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自賠責保険の上限額は120万?費用の内訳と金額に納得いかない場合の対処法を解説
2024.10.16
車の接触によって物損が生じたものの、加害者がそのまま逃げてしまった場合、どのように対処すればよいか悩んでしまうものでしょう。
本記事では、そんな当て逃げの被害に遭った際の対処法について解説します。
当て逃げされた際の注意点やよくある質問についても解説しているので、本記事を参考に当て逃げ事件の解決を目指してください。
そもそも「当て逃げ」とは、どのようなものなのでしょうか。
ここでは、当て逃げの定義や課せられる責任、よく似た事件として「ひき逃げ」との違いなどについて解説します。
当て逃げとは、車やバイクの運転中に加害者が故意に物損事故を起こし、名乗り出ないまま立ち去ってしまうことを指します。
当て逃げで問題となるのは、逃げてしまったことではなく、事故を起こしてしまった際の警察への報告義務を怠ってしまったことにあります。
該当する違反行為は道路交通法第72条第1項に定められた危険防止措置義務違反と報告義務違反で、危険防止措置義務違反であれば1年以下の懲役または10万円以下の罰金(道路交通法117条の5第1項1号)、報告義務違反であれば3ヵ月以下の懲役または5万円以下の罰金が課せられる可能性があります(道路交通法119条第1項17号)。
当て逃げと近いものに、「ひき逃げ」があります。
当て逃げと同様、ひき逃げも法律用語ではありません。
当て逃げは物損事故で問題になるのに対して、ひき逃げは人身事故を起こしたにもかかわらず、負傷者の救護義務や危険防止措置義務を怠ったまま事故現場から立ち去ることをいいます。
ひき逃げ(救護義務違反)の罰則は当て逃げよりも重く、5年以下の懲役又は50万円以下の罰金を科せられます(道路交通法第117条1項)。
また、被害者が死傷した場合は10年以下の懲役又は100万円以下の罰金と、非常に重い罰則を科せられることになります(道路交通法第117条2項)。
当て逃げの犯人が見つかる確率は明確に試算されているわけではありませんが、そこまで高くはないといわれています。
ひき逃げの検挙率は90%を超えているといわれていますが、物損事故に留まる当て逃げは、警察による積極的な捜査がおこなわれず、犯人逮捕につながる確率が高いとはいえません。
当て逃げの犯人が見つかる確率は低いとはいえ、泣き寝入りする前にできることはあります。
以下のポイントを参考に、行動してみてください。
当て逃げの被害に遭ってしまったら、たとえ損害が少なくとも必ず警察に通報しましょう。
警察に通報することで事故の状況の調査や加害者特定の捜査がおこなわれます。
また、充分な証拠があれば逮捕につながることも期待できるでしょう。
警察に通報すべきもうひとつの理由として、事故証明書を発行してもらえることがあります。
事故証明書は、加害者への損害賠償請求や、自身の保険金請求に必要となるため、必ず発行してもらう必要があります。
当て逃げの加害者を逮捕するためには、多くの証拠が必要となります。
そのため、利用できる証拠は全て警察に提出し、捜査を進めてもらいましょう、
当て逃げ事件の証拠として、以下のようなものが挙げられます。
事故現場近くの防犯カメラの情報がほしい場合、映像の保管期限が迫っていることがあるため、早急に動く必要があります。
また、事故が発生した際に目撃者がいるのであれば、氏名と連絡先を聞いておくことでのちに証言してもらえる可能性があります。
落ち着いたタイミングで、ご自身が加入している保険会社へ事故が発生した旨を連絡します。
保険会社へ連絡する際、発生した事故の内容や発生日時などを伝える必要があります。
当て逃げによってけがをした場合や身体に異変を感じる場合は、すぐに病院を受診しましょう。
事故直後は大きなけがではないと思っていても、後遺症が残ってしまうケースがあります。
また、けがを負った場合、当て逃げではなくひき逃げとして扱われるようになり、加害者の罰則は当て逃げの場合よりも重いものになります。
当て逃げでよく見られるケースには、以下のようなものがあります。
当て逃げのよくあるケースに、駐車場での接触事故が挙げられます。
具体的には、駐車場に停める際や駐車場から出す際に車をぶつけてしまったり、停車中にドアを開けた際にぶつけてしまったりといったケースが想定されます。
駐車場での当て逃げが多く見られる理由には、駐車場が無人であることが多いことから「どうせバレないだろう」と、そのまま逃げてしまうことが考えられます。
次によくあるのが、車の走行中に相手の車と接触したものの、逃亡されてしまったケースです。
傷の程度から問題ないと判断し、そのまま無視してしまう場合があるほか、実は飲酒運転をしており、その発覚を恐れて逃げてしまうケースも見られます。
当て逃げをされた加害者には、以下のような責任を問える可能性があります。
道路交通法において、「交通事故があったとき、その当事者は直ちに車両等の運転を停止し負傷者を救護・道路における危険を防止等必要な措置をとることと、警察に報告すること」が義務付けられています。
当て逃げをしてしまった場合、危険防止措置義務と報告義務に違反しており、危険防止措置義務違反であれば1年以下の懲役または10万円以下の罰金、報告義務違反であれば3ヵ月以下の懲役または5万円以下の罰金が課せられる可能性があります。
【参考元】道路交通法|e-Gov法令検索
当て逃げを起こした場合、運転免許制度上の処分として、安全運転義務違反で2点、危険防止措置義務違反として5点の計7点が加算されます。
この点数を科された場合、過去に免許停止の処分などを受けていなくても、30日の免許停止処分を受けることになります。
ただし、ただの物損事故であれば、違反点数の加算はありません。
当て逃げ事件では、被害者に対して民事上の損害賠償責任が発生します。
示談金額は、基本的に加害者・被害者間の示談交渉で決められます。
なお、当て逃げの加害者が損害保険に加入していた場合は、保険会社が代理で示談交渉をおこないます。
当て逃げされた事故で加害者が判明した際には、以下のポイントを参考に行動してください。
加害者が保険に加入している場合、加害者の加入している保険の対物賠償責任保険が適応されます。
そのため、基本的には加害者側の保険会社と示談をおこなうことになります。
当て逃げ事故を起こされた場合、以下の項目で請求できる可能性があります。
加害者との示談交渉に不安を感じる場合は、弁護士に相談をしましょう。
交通事故の問題に強い弁護士に依頼することで、示談交渉を代行してもらうことが可能です。
弁護士への依頼を検討する場合、弁護士費用がネックとなる方が多いかと思います。
しかし、加入している保険の弁護士特約が利用できれば、弁護士費用はかかりません。
万が一の際に弁護士の力を借りたいという方は、保険内容の見直しをおこなっておくことをおすすめします。
当て逃げ事件はひき逃げ事件に比べて、検挙に至らない確率が高いといえます。
以下では、当て逃げ事件で加害者が判明しないときに検討すべきことを紹介します。
当て逃げの犯人が見つからず損害賠償を得られないからといって、車を修理しないわけにはいきません。
犯人が見つからない間は、自身が加入している車両保険の補填が利用できないかを検討しましょう。
ただし、プランによっては当て逃げが補填の対象外となっている場合や、車両保険を利用した結果保険料が上がり、結果損してしまうこともあるため注意が必要です。
当て逃げの結果、けがをしており人身事故に発展していた場合、政府の保証事業を利用できます。
政府の保障事業とは、被害者が受けた損害を国が加害者にかわって立て替える制度です。
当て逃げおよび物損事故の場合は利用できないため注意してください。
【参考元】損害賠償を受けるには?|国土交通省
当て逃げ事件の場合、証拠があったとしても、加害者が判明しないケースもあります。
以下では、泣き寝入りしないために確認しておきたい注意点を解説します。
当て逃げをされた場合、なるべく速やかに対応を開始する必要があります。
その理由は以下の2つです。
1つ目の理由は、時間が経つほど加害者の特定が困難になるためです。
事故当時の記憶は日を追うごとに薄れていきますし、目撃者も見つかりにくくなります。
また、防犯カメラにも映像の保存期間があるため、記録が失われてしまいます。
2つ目の理由は、損害賠償請求には消滅時効があることです。
物損事故における損害賠償請求の消滅時効は、「被害者またはその代理人が損害および加害者を知った時から3年」と定められています。
また、損害および加害者を把握できていなくても、事故の発生から20年で時効を迎えます。
当て逃げにあった際に示談交渉をおこなうなら、弁護士に依頼をしましょう。
とくに、あとからけがが見つかり、物損事故ではなく人身事故となった場合は、慰謝料の請求ができるようになるため、弁護士の力を借り適切に請求することで、多くの損害賠償を受けられる可能性があります。
物損事故として警察に連絡したのち、新たにけがが見つかった場合、警察に改めて連絡する必要があります。
人身事故の扱いとなるとより細かな捜査をおこなってもらえる可能性があり、加害者特定の確率もあがるといえます。
最後に、当て逃げされた場合によくある質問とその回答を紹介します。
時間が経ってしまっていても、当て逃げは警察に必ず届け出る必要があります。
当て逃げに気づくのが遅くなってしまい、「今から通報しても犯人が見つからないなら通報は不要だろう」と考える方もいるかもしれません。
しかし、警察に届け出ないと事故証明書が発行されず、保険が利用できません。
また、事故を警察に届け出ることは道路交通法によって義務付けられています。
当て逃げとして警察に届け出たものの、のちにけがに気づいた場合は警察に届け出ることによって、ひき逃げおよび人身事故として扱ってもらうことが可能です。
人身事故として扱われることによって、警察による詳細な捜査が期待できるほか、損害賠償に慰謝料が加わり、高額な賠償になることが期待できます。
一方で、事故から10日ほど経過してしまうと、人身事故への切り替えが難しくなってきます。
したがって、人身事故へ切り替えをおこなう場合には、迅速に警察へ人損である旨を届け出る必要があります。
加害者がもともとあった傷だと主張してきた場合は、以下のような証拠を提示し、事故によって新たについた傷であることを主張する必要があります。
また、加害者側が提示してくる賠償金は、主張を加味した金額になっている可能性があるため、鵜呑みにせずこちらの主張もしっかりと伝えることが大切です。
当て逃げの加害者が修理費の支払いを拒否してくる場合、弁護士を通して示談交渉をおこなうのがおすすめです。
また、それでも示談交渉に応じない場合は、民事訴訟による裁判を提起することになります。
弁護士という専門家からのアプローチや、裁判というワードが出てくることによって、支払いに応じる可能性は充分あるため、諦めずに交渉をおこないましょう。
当て逃げ事件は犯人の特定が難しい事件です。
そのため、犯人が見つからず泣き寝入りになってしまう可能性があります。
当て逃げ事件で泣き寝入りしないためには、充分な証拠の提出が重要です。
また、犯人が見つからない場合でも、おこなえることは豊富にあるので検討してみましょう。
本記事を参考にして、当て逃げ事件の解決を目指してください。