- 「楽天カードの借金は任意整理で減らせる?」
- 「楽天カードを任意整理するとどんな影響がある?」
こんな疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか?
任意整理とは、弁護士などの専門家を通じて債権者(お金を借りている相手)と直接交渉し、借金にかかる利息や遅延損害金をカットしてもらう手続きです。
楽天カードは、比較的任意整理に協力的な傾向があり、将来利息をカットしたうえで5年間での返済に応じてくれるなど、任意整理をするメリットが大きいケースが多いといえます。
その一方で、楽天カードに紐づけられた楽天ポイントは失効するなど、楽天カード特有のリスクもあるため注意が必要です。
本記事では、楽天カードを任意整理する際の注意点や、楽天カードを任意整理した場合の生活への影響などを詳しく解説します。
また、任意整理後に新たにクレジットカードを発行するためのコツも紹介するので、楽天カードの任意整理を検討している方はぜひ参考にしてください。
楽天カードの任意整理への対応の傾向
まずは、楽天カードの任意整理への対応の傾向を簡単に解説します。
任意整理に協力的な傾向がある|好条件での和解が期待できる
基本的に、楽天カードは任意整理に協力的な傾向があるといえます。
具体的には、楽天カードは任意整理に対して以下のような対応をするケースが多いです。
利息の減額 | ・将来利息(和解後に発生する利息)は全額カット ・交渉開始から3ヵ月以内に和解できる場合は経過利息(任意整理の交渉開始から和解までに発生する利息)や遅延損害金もカット |
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返済期間 | ・5年(返済回数60回)での和解に応じてくれる ・残債務額が少ない場合は5年より短い期間での和解となる |
一般のカード会社や消費者金融だと、任意整理をしても将来利息が全額カットとならず、5%~10%程度は支払わなくてはならないケースもあります。
それに対して、楽天カードは将来利息の全額カットに応じてくれるうえ、交渉がスムーズに運べば経過利息や遅延損害金についてもカットが望めるのです。
また、返済期間についても、多くの金融会社が3年〜5年程度の返済期間での和解となるのが一般的である一方で、楽天カードはほとんどのケースで5年での和解に応じてくれます。
さらに、返済の開始時期についても和解後の3ヵ月先まで待ってくれるケースが多く、弁護士費用の支払いと合わせても余裕を持った支払いが見込めるといえるでしょう。
交渉が長引くと訴訟を起こされやすい
楽天カードは任意整理に協力的ですが、交渉が長引くと訴訟を起こされやすい傾向があります。
具体的には、交渉が半年以上の長期間に渡ると裁判を起こされる可能性が高いといえます。
裁判に発展した場合は、任意整理の対象の残債務を一括請求されるケースが多いでしょう。
とはいえ、裁判を起こされた場合でも弁護士に依頼してきちんと対応すれば、5年の分割払いに落ち着く可能性は高いといえます。
長期滞納で債権回収会社との交渉になると分が悪い
楽天カードの滞納が3ヵ月以上続いている場合に任意整理をすると、任意整理の交渉相手が楽天カードではなくパルティール債権回収という債権回収会社になる可能性が高くなります。
パルティール債権回収との任意整理となると、和解条件が厳しくなるケースが多いため注意が必要です。
具体的には、将来利息のカット自体にも応じてくれなかったり、頭金として残債務の一部を用意しないと分割払いにすら応じてくれなかったりする可能性があります。
以上のような事情から、楽天カードの任意整理を検討している場合は、滞納してしまう前に弁護士に相談して任意整理に踏み切るのがおすすめといえます。
楽天カードの任意整理をする場合の注意点
ここでは、楽天カードの任意整理する場合の注意点をいくつか紹介します。
楽天ゴールドなどはほかの方法での債務整理がよい可能性も
楽天カードとの任意整理は、借金の利息部分のみをカットして、元金は最長5年の期間で返済していくこととなります。
楽天の一般カードの利用限度額は最大でも100万円なので、一般カードの利用分が支払えない場合は任意整理での解決がおすすめといえます。
なぜなら、一般カードで利用限度額ギリギリまで利用している方が任意整理をしても、利息をカットした100万円が60回払いとなるため、毎月の返済は1.6万円程度となり、継続した返済が十分可能だからです。
その一方で、楽天ゴールドカードは利用限度額が最大200万円、楽天プレミアムカードは利用限度額が最大300万円となっているため、任意整理で利息をカットしただけでは返済が難しいケースもあるでしょう。
そのため、楽天ゴールドカードやプレミアムカードを利用している方の場合は、借金の元金ごと減額ができる「個人再生」や「自己破産」など、任意整理以外の選択肢も検討したほうがよい可能性が高いです。
キャッシング枠とショッピング枠の両方が対象になる
楽天カードについて、キャッシング枠とショッピング枠の両方を利用しており、「キャッシング枠だけ任意整理して、ショッピング枠は今まで通り返済を続けながら使いたい」と考えている方もいるのではないでしょうか?
しかし、残念ながらキャッシング枠のみまたはショッピング枠のみを任意整理の対象とすることはできず、任意整理するなら両方を対象としなくてはいけません。
任意整理では「楽天カード株式会社」に対して利息カットの交渉をする形になるため、会社内のサービスを個別に減額してもらうという対応はしてもらえないのです。
そのため、キャッシング枠の返済が苦しく任意整理をした場合は、ショッピング枠も使えなくなることを覚えておきましょう。
楽天銀行からも借り入れがある場合はあわせて対象に
楽天カードを任意整理した際に、楽天銀行のカードローンを利用している場合は楽天銀行も任意整理の対象としなくてはならないケースがほとんどです。
反対に、楽天銀行のカードローンを任意整理の対象とした場合には、楽天カードも任意整理の対象となります。
これは、楽天銀行と楽天カードはグループ会社であり、いずれか一方を任意整理したという情報はもう一方の会社にすぐに共有されるため、強制解約となる可能性が高いことによります。
実際、強制解約となる場合は、残債を一括請求されますが、任意整理をしている状況で残債を支払うのは難しいでしょう。
以上のような事情から、楽天銀行と楽天カードそれぞれから借入がある方は、二社とも任意整理の対象とすることになるので注意しましょう。
楽天カードの任意整理をした場合の影響
楽天カードを任意整理した場合の生活への影響は主に以下のとおりです。
- 楽天カードは強制解約される
- ブラックリストに載る
- 楽天ポイントは失効する
- 借り入れがなければ楽天銀行の口座は凍結されない
- 楽天モバイルは基本的にそのまま使える
- 楽天市場も変わらず利用できる
それぞれ具体的に解説します。
1.楽天カードは強制解約される
楽天カードを任意整理の対象にすると、楽天カードは強制解約されてしまいます。
任意整理をすると当初の契約通りの支払いは履行されないこととなり、楽天カードの会員規約に記載があるとおり「信用状態が著しく悪化した」とみなされ、会員資格が取り消されてカードが強制解約となってしまうのです。
第19条(カード利用の停止、会員資格取消し)
3.当社は、会員が次の各号のいずれかの事由に該当した又は当社が該当したと判断した場合、会員資格を取消すことができ、加盟店等に当該カードの無効を通知又は登録することがあります。引用元:カード会員規約|楽天カード
また、任意整理などの債務整理によって会員資格が取消になったという情報は、楽天カードやグループ会社内に半永久的に残り続ける可能性が高いです。
そのため、楽天カードを任意整理の対象にした場合は、楽天カードは今後一切作成できないうえ、グループ会社である楽天銀行のカードローンなども利用できないケースが多いでしょう。
家族カードも強制解約
楽天カードの家族カードを発行している場合は、本契約のカードを任意整理の対象としたことによって家族カードも強制解約となります。
家族カードの名義人はあくまで本会員である契約者であるため、本会員が自分のカードについて任意整理をした場合は家族カードも一緒に解約となってしまうわけです。
第2条(家族会員)
1.本会員が本条第2項及び第3項の責任を負うことを承認した家族で、当社が適格と認めた方を家族会員(以下本会員と家族会員を「会員」といいます。)とします。家族会員は、本会員が退会その他の理由で会員資格を喪失した場合には当然に会員資格を喪失します。引用元:カード会員規約|楽天カード
家族や配偶者などが家族カードを利用している場合は、強制解約によって任意整理をした事実が家族にバレてしまう可能性が高いため注意が必要です。
2.ブラックリストに載る
楽天カードを任意整理するとブラックリストに載ってしまい、クレジットカードやローンが使えなくなります。
任意整理をしたという情報は、個人の借金に関する記録を管理している信用情報機関に登録され、いわゆる「ブラックリスト」になってしまいます。
カード会社や消費者金融などの金融機関は、信用情報機関の情報をもとに契約の審査をするため、ブラックリストに載っている間は新たに他社のカードやローンを契約することは難しいでしょう。
3.楽天ポイントは失効する
楽天カードを任意整理すると、カード自体が強制解約となるため、楽天カードに紐づけられている楽天ポイントも失効してしまいます。
楽天ポイントは、楽天市場や楽天トラベルなどで利用できるほか、楽天Payにチャージして街中での買い物にも利用できます。
楽天カードを任意整理する前には、ポイントを使い切っておくのがおすすめです。
また、楽天カードに紐づいておらず、スマホアプリや楽天ポイントカードで貯めた楽天ポイントはカードを任意整理しても継続して利用できます。
4.借り入れがなければ楽天銀行の口座は凍結されない
楽天カードを任意整理した場合でも、楽天銀行カードローンの借入がなければ楽天銀行の口座は引き続き利用できます。
逆に、楽天銀行カードローンの借入がある場合は、楽天銀行も任意整理の対象になることにより、口座が一時的に凍結されてしまうので注意しましょう。
なお、楽天銀行の口座が凍結されると、引き出しや口座引き落としができず、水道光熱費などの支払いにも影響が出るリスクがあります。
楽天銀行から借入がある方は任意整理の際に注意が必要です。
5.楽天モバイルは基本的にそのまま使える
楽天モバイルと楽天カードは、同じ楽天グループではありますが他社のサービスであるため、楽天カードを任意整理したあとでも楽天モバイルは引き続き利用できます。
ただし、楽天モバイルの利用料金を楽天カードで支払っている場合は、楽天カードの任意整理によってカードが解約となるため、他の支払い方法に変更する必要があります。
支払い方法の変更を怠り、楽天モバイルの利用料金が滞納となると、未納が発生した翌々月末頃に強制解約となってしまうため、任意整理後は支払い方法の確認および変更を忘れずにおこなっておきましょう。
また、任意整理ではなく個人再生や自己破産をおこなった場合は、楽天モバイルは契約解除となる可能性があります。
第15条(当社が行う契約の解除)
ー中略ー
6 当社は、契約者について、破産法、民事再生法又は会社更生法の適用の申立てその他これらに類する事由が生じたこと又はこれらのおそれがあることを知ったときは、直ちに本契約を解除することができます。
6.楽天市場も変わらず利用できる
任意整理などの債務整理をしたあとでも、楽天市場は変わらず利用できます。
ただし、支払い方法としてクレジットカードは利用できなくなるため、他社のデビットカードや口座引き落としなどに支払い方法を変更する必要があります。
楽天カード任意整理後、他社のクレジットカードはどうなる?
「楽天カードを任意整理しただけだったら、他社のクレジットカードは使えるのでは?」と考えている方もいるかもしれません。
しかし、楽天カードを任意整理すると、他社のものであっても新たにカードを発行することは難しく、さらには現在利用中の他社のクレジットカードも順次使えなくなってしまいます。
以下では、その理由についてみていきましょう。
任意整理対象でないクレジットカードも強制解約の対象に
楽天カードを任意整理の対象とすると、楽天カードについては契約通りの返済ができないこととなるため任意整理を始めた時点で強制解約となるケースがほとんどです。
しかし、任意整理の対象となっていないクレジットカードについても、契約更新などのタイミングで順次解約となってしまいます。
これは、「楽天カードを任意整理した」という情報が信用情報機関に記録されてブラックリストとなってしまうためです。
全てのクレジットカード会社は信用情報機関の情報を元に契約審査をおこないますが、契約更新の際もほぼ必ず信用情報を元にした審査が実施されるので、任意整理をした事実がバレてしまいます。
また、契約期間内であっても多くのカード会社は不定期で「途上与信」という審査を実施しているため、使用期限が到来する前に解約となってしまうケースもあるでしょう。
以上のような理由から、楽天カードを任意整理した場合は、各種料金の支払い方法をクレジットカードではなく口座引き落としやデビットカードに変更するなどの対策をしておくべきといえます。
ETCカード/家族カードなども使えなくなる
任意整理をした本人の名義のクレジットカードは全て使えなくなるため、ETCカードや家族カードも使えなくなってしまいます。
ただし、以下のようなカードは、楽天カードの任意整理後も例外的に利用できます。
- デビットカード
- プリペイドカード
- ETCパーソナルカード(デポジット機能のみのもの)
これらのカードは、発行や契約更新の際に信用情報を元にした審査がされないため、任意整理後でもクレジットカードの代替手段として利用可能です。
任意整理後にクレジットカードを発行するためのコツ
楽天カードを任意整理したあとに、改めてクレジットカードを発行したい際には以下の7つのコツを抑えておきましょう。
- カードを再発行できるのは完済から5年が目安
- 信用情報の登録状況を確認してから申し込む
- クレジットヒストリーを健全に積み上げる
- キャッシング枠を0円に設定する
- 安定した収入を得られる状態にしておく
- 同時に複数の会社に申し込みをしない
- 楽天カードの再発行は難しい
それぞれについて、詳しく解説します。
1.カードを再発行できるのは完済から5年が目安
楽天カードを任意整理した場合、「任意整理した」という履歴は信用情報機関に記録されます。
この記録は、最長で「任意整理の対象とした借金を完済してから5年間」保持されるため、その間は新たなクレジットカードの発行が困難です。
また、信用情報が回復するまでの期間中、新たに滞納や任意整理をするとブラックリストの期間が伸びる可能性が高まります。
そのため、任意整理後は楽天カードに限らず日々の支払いを滞りなくおこなうことで、信用を取り戻す努力をしましょう。
2.信用情報の登録状況を確認してから申し込む
クレジットカードの申し込み前に、自分の信用情報を確認することは非常に重要です。
日本の信用情報機関はCICやJICC、全国銀行個人信用情報センターの3つがあり、インターネットから簡単に信用情報を開示できます。
任意整理の借金を完済してから5年が経過している状態であっても、他の何らかの要因によって事故情報が登録されているケースもあるため、新たにクレジットカードを申し込む際は必ず信用情報の登録状況を確認してからにしましょう。
3.クレジットヒストリーを健全に積み上げる
クレジットヒストリー(以下、クレヒス)とは、過去の借入れや返済状況の記録であり、事故情報と同様に信用情報機関に記録されています。
クレヒスが健全に積み上げられていると、過去に返済をしっかりしてきたという証明になるため、カード審査の際に有利となります。
任意整理をしたあとはしばらく借入ができなくなるため、その期間はクレヒスを詰めませんが、さらに任意整理の事故情報が消えると同時にこれまでのクレヒスも削除されてしまいます。
過去のクレヒスが無くまっさらな状態を「スーパーホワイト」とも呼びますが、スーパーホワイトだと「過去に債務整理をしたのでは」と疑われやすく、事故情報の回復後でも審査に通りづらいのです。
そのため、任意整理後は審査に通りやすいアコムやプロミスなど消費者金融系と呼ばれるカードに申し込み、水道光熱費などの支払いに利用することでクレヒスを少しずつ積み上げるのがおすすめです。
4.キャッシング枠を0円に設定する
クレジットカードを申し込む際、キャッシング枠を0円に設定すると審査通過率が高まります。
キャッシング枠とはカードで現金を借りる機能であり、カード会社にとってリスクが高いため、審査が厳しくなる傾向があります。
キャッシング枠を必要としない状況を示すことで、目先のお金に困っているわけではない堅実な利用者と見なされる可能性が高まり、審査に通りやすくなるでしょう。
5.安定した収入を得られる状態にしておく
クレジットカード審査において、安定した収入は重要な要素です。
任意整理後にカードを申し込む場合は、クレヒスの都合上審査が不利になりやすいため、審査担当者に返済能力をアピールする必要があります。
アルバイトや契約社員であっても、毎月の収入が一定であれば十分審査に通る可能性はあるでしょう。
また、雇用形態が正社員であるとさらに信用度が高まります。
収入が不安定な場合、少なくとも数ヵ月間の安定した収入を確保してから申し込みをおこなうのが賢明です。
6.同時に複数の会社に申し込みをしない
短期間に複数のクレジットカードを申し込むと、カード会社が「この人は資金繰りに困っている」と判断し、審査落ちにつながる可能性が高まります。
クレジットカードの申し込み記録は信用情報機関に6ヵ月間保存されるため、1社の審査結果が出てから6ヵ月以上の期間を空けてから次の会社に申し込むのが得策です。
7.楽天カードの再発行は難しい
楽天カードを任意整理した場合、同社で再びカードを発行するのは非常に難しいとされています。
楽天カードなどのカード会社は、信用情報機関の情報とは別に会社ごとに顧客情報を管理しています。
そのため、信用情報が回復した後であっても楽天カードのシステム内に「任意整理をした」という記録が残っている可能性が高いです。
楽天カードに限らず、任意整理の対象にした会社と再度契約することは半永久的に不可能と考えたほうがよいでしょう。
さいごに|楽天カードの任意整理は弁護士に相談を
本記事では、楽天カードの任意整理の対応傾向や、任意整理をする際の注意点などについて詳しく解説しました。
楽天カードは、他社と比較して任意整理に協力的な傾向があり、適切なタイミングかつ方法で交渉すれば好条件で和解できる可能性が高いといえます。
楽天カードの支払いに困っており、任意整理を検討している方は、少しでも早く弁護士に相談しましょう。
任意整理の交渉をスムーズかつ有利に進めるためには、弁護士などの専門家の協力が必要不可欠です。
また、数ヵ月以上滞納してから任意整理を申し込むと、債権回収会社に債権譲渡されて好条件での和解が難しくなる可能性も高まります。
加えて、他社からの借金などの状況によっては任意整理ではなく個人再生や自己破産など他の債務整理を選んだほうがよいこともあるでしょう。
借金問題解決の実績が豊富な弁護士であれば、一人ひとりの状況に合わせて適切な解決策を提案してくれるはずです。
多くの法律事務所が初回の相談は無料で応じてくれるため、まずは話だけでも聞いてみましょう。