不当な取引妨害や優越的地位の濫用など、独占禁止法に違反する行為をしてしまうと、企業または個人に罰則が科されます。
また、独占禁止法違反によって被害を受けた場合も、適切な対応を取らなければ経営に大きな影響を及ぼすでしょう。
しかし、独占禁止法は非常に専門的な分野です。
仮に違反行為によって何らかの被害を受けていたとしても、企業の担当者だけ対応するのは難しいので、早い段階から弁護士に相談することをおすすめします。
しかし、「弁護士はどのように探せばよいのか」「依頼すると何をしてもらえるのか」「費用はどの程度かかるのか」といった疑問を持つ方も多いでしょう。
そこで本記事では、弁護士の探し方や弁護士に依頼するメリット、弁護士に対応してもらえる具体的な業務内容について詳しく解説します。
独占禁止法について弁護士に相談するなら「企業法務弁護士ナビ」
独占禁止法について弁護士を探すのであれば、「企業法務弁護士ナビ」を活用するのがおすすめです。
企業法務弁護士ナビは、企業法務分野における課題を解決したい経営者と弁護士のマッチングに適したポータルサイトです。
企業法務分野を得意とする弁護士を、都道府県別・分野別・業種別に検索できるので、企業のニーズに応じた弁護士が見つかるでしょう。
以下では、企業法務弁護士ナビを利用する2つのメリットについて、具体的に紹介します。
地域・相談内容・業界・詳細条件から希望にあう弁護士を探せる
企業法務弁護士ナビでは、以下のように検索条件を細かく設定して弁護士を検索できます。
検索条件 | 選択可能な項目 |
---|---|
地域 | 47都道府県 |
相談内容 | 会社設立 顧問・セカンド顧問 IT・ネット法務 人事・労務 M&A・事業承継 取引・契約 国際取引 IPO 事業再生・破産・清算 クレーム・不祥事 知的財産 訴訟 |
業界 | 金融 建築・不動産 物流・運送 IT・メディア エネルギー・資源 自動車・機械 電気・精密 食品 小売 商社 繊維 飲食 サービス 娯楽・レジャー 医療 |
詳細条件 | 来所不要 全国対応 現在営業中 電話相談可能 当日相談可能 19時以降の相談可能 土曜の相談可能 個人の相談不可 休日の相談可能 |
細かい条件から自社の状況に合った弁護士を簡単に見つけられるでしょう。
課題解決に最適な弁護士とのマッチング機能も利用できる
企業法務弁護士ナビでは、マッチング機能も実装されています。
マッチング機能を利用すれば、企業の課題に対して最適な解決策を有する弁護士を、最大5名まで紹介してもらえます。
以下のように経営者同士で相談しにくいコンフィデンシャルな案件でも、完全非公開で相談できる点が魅力です。
- 契約書の作成・レビュー
- 機密性の高い案件
- M&A
- 事業承継
独占禁止法について相談する弁護士の選び方
弁護士を選ぶ際には、単に独占禁止法に詳しいというだけではなく、以下で紹介するポイントもしっかり確認すことが大切です。
独占禁止法に関する件の解決実績
まず、独占禁止法に関する解決実績を具体的にチェックしておきましょう。
独占禁止法は専門性が高く、正確な知識に加えて経験が求められる分野です。
過去に独占禁止法関連の案件を多く手がけたことのある弁護士であれば、法的知識だけでなく、実務に基づいた具体的な対応策を提案してくれる可能性が高いでしょう。
たとえば、公正取引委員会の調査対応や課徴金減免制度(リニエンシー制度)などの経験があれば、必要な手続きや準備すべき資料、対応のポイントなどを熟知しているはずです。
企業が受ける影響を最小限に抑えつつ、適切にリスクを回避してくれるでしょう。
解決実績は、法律事務所のホームページなどにアクセスすれば確認できます。
また、実際に相談した際に、これまでの対応事例について直接確認してもよいでしょう。
自社の業界に精通しているか
弁護士が自社の業界に精通しているかも重要です。
独占禁止法に関する注意点は、業界ごとの特性や取引慣行によって大きく異なります。
自社が属する業界や事業内容について深い理解を持つ弁護士を選べば、業界ごとの法律や商慣行を踏まえ、より具体的で実効性のあるアドバイスが期待できるでしょう。
相性がよく相談しやすいと感じるか
弁護士との相性のよさも、重要な選定基準のひとつとなります。
独占禁止法に関する問題は、解決までに時間がかかるケースが多いので、弁護士と長期間にわたるやり取りが発生します。
相性の良い弁護士であれば、コミュニケーションが円滑に進むでしょう。
具体的には、以下の要素をチェックしておくと安心です。
- 専門的な法律用語をわかりやすく説明してくれるか
- 疑問点に対して丁寧かつ誠実に回答してくれるか
- 進捗を適宜報告してくれるか
独占禁止法について弁護士に依頼する場合の費用
ここからは、独占禁止法について弁護士に相談・依頼する際の弁護士費用の相場や、費用内訳を解説します。
費用相場は法律事務所や案件によって大きく異なる
弁護士費用は、法律事務所の料金体系や案件の難易度によって大きく異なるので、明確な費用相場は決まっていません。
たとえば、独占禁止法に抵触する可能性がある行為について事前にアドバイスを受ける場合、比較的相談時間が短く済むので、そこまで高額な費用はかかりません。
しかし、すでに独占禁止法違反の疑いがかけられており、公正取引委員会の調査を受ける場合には、書類作成や交渉・法的手続きにかかる時間や労力が増えるので、費用は高額になるでしょう。
また、企業の規模や事業内容によっても、対応の複雑さが変わります。
着手金と成功報酬がかかる
独占禁止法関連の案件を弁護士に正式に依頼する場合、一般的に着手金と成功報酬の2つの費用が発生します。
それぞれの費用の内容は、以下のとおりです。
- 着手金:弁護士が案件に着手する際に必要となる初期費用
- 成功報酬 : 依頼した案件が解決した場合に支払う報酬
着手金と成功報酬の料金体系は、法律事務所ごとに異なります。
依頼する際は、事前に見積もりや契約内容に目を通し、どのような条件で費用が発生するのか確認しておきましょう。
なお、法律事務所のなかには時間制(タイムチャージ制)を採用しているところもあります。
時間制の場合、弁護士が対応した時間に応じて費用が加算されるため、解決までが長期にわたる案件では、費用が高額になる可能性があるでしょう。
費用対効果もよく検討する必要がある
弁護士への依頼を検討する際は、単純に費用の高い・安いで比べるのではなく、費用対効果の視点を持つことも重要です。
独占禁止法案件で適切な弁護士を選ぶことは、法的リスクの回避や適切な対応につながり、結果的に企業の損失を大幅に抑えられることにもつながります。
しかし、費用だけを重視して誤った弁護士を選んでしまうと、企業の信用失墜や高額な課徴金が発生し、結果として大きな損害を被るリスクもあるのです。
そのため、依頼によって得られるメリットと、発生するコストのバランスを慎重に判断することが求められます。単に費用が安いからという理由だけで選ぶのではなく、弁護士の実績なども踏まえて総合的に判断しましょう。
独占禁止法分野において弁護士に依頼できる業務
ここでは、独占禁止法に関して弁護士に依頼できる具体的な業務について詳しく解説します。
独占禁止法上の相談、助言、違反事件の対応
弁護士は、独占禁止法に関する相談や助言、違反事件の対応をおこないます。
企業の販売戦略や価格設定が独占禁止法に抵触しないか、企業内部だけで正確に理解するのは簡単ではありません。
弁護士に依頼すれば、適切な法的アドバイスをもらえるでしょう。
また、独占禁止法違反の疑いがある場合、公正取引委員会による立入検査を受けなければならないケースがあります。
弁護士に依頼すれば、立入検査時の対応に関するアドバイスを受けられるので、適切な対処法がわかるはずです。
独占禁止法に違反してしまった場合でも、弁護方針の策定や取り調べに向けた準備、報告命令に対する対応の検討など、実践的なサポートを受けられるため心強いでしょう。
カルテル・談合案件の対応
弁護士は、カルテル・談合などの独占禁止法違反の疑いがある事案への対応もおこないます。
近年、独占禁止法では、以下のような制度が次々と導入・廃止されています。
- 課徴金減免制度(リニエンシー制度)の導入
- 審判制度の廃止
- 確約制度の導入
- 司法取引制度の導入
弁護士は、各制度に関する知見を日々アップデートしています。
そのため、会社の違反状況に応じて、制度の利用の是非など、今後の対応に関する適切なアドバイスに期待できるでしょう。
M&Aなど企業結合の対応
弁護士は、M&A(企業の合併・買収)などの企業結合への対応も可能です。
M&Aは、企業同士の統合による規模の拡大を目的としておこなわれます。
しかし、M&Aにより「自由競争が妨げられ、消費者が不利益を被る可能性」があれば、独占禁止法に抵触する可能性があるため注意が必要です。
独占禁止法に抵触する可能性があれば、公正取引委員会への事前の届出と報告が必要になります。
弁護士は、事案に応じてM&Aが独占禁止法に抵触するか判断してくれるほか、公正取引委員会への届出手続きも代行してくれるので安心です。
独占禁止法訴訟対応
弁護士は、独占禁止法訴訟への対応もおこないます。
公正取引委員会の審査対象となった企業は、取引先などから民事上の請求を受けるケースが少なくありません。
事案によっては、訴訟へと発展することもあります。
弁護士であれば、訴訟に発展した際の手続きも代行が可能です。
また、案件の初期段階から訴訟リスクを見据えたアドバイスをおこない、訴訟リスクを適切に管理してくれるでしょう。
知的財産権と関連する問題の対応
弁護士は、知的財産権と関連する問題への対応もおこないます。
独占禁止法は「市場の独占を防ぎ、公正な競争を促進すること」を目的とする法律です。
一方で、知的財産法は「発明や創作を保護するために、特定の権利者に独占的な権利を付与すること」を目的としています。
そして、独占禁止法と知的財産法は、互いに矛盾・対立する制度であると言われることもあります。
独占禁止法と知的財産法の扱いは問題になりやすいため、弁護士によって適切な対応が必要です。
下請法に関する問題の対応
弁護士は、下請法に関する問題への対応もおこないます。
下請法は、独占禁止法の特別法として位置づけられるため、下請企業との取引に関しては、独占禁止法だけでなく、下請法も適用される可能性があります。
大企業が下請企業に対して一方的に不利な契約を押し付けたり、不当な値引きを強要したりすると、下請法違反と認定されるかもしれません。
その点、弁護士であれば、該当する取引内容などを踏まえて下請法のリスク評価が可能です。
独占禁止法に違反した場合の罰則
独占禁止法に違反した場合、企業や経営者には以下3つの責任・罰則が科されます。
- 民事責任
- 行政処分
- 刑事処分
違反行為の内容や程度によって科される責任・罰則は異なりますが、場合によっては企業の存続に関わる重大な影響を及ぼすこともあります。
ここでは、それぞれの罰則について詳しく見ていきましょう。
民事上、損害賠償請求を受ける
独占禁止法に違反する行為をおこなうと、被害を受けた企業や個人から民事上の損害賠償請求を受けるリスクがあります。
たとえば、価格カルテルによって商品価格が不当に引き上げられた結果、消費者や取引先が経済的な損害を被ったケースでは、被害者は加害企業に対して損害賠償請求が可能です。
なお、独占禁止法に関する案件では、加害企業に故意や過失がなくても損害賠償請求責任を負う点に注意してください。
行政処分として排除措置命令や課徴金納付命令を受ける
独占禁止法違反が認められた場合、公正取引委員会から行政処分を科される可能性があります。
行政処分には、「排除措置命令」と「課徴金納付命令」の2つがあり、それぞれ以下のように内容が異なります
排除措置命令
排除措置命令とは、公正取引委員会が違反企業に対して、違反行為の是正や再発防止を命じる行政処分です。
排除措置命令が出されると、企業は以下のような対応を求められます。
- 違反行為を直ちに中止する
- 不適切な契約や取引条件を見直す
- 社内のコンプライアンス体制を強化し、再発防止策を実施する
排除措置命令に従わなかった場合、刑事罰が科される可能性があります。
課徴金納付命令
課徴金納付命令とは、違反企業に対して国庫に一定額を納めるよう命じる行政処分です。
課徴金の金額は、違反行為がおこなわれた期間(最大3年間)の売上額に、一定の算定率を乗じて計算されます。
算定率は、企業規模や業種によって異なるほか、以下のような事情によっても増減します。
- 違反行為を繰り返した場合:最大1.5倍増額
- 違反行為を反復継続し、かつ、違反行為において主導的役割を担った場合:最大2倍加算
- 違反行為を早期に自主的に取りやめた場合:最大1.2倍減額
刑事処分として罰金を科せられる可能性も
特に悪質な独占禁止法違反には、罰金が科される可能性があります。
罰金は、法人だけでなく、経営者や担当者などの個人にも科されるので注意が必要です。
以下で違反行為ごとに罰金の内容を押さえておきましょう。
違反行為 | 法人に科される罰金 | 個人に科される罰金(・懲役) |
---|---|---|
私的独占 不当な取引制限 事業者団体による、一定の取引分野における競争の実質的な制限 上記各行為の未遂 | 5億円以下の罰金 | 500万円以下の罰金(または5年以下の懲役) |
不当な取引制限に該当する事項を内容とする国際的協定または国際的契約の締結 事業者団体による一定の事業分野における現在または将来の事業者数の制限 事業者団体による構成事業者の機能または活動の不当な制限 確定した排除措置命令または競争回復措置命令の不遵守 | 3億円以下の罰金 | 300万円以下の罰金(または2年以下の懲役) |
独占禁止法違反を問われた事例
ここでは、実際に独占禁止法違反を問われた事例を紹介します。
くれぐれも同様の違反をおこなわないように注意しましょう。
自動車部品メーカーによる談合事件
2002年7月から2011年12月にかけて、自動車部品の受注に関する取引において、複数の事業者が共謀し、特定の企業だけが受注できるよう調整していたことが発覚しました。
当該行為について、公正取引委員会は「特定の市場における競争を実質的に制限するものであり、独占禁止法第2条第6項が規定する不当な取引制限に該当する」と判断しました。
その結果、関与した事業者に排除措置命令および課徴金納付命令が下され、課徴金の総額は34億2,859万円にのぼっています。
子ども・ベビー用品の小売業者が優越的地位を濫用した事件
2009年1月から2011年1月にかけて、子ども・ベビー用品を取り扱っていた小売業者が、取引価格の減額や商品の返品の強制など、納入業者に対して優越的な地位を濫用した行為が問題となりました。
当該行為について、公正取引委員会は「行為が市場における公正かつ自由な競争を妨げるおそれがあり、独占禁止法第2条第9項第1号~5号が規定する不公正な取引方法に該当」すると認定しています。
その結果、事業者に排除措置命令および課徴金納付命令が下され、課徴金の総額は2億2,218万円にのぼりました。
さいごに|独占禁止法分野に強い弁護士なら「企業法務弁護士ナビ」で
独占禁止法に違反すると、損害賠償請求や刑事処分、行政処分を受けてしまいます。それに伴い企業の信用も低下し、事業継続の危機に直面してしまうかもしれません。
そのため、独占禁止法に関する懸念点があれば、早い段階から弁護士へ相談しておくのが重要です。
「企業法務弁護士ナビ」では、独占禁止法に強い弁護士を簡単に検索できます。
カルテルや談合、優越的地位の濫用など、複雑な問題にも対応できる弁護士とつながれば、リスクを最小限に抑えられるでしょう。
相談できる弁護士の心当たりがなければ、まずは「企業法務弁護士ナビ」をご活用ください。

