- 「休職中の従業員に退職を勧めても、違法にならないか…」
- 「従業員に納得してもらえないと、トラブルに発展してしまいそう…」
このような悩みを抱えている企業の担当者も多いのではないでしょうか。
休職中の退職勧奨には注意すべきポイントが多く、対応を誤ると違法行為とみなされるリスクがあります。
とはいえ、適切な手続きを踏めば法的な問題を回避できるので、ポイントを押さえることが大切です。
そこで本記事では、休職中の退職勧奨が違法となるケースや、トラブルを防ぎつつ適切に退職勧奨をするためのポイントを詳しく解説します。
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休職中の従業員に対する退職勧奨は違法行為にあたる可能性がある
休職中の従業員に対して退職勧奨をしても、直ちに違法とはなりません。
しかし、退職勧奨はあくまでも「労働者が自主的に退職を決断するための働きかけ」にとどまります。
状況によっては違法となるおそれがあるので、注意しましょう。
退職勧奨をする際は一定の配慮が求められる
休職中の従業員は、心身の不調を抱えているケースが多いです。
退職を促す際は、違法とみなされないための適切な配慮が欠かせません。
まずは、従業員の状況を十分に把握しましょう。
そして、一方的に結論を押し付けるのではなく、従業員と十分に話し合う姿勢を持つのが重要です。
また、退職を勧める合理的な理由を明確に伝えることも大切です。
単に「長期間休職しているため」といった理由ではなく、「休職期間が長期化し、復職の見通しが立たないため」など、客観的な事情を踏まえた説明を心がけましょう。
従業員自身の意向を確認し、退職以外の選択肢についても柔軟に検討すれば、より円満な解決につながりやすくなります。
対応が不適切であれば「退職強要」とみなされる
退職勧奨の方法も適切でなければなりません。
以下のような行為は、退職に関する自由な意思決定を妨げるとして違法となる可能性が高いので、絶対に控えましょう。
| 不適切な行為 | 具体例 |
|---|---|
| 複数回にわたる退職勧奨の実施 | ・退職を明確に拒否したあとも、連日面談を繰り返して退職を迫る ・1回の面談が1時間以上の長時間に及ぶ ・業務時間外や自宅に連絡し、退職を促す |
| 圧迫的な退職勧奨 | ・「退職しなければ懲戒解雇になる」など、脅迫的な発言をする ・大勢の上司や人事担当者で囲み、長時間にわたって退職を説得する ・机を叩いたり、怒鳴ったりして精神的に圧力をかける |
| 退職勧奨を拒否したことを理由とする不利益な取り扱い | ・重要な業務を外し、雑務のみを任せる ・遠方の地域に転勤させる ・長期間の自宅待機を指示し、職場で孤立させる ・一方的に減給や降格をおこなう |
復職希望の従業員を休職中に解雇することは現実的に難しい
従業員が退職勧奨に応じないのであれば、解雇も視野に入れなければならないでしょう。
しかし、休職中の従業員の解雇は難しいのが実情です。
そもそも休職制度には、従業員が一定期間仕事を離れて療養に専念できるようにする目的があり、「解雇の猶予期間」としての意味合いを有します。
そのため、休職期間中の解雇は、休職制度の趣旨に反すると考えられているのです。
また、解雇の取り扱いを定めた労働契約法第16条では、以下のような事情があれば「解雇権の濫用」として解雇が無効になると定められています。
- 客観的に判断して合理的な理由が欠けている解雇
- 社会通念上相当と認められない解雇
休職中の従業員が業務に復帰できるかどうか不明確な段階で、会社側の一方的な判断によって解雇手続きを進めると、解雇権の濫用に該当するおそれが高いです。
そのため、休職中の解雇手続きは慎重に進めなければなりません。
判断に迷うようであれば、弁護士に相談するのがおすすめです。
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休職中の従業員に退職勧奨をする際の注意点
休職中の従業員に対して退職勧奨をする際には、いくつか注意すべき点があります。
ここでは、主な注意点6つについて、詳しく見ていきましょう。
労働協約や就業規則を確認しておく
休職中の従業員に退職勧奨をおこなう際は、あらかじめ労働協約や就業規則を確認しておきましょう。
休職に関する規定や、復職・退職の基準が明確に定められていれば、規定に沿った対応が不可欠です。
ただし、規定があるからといって、退職勧奨が無制限に認められるわけではありません。
不適切な方法で退職勧奨をおこなうと、トラブルの原因となってしまうので、従業員に納得してもらえる形で進めることが大切です。
従業員に対して退職勧奨の合理的な理由を示す
退職勧奨の際は、従業員に対して合理的な理由を明確に伝える必要があります。
退職を勧められると、誰でも退職後の進路に不安を抱えてしまうでしょう。
それにもかかわらず、退職勧奨の理由が不明確だと、不信感を抱かれたり、反論されたりするなどトラブルになりかねません。
「業務遂行が困難である」「長期にわたる休職で業務に支障をきたしている」など、客観的理由を具体的に説明すれば、従業員に納得してもらえる可能性が高まるでしょう。
従業員との話し合いの場を設ける
退職勧奨の理由を一方的に伝えるのではなく、従業員との話し合いの場を設けることも大切です。
退職勧奨では、センシティブな内容を話すことになるので、ほかの従業員に知られないよう、時間帯や場所に配慮して設定してください。
また、話し合いの前には、話す内容を事前にメモなどにまとめておきましょう。
話し合いの場で事実と異なる説明や誤解を招く発言をすると、のちに会社の責任が問われる可能性があります。
実際には圧迫的な退職勧奨をしていなくても、後に従業員側から圧迫があったと主張されるケースは珍しくありません。
「言った・言わない」のトラブルを避けるためには、話し合いについて録音を行っていただくことが有効です。
時間に余裕をもって回答期限を設定する
退職を検討してもらう際には、余裕をもった回答期限を設定するようにしましょう。
退職勧奨に対して即座に同意を得られるケースもありますが、従業員から「少し考えたい」と申し出があれば、即時の返答の強要してはいけません。
即座の返答を強要してしまうと、退職強要とみなされるリスクがあるため注意しましょう。
また、仮にその場で同意を得られたとしても、のちにその効力が争われるおそれもあります。
実務上では、回答期限は1週間程度を目安に設定されるケースが多いです。
ただし、状況によって適切な期間は変わります。
従業員の事情も考慮しながら、期限は柔軟に設定しましょう。
傷病手当や退職金などの処遇に関する説明をおこなう
退職する場合の具体的な処遇についても、あらかじめ明確に説明しておくことが重要です。
退職勧奨を実施する際には、前もって「退職勧奨通知書」を準備するのが一般的です。
退職勧奨通知書とは、退職を勧める理由を明記した文書であり、退職金の支給やその他の条件についても記載されています。
後々のトラブルを避けるためにも、内容に誤りがないよう十分に留意して書面を作成しましょう。
退職に関する合意内容は書面で残しておく
退職勧奨に対して従業員の同意が得られたら、必ず合意内容を書面で残しましょう。
のちにトラブルが発生した際、書面の存在が重要な判断材料となるからです。
一般的には、「退職勧奨同意書」と呼ばれる書面を使用します。
退職勧奨同意書とは、従業員と会社間で退職を合意した際に、退職の条件などを記載した書面です。
なお、同意書の提出の強要は認められません。
もし脅迫のような手段を用いて同意書にサインさせると、同意書自体が無効と判断される可能性が高いです。
あくまでも任意の形で同意してもらいましょう。
休職を繰り返す従業員に退職してもらいたいときはどうするべき?
復職後の傷病の再発や増悪により、休職を繰り返す従業員も少なくありません。
このような従業員を退職させたいのであれば、まずは労働時間の変更や職種の変更など、就業上必要と考えられる措置を講じましょう。
それでも従業員の労働状況が改善しないようであれば、労務提供ができていない旨を本人に伝えたうえで退職勧奨をおこなうべきです。
また、無制限に休職制度を利用できるルールになっていないか、就業規則を確認しましょう。
休職制度の適用範囲が過度に広いと、復職後に再び休職するケースが増えてしまいます。
一方、休職や復職のルールが明確になっていれば、普通解雇が認められる可能性もあります。
現時点では該当する従業員がいなくても、将来的な事態に備えて、規定を見直しておきましょう。
うつ病や適応障害で休職中の従業員に退職勧奨をすることはできる?
うつ病や適応障害などの精神疾患で休職中の従業員に対しても、退職勧奨は可能です。
ただし、通常に比べてより一層慎重な配慮が求められる点に注意しましょう。
たとえば、従業員に対して不当な心理的圧力を加えたり、名誉感情を不当に害する言動を取ったりすると、違法な退職勧奨となります。
場合によっては、従業員の病状が悪化したり、慰謝料を請求されたりするリスクがあるでしょう。
とくに、精神疾患で休職中の従業員へ退職勧奨をおこなう際は、弁護士にアドバイスをもらいながら、慎重に対応してください。
さいごに|休職中の退職勧奨に関する悩み・疑問は弁護士に相談を
休職中の従業員に対する退職勧奨は、適切な方法でおこなえば違法にはなりませんが、対応を誤ると退職強要とみなされてしまいます。
とくに、繰り返しの休職やメンタルヘルスの問題を抱える従業員への対応には、十分な配慮が求められるでしょう。
退職勧奨をする際は、注意点をしっかりと理解して、慎重に対応するのがポイントです。
法的なリスクを避けるためにも、疑問や不安が残るようであれば、企業法務を得意とする弁護士へ相談するのがおすすめです。
自社の就業規則が適切に整備されているか不安な場合も弁護士にご相談ください。
顧問の社労士様がいる場合には、社労士様にご相談いただくことも適切です。
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相談する弁護士が見つかっていない方は、ぜひご活用ください。
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