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2024.10.16
ひき逃げによって死傷者が出た場合、加害者側は救護・報告義務違反として処罰されます。
令和2年度は6,922件のひき逃げ事件が起こっていますが、全検挙率は近年上昇しており、71.7%(死亡事故の場合は98.9%)と高水準を維持しています。
とはいえ、ひき逃げの被害に遭った際の補償や加害者への処罰について、詳しく理解できていない方は多いでしょう。
そこで本記事では、
について詳しく解説します。
「ひき逃げ」とは簡単に述べると、被害者にけがや障害(場合によっては死亡)を負わせたにもかかわらず、救護や警察への報告を怠り、その場を立ち去る行為のことです。
被害者の救護や報告は道路交通法によって義務付けられており、これを怠った場合は厳しく処罰されます。
ここでは、ひき逃げとされる「救護義務違反」と「報告義務違反」について、みていきましょう。
自動車やバイクなどの車両を運転中に、被害者と接触、または転倒させてしまった場合は、加害者側に「救護義務」が生じます。
救護義務とは、直ちに車両を停車して負傷者を救護、および道路における危険を防止するといった措置のことです。
被害者がいるにもかかわらずその場を立ち去った場合は、道路交通法117条1項の「救護義務違反」となります。
運転手は必ず被害者のけがの状態などを確認しなければなりません。
「報告義務違反」とは、人身事故を起こしたことを警察に報告しないで逃走することを指します。
報告義務違反も前項と同様、道路交通法に則って処罰されます。
万が一、被害者側が「大丈夫、大事にしないで」と言ったとしても、加害者は警察に事故を報告しなければなりません。
事故時は何もなくても、時間が経過してけがや障害が発覚したときに「ひき逃げ」と判断されます。
ここでは、ひき逃げとみなされる行為の具体例をみていきましょう。
特に、悪意がなくてもひき逃げとみなされる行為がある点には注意が必要です。
接触はしていないものの、自分の運転が原因で転倒や衝撃など、以下のようなケースも含め、相手にけがを負わせてしまった場合は救護や報告の義務があるといえるでしょう。
そのため、救護や報告を怠ると、道路交通法による処罰の対象となります。
「ひき逃げ」と判断されないためには、しっかりとした対応が求められます。
被害者と車両が接触した際、運転を一時停止したものの警察に報告せずその場から立ち去ってしまうと「報告義務違反」に該当します。
とくに、お年寄りや子どもの場合は「痛みがないから大丈夫」と判断するケースが多いといえるでしょう。
しかし、転倒や衝撃によるけがは外見だけではわかりません。
たとえば、被害者が事故の数時間後に痛みを感じて病院を受診し、警察に診断書を提出した場合は「ひき逃げ」と判断されます。
日本のひき逃げ検挙数は上昇を続けており、令和3年度では全検挙率71.7%を誇り、ひき逃げ死亡事故の検挙率は98.9%です。
悪意があって事故後その場を立ち去っても、加害者が見つかる可能性は高いといえます。
ここでは、ひき逃げをした場合の刑事責任についてみていきましょう。
ひき逃げは救護・報告義務違反となり、以下のとおり処罰されます。
道路交通法117条 車両等(軽車両を除く。以下この項において同じ。)の運転者が、当該車両等の交通による人の死傷があつた場合において、第七十二条(交通事故の場合の措置)第一項前段の規定に違反したときは、五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
2 前項の場合において、同項の人の死傷が当該運転者の運転に起因するものであるときは、十年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
引用元:e-Gov法令検索
また、ひき逃げは違反点数が35点のため、運転免許も一発で取り消しとなります。
以前に、前歴や違反点数が無ければ、取消日から3年間は運転免許の取得ができません(欠格期間)。
居眠りやスマホ使用といった、よそ見をしながらの運転で交通事故を起こし、逃走した場合は「過失運転致傷罪」の対象となります。
刑法211条 業務上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、五年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。重大な過失により人を死傷させた者も、同様とする。
引用元:e-Gov法令検索
運転中における過失とは、以下のような運転者が守るべき「注意義務」に反することを指します。
過失の度合いについては、判断の幅が広いことから、運転者は日頃から「過失」とみなされないよう心がける必要があります。
酒気帯び・飲酒運転・30キロメートル以上の速度超過などで車両を運転し、相手にけがや障害(または死亡)を負わせた場合は、危険運転致死傷罪に問われる可能性が高いです。
自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律 第2条 次に掲げる行為を行い、よって、人を負傷させた者は十五年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は一年以上の有期懲役に処する。
引用元:e-Gov法令検索
ひき逃げに対する罰則は、2007年の道路交通法の改正によって強化されました。
以下は改正前後の比較です。
項目 | 罰則 |
改正前 | 5年以下の懲役または50万円以下の罰金 |
改正後 | 10年以下の懲役または100万円以下の罰金 |
現在、飲酒ひき逃げの場合は最高で懲役15年になるケースもあります。
悪質な事故の場合は、より厳罰化を求める声も多いのが現状です。
ひき逃げは加害者特定後、逃亡の恐れがあるとして逮捕・起訴される可能性があります。
加えて、事故の性質上、過失運転致死傷罪に該当するケースが多く、被害の規模によっては実刑判決が下る可能性もあります。
ここからは、ひき逃げの被害者となった場合の対応方法をみていきましょう。
ひき逃げの被害に遭った場合は、できるだけ加害車両の特徴を覚えておくことが大切です。
車種や色、ナンバープレートの番号は加害者特定に大いに役立ちます。
ひき逃げ事件を解決するためには警察の捜査が欠かせません。
警察もあらゆる方法を用いて加害者の特定に尽力しますが、被害者の証言があれば、事件の早期解決が期待できます。
ひき逃げされた際は、すぐに警察を呼んで交通事故証明書を取得しましょう。
交通事故証明書とは、交通事故が起きた事実を証明する公的書類のことです。
各種保険の補償を受ける場合や、相手方に対し損賠賠償請求するような場合に必要となります。
警察に交通事故の届けを出したあと、各都道府県の自動車安全運転センターに発行を申し出ましょう。
交通事故に遭った際、必ずしもすぐに出血や痛みが生じるとは限りません。
時間が経ってから痛みに気付くケースもあります。
そのため、ひき逃げされた場合は痛みがなくても必ず病院に行きましょう。
加害者が判明すれば、治療費も請求できます。
基本的に警察がおこなう調査では、ひき逃げ事故が起こった場合、加害者を特定するために防犯カメラの映像や目撃者を探します。
事故現場を目撃した方が車の特徴を覚えているケースも少なくありません。
ここでは、ひき逃げされた場合の補償についてみていきましょう。
ひき逃げされたとしても、高い確率で加害者は特定されます。
その場合は、加害者に賠償請求をおこないます。
基本的に、賠償金を支払うのは加害者が加入している保険会社です。
ひき逃げの加害者が見つからない場合は、自分の任意保険を利用することができます。
休業損害や場合によっては治療費も受け取れるので、保険内容を確認しておきましょう。
加害者が見つからない、または自身に加入している保険がない場合は、政府保証事業を利用できます。
「政府保証事業」とは、政府(国土交通省)がひき逃げ被害者の必要最低限の救済を図るために創設された制度です。
以下の範囲で、被害者に対して損害補償を支払います。
また、上記は加害者の保険から支払われる補償が不十分だった場合にも利用できる可能性があります。
ひき逃げされた場合は、早めに弁護士に相談しましょう。
ここでは、ひき逃げの被害者になった際に弁護士に依頼するメリットを解説します。
生活に大きな支障が出た場合は、加害者に対して謝罪や慰謝料を請求したいと思うことから、損害賠償や慰謝料もできる限り多く受け取りたいと考えるのは当然でしょう。
弁護士に依頼すれば、専門知識を活かして通常よりも多くの補償を受けられる可能性があります。
自分で解決しようとせず、弁護士に相談しましょう。
弁護士に依頼すれば、ひき逃げによる損害賠償を請求する際の示談交渉を代行してもらえます。
加害者側の保険会社はできるだけ少ない金額での示談を持ち込んでくる可能性がありますが、客観的な根拠を用いて有利に示談交渉を進められるでしょう。
ひき逃げ事件は加害者側と裁判で争うケースも少なくありません。
けがを負った状態で裁判の対応をするのは大変ですが、弁護士に依頼すれば安心です。
裁判に必要な証拠集め、各種手続きなどを全て任せられます。
ひき逃げ被害に遭った際、加害者が特定すれば損害賠償を請求できます。
けがや障害の被害に合わせて、できる限りの補償を受け取りたい場合は、弁護士に依頼するのがおすすめです。
加害者側の保険会社から、減額による示談交渉をされるケースが多くあります。
自身で対応しようとせず、専門家からサポートを受けましょう。