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クレジットカードの借金を債務整理で減額するデメリットをわかりやすく解説
2024.10.08
借金を滞納したり、債務整理をしたりするデメリットのひとつに、「ブラックリストに登録される」というものがあります。
一度ブラックリストに登録されてしまうと、5~7年程度は削除されないうえ、登録期間中はクレジットカードやローン、キャッシングの審査にとおりにくくなるなどの不利益を被ることになるでしょう。
本記事では、借金を滞納していたり債務整理を検討したりしている方に向けて、ブラックリストの基礎知識・ブラックリストに該当する事故の種類と登録期間・信用情報機関への開示請求の手順・ブラックリストに登録されるデメリット・ブラックリストからいち早く解除されるためのポイントなどについて解説します。
信用情報機関には、ブラックリストという名簿は存在しませんが、世間一般では金融事故や事故情報のことを「ブラックリスト」と呼んでいます。
まずは、ブラックリストや信用情報機関に関する基本情報について確認しましょう。
ブラックリストとは、一般的に金融事故や事故情報のことを指します。
クレジットカードやローン、キャッシングなどを利用している場合、その申込情報や利用記録などは信用情報機関に登録されます。
信用情報機関に登録される項目のうち、遅滞・保証履行・債務整理といったネガティブな情報のことを「ブラックリスト」と呼んでいます。
国内にある信用情報機関には、CIC(シーアイシー)、JICC(日本信用情報機構)、KSC(全国銀行協会信用情報センター)の3社があります。
これら信用情報機関の違いは加盟している企業ですが、それぞれの信用情報機関は信用取引を円滑にできるよう利用者の信用情報を共有し合っています。
また、それぞれの信用情報機関の特徴は以下のとおりです。
CIC | 主に信販会社が加盟している信用情報機関 |
---|---|
JICC | 主に消費者金融が加盟している信用情報機関 |
KSC | 主に銀行が加入している信用情報機関 |
信用情報機関に登録される主な事故情報には、支払遅延(延滞)・保証履行・債務整理の実行などの種類があります。
ここでは、このようなブラックリストに登録される事故の種類やそれぞれの登録期間について確認しましょう。
クレジットカードやローン、キャッシングの返済を2~3ヵ月以上遅延していると「遅滞」という事故情報が登録されます。
遅滞に関する事故情報は、契約完了後から5年ほど信用情報機関に登録されるのが一般的となっています。
なお、借金が完済されるまでは「遅滞」の事故情報は削除されません。
返済が困難なため保証会社を利用したり、連帯保証人が返済したりした場合には「保証履行(代位弁済)」という事故情報が登録されます。
保証履行に関する事故情報は、契約完了後から5年ほど信用情報機関に登録されるのが一般的です。
なお、保証が履行された場合は財産を差し押さえされたり、不動産を競売にかけられたりするリスクがあります。
任意整理・個人再生・自己破産などを実行した場合は、「債務整理(官報情報)」という事故情報が登録されます。
債務整理の事故情報は、信用情報機関によって異なりますが、5年~7年ほど登録されます。
なお、支払い過ぎた利息を返還してもらう「過払い金請求」は債務整理に含まれないため、原則として信用情報機関の事故情報にはなりません。
ブラックリストに登録されているかどうかは、それぞれの信用情報機関に対して「信用情報の開示手続き」をすることで確認できます。
ここでは、CIC・JICC・KSCそれぞれの開示手続きの種類や手順などを紹介します。
なお、金融機関がどの信用情報機関に加盟しているかは、金融サービスの利用規約・約款などで確認することが可能です。
CICでは、インターネット・郵送・窓口で開示請求を受け付けています。
JICCでは、スマートフォンと郵送で開示請求を受け付けています。
なお、窓口での受付は当面の間休止しています(2024年4月時点)。
KSCでは、インターネットと郵送で開示請求を受け付けています。
信用情報は、一般的に金融機関などがその個人の「信用」を判断するために利用されます。
そのため、信用情報機関のブラックリストに登録されると、クレジットカードの審査にとおりにくくなる、キャッシングやローンを組むのが難しくなる、携帯電話やスマートフォンの分割払いが利用できなくなるなどのデメリットがあります。
クレジットカード会社は、申し込みを受け付けるとその申込者に対して「クレジットカードを発行するかどうか」の審査をおこないます。
その審査の過程でクレジットカード会社は信用情報機関に登録されている信用情報を確認するため、信用情報に傷がある場合は審査にとおりにくくなります。
事故情報が登録されている間は、新規のクレジットカードの発行は難しいといえます。
キャッシングやローンを契約する場合も、消費者金融・ローン会社などはその申込者の信用情報を確認します。
申込内容や信用情報などを確認し、「その申込者に返済能力がない」と判断した場合は契約が見送られてしまいます。
ローンを組むことができないと、住宅や自動車などの大きな買い物をするときに不便になってしまうでしょう。
ブラックリストに登録されている場合、携帯電話やスマートフォンを分割払いで購入する際にも不便になる可能性があります。
販売店は分割払い希望者の信用情報を確認しているため、事故情報がある場合は分割払いが認められないことがあるのです。
なお、分割払いは難しくても、一括払いであれば問題なく購入できます。
アパートなどの賃貸借契約をする場合、入居者に対して保証会社の利用を求めるオーナーもいます。
保証会社を利用する場合、その保証会社は入居者の信用情報を確認するため、信用情報に傷があると保証会社の利用を拒否されてしまうかもしれません。
その結果、希望している賃貸物件に入居できない可能性があります。
ブラックリストに登録された事故情報は、5~7年程度経過すると削除されます。
このときのポイントは、削除の起算点は事故発生日ではなく完済日であるため、事故情報から早く解除されるには「できるかぎり早く完済を目指す」ということが重要です。
ここでは、ブラックリストに登録されている事故情報をいち早く解除されるための方法を紹介します。
滞納による事故情報が登録された場合、その借金を完済しないかぎり、ブラックリストに事故情報が登録されたままになります。
そこで繰上返済や一括返済などをして、できるかぎり早く完済を目指すのがおすすめです。
家計を見直したり、不用品を売ったり、家族や友人にお金を借りたりして、資金を工面できるように努めてみましょう。
借金の延滞や債務整理などをした経験がないにもかかわらず、信用情報機関に事故情報が記録されている場合もあります。
そのような信用情報の間違いは、信用情報機関に対して「本人申告」をすることで訂正・削除できます。
本人申告の手続きは信用情報機関ごとに異なるため、それぞれの手続きページを参考に申告するとよいでしょう。
【参考元】
・「CIC」の本人申告の手続きページ
・「JICC」の本人申告の手続きページ
・「KSC」の本人申告の手続きページ
金融機関などの借金は、最終取引日から5年が経過すると時効が成立します(民法第166条)。
そこで「時効の援用」といって、債権者に対して「時効の完成を主張する手続き」をおこなうと、借金の返済義務がなくなり、事故情報も削除されます。
なお、時効の援用には注意点が多くあるため、弁護士に相談してからおこなうのが望ましいでしょう。
(債権等の消滅時効)
第百六十六条 債権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。
一 債権者が権利を行使することができることを知った時から五年間行使しないとき。引用元:民法 | e-Gov法令検索
時効を完成させるためには「時効の援用」が必要になりますが、その時効の援用に失敗すると、債権者から催告されたり、訴訟を提起されたりするなどのデメリットもあります。
そこで「ベンナビ債務整理」で時効の援用が得意な弁護士を探して、事前に相談しておくことをおすすめします。
弁護士に相談すれば「時効が成立しているかどうか」を判断してくれますし、正式に依頼すれば時効の援用の手続きについても対応してくれるでしょう。
任意整理・個人再生・自己破産などの債務整理をすると、ブラックリストに登録されてしまいます。
しかし、返済の目途が立っていなかったり、借金の滞納が続いていたりする場合は、債務整理をするほうが有利な結果になる可能性があります。
ここでは、ブラックリストに登録されてでも債務整理をおすすめする理由について解説します。
債務整理とは、借金の減額や免除などを目的とした手続きの総称で、代表的な手続きには任意整理・個人再生・自己破産があります。
いずれも借金や利息を大幅に減らせる可能性があるため、多重債務や借金苦から抜け出すのに役立ちます。
それぞれ条件や特徴が異なるため、債務整理が得意な弁護士と相談しながら選ぶのがよいでしょう。
任意整理 | 債権者と直接交渉して、返済方法や利息額などを調整する手続き |
---|---|
個人再生 | 裁判所を通じて、一定額を返済する代わりに残りを免除してもらう手続き |
自己破産 | 裁判所を通じて、一定の財産を処分する代わりに借金の一切を免除してもらう手続き |
すでに借金の滞納が発生している場合、その借金を完済し、一定期間が経過するまでブラックリストに事故情報が登録され続けます。
そのため、借金を完済するのに数年かかるような場合であれば、債務整理したほうが短い期間で事故情報が削除されます。
開示請求の結果、事故情報が登録されている場合は、債務整理を検討するとよいでしょう。
最後に、ブラックリストに関するよくある質問・疑問に回答します。
携帯料金や端末代金を滞納した場合、携帯電話会社などが加盟している「電気通信事業者協会」や「テレコムサービス協会」のブラックリストに登録されます。
ブラックリストに登録されていると、新規の端末購入や回線契約などが難しくなります。
なお、クレジットカード払いにしている場合は、CICやJICCなどに事故情報が登録されることもあります。
短期間に複数のクレジットカードなどに申し込みをするのは、できるかぎり避けたほうが望ましいです。
金融機関から「お金がない人」「悪用しようとしている人」などと判断され、「申し込みブラック」と呼ばれる状態になってしまう可能性があります。
その結果、さらに審査に落ちやすくなるため、短期間での多重申し込みは止めておきましょう。
事故情報を削除させるために、ブラックリスト削除業者の利用を検討している方もいるかもしれません。
しかし、信用情報機関に登録されている事故情報は、任意での削除ができないルールとなっています。
業者が「ブラックリストから事故情報を消します」と宣伝していたとしても、そのような甘い言葉には騙されないように注意しましょう。
突然の出費が重なったり、リストラなどで収入が減ったりした場合、借金に頼る必要もあるでしょう。
そのような借金は、計画どおりに返済できていれば問題ありませんが、そうでなければ多重債務や借金苦などに陥ってしまう可能性もあります。
借金問題を債務者ひとりで解決するのは難しいため、もし借金に困っているなら弁護士に相談してみることをおすすめします。
きっとあなたの悩みを解決できるようなアドバイスや解決策の提案をしてくれるでしょう。