弁護士費用特約とは、交通事故トラブルなどでの弁護士費用を保険会社が負担してくれる特約のことです。
交通事故後の手続きを弁護士に依頼すると「着手金」や「成功報酬」などの弁護士費用が発生しますが、弁護士費用特約を利用することで自己負担0円で済むこともあります。
ただし、なかには事故に遭っても弁護士費用特約が利用できないケースなどもあり、本記事で弁護士費用特約の詳しい中身について押さえておきましょう。
本記事では、弁護士費用特約の補償内容や利用方法、弁護士費用特約を利用できるケース・利用できないケースなどを解説します。
弁護士費用特約とは?
弁護士費用特約とは、交通事故などのトラブルで弁護士に依頼する際の費用を保険会社が支払ってくれる特約のことです。
ここでは、弁護士費用特約の種類や補償内容などについて解説します。
弁護士費用特約は2種類ある
弁護士費用特約には「自動車事故型」と「日常生活・自動車事故型」の2種類あり、それぞれ補償範囲が異なります。
自動車事故型の補償範囲
自動車事故型の弁護士費用特約の場合、自動車による事故のみ補償対象となります。
補償対象となるケースとしては「交差点を歩いていたら自動車に追突された」「自動車が自宅にぶつかって塀が壊された」などがあります。
日常生活・自動車事故型の補償範囲
日常生活・自動車事故型の弁護士費用特約の場合、自動車事故に加えて日常生活で起きた事故も補償対象となります。
自動車事故に巻き込まれた場合だけでなく、「人に押し倒されてけがをした」「散歩中のペットに噛まれてけがをした」などのケースでも利用できます。
弁護士費用特約の補償内容
弁護士費用特約の対象者は以下のとおりで、契約者本人以外でも利用できます。
- 記名被保険者
- 記名被保険者の配偶者
- 記名被保険者または配偶者の同居親族
- 記名被保険者または配偶者の別居している未婚の子ども
- 契約自動車に乗車している人 など
弁護士費用特約の上限額については保険会社によっても異なりますが、以下のように設定しているところがほとんどです。
- 弁護士費用(着手金・成功報酬・実費など):1事故・1被保険者につき300万円まで
- 法律相談料:1事故・1被保険者につき10万円まで
交通事故における弁護士費用の相場は、事故状況や示談金額などによっても変動するため一概にはいえません。
しかし、多くのケースで50万円〜150万円程度に収まるため、弁護士費用特約の補償範囲内で済むでしょう。
弁護士費用特約の保険料
保険会社によってもバラつきはありますが、自動車事故型の場合は年2,000円~4,000円程度、日常生活・自動車事故型の場合は年4,000円~6,000円程度かかるのが一般的です。
弁護士費用特約を利用できるケース
弁護士費用特約を利用しても特にデメリットはないため、加入しているのであれば利用しましょう。
特に、以下のようなケースでは弁護士のサポートを得ることで満足のいく結果が望めるため、積極的に利用することをおすすめします。
1.もらい事故の被害者になった場合
もらい事故とは、被害者側にまったく非のない事故のことを指します。
具体的には「信号待ち中に後続車両から追突された」「信号無視の車に撥ねられた」などのケースが該当します。
もらい事故の場合、保険会社に示談交渉を任せることができないため、弁護士費用特約を利用して弁護士に示談交渉を任せるのが良い選択肢となります。
2.加害者が任意保険に加入していない場合
加害者が保険未加入の場合、加害者本人と示談交渉をおこなうことになります。
しかし、加害者によっては賠償金を支払えるほどの金銭的な余裕がなく、支払いが滞ることもあります。
このようなケースでは、弁護士に依頼することで支払いが滞ったとしても速やかに強制執行という手続きで回収できるため、弁護士費用特約を利用して依頼することをおすすめします。
3.示談交渉が難航している場合
相手方保険会社との示談交渉が難航している場合や、提示された賠償額に不満がある場合、弁護士に依頼すれば的確に主張や反論をしてくれて、スムーズに納得のいく形での示談成立が望めます。
また、基本的に相手保険会社は任意保険基準という計算基準を用いて慰謝料などを計算しますが、弁護士はより高額な弁護士基準という計算基準を用いて請求してくれるため獲得金額の大幅な増額が期待でき、弁護士費用特約を利用して依頼するのがおすすめです。
4.物損事故に遭った場合
物損事故の場合、人身事故に比べると損害賠償金が少額になることもあり、弁護士に示談交渉などを依頼すると費用倒れになる可能性があります。
しかし、弁護士費用特約を利用すれば費用負担を大幅に軽減できるため、費用倒れが不安な方でも安心して依頼できます。
5.けがが完治せずに後遺障害が残った場合
交通事故で後遺症が残ってしまった場合、後遺障害等級の認定を受けることで後遺障害慰謝料や後遺障害逸失利益などの賠償金を請求することが可能です。
しかし、後遺障害等級認定を受けるためには書類審査を受ける必要があり、十分な書類を集めないと低い等級が認定されて賠償金が低額になることもあります。
弁護士なら後遺障害等級認定の申請手続きを一任でき、被害状況に見合った等級を獲得できる可能性が高まるため、弁護士費用特約を利用して依頼することをおすすめします。
弁護士費用特約が利用できないケース
交通事故に遭っても、以下のようなケースでは弁護士費用特約が利用できません。
1.交通事故後に加入した場合
弁護士費用特約は、事故が発生した時点で加入していた場合に利用できます。
事故後に加入したり、弁護士費用特約が付いているプランに変更したりしても利用できないため、注意してください。
2.過失割合が10:0で自分が加害者の場合
「自分が自動車事故の加害者で過失割合が10:0」というようなケースでは、弁護士費用特約は利用できません。
過失割合が10:0になるケースとしては、無免許運転・飲酒運転・薬物を使用した状態での運転などが挙げられます。
3.自動車が関わらない自転車事故などの場合
自動車事故型の弁護士費用特約の場合、基本的に自動車が関わる事故のみ補償対象となるため、自転車事故などについては補償が受けられません。
ただし、具体的な補償範囲は保険会社によっても異なるため、詳しくは加入先の保険会社に確認しましょう。
4.無断で借りた車や盗難車で起きた事故の場合
弁護士費用特約は、被保険者の承諾を受けて車を使用・管理している方でも利用できます。
一方で、無断で借りた車や盗難車などを運転中に起きた事故の場合は利用できません。
5.自然災害によって起きた事故の場合
地震・津波・噴火などの自然災害によって起きた事故の場合、弁護士費用特約は利用できません。
6.自損事故の場合
自損事故とは、自分が単独で起こしてしまった事故のことを指します。
弁護士費用特約は相手がいる事故の場合に利用でき、自損事故では利用できません。
7.加害者が被保険者の親族などの場合
交通事故の相手が親族などの場合、家庭内の問題とみなされて弁護士費用特約は利用できません。
なお、ここでいう「親族」とは一般的に以下のような人物を指します。
- 被保険者もしくは配偶者の同居親族
- 被保険者の父母・子ども
- 被保険者の配偶者
- 被保険者もしくは配偶者と別居している未婚の子ども など
弁護士費用特約を利用するメリット
弁護士費用特約を利用するメリットとしては、主に以下があります。
弁護士費用の負担を大幅に軽減できる
交通事故の問題解決を弁護士に依頼する場合、ケースにもよりますが100万円を超える弁護士費用がかかることもあります。
弁護士費用特約では最大300万円まで負担してもらえるため、費用負担を大幅に軽減できるのが大きなメリットです。
特約を利用しても等級や保険料は変わらない
通常、交通事故に遭って保険を利用した場合、翌年の等級が下がって保険料が高くなります。
しかし、弁護士費用特約に関してはノーカウント事故として扱われるため、利用しても等級や保険料は変わりません。
依頼する弁護士を自分で自由に選べる
弁護士費用特約を利用すると保険会社が弁護士費用を負担することになりますが、依頼する弁護士について特に制限などはありません。
自分が信頼できると感じた弁護士や日頃からお世話になっている弁護士など、自由に選ぶことが可能です。
弁護士費用特約の使い方・流れ
ここでは、弁護士費用特約を利用する際の基本的な流れを解説します。
1.加入中の保険に弁護士費用特約が付いているか確認する
交通事故が発生した際は、まずは弁護士費用特約が利用できるかどうか確認しましょう。
自分が加入していなくても、親族などが加入している場合には利用できる可能性があります。
2.弁護士を探す
次に、交通事故トラブルの解決に力を入れている弁護士を探しましょう。
当社が運営する「ベンナビ交通事故」では、交通事故に強い全国の法律事務所を掲載しており、弁護士を探す際はおすすめです。
相談内容や地域ごとに対応可能な法律事務所を一括検索でき、初回なら無料で相談できる事務所なども多く掲載しています。
相談だけ利用することも可能ですので、状況的に余裕があれば複数の事務所で相談してみて対応を比較検討するのもよいでしょう。
3.保険会社に弁護士費用特約を利用する旨を伝える
弁護士が決まったら、自分が加入している保険会社に弁護士費用特約を利用する旨や弁護士の連絡先などを伝えます。
保険会社への連絡が済んだら、弁護士の方にも弁護士費用特約を利用する旨や保険会社の連絡先などを伝えましょう。
4.保険会社が弁護士に費用を支払う
上記の連絡が済んだら、そのあとは保険会社と弁護士でやり取りがおこなわれて、弁護士費用が支払われます。
弁護士費用特約を利用して解決できた事例
ここでは「ベンナビ交通事故」に掲載している解決事例の中から、弁護士費用特約を利用して解決できたケースを紹介します。
追突事故に遭って自己負担0円で解決できたケース
このケースでは、依頼者が赤信号で停止中に後ろから車で追突され、むちうち症を負って3ヵ月ほど治療を受けていました。
治療後に加害者側の保険会社と示談交渉を始めたものの、うまく話がまとまらずに困っていたところ、加入していた保険に弁護士費用特約が付いていることを知りました。
そこで、弁護士費用特約を利用して弁護士に依頼したことで、スムーズに示談交渉を進めることができ、無事解決することができました。
弁護士費用特約を利用したことで弁護士費用の支払いは発生せず、等級などにも影響なく、満足のいく結果を得ることができました。
加害者が無保険の物損事故に巻き込まれたケース
このケースでは、依頼者が赤信号で停止中に後ろから車で追突され、自身にはけががなかったものの車体に傷が付いてしまいました。
しかし、加害者が無保険であったため示談交渉が難航しており、依頼者はこのままでは解決が長引きそうだと感じ、弁護士費用特約を利用して弁護士に依頼しました。
依頼を受けた弁護士が交渉をおこなったところ、最終的には加害者から車両修理費などを受け取ることができ、自己負担0円で無事に解決することができました。
弁護士費用特約に関するよくある質問
最後に、弁護士費用特約に関するよくある質問について解説します。
保険会社が弁護士特約の利用を嫌がる場合はどうするべき?
弁護士費用特約の利用条件を満たしているにもかかわらず保険会社が利用を嫌がっている場合は、弁護士に相談してみることをおすすめします。
交通事故に強い弁護士であれば、弁護士費用特約の利用条件を満たしていて問題ないことを保険会社に伝えてくれて、保険会社側の対応が変わる可能性があります。
弁護士費用特約に重複して加入している場合はどうなる?
自分以外にも家族が加入していたりして重複している場合、弁護士費用特約の限度額が上乗せされます。
ただし、交通事故トラブルで弁護士費用が300万円を超えることはまれであるため、重複して加入するメリットは大してありません。
弁護士費用特約で日常生活のトラブルもカバーしてもらえる?
弁護士費用特約は「自動車事故型」と「日常生活・自動車事故型」の2種類あり、日常生活・自動車事故型であれば日常生活のトラブルもカバーしてもらえます。
ただし、具体的にどのようなトラブルに対応してもらえるのかは保険会社によっても異なるため、詳しくは直接保険会社に確認しましょう。
さいごに
弁護士費用特約を利用すれば最大300万円まで弁護士費用を補償してくれるため、費用倒れの心配なく弁護士に依頼することができます。
弁護士費用特約を利用しても等級や保険料などは変わらずデメリットもないため、条件を満たしている場合は積極的に利用しましょう。
自分が加入していなくても配偶者や同居親族などが加入していれば利用できる可能性があり、事故に遭った際は周囲の契約状況もあわせて確認しましょう。
事故対応を依頼する弁護士を探す際は、お住まいの地域から法律事務所を探せる「ベンナビ交通事故」がおすすめです。

