任意整理の手続きが始まると、借金返済の督促や取り立てが一時的にストップします。
債権者と支払い条件について合意できて任意整理の手続きが終わると、新しい条件での借金返済が始まります。
任意整理をするにあたっては、支払い開始までの期間などを把握して心づもりをしておきたいですよね。
また、せっかく任意整理をするのであれば、再び借金返済ができなくなるような事態は避けたいものです。
そこで、本記事では以下のような任意整理後の支払いについて解説します。
- 任意整理後の支払い開始までの期間や流れ
- 任意整理後に支払いが遅れたらどうなる?
- 任意整理後に支払いできなくなった場合の対処法
任意整理について不安に思っている方は参考にしてください。
任意整理は裁判所を通さずにおこなう手続きです。
したがって、債権者との交渉は自分でやらなければなりません。
任意整理を検討中の方は、弁護士に依頼することをおすすめします。
弁護士に依頼するメリットは以下のとおりです。
- 自分にとって任意整理が最善の選択肢であるかどうかアドバイスしてくれる
- 債権者との対応を任せることができる
- 借金返済の督促が停止する
債務整理が得意な弁護士であれば、現実的な返済計画を一緒に立ててくれるでしょう。
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任意整理後はいつから借金の支払い(返済)を開始する?
任意整理後、最初の支払いが始まるまでの期間は約3ヵ月〜6ヵ月が一般的です。
任意整理で返済額や返済期間などの支払い条件について債権者との和解が成立すると、支払いが開始します。
ただし、スムーズに和解が成立するかどうかは債権者との交渉次第であるため、支払い開始までの期間は一概には言えません。
なかには3ヵ月もかからないこともありますし、逆に6ヵ月以上かかることもあります。
任意整理をして支払い(返済)開始する際の流れ
任意整理の手続きは、基本的に以下のような流れで進行します。
- 受任通知の送付(借金の督促・返済がストップ)
- 過払い金の有無の調査
- 支払い条件の交渉
- 和解契約の成立・支払い開始
- 特定調停に移行(和解交渉が不成立の場合)
以下では、それぞれの流れについて解説します。
1.受任通知の送付(借金の督促・返済がストップ)
任意整理の手続きは弁護士や司法書士に依頼するのが一般的で、法律相談をしたのち見積内容に問題がなければ弁護士費用・司法書士費用を支払います。
任意整理を依頼すると、弁護士や司法書士は債権者に対して受任通知を送付します。
受任通知とは、弁護士や司法書士が依頼者である債務者の代理人として債務整理をおこなうことを知らせる通知のことです。
債権者に受任通知が届くと、貸金業法の規定に基づき、債務者に対する督促や取り立てがストップします。
2.過払い金の有無の調査
弁護士や司法書士は、債権者に対して債務者との取引履歴の開示を求めます。
債権者から取引履歴が開示されると「利息制限法の上限金利である15%〜20%を超えた借り入れがないか」「もしある場合はいくらなのか」などを調査します。
上限金利を超えて支払っていた利息は「過払い金」として返還され、借金の元本に充当できます。
過払い金がある場合は借金の引き直し計算をおこない、借金残額を確定します。
なお、過払い金は現在抱えている借金だけでなく、すでに完済している過去の借金にも適用されます。
過払い金の時効である「借金完済後10年または過払い金請求ができると知ったときから5年」の期間を過ぎていなければ、過払い金を回収できる可能性が高いです。
3.支払い条件の交渉
借金残額が確定すると、今後の利息の支払いや返済期間などの支払い条件について、債権者との交渉が始まります。
交渉では、債権者側の対応次第でスムーズに進むこともあれば時間がかかることもあります。
4.和解契約の成立・支払い開始
支払い条件について双方が合意すれば和解契約書を交わし、返済計画に基づいて支払いが開始されます。
任意整理の手続きを始めてからここに至るまでの期間が、一般的には約3ヵ月~6ヵ月とされています。
5.特定調停に移行(和解交渉が不成立の場合)
任意整理の場合、裁判所が関与しないため強制力はありません。
なかには債権者側が支払い条件の緩和などに応じず、和解契約が成立しない場合もあります。
そのような場合の対応としては、簡易裁判所に申し出て「特定調停」に移行するという方法があります。
特定調停とは、裁判所が間に入って債権者と債務者の和解を図る手続きのことです。
特定調停の場合、個人再生や自己破産などのように官報で氏名や住所が公表されたりすることはありません。
しかし、裁判所から自宅に通知が送付されるため、同居家族などがいる場合は手続きをおこなっていることを知られる可能性があります。
また、特定調停が完了するまでには一般的に3ヵ月〜4ヵ月程度の期間を要するほか、費用なども発生します。
任意整理後に支払い(返済)が遅れるとどうなる?
任意整理後にお金に困って支払いが遅れてしまった場合、以下のようなリスクがあります。
債権者との和解が無効になってペナルティが発生する
1回(1ヵ月)支払いが遅れただけであれば待ってもらえるケースもありますが、長期間滞納したりすると以下のようなリスクがあります。
- 支払い督促の通知が来る
- 借金残額の一括返済を求められる
- 損害遅延金を請求される
- 財産が差し押さえられる
これらは任意整理に限らず、金銭消費貸借契約にもとづき借金全般で起こる滞納時のペナルティです。
任意整理による支払い条件の和解契約も金銭消費貸借契約の一種であり、契約に違反すれば同様のペナルティを受けます。
もし任意整理後に支払いが遅れそうな場合は、速やかに依頼先の弁護士や司法書士に連絡して対応を相談しましょう。
依頼先の弁護士や司法書士に辞任される可能性がある
任意整理では、弁護士や司法書士経由で債権者に支払うことも可能です。
しかし、支払いが遅れたりすると辞任されてしまう可能性もあります。
そのような場合は自力で対応することになり、原則として依頼時に支払った着手金は返金されません。
任意整理後に支払い(返済)ができなくなった場合の対処法
任意整理は、安定した収入があることを前提に、利息や返済回数などの支払い条件を緩和して借金の完済を目指す手続きです。
ただし、なかには失業などで収入を失ったりして借金返済の見込みがなくなることもあります。
ここでは、そのような場合の対処法について解説します。
債権者と再度交渉して再和解をする
まず一つ目の方法としては、再び債権者と交渉して和解契約を結び直すという方法があります。
ただし、相手によっては対応を拒否されることもありますし、交渉に応じてくれても厳しい条件を提示されるおそれがあります。
任意整理先を増やして追加介入をおこなう
複数の借金を抱えていて任意整理していないものがある場合は、追加で任意整理をおこなうという方法もあります。
追加介入がうまくいけば、毎月の返済負担が軽くなって支払いを継続できる可能性があります。
個人再生や自己破産に移行する
再和解や追加介入では解決が難しい場合は、個人再生や自己破産を検討しましょう。
- 個人再生:借金を最大10分の1まで減額してもらう手続き
- 自己破産:借金の返済を免除してもらう手続き
任意整理は減額効果が比較的小さく、自力での借金返済が困難な場合には個人再生や自己破産などの方が向いています。
ただし、個人再生や自己破産をおこなうには裁判所とのやり取りが必要であるうえ、家や自動車などの財産を処分することになる場合もあります。
債務整理が得意な弁護士や司法書士であれば、どの方法を選ぶべきか的確にアドバイスしてくれるため、一度相談してみることをおすすめします。
任意整理後の支払いに関するよくある質問
ここでは、任意整理後の支払いに関するよくある質問について解説します。
任意整理後に支払い開始するのはいつから?
任意整理をして支払いが始まるまでの期間は、約3ヵ月〜6ヵ月が一般的です。
ただし、スムーズに和解が成立するかどうかは債権者との交渉次第であるため、場合によっては6ヵ月以上かかったりすることもあります。
任意整理後に支払いができない場合、待ってもらうことは可能?
ケースにもよりますが、1回(1ヵ月)支払いが遅れただけであれば待ってもらえることもあります。
もし支払いが遅れそうな場合は、速やかに依頼先の弁護士や司法書士に連絡して対応を相談しましょう。
100万円を任意整理して返済する場合の月々の返済額はいくらですか?
たとえば「借金100万円・年利15%・返済期間3年」というケースで任意整理した場合、毎月の返済額や減額分などをまとめると以下のとおりです。
任意整理前 | 任意整理後※ | |
---|---|---|
毎月の返済額 | 3万4,665円 | 2万7,777円 |
返済総額 | 124万7,934円 | 100万円 |
減額分 | 24万7,934円 |
※利息をカットできた場合の金額(あくまでも目安です)
任意整理中や任意整理後にクレジットカードは作れる?
基本的に、任意整理中や任意整理直後にクレジットカードは作成できません。
任意整理をおこなうと、いわゆる「ブラックリスト」に載ってしまうため、一定期間はクレジットカードの審査などに通りにくくなります。
任意整理の場合、ブラックリストになる期間の目安としては「借金が完済してから5年程度」で、5年を過ぎればクレジットカードを作成できる可能性があります。
まとめ
任意整理後に支払いが滞ると、借金残額の一括返済・遅延損害金の発生・財産差し押さえなどのペナルティが発生します。
任意整理をおこなう際は弁護士や司法書士とよく相談して、無理なく返済できる和解条件を探っていきましょう。
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