インターネット広告などで「消費者金融に払いすぎたお金が返ってくる!」といった文言を見かけた方も多いのではないでしょうか?
2010年以前に貸金業者からお金を借りていた方は、払いすぎた利息を「過払い金」として取り返せる可能性があります。
しかし、なかには弁護士や司法書士に問い合わせる前に、自分に過払い金があるのかどうかチェックしたい方もいるでしょう。
本記事では、過払い金の返還請求ができるかどうかチェックするためのポイントや、自分で過払い金請求をするうえでの注意点などを詳しく解説します。
「昔に借金をしていたから過払い金があるかも」という方は、ぜひ最後までチェックしてください。
過払い金請求ができるかチェックするためのポイント3つ
過払い金の返還請求をするためには、まずは自分が過払い金として払いすぎた利息があるかどうかチェックする必要があります。
過払い金を取り戻せる可能性があるのは、以下の3点全てに当てはまる方です。
- 2010年以前に消費者金融やクレジットカード会社などから借り入れをしていた
- 借入れした際の金利が20%を超えていた
- 最後に借入れ・返済をしてから10年以内
ここからは、それぞれの条件について解説します。
2010年以前に消費者金融やクレジットカード会社などから借り入れをしていたか
過払い金の返還請求ができるのは、「2010年6月17日以前に消費者金融やクレジットカード会社から借入をしていた方」に限られます。
2010年6月18日に貸金業法および出資法が改正されるまでは、消費者金融などの貸付の上限金利は出資法によって定められた29.2%と、利息制限法によって定められた20%の2つがありました。
この20%と29.2%の間に設定された金利のことを「グレーゾーン金利」と呼び、グレーゾーン金利分を利息として支払っていた場合は、過払い金の対象となるのです。
借入れした際の金利が20%を超えていたか
過払い金の返還請求ができるのは、現在の法律で定められた上限金利を超える金利で利息を支払っていた方です。
そのため、借入した際の金利が20%を超えていた方は、過払い金の返還請求ができる可能性があります。
2010年6月17日以前に消費者金融などから借入をしていた場合でも、金利20%を超えない範囲で利息を支払っていた方は過払い金の返還請求はできないので注意してください。
最後に借入れ・返済をしてから10年以内か
過払い金の返還請求をできるのは、最後に借入れもしくは返済をしてから10年が経過していない方に限られます。
過払い金の返還請求には時効があり、最後の借入れもしくは返済をしてから10年が経過すると、過払い金を取り戻す権利がなくなってしまうのです。
10年近く昔となると、最後に借入れおよび返済をした日時があいまいな方も多いはずです。
弁護士などの専門家に相談すれば、自分がいつ借入れおよび返済をしたか確認ができるので、早めの相談がおすすめです。
借入れ・返済を繰り返していた場合は10年より前でも過払い金を取り戻せる可能性が?
消費者金融からの借入れを10年以上前に完済しており、その後同一の会社から新たに借入れおよび返済を繰り返している場合は、例外的に10年以上前の借金についても過払い金を取り戻せるケースがあります。
借入れや返済を繰り返している場合は、10年以上前に完済した借金と、まだ時効がおとずれていない借金が「一連の取引」とみなされる可能性があるためです。
具体的には、以下のような場合は、10年以上前の借金についても過払い金を取り戻せる可能性が高くなります。
- 10年以上前の取引と直近の取引の基本契約(契約番号など)が同一である
- 借金を完済してから再度の借入れまで(以後、空白期間)が1年未満と短い
- 空白期間前の取引期間が長かった
- 完済してもATMカードの失効手続きがされなかった
- 空白期間中に消費者金融側から融資について連絡があった
ただし、実際に空白期間前後の取引が「一連の取引」とみなされ、10年以上前の借金について過払い金を取り戻せるかどうかは個々のケースによって異なります。
上記の状況に当てはまる方は、早めに弁護士や司法書士などの専門家に相談してください。
過払い金請求ができない主なケース
「過払い金請求ができるかチェックするためのポイント3つ」で紹介した3点を満たしていても、過払い金請求ができないケースもあります。
具体的には、以下のようなケースに当てはまると過払い金請求は難しいといえます。
- クレジットカードのショッピング枠を利用した取引のみの場合
クレジットカードのショッピング利用は法律上、借金ではなく、割賦販売法に基づく「立替金」とみなされます。利息ではなく分割手数料を支払う取引であるため、貸金業法や出資法とは関係がなく、過払い金請求の対象とはなりません。 - 借入先の会社がすでに倒産している場合
借入先の会社が倒産している場合は、請求する相手が存在しないため、過払い金請求はできません。 - 借入先の会社の経営が悪化している場合
借入先の会社の経営が悪化しており、運営がやっとである場合でも、過払い金請求をする権利はありますが、実際に手元に過払い金が戻ってこない可能性が高いです。
また、昔の取引であっても、利息制限法内での借入れをしていた場合や、自動車ローンや住宅ローンなどの低金利の貸し付けに関しては過払い金請求できない点もあわせて覚えておきましょう。
自分で過払い金の有無をチェックしたり金額を計算したりする方法
過払い金を請求できるかどうか確認するには、弁護士や司法書士などの専門家に相談するのが確実です。
とはいえ「いきなり弁護士に相談するのはちょっと」という方も多いはず。
そんな方は、以下のいずれかの手段で自分で過払い金の有無をチェックするのもおすすめです。
- インターネット上のツールでシミュレーションをする
- 取引履歴を取り寄せてExcelなどで算出する
それぞれの方法について、簡単に紹介します。
インターネット上のツールでシミュレーションをする
インターネット上には、借入れ金額や借入れ時期などを入力することで過払い金を取り戻せる可能性があるかどうか簡単に診断してくれるツールがあります。
シミュレーターなどのツールは、手軽に診断できるというメリットがありますが、過払い金のおおよその金額しか調べられないので注意しましょう。
実際に過払い金請求をした時に取り戻せる金額とは大幅に異なる金額が提示される可能性もあるので、シミュレーターの結果はあくまで参考程度にとどめるのがおすすめです。
取引履歴を取り寄せてExcelなどで算出する
過払い金が発生している可能性がある貸金業者に対して、取引履歴を取り寄せて自分で過払い金の金額を計算することも可能です。
取引履歴とは、貸金業者からの借入れ金額や返済時期などについて詳細に記載された記録であり、貸金業者に対して電話や郵送などで問い合わせれば送ってもらえます。
貸金業者は、契約者による取引履歴の取り寄せ依頼には応じなくてはいけないと法律で定められているため、貸金業者から脅されたり拒否される心配はありません。
取引履歴を取り寄せたあとは、名古屋消費者信用問題研究会が公開しているフォーマットなどを用いて過払い金の金額を計算できます。
具体的な計算方法については、以下の記事を参照してください。
【関連記事】過払い金の計算方法|自分で計算するための具体的なステップ
自分で過払い金請求の計算や交渉をするデメリット・注意点
過払い金の金額は自分の計算が可能で、直接貸金業者に対して過払い金を返還してもらうように請求する選択肢もあります。
しかし、自分で過払い金請求の計算や交渉をするのは、以下のようなデメリット・注意点があります。
- 取引履歴の取り寄せに手間と時間がかかる
- 過払い金の金額を正確に算出できない可能性が高い
- 相手とうまく交渉できず、期待したとおり返還されない可能性が高まる
- 家族に過払い金請求をしたことがばれてしまう可能性が高まる
- 怪しいシミュレーターを使い、詐欺にあってしまう可能性がある
それぞれのデメリットや注意点について、以下で簡単に紹介します。
取引履歴の取り寄せに手間と時間がかかる
自分で過払い金請求をする際に必要な取引履歴は、貸金業者に直接依頼をすれば通常1週間〜1ヵ月程度で送ってもらえます。
しかし、貸金業者によっては弁護士などの専門家ではない個人からの問い合わせは後回しにしており、手元に取引履歴が届くまで数ヵ月かかってしまうケースもあります。
取引履歴の取り寄せに時間がかかると、過払い金を取り戻す気持ちよりも手続きの面倒臭さが大きくなってしまい、スムーズに請求が進められない可能性があるでしょう。
また、最悪の場合は取引履歴が手元に届くまでの間に過払い金が時効となってしまい、二度と取り戻せなくなってしまう恐れもあります。
そのため、時効が成立する10年間に間近である取引について過払い金請求をする場合は、自分で手続きをせずにすぐに専門家に依頼するのがおすすめです。
過払い金の金額を正確に算出できない可能性が高い
過払い金の金額を算出する作業である「引き直し計算」は、非常に複雑で高度な知識と経験が要求されます。
そのため、経験のない方が引き直し計算をすると、過払い金の金額を正確に算出できない可能性が高いです。
自分で過払い金の計算をした結果、本来よりも少ない金額で請求してしまい、取り戻せるはずのお金を手に入れられないリスクがあります。
また、本来発生している過払い金よりも多い金額を請求したら、正当な申請ではないとして貸金業者から過払い金の返還を断られてしまうかもしれません。
このようなリスクを避けるためにも、自分で計算せずに専門家に依頼するのがおすすめです。
相手とうまく交渉できず、期待したとおり返還されない可能性が高まる
個人で過払い金請求をする場合は、貸金業者の担当者と直接やりとりする必要がありますが、相手方とうまく交渉ができず、期待したとおりの過払い金の返還が受けられない可能性があります。
過払い金の返還請求は、法律上認められている正当な権利です。
しかし、貸金業者からすると過払い金を取り戻されてしまうと損失となるため、どうにか少額の返還で済ませたいと考える業者も多いはずです。
貸金業者の担当者は、過払い金に関する専門的な知識を豊富に持っているため、素人が交渉してもうまく丸め込まれてしまうリスクがあるでしょう。
実際に、過去の取引において滞納があったなど、契約者にとって不利となる記録が残っていた場合は、それを理由にして返還する過払い金の金額を下げられてしまうケースもあります。
家族に過払い金請求をしたことがばれてしまう可能性が高まる
自分で過払い金請求をすると、同居している家族に過払い金を請求していることがばれる可能性が高いです。
自分で貸金業者とやりとりをする場合、貸金業者からの取引履歴や、裁判を起こした際の裁判所からの通知などは全て自宅に届きます。
また、貸金業者と直接電話で連絡をとらなくてはならない場面もあるでしょう。
そのため、自分で過払い金請求をすると同居している家族からは怪しまれてしまうリスクが高まります。
怪しいシミュレーターを使い、詐欺にあってしまう可能性がある
自分で過払い金請求をする際は、一般的にインターネット上のシミュレーターを用いて過払い金の有無を調べてから請求を開始しますが、その際に思わぬ詐欺被害にあう可能性があります。
過払い金請求をする人から金銭を騙し取ろうとする詐欺グループが、個人情報を盗むために運営しているシミュレーターも存在するためです。
過払い金の診断シミュレーターを使用する場合は、個人情報を入力する前に必ず運営元を確かめ、実在する法律事務所が運営しているシミュレーターを使用してください。
過払い金請求の計算や交渉を弁護士などの専門家に任せるメリット
過払い金請求は自分でも手続きできますが、弁護士などの専門家に任せるのがおすすめです。
過払い金請求を弁護士などの専門家に任せるのは、以下のようなメリットがあります。
- 請求可能な過払い金の額を正確に計算してもらえる
- 相手と適切に交渉できるので、期待通り返金してもらえる可能性が高まる
- 必要に応じて裁判の対応まで任せることができる
- 家族にばれずに過払い金請求をすすめられる可能性が高まる
それぞれのメリットについて、以下で詳しく紹介します。
請求可能な過払い金の額を正確に計算してもらえる
過払い金請求において、適正な返還額を正確に算出することは非常に重要です。
弁護士に依頼すれば、知識と豊富な経験を駆使して過去の取引履歴を精査し、適切な引き直し計算をしてもらえます。
過払い金請求の際は、借金の金利に関する複雑な計算や、過払い金の時効などに関する法律知識が必要とされるため、個人でおこなうのは困難です。
正確な金額を算出できていない状態で過払い金請求をすると、本来は取り戻せるはずだけの金額を受け取れなかったり、過大請求により貸金業者から交渉を断られたりするリスクがあります。
弁護士に依頼すれば、これらの問題を防ぎ、最大限の返還を目指せます。
また、複数の借入先がある場合や、複雑な契約内容が絡む場合でも、確実に対応してくれるため、安心して任せられるでしょう。
相手と適切に交渉できるので、期待通り返金してもらえる可能性が高まる
過払い金請求を弁護士などの専門家に依頼すれば、期待通りの金額を過払い金として取り戻せる可能性が高いです。
弁護士は法律の専門家であるとともに、当事者のあいだに立ち問題解決をするプロフェッショナルでもあるため、貸金業者との交渉において有利な立場を築けるでしょう。
自分で交渉を試みると、相手方に強気に出られて適切な返還額を得られないなどのリスクがありますが、弁護士は法的な根拠をもとに交渉を進めてくれるため、最大限の返還額を引き出すことが期待できます。
専門家である弁護士が介入すれば、相手方の貸金業者が真摯に対応してくれる可能性が高まり、結果としてスムーズな解決が見込めるはずです。
必要に応じて裁判の対応まで任せることができる
万が一、貸金業者との交渉がうまくいかずに希望通りの支払いに応じてもらえない場合は、裁判を起こして過払い金の返還を主張しなくてはならないケースもあります。
弁護士に依頼しておけば、裁判に移行した際も一貫して対応してくれるため、安心して任せられるでしょう。
裁判では、適切な書類作成や証拠の提示、法廷での論述が求められるため、一般の個人が裁判を起こすのは困難です。
一方で、弁護士は複雑な裁判の準備から法廷での対応を全て代行してくれます。
また、交渉が難航した際に「今後適切な対応をしてもらえないのであれば裁判を起こす」という主張を交渉材料にして、早期解決を計ってくれるメリットもあるでしょう。
家族にばれずに過払い金請求をすすめられる可能性が高まる
過払い金請求を進めるにあたり、過去の借金について家族に知られたくないという方も多いのではないでしょうか。
弁護士に過払い金請求を依頼すれば、家族にばれずに手続きを進められます。
弁護士に対して「家族には知られたくない」という希望を伝えれば、家族にばれないように以下のような配慮をしてくれるはずです。
- 法律事務所との連絡は電話でなくメールでおこなう
- 自宅への郵送物は法律事務所とはわからない個人名で郵送する など
また、弁護士があいだに入ってくれるため、自分で直接貸金業者とやりとりする必要がなく、家族に気づかれるリスクを最小限に抑えられるでしょう。
このように、弁護士は依頼者のプライバシーを守りながら、スムーズに手続きを進めるサポートをしてくれます。
さいごに | 過払い金請求は弁護士に相談を!
本記事では、過払い金の有無や金額を自分でチェックする方法や、自分で過払い金請求をするリスクなどについて紹介しました。
仕組み上、過払い金請求は自分で貸金業者に連絡をとり手続きを進めることも可能です。
しかし、自分で過払い金請求をすると、適切な金額を取り戻せないだけでなく、交渉に応じてもらえない可能性もあります。
過払い金請求をスムーズかつ正確に進めるためには、借金問題の知識と経験が豊富な弁護士に依頼するのが確実です。
過払い金請求を検討中の方は、弁護士など専門家への相談をおすすめします。
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