債務整理に強い弁護士・法律事務所
債務整理は誰に依頼するべき?弁護士・司法書士の違いや依頼の流れ、費用を解説
2024.11.11
多額の借金に苦しんでおり、債務整理を検討しているものの、「クレジットカードはどうなるんだろう?」と気になって、踏み出せないという方もいるでしょう。
債務整理の対象にクレジットカード会社が含まれる場合には、クレジットカードは強制的に解約されます。
家族カードやETCカードも解約されてしまうため、一時的に困るかもしれません。
しかし、一定期間が経過すれば、再び作れる可能性はあります。
本記事では、債務整理をした場合にクレジットカードはどうなるのかや、クレジットカードを作れなかった場合の対処法などについて解説します。
まずは、クレジットカードを対象とした債務整理とは何を意味するのかについて解説します。
債務整理には大きく分けて、任意整理・個人再生・自己破産の3種類があります。
上記のうち、個人再生・自己破産は全ての債権者を対象とするため、クレジットカード会社はもちろん、借り入れをおこなっている銀行や消費者金融なども含まれます。
返済額を大幅に減らせる可能性がある反面、その後の生活に及ぼす悪影響も大きくなりやすい点が特徴です。
一方、任意整理であれば債権者を自由に選択できるため、クレジットカード会社に絞って借金問題の解決を進められます。
生活への影響も抑えやすく、「クレジットカードの借金だけをなんとかしたい」といった場合には、まず任意整理を検討することになるでしょう。
任意整理すれば将来の利息をカットしたうえで、長期な分割払いを認めてもらえる可能性があります。
交渉結果次第ですが、利息は全額カットもしくは減額、支払い期間は3年から5年程度になるケースが一般的です。
クレジットカードの任意整理をおこなう場合は、ショッピングリボやキャッシングも利息カットの対象に含めることができます。
なお、元金のカットには基本的に応じてもらえないので注意してください。
ただし、キャッシングを利用し、利息制限法を超える金利で借り入れていた場合には、過払いとなっている利息分を元本から減額できることがあります。
債務整理をすると、債務を減額してもらえるなどのメリットが大きい一方で、デメリットも大きいものです。
クレジットカードを使えなくなることもデメリットのひとつで、不安に思っている方も多いでしょう。
ここでは、クレジットカードの任意整理をおこなう場合や、個人再生・自己破産をおこなう場合におけるクレジットカードの基本的な扱いについて解説します。
債務整理をおこなうと、所持しているクレジットカードは使えなくなります。
クレジットカードを対象とした債務整理は、解約と同様の扱いを受けるためです。
基本的には、キャッシング機能もショッピング機能も利用できません。
なお、任意整理であれば、対象としていなかったクレジットカードを一定期間利用し続けられることもあります。
ただし、更新のタイミングなどで任意整理していたことが発覚し、利用停止の措置をとられる可能性は高いといえるでしょう。
債務整理をおこなうと、自身が名義人の家族カードやクレジットカード機能付きのETCカードも解約されます。
ETCカードは、事故防止の観点から突然利用できなくなることはありませんが、使い続けていると法的措置をとられるおそれもあるので注意してください。
任意整理の対象としていないクレジットカードに紐づくものであればそのまま利用できますが、いずれ利用停止となる可能性は高いと考えられます。
債務整理をして、クレジットカードが解約となれば、貯めていたポイントも使えなくなります。
ポイントが多く残っている場合は、債務整理を始める前に使い切っておきましょう。
ポイントの利用履歴が債務整理の手続きで不利に働くことは基本的にありません。
債務整理をおこなうと、新しいクレジットカードが作りにくくなります。
債務整理は事故情報として、CICやJICCなどの信用情報機関に登録されます。
そして、クレジットカード会社は審査の過程において、申込者の信用情報を信用情報機関に照会するので、過去に債務整理をしていたことがバレてしまうのです。
その結果、信用力に欠けると判断され、審査に落とされてしまいます。
傷ついた信用情報が回復するまでの間は、基本的にクレジットカードは作れないものと考えておきましょう。
また、社内のブラックリストに登録されたしまった場合は、信用情報が回復したあとでもクレジットカードの作成が難しいことがあります。
事故情報が信用情報上に登録されている期間は、信用情報機関や債務整理の種類によって、以下のように異なります。
信用情報機関名 | 任意整理 | 個人再生 | 自己破産 |
---|---|---|---|
CIC(シーアイシー) | 5年 | 5年 | 5年 |
JICC(日本信用情報機構) | |||
KSC(全国銀行個人信用情報センター) | 7年 | 7年 |
また、登録期間の起算日も債務整理の種類に応じて異なります。
各手続きの起算日は下記のとおりです。
債務整理後にクレジットカードを作成する場合は、信用情報機関に情報開示をおこない、事故情報が削除されていることを確認してから、手続きを進めるのが確実といえるでしょう。
債務整理後に新しくクレジットカードを申し込む際には、審査に通過しやすくなるためにも、以下で紹介するポイントに気をつけましょう。
まずは、信用情報機関に開示請求をして、事故情報が消えているかを確認しましょう。
事故情報が残ったままクレジットカードを申し込んでも、基本的には審査で落とされてしまいます。
開示請求は料金がかかりますが、インターネットや郵送で手続きが可能です。
各信用情報機関の開示請求方法や手数料などは、以下のとおりです。
CIC(シーアイシー) | JICC(日本信用情報機構) | KSC(全国銀行個人信用情報センター) | |
---|---|---|---|
開示請求方法 | ・インターネット ・郵送 | ・スマートフォンアプリ ・郵送 | ・インターネット ・郵送 |
手数料 | ・インターネット:500円 ・郵送:1,650円~2,255円 | ・スマートフォンアプリ:1,000円 ・郵送:1,300円 | ・インターネット:1,000円 ・郵送:1,679円〜1,800円 |
サービス日時 | ・インターネット:毎日8時00分〜21時45分 ・郵送:申し込みから10日程度で回答が到着 | ・スマートフォンアプリ:毎日 (3時00分〜4時00分、毎月第3木曜日の0時00分〜8時00分を除く) ・郵送:申込みから7日〜10日程度で回答が到着 | ・インターネット:申込みから3営業日~5営業日で開示 ・郵送:申し込みから7日〜10日程度で回答が到着 |
詳細 | ・インターネットで開示する場合 ・郵送で開示する場合 | ・スマートフォンアプリで開示する場合 ・郵送で開示する場合 | ・インターネットで開示する場合 ・郵送で開示する場合 |
債務整理後にクレジットカードを申し込むなら、債務整理の対象としなかったクレジットカード会社を選びましょう。
債務整理の対象としたクレジットカード会社には、社内ブラックとして情報が残っている可能性が高いからです。
社内ブラック情報は、グループ会社で共有されるため、親会社や子会社への申込みも避けるのが無難でしょう。
公式サイトなどでグループ会社の情報を確認し、ほかのクレジットカード会社へ申し込むことをおすすめします。
債務整理後であれば、審査にとおりやすいといわれるクレジットカードを選んで申し込むのがよいでしょう。
クレジットカードの審査基準は、カードの種類によって異なります。
一般的に、以下のようなクレジットカードであれば、比較的審査にとおりやすいとされています。
反対に、銀行系や信販系、交通系のクレジットカードの審査は厳しいといわれているため、避けるのが無難でしょう。
債務整理後にクレジットカードの申込みをおこなう場合は、利用限度額を低めに設定しておきましょう。
利用限度額が低いほど、審査の難易度は下がるといわれています。
限度額はあとからでも変えられるので、まずは最低金額にしておくことをおすすめします。
キャッシング枠を設定しないことも、クレジットカードを作りやすくするためのポイントのひとつです。
キャッシング枠を設定すると、より厳しく審査をされます。
その分、審査に通過できない可能性も高まるため、キャッシング枠は設定せずに申し込みましょう。
キャッシング枠がどうしても必要であれば、あとから申し込むこともできます。
審査にとおるか不安であると、同時に複数の会社へ申し込みをしたくなるかもしれません。
しかし、必ず1社ずつ申し込むようにしましょう。
なぜなら、クレジットカードの申込情報も信用情報として記録されるからです。
複数社分の申込情報が登録されていると、クレジットカード会社に「審査に落ち続けている」「急いでお金を工面せねばならないほど困窮している」などと判断されかねません。
審査で不利になり、通過できない可能性が高まるでしょう。
同時に複数社へ申し込むのは避けるのが賢明です。
クレジットカードを申し込む前に、信用実績を積み上げておくことも大切です。
信用情報には、悪い情報だけでなく良い情報も含めて、ローンなどの取引履歴が登録されていきます。
そのため、実績を積み上げて自身の信用を高められるようになれば、クレジットカードの審査にもとおりやすくなるでしょう。
なかでもおすすめは、携帯電話の機種代の分割払いです。
携帯電話の契約であれば審査もあまり厳しくありません。
不自然な情報でもないため、信用実績を積み上げるのに最適といえるでしょう。
現金を持っていなくても買い物ができるクレジットカードは、やはり便利なものです。
債務整理後、一定期間が経過しても作れなければ辛いところでしょう。
しかし、クレジットカードの代わりになるものを用意すれば、その不便さは多少和らぎます。
ここでは、債務整理後にクレジットカードを作れなかった場合の対処法を紹介します。
デビットカードとは、利用と同時に代金が銀行口座から引き落とされる仕組みのカードです。
審査がないため、クレジットカードを作れなかった方でも作成できます。
デビットカードには2種類あり、銀行が発行するキャッシュカードと一体となった「Jデビット」と、国際的なクレジットカードブランドと連携した「ブランドデビット」があります。
このうち、ネットショッピングで利用できるのはブランドデビットだけです。
ネットショッピングで利用したい方は、こちらを選びましょう。
デビットカードのメリットとデメリットは以下のとおりです。
メリット | ✔審査がなく、信用情報を照会されることもない ✔年齢や職業、収入などに関係なく発行できる |
---|---|
デメリット | ✔口座残高分しか使えない ✔分割払いができない ✔ETCカードの発行ができない |
家族カードは、名義人の家族に対して発行されるクレジットカードです。
利用代金は本会員である名義人に請求されるので、審査の対象となるのも名義人だけです。
そのため、自分名義でクレジットカードを作れない場合は、家族に頼んで家族カードを発行してもらうようにしましょう。
家族カードのメリット・デメリットは以下のとおりです。
メリット | ✔家族会員分は審査不要で発行される ✔受けられるサービスは本会員と変わらない ✔本会員より年会費が安い |
---|---|
デメリット | ✔利用可能枠は名義人と合算される ✔発行枚数に制限がある ✔離婚や本会員死亡時には解約する必要がある |
デポジット型クレジットカードとは、あらかじめクレジットカード会社に保証金を預け、その範囲内で利用できるというカードです。
保証金は現金に限り、退会時に未入金の取引きがなければ返還されます。
メリット・デメリットは以下のとおりです。
メリット | ✔審査にとおりやすい ✔保証金の範囲内なら通常のクレジットカードと同じように使える |
---|---|
デメリット | ✔保証金を用意しなければならない ✔高額な買い物は難しい |
ETCパーソナルカードとは、有料道路の通行料金の支払いに限って使えるクレジットカードです。
申込み時に、平均利用月額に応じた保証金を預けることで発行できます。
メリット・デメリットは以下のとおりです。
メリット | ✔ETCカードの各種割引を受けられる ✔保証金を預ければ審査なしで発行してもらえる ✔16歳以上であれば誰でも作れる |
---|---|
デメリット | ✔保証金を用意しなければならない ✔1枚しか発行できない ✔年会費がかかる |
ここでは、債務整理とクレジットカードについてよくある質問とその回答を紹介します。
分割払いやリボ払いで購入するなどして支払いがまだ残っている状態であれば、購入品を引き上げられる可能性があります。
購入した商品の所有権は、債権者であるクレジットカード会社にあるためです。
ただし、実際に回収されるかどうかは、クレジットカード会社の判断によります。
債務整理をする際、クレジットカードの自動引き落としで支払っているものがあるなら、支払い方法の変更が必要です。
債務整理をするとクレジットカードは解約されるため、支払いが滞ってしまうおそれがあります。
特に、携帯電話の利用料金や公共料金などの決済ができなければ生活に影響を及ぼすため、忘れずにおこなっておきましょう。
また、クレジットカードに紐づく銀行口座の残高を0にしておくことも重要です。
任意整理をするとしばらく返済が停止しますが、銀行の対応が間に合わず引き落とされてしまう可能性があるので、残高自体をなくしておく方法が有効といえます。
債務整理をすると、クレジットカードは使えなくなります。
もう一度作りたくても、5〜7年程度は待たなければならず、多少不便な思いをするかもしれません。
しかし、弁護士に相談すれば、自身の状況にあった解決策を提案してもらえるため、クレジットカードが使えなくても乗り切れるはずです。
債務整理をしようか悩んでいるなら、早めに弁護士に相談し、借金の悩みから解放されましょう。