個人再生を法テラスに依頼した場合の費用はいくら?利用条件や流れも詳しく解説

個人再生を法テラスに依頼した場合の費用はいくら?利用条件や流れも詳しく解説

個人再生とは、裁判所から許可を得て、借金を5分の1から最大10分の1まで減額してもらう手続きのことです。

一般的に個人再生は弁護士に依頼することが多いですが、高額な弁護士費用を負担しなければなりません。

しかし、法テラスの民事法律扶助制度を利用すれば、比較的安い費用で弁護士に依頼できる可能性があります。

そこで本記事では、個人再生を検討している方に向けて、以下の内容について説明します。

  • 法テラスで個人再生を依頼した場合の費用
  • 民事法律扶助制度を利用する際の条件や流れ
  • 民事法律扶助制度を利用する際に知っておくべき注意点 など

本記事を参考に、上手に法テラスの民事法律扶助制度を利用できるようになりましょう。

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この記事を監修した弁護士
星野 聖子弁護士(鎧橋法律事務所)
企業法務、一般民事事件、刑事事件、行政事件など幅広い分野の法律問題に対応した経験を有しています。

法テラスで個人再生を依頼すると費用は抑えられる!

法テラス(日本司法支援センター)とは、国民に対して法的情報や法的サービスを提供することを目的に、国によって作られた公的機関です。

たとえば、民事法律扶助制度を活用すると、通常よりも安い弁護士費用で個人再生の手続きを依頼できます。

まずは、法テラスと法律事務所のそれぞれに個人再生を依頼した場合の費用の目安を紹介します。

法テラスで依頼した場合の費用の目安

民事法律扶助制度を利用して依頼した場合の弁護士費用の目安は、以下のとおりです。

債権者数着手金実費等合計額
1~10社16万5,000円3万5,000円20万円
11~20社18万7,000円3万5,000円22万2,000円
21社以上22万円3万5,000円25万5,000円

法テラスを経由して依頼した場合は、債権者の数によって異なりますが20万〜30万円ほどが目安になるでしょう。

なお、複雑な事件に該当する場合や、手続きに特別な事情がある場合には、弁護士費用が増額することがあります。

法律事務所に依頼した場合の費用の目安

法律事務所に個人再生を依頼すると、着手金と報酬金を合わせて30万〜80万円ほどの費用が必要となります。

(※弁護士費用の報酬体系は各事務所によって異なりますので、詳細は相談先の法律事務所にお問合せください。)

住宅ローンの有無や、債権者の数によっても異なりますが、法テラスで依頼するよりも費用は高くなりやすいといえるでしょう。

個人再生以外の債務整理を法テラスに依頼する場合の費用

債務整理には、個人再生のほかに任意整理や自己破産があります。

これらの手続きも、個人再生と同様に法テラス経由で依頼して進めることが可能です。

ここでは、任意整理や自己破産を法テラスで依頼した場合の費用の目安を紹介します。

任意整理の費用の目安

任意整理とは、債権者と直接交渉し、借金の将来利息や遅延損害金などをカットしてもらう手続きのことです。

この任意整理を法テラスで依頼した場合の費用目安は、以下のとおりです。

債権者数着手金実費合計
1社3万3,000円1万円4万3,000円
2社4万9,500円1万5,000円6万4,500円
3社6万6,000円2万円8万6,000円
4社8万8,000円2万円10万8,000円
5社11万円2万5,000円13万5,000円
6〜10社15万4,000円2万5,000円17万9,000円
11〜20社17万6,000円3万円20万6,000円
21社以上19万8,000円3万5,000円23万3,000円

任意整理は、債権者それぞれと借金の減額について交渉する必要があるため、債権者が多いほど費用は高くなります

【参考】任意整理 費用の目安|法テラス

自己破産の費用の目安

自己破産とは、裁判所の許可を得て、ほぼ全ての借金の返済義務を免除してもらう手続きのことです。

この自己破産を法テラスで依頼した場合の費用相場は、以下のとおりです。

債権者数着手金実費合計
1〜10社13万2,000円2万3,000円15万5,000円
11〜20社15万4,000円2万3,000円17万7,000円
21社18万7,000円2万3,000円21万円

自己破産も、債権者の数が増えると事務的な負担が多くなるため、債権者が多いほど費用が高くなります。

【参考】自己破産費用の目安|法テラス

法テラスの民事法律扶助制度を使って弁護士に個人再生を依頼する条件

法テラスの民事法律扶助制度(費用立替制度)を利用するには、以下の3つの条件を満たしている必要があります。

  • 収入や資産が一定基準以下である
  • 勝訴の見込みがないとはいえない
  • 民事法律扶助の趣旨に適している

ここでは、法テラスの民事法律扶助制度(費用立替制度)の利用条件について説明します。

1.収入や資産が一定基準以下である

法テラスの民事法律扶助制度を利用するには、収入基準と資産基準という2つの基準を満たす必要があります。

収入および資産の基準は家族人数や居住地域によって異なりますが、東京都23区や大阪市などにお住まいの場合の基準は以下のとおりです。

家族人数収入基準資産基準
1人20万円以下180万円以下
2人27万6,100円以下250万円以下
3人29万9,200円以下270万円以下
4人32万8,900円以下300万円以下

なお、家賃や住宅ローンの支払いがある場合は、5万3,000~7万1,000円程度、収入基準が易しくなります。

2.勝訴の見込みがないとはいえない

民事法律扶助制度の費用立替制度を利用するには、勝訴の見込みがないとはいえないことが条件になります。

たとえば、個人再生(小規模個人再生)が認められるためには、半数以上の債権者の同意が必要です。

過去にほとんど返済をしていないなど、借金の減額について同意が得られない場合は、個人再生の申し立てが棄却されると判断されて、民事法律扶助制度を利用できない可能性があるでしょう。

そのほか、個人再生の申し立てが認められない原因は、以下のページで詳しく解説しています。

【関連記事】個人再生申立が通らない原因5つ|浪費やギャンブルでも通し易くする方法

3.民事法律扶助の趣旨に適している

民事法律扶助の趣旨とは、憲法第32条に規定されている誰でも裁判を受けられる権利を保障することです。

経済的に苦しく、個人再生を弁護士に依頼するだけの費用を用意できないなどは、民事法律扶助の趣旨に適しているといえます。

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法テラスの民事法律扶助制度を使って個人再生を依頼する際の流れ

法テラス経由で弁護士に個人再生を依頼する際の流れは、以下のとおりです。

  1. 法テラスで相談をする
  2. 必要書類を提出する
  3. 審査がおこなわれる

ここでは、法テラスの民事法律扶助制度(費用立替制度)を使って弁護士に個人再生を依頼する際の大まかな流れを説明します。

1.法テラスで相談をする

まずは、法テラスの無料法律相談の予約を取り、借金について弁護士と相談しましょう。

最寄りの法テラスは、公式Webサイトの「お近くの法テラス(地方事務所一覧)」のページで探せます。

そして面談当日になったら、法テラスの事務所や担当となる法律事務所などへ行き個人再生について相談します。

2.必要書類を提出する

担当弁護士に個人再生の手続きを依頼することになったら、費用立替制度を利用するための書類を用意しましょう。

必要書類は担当の弁護士が詳しく説明してくれますが、個人再生の場合は以下のような書類が必要になります。

  • 住民票
  • 給与明細や確定申告書
  • 固定資産評価証明書
  • 債務一覧表
  • 通帳の写し など

これらの書類を準備できたら、担当の弁護士を通じて法テラスに提出します。

審査がおこなわれる

審査では、民事法律扶助制度の利用条件を満たしているかどうかについて確認されます。

審査が完了し、費用立替制度の利用が認められると、担当の弁護士からその旨の通知が届きます。

その後は弁護士の協力を得ながら、個人再生の手続きを進めていくことになります。

法テラスの民事法律扶助制度を利用する場合の注意点

ここでは、法テラスを利用する場合の注意点を紹介します。

1.裁判所費用が別途必要になる

民事法律扶助制度であっても、裁判所費用は自分で用意する必要があります。

たとえば、個人再生委員が選任された場合は、15万~25万円程度の報酬を支払います。

個人再生委員の有無や費用は地域によって異なるため、担当の弁護士に質問してみるとよいでしょう。

2.法テラスの審査をするのに時間がかかる

法テラスの審査には、必要書類を提出してから2週間~1ヵ月ほどの期間を要します。

債権者に債務名義を取られており、強制執行の可能性がある場合などには、法テラスの利用はおすすめできません

3.飛び込みで相談する場合は弁護士を選べない

法テラスの利用方法には、以下の2つがあります。

  • 飛び込み方式:法テラスに直接相談し、弁護士を紹介してもらう方法
  • 持ち込み方式:自分で探した弁護士に相談し、法テラスに申し込んでもらう方法

飛び込み方式の場合は、担当する弁護士を選べない点には注意が必要です。

債務整理に注力していない弁護士が担当になると、手続きがスムーズに進まない可能性があるでしょう。

「持ち込み方式」であれば、自分で弁護士を選べる

民事法律扶助制度を利用しつつ、債務整理が得意な弁護士に依頼したいなら、持ち込み方式を検討しましょう。

ただし、持ち込み方式に対応している弁護士は限られるため、事前に法律事務所のWebサイトで調べるか、直接問い合わせて確認しておくほうが安心です。

また、ベンナビ債務整理の弁護士紹介ページにも「法テラス利用の可否」が記載されている場合があるため、弁護士を探す際の参考にすることをおすすめします。

さいごに|個人再生の費用をおさえたい場合は法テラスの利用を検討しよう

法テラスの民事法律扶助制度を利用すれば、一般の法律事務所に依頼するよりも弁護士費用を抑えられます

また、法テラスを利用して個人再生の手続きをする際は、自分で弁護士を選べる持ち込み方式がおすすめです。

持ち込み方式であれば、個人再生が得意な弁護士に依頼できるため、スムーズかつ確実に手続きを進められます。

持ち込み方式に対応している弁護士は、インターネットで検索したり、ベンナビ債務整理を使ったりして探すとよいでしょう。

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この記事の調査・編集者
アシロ編集部
本記事は法律相談ナビを運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。※法律相談ナビに掲載される記事は、必ずしも弁護士が執筆したものではありません。本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。
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