気づけないのがネックです。
加害者側の保険会社は治療費や慰謝料を支払う立場であることから、被害者側に有利な資料を積極的に集めてくれるとも限りません。
書類に不備や不足があると、思ったとおりの等級に認定されず納得できる慰謝料を受け取れない可能性があります。
その点、被害者請求は書類を全て自分で用意するので万全な状態で審査を受けられるわけです。
書類集めの手間や時間はかかりますが、相応の慰謝料を請求したいなら被害者請求がおすすめです。
提出した書類を基に、損害保険料率算出機構にて審査がおこなわれます。
書類の内容から、後遺障害等級に該当するか、該当する場合はどの等級に該当するかが判断されます。
審査開始から1〜3ヵ月ほどで結果が通知されます。
通知内容を確認し、問題がなければ相手方の保険会社との示談交渉を始めましょう。
示談交渉では、認定された等級に応じた後遺障害慰謝料や逸失利益などを請求できます。
相応の賠償金を受け取れるよう、可能であれば弁護士に依頼しましょう。
後遺障害等級の認定結果に納得がいかなければ、自賠責保険会社へ異議申し立てをおこなうことも可能です。
しかし、合理的な根拠がなければ再審査してもらえない可能性があるので、異議申し立てをおこなう場合は新たな医学的根拠を提示する必要があります。
認定結果に不服がある場合は、異議申し立てをするべきかどうか医師や弁護士に相談するとよいでしょう。
慰謝料の金額は過失割合によって決まるため、被害者に過失割合がついてしまうとその分受け取れる慰謝料が少なくなります。
示談交渉では、相手方の保険会社が少しでも慰謝料を抑えようと、被害者側に高めの過失割合をつけてくることがあるので注意が必要です。
保険会社から提示された過失割合が適正かどうかは慎重に見極めましょう。
ここでは、むちうちの主な症状や治療の流れなどを解説します。
むちうちとは、外部からの衝撃によって首周りが損傷を負うことを指します。
むちうちの症状は、首や肩の痛み・肩こり・頭痛といった首やその周辺部分に関する症状のほか、手足の痺れ・めまい・吐き気・脱力感・不眠・食欲不振などさまざまです。
交通事故直後からむちうちの症状が現れることもありますが、交通事故から数日~数週間程度経過してから症状が現れることが多いのもむちうちの特徴です。
むちうちの治療を受ける際は、まずは整形外科を受診しましょう。
たとえ自覚症状がない場合でも、後日症状が現れる可能性もあるので、交通事故から時間を空けずに受診することが大切です。
また、損害賠償請求の観点からいえば、事故から受診までに時間を空けすぎると「事故と症状の因果関係がない」としていかなる賠償もおこなわれないおそれもあります。
加害者が任意保険に加入している場合、加害者側の保険会社が治療費を支払ってくれますが、加害者が任意保険未加入の場合は、いったん自分の健康保険を利用して立て替え払いをし、後日加害者に請求するという流れになります。
診察では、医師から交通事故の状況・自覚症状の有無・受傷状況などを聞かれます。
その後、触診・視診で筋肉の張りや姿勢の状態などを確認したり、レントゲンやエコー検査で可動域制限の有無などを検査したりします。
場合によっては、MRIなどの画像検査や血液検査を受けることもあるでしょう。
治療中は、湿布・消炎鎮痛薬・コルセットなどを使用しながら、2週間~4週間ほど首の安静を図ります。
そして、症状が治まったころを見計らってマッサージ・ストレッチ・温熱治療・電気治療・リハビリなどを受けて徐々に症状を改善させていきます。
通院頻度は、主治医と相談しながら決定します。
ただし、結果的に通院回数が少なければ慰謝料額は減少します。
「治療のためにもう少し頻繁に通院したいのに、医師が応じてくれない」という場合、病院を変えることも検討しましょう。
むちうちの場合、保険会社から打診される症状固定の時期は、早ければ「交通事故から1ヵ月」、遅くても「交通事故から6ヵ月」が一般的です。
保険会社からの症状固定の打診は、すなわち「治療費支払いの打ち切り」を意味します。
しかし、一言でむちうちといっても症状には個人差があります。
比較的軽傷で、1ヵ月程度で治ることもあれば、重症の場合は1年以上もかかることもあります。
また、医学的に症状固定を判断するのは保険会社ではなく医師であり、「損害賠償の対象となる症状固定までの期間」を最終的に決定するのは裁判所です。
したがって、保険会社から症状固定を打診されたからといって、それをそのまま鵜呑みにせず、医師や弁護士とよく相談しながら治療継続するかどうか検討することが必要です。
なお、むちうちで後遺障害慰謝料を獲得するためには、最低でも6ヵ月の継続した通院が必要です。
現在の後遺障害等級実務において、治療が6ヵ月未満で終了しているにもかかわらず、後遺障害慰謝料の前提となる後遺障害等級の認定を受けることは難しいといわれています。
交通事故直後は、まず医師に対応してもらえる整形外科を受診してください。
何より医療行為をおこなえるのは医師のみですし、医師がむちうちの症状の有無・程度・治療期間を判断します。
そして、医師は診察結果を踏まえて診断書やカルテを作成します。
この診断書やカルテが、交通事故とむちうちの因果関係を証明するうえで大切な書類となります。
交通事故直後に診断書やカルテが作成されていないと、加害者側から交通事故とむちうちの因果関係を疑われた場合に証明できず、損害賠償金を獲得できないおそれもあります。
また、警察に人身事故として処理してもらうためにも診断書が必要です。
整骨院への通院を希望する際には、医師に一度相談してみることをおすすめします。
加害者側の保険会社も、整骨院での施術をまったく無視するという対応はとっていません。
しかし、「整骨院での施術は医療行為ではなく医療類似行為にすぎないため、施術費用は自己負担とすべき」「整骨院への通院は慰謝料の算定時にカウントしない」などと主張されることもあります。
一方、医師の指示による整骨院への通院であることがカルテなどに記載されていれば、医療行為の一環として施術費用も損害賠償の対象となります。
その通院を慰謝料算定上の通院日数に含めるという主張も認められやすくなります。
また、整骨院に通院する際は、医師だけでなく加害者の保険会社にもあらかじめ伝えておきましょう。
保険会社が整骨院への通院を渋る場合は、医師に保険会社提出用の同意書を作成してもらうなどの対策をとる必要があります。
整骨院への通院を始めてからも、整形外科には継続して通院しましょう。
途中から整骨院にしか通院せず、整形外科には通院していない場合、慰謝料の算定時に不利に働くおそれがあります。
保険会社から治療費打ち切りの打診を受けても、そのまま受け入れる必要はありません。
保険会社はあくまでも営利企業であり、「少しでも治療費の負担を抑えたい」という考えから症状固定のタイミングを前倒しにしている可能性もあります。
そのため、担当医と相談したうえでまだ治療が必要であれば、担当医に保険会社を説得してもらったうえで治療を継続するべきでしょう。
ただし、なかには医師の説明を無視して、保険会社が治療費の打ち切りを断行する場合もあります。
この場合には、自分の健康保険を使ってでも通院を継続するべきかどうか検討することになりますが、個人で判断するのは難しいため、交通事故に注力する弁護士に相談してください。
状況によっては、いったん自己負担した治療費を、あとから加害者に請求できることもあります。
そのため、通院を継続する場合には、診療明細書や領収書は必ず保管しておきましょう。
むちうちで慰謝料を請求する際、どのような点に気をつければよいのでしょうか?
ここからは、慰謝料請求の際の注意点について解説します。
慰謝料の請求や示談交渉は、医師から完治または症状固定と診断されてからおこないましょう。
入通院慰謝料は、治療期間や通院日数が多いほど高額になります。
治療がまだ終わっていない段階で交渉を始めてしまうと治療期間が短くなり、受け取れる慰謝料が少なくなってしまうので注意しましょう。
むちうちで認定される後遺障害等級は、12級か14級のどちらかです。
症状の程度によって認定される等級が異なり、それぞれの等級に認定基準が定められています。
12級の認定基準は、症状が「局部に頑固な神経症状を残すもの」であることです。
後遺障害等級認定の審査では、画像検査と神経学的検査の結果を基に等級が決まります。
いずれの検査結果でも異常がみられ、かつ事故を原因とする症状であることが明らかな場合は12級に該当するでしょう。
一方、14級の認定基準は、「局部に神経症状を残すもの」であることです。
画像検査や神経学的検査では異常がみられないものの、事故を原因とする症状がずっと続いていることが医学的に説明できる場合、14級に認定されます。
むちうちの場合、14級に該当することがほとんどであると考えてよいでしょう。
ただし、提出書類の内容や症状の程度によっては14級にも認定されず「非該当」となることもあるので注意してください。
慰謝料を多く受け取るために通院頻度を高くしてしまうと、かえって慰謝料が少なくなる恐れがあります。
示談交渉の際「通院頻度や通院回数が適切だったか」ということは、慰謝料の金額を決めるうえで重要な要素です。
通院回数が多すぎると、「慰謝料目的で必要以上に通院していたのではないか」と疑われ、慰謝料が増えるどころか減ってしまう可能性があるので注意しましょう。
どのくらいの頻度で通院すればよいのかを医師に確認したうえで、適切な通院頻度で治療を受けるようにしてください。
保険会社から治療費支払いの打ち切りをほのめかされても鵜呑みにしてはいけません。
保険会社は慰謝料を抑えるため早期に支払いを打ち切ろうとしてきます。
症状が完治または症状固定したかどうかは医師が判断することです。
治療費が支払われなくなるからと治療をやめてしまったら、その分慰謝料が減ってしまうので気をつけましょう。
治療をやめる時期については保険会社の言うことには応じず、医師としっかり相談して決めてください。
整骨院でむちうちの治療を受ける場合、必ず医師の許可をとりましょう。
医師の許可がないまま治療を始めてしまうと、「整骨院での治療は本当に必要だったのか?」と疑われる可能性があります。
治療の必要性が疑われてしまうと、慰謝料を受け取れない恐れがあるので注意が必要です。
一方、事前に医師の許可を受けていれば「整骨院での治療がむちうちの症状改善に必要なものである」と医師が認めていることになります。
相応の治療費や慰謝料を受け取りたいなら、医師の同意や許可を得てから整骨院に通うことを忘れないようにしましょう。
交通事故後のサポートや示談交渉を弁護士に依頼するなら、加入している自動車保険に弁護士費用特約がついているか確認しましょう。
弁護士費用特約は、弁護士への相談料や依頼にかかる費用を、保険会社が一定額まで補償してくれる特約です。
一般的には1事故1被保険者につき相談料は10万円まで、着手金、報酬金、実費などの依頼にかかる費用は300万円まで補償されます。
交通事故を弁護士に依頼する場合は300万円までにおさまることが多いので、自己負担なしで弁護士に依頼できるケースがほとんどです。
費用面が心配で弁護士に依頼するか迷っている方は、補償内容を一度確認してみるとよいでしょう。
慰謝料は、過失割合によって金額が大きく変わるので注意しましょう。
示談交渉では、相手方の保険会社が被害者側に高めの過失割合を提示してくることがありますが、安易に受け入れてはいけません。
自賠責基準では、被害者の過失割合が7割を超えると慰謝料が減額されます。
過失割合が不当に高いと、受け取れる慰謝料が減って損をしてしまうので、必ず提示された過失割合が適正かどうか見極めるようにしてください。
交通事故でむちうちになってしまったら、慰謝料以外にもさまざまな賠償金を請求できます。
ここからは、むちうちで請求できる賠償金について解説します。
むちうちの治療にともない支払った以下の費用を損害賠償として請求できます。
治療にかかった費用をしっかり請求できるよう、レシートや領収書は大切に保管しておきましょう。
むちうちで仕事を休んだことにより受け取れなかった収入分を請求できます。
会社員だけでなく、専業主婦(夫)やアルバイトをしている学生でも請求することが可能です。
休業損害は、原則として以下の計算式で算出されます。
ただし、1日あたりの収入が6,100円を明らかに超える場合は、休業前の実際の収入を基に算出することもあります。
休業損害は弁護士に依頼すれば増額も可能なので、収入の減少分をしっかり補填したい場合は弁護士に相談するとよいでしょう。
逸失利益とは、事故がなければ将来受け取れるはずだった収入のことです。
後遺障害が残ってしまった場合、事故前に比べて仕事の効率が落ちてしまい収入が減ってしまう可能性があります。
逸失利益を賠償してもらうことで、将来にわたる収入の減少分を補うことができます。
逸失利益は、以下の計算式で求められます。
労働能力喪失率は認定された等級に応じて、喪失期間に対応するライプニッツ係数は被害者の年齢に応じて決められています。
また、追突事故などで車が損壊した場合も修理費を逸失利益に含めて請求できます。
【参考元】
相手方の保険会社から提示された慰謝料が低いと感じた場合は、弁護士に依頼するのがおすすめです。
弁護士は、弁護士基準(裁判基準)という算定基準を使って慰謝料金額を計算します。
弁護士基準は、慰謝料の算定基準のなかで最も金額が高いので、弁護士に依頼することで慰謝料を増額できる可能性が高くなります。
加入している自動車保険に弁護士費用特約が付帯していれば、弁護士費用を一定額まで負担せずに済みます。
「適切な慰謝料を請求したい」「もっと多くの慰謝料を支払ってほしい」と考えている方は、弁護士に一度相談してみましょう。
ここでは、「ベンナビ交通事故」に掲載している解決事例の中から、賠償金を増額できたケースを紹介します。
被害者は乗用車を運転していて信号待ち中に、後続乗用車に追突され、これによって、頸椎捻挫や腰椎捻挫、いわゆるむち打ちの傷害を負いました。
当初、自賠責から後遺障害非該当とされ、後遺症以外に対する慰謝料が請求できない状況でした。
しかし弁護士が介入し医師と相談し必要書類をそろえた上で、自賠責への異議申し立てを行ったことで14級が認定され、当初の提示額から約3倍の220万円の増額となりました。
被害者は幹線道路を直進中に、交差点で反対車線から右折してきた車両と衝突し、後遺障害14級と認定されました。
しかし、等級認定が極めて低いと感じ弁護士に依頼をしたことで、後遺障害の等級認定が11級となり、裁判を経て既払金を除いて1000万円以上の障害認定を受けました。
このように、弁護士に依頼をすることで、多くの金額を回収できる場合もあります。
まずは、交通事故の慰謝料請求が得意な弁護士に相談してみましょう。
交通事故後の対応を弁護士に依頼するメリットは、主に以下の3つです。
弁護士基準を使って慰謝料を算出してもらえるので、自力で示談交渉するよりも慰謝料が高額になるでしょう。
弁護士基準なら、自賠責基準や任意保険基準の2〜3倍の金額を請求できるとされています。
慰謝料の大幅増額を狙えるので、相応の慰謝料を請求したいと考えている方は弁護士への依頼を検討しましょう。
弁護士費用特約を使えば、弁護士費用がかからない可能性があります。
弁護士費用特約では、弁護士への相談料を10万円まで、依頼にかかる費用を300万円まで保険会社が代わりに負担してくれます。
弁護士に依頼すると高額な費用がかかるため、相談できずにいる方も多いでしょう。
その場合、まずは加入している自動車保険に弁護士費用特約がついているかチェックし、付帯していれば利用するのがおすすめです。
自分が加入していなくても、家族の自動車保険に弁護士費用特約が付帯していれば利用できる可能性があります。
相手方の保険会社から提示された過失割合が適正かどうかを判断してもらえるのも、弁護士に依頼するメリットのひとつです。
保険会社は被害者の過失割合を高めに提示することで、慰謝料を抑えようとします。
しかし、示談交渉を初めておこなう人にとって、提示された過失割合が適正なのかどうか判断するのは難しいところです。
弁護士なら、事故の状況を考慮したうえでどの程度の過失割合が適切なのか判断でき、その根拠を論理的に説明できます。
当初提示された過失割合が不当だった場合、弁護士が交渉することで正しい過失割合に訂正してもらえる可能性もあります。
交通事故でむちうちになってしまうと、保険会社への対応、後遺障害等級認定の申請、示談交渉など、やるべきことが非常に多くあります。
しかし、どれも相応の知識が必要なので、自力で円滑に進めるのはかなり難しいでしょう。
交通事故後の総合的なサポートを受けたい方や、示談交渉を成功させて適切な慰謝料を受け取りたいと考えている方は、弁護士に依頼するのがおすすめです。
弁護士に依頼すれば、後遺障害等級認定の申請のサポート、示談交渉の代行などを任せられます。
法律の専門家である弁護士に一任すれば、納得できる慰謝料を支払ってもらえる可能性が高くなります。
交通事故後の対応や慰謝料請求について少しでも不安があるなら、ぜひ弁護士に相談してみてください。