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クレジットカードの借金を債務整理で減額するデメリットをわかりやすく解説
2024.10.08
借金には消滅時効が定められており、一定期間経って時効が成立すれば返済義務がなくなります。
しかし、時効成立についてはいくつかルールがあり、場合によっては自分が知らない間に時効期間が延長(更新)されてしまうこともあるのです。
本記事では、借金の時効について知りたい方に向けて、消滅時効の成立条件や手続きの流れ、時効成立を主張する際の注意点や借金問題の解決方法などを解説します。
借金トラブルを解決するための参考にしてください。
※2020年4月1日に改正民法が施行され、時効期間、時効の更新、時効の完成猶予など、時効に関する条文も多く見直しがされました。本記事では、改正民法の内容に基づいて借金の消滅時効について解説しています。 |
借金の時効援用には注意が必要です。
時効の更新というルールがあり、裁判上の請求で判決が出た場合や強制執行などが実行された場合、権利の承認があった場合には時効がリセットされます。
従って、たとえ借りたときから5年や10年が経っていたとしても、必ず時効が成立しているとはいえないのです。
また時効の援用に失敗すると、多額の返済が求められる可能性もあります。
時効援用を検討中の方は、弁護士に相談するのがおすすめです。
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借金などの債務には、「消滅時効」という時効が存在します。
この消滅時効には「更新」や「完成猶予」といったルールがあり、さまざまな事由で時効期間が延長されたり、時効成立が先送りされたりするのです。
まずは、消滅時効の定義・時効の更新・時効の完成猶予などの基礎知識を解説します。
消滅時効とは、債権者が一定期間権利を行使しなかった場合に、債権自体が消滅するという制度のことです。
消滅時効の対象としては、「債権」と「債権・所有権以外の財産権」の2つがあります。
詳細は民法第166条にて規定されており、借金のような一般的な債権の場合は「債権者が権利を行使できると知ったときから5年間行使しないとき」または「権利を行使できるときから10年間行使しないとき」に消滅時効が成立します。
(債権等の消滅時効)
第百六十六条 債権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。
一 債権者が権利を行使することができることを知った時から五年間行使しないとき。
二 権利を行使することができる時から十年間行使しないとき。
2 債権又は所有権以外の財産権は、権利を行使することができる時から二十年間行使しないときは、時効によって消滅する。
2020年に民法が改正されるまで、借金などの債権の消滅時効は「業者から借りた場合は5年」「個人から借りた場合は10年」と定められていました。
業者から借りた場合の消滅時効については、民法改正後も時効期間は変わっていません。
一方、個人から借りた場合の消滅時効は、民法改正によって時効期間が変わりました。
時効の更新とは、時効を一旦ゼロにして新たに進める仕組みのことで、民法改正によって新設されました。
民法改正以前は「時効の中断」と呼ばれる制度もありましたが、時効の中断には「時効の完成猶予」も含まれていたため、民法改正の際に整理されました。
時効の完成猶予については後述します。
時効が更新される主な事由としては、判決が確定した場合、強制執行が実行された場合、権利を承認した場合などがあります。
時効の更新事由の一つ目が、民事訴訟にて判決が確定した場合や、和解で終了した場合などです。
民法第147条2項では、確定判決または確定判決と同等の効力を有するものによって権利が確定したときには、時効は訴訟や調停などが終了してから新たに進行を始めると規定されています。
(裁判上の請求等による時効の完成猶予及び更新)
第百四十七条 次に掲げる事由がある場合には、その事由が終了する(確定判決又は確定判決と同一の効力を有するものによって権利が確定することなくその事由が終了した場合にあっては、その終了の時から六箇月を経過する)までの間は、時効は、完成しない。
一 裁判上の請求
二 支払督促
三 民事訴訟法第二百七十五条第一項の和解又は民事調停法(昭和二十六年法律第二百二十二号)若しくは家事事件手続法(平成二十三年法律第五十二号)による調停
四 破産手続参加、再生手続参加又は更生手続参加
2 前項の場合において、確定判決又は確定判決と同一の効力を有するものによって権利が確定したときは、時効は、同項各号に掲げる事由が終了した時から新たにその進行を始める。
時効の更新事由の二つ目が、強制執行や担保権などが実行された場合です。
民法第148条2項では、強制執行などの事由が終了したときから新たに時効の進行を始めると規定されています。
強制執行とは、国が強制的に債務者の財産を押さえて、債権の回収をはかる手続きのことをいいます。
財産の差し押さえなどがあった場合にも時効が更新されるのです。
(強制執行等による時効の完成猶予及び更新)
第百四十八条 次に掲げる事由がある場合には、その事由が終了する(申立ての取下げ又は法律の規定に従わないことによる取消しによってその事由が終了した場合にあっては、その終了の時から六箇月を経過する)までの間は、時効は、完成しない。
一 強制執行
二 担保権の実行
三 民事執行法(昭和五十四年法律第四号)第百九十五条に規定する担保権の実行としての競売の例による競売
四 民事執行法第百九十六条に規定する財産開示手続又は同法第二百四条に規定する第三者からの情報取得手続
2 前項の場合には、時効は、同項各号に掲げる事由が終了した時から新たにその進行を始める。ただし、申立ての取下げ又は法律の規定に従わないことによる取消しによってその事由が終了した場合は、この限りでない。
時効の更新事由の三つ目が、権利の承認がされた場合です。
民法第152条では、時効は、権利の承認があったときは、その時から新たに進行を始めると規定されています。
権利の承認とは、時効期間の満了までに、債務者が債権者に対して権利の存在を認めることを意味します。
たとえば、借金の一部を返済した場合や、「借金を支払います」と認めた場合のほか、減額や支払い猶予に関する交渉をした場合なども権利の承認に該当し、時効が更新されるのです。
(承認による時効の更新)
第百五十二条 時効は、権利の承認があったときは、その時から新たにその進行を始める。
2 前項の承認をするには、相手方の権利についての処分につき行為能力の制限を受けていないこと又は権限があることを要しない。
時効の完成猶予とは、時効の進行が妥当ではない事情が起きた際に進行をストップさせる仕組みのことで、民法改正によって新設されました。
たとえば、裁判上の請求や強制執行などに関する条文には「裁判上の請求が終了するまでの間は、時効は完成しない」などと規定されています。
時効の完成猶予に関する主な事由や、それぞれの猶予期間などは以下のとおりです。
【時効の完成猶予に関する主な事由】
完成猶予事由 | 猶予期間 | 条文 |
裁判上の請求など | その事由が終了するまで (取り下げなどから6ヵ月) | 民法第147条 |
強制執行など | その事由が終了するまで (取り下げなどから6ヵ月) | 民法第148条 |
仮差し押さえ、仮処分など | その事由が終了してから6ヵ月 | 民法第149条 |
催告 | 催告から6ヵ月 | 民法第150条 |
天災などで裁判上の請求が不可 | 障害が消えてから3ヵ月 | 民法第161条 |
消滅時効は、時効期間が過ぎたら自動的に成立するわけではなく、債務者が債権者に対して「時効が成立した」という意思表示をすることで成立するのです。
このように、債務者が債権者に対して、時効の成立について意思表示することを「時効の援用」といいます。
ここでは、時効の援用の定義や手続きの流れ、手続きにかかる費用などについて解説します。
消滅時効の援用とは、時効の成立によって利益を得る債務者が債権者に対して、時効の成立を主張することををいいます。
民法第145条では「当事者が援用をしなければ、裁判所は時効による裁判をすることができない」と規定しています。
借金をしている方は、必ず消滅時効の成立を債権者に意思表示する必要があるのです。
(時効の援用)
第百四十五条 時効は、当事者(消滅時効にあっては、保証人、物上保証人、第三取得者その他権利の消滅について正当な利益を有する者を含む。)が援用しなければ、裁判所がこれによって裁判をすることができない。
消滅時効の援用方法は、特別定められていません。
しかし、口頭で伝えるだけでは「言った」「聞いていない」などと口論になる恐れがあるため、一般的には時効援用通知書を作成し、内容証明郵便で送付して消滅時効の援用をおこないます。
手続きの流れは借入先などによっても異なりますが、一般的な金融機関におこなう場合は以下のとおりです。
【金融機関での借金について時効の援用をおこなう場合の流れ】
消滅時効の援用にかかる費用は、債務者が自力でおこなう場合は内容証明郵便の利用料金だけで済みます。
消滅時効の援用は弁護士に依頼することもでき、依頼する場合は弁護士費用が発生します。
各費用の目安は以下のとおりですが、弁護士費用は事務所ごとにバラつきがあるため、詳しくは直接事務所にご確認ください。
費用の項目 | 費用の目安 |
内容証明郵便費用 | 配達証明なしの場合:959円~ 配達証明ありの場合:1,279円~ |
弁護士費用 | 3万円~ |
借金の滞納が続くと、日本信用情報機構(JICC)やシー・アイ・シー(CIC)といった信用情報機関にて「借金を滞納している」という情報が記録されます。
しかし、記録される項目の中に「消滅時効の成立」は含まれておらず、借金の消滅時効が成立してもその事実は記録されません。
むしろ「延滞」から「完了」などに情報が変更されるため、一定期間を経れば事故情報は削除されるのが一般的です。
ただし、消滅時効を援用した借入先からの新規借り入れは難しくなります。
借金の時効成立を主張する際は、以下の点に注意する必要があります。それぞれについて詳しく確認しましょう。
借金の時効を成立させるには、「債権者が権利を行使できると知ったときから5年間行使しないとき」または「権利を行使できるときから10年間行使しないとき」のいずれかに該当している必要があります。
しかし、時効の更新により、裁判上の請求で判決が出た場合・強制執行などが実行された場合・権利の承認があった場合などは、時効がリセットされます。
そのため、そもそも時効の成立を達成すること自体が難しいのです。
借金の時効期間は前述のとおりですが、債権者が債務名義を取得している場合には時効期間が長くなります。
民法第169条では「確定判決や確定判決と同一の効力を有するものによって確定した権利の時効期限は10年とする」と規定されています。
つまり、確定判決・和解調書・調停調書・仮執行宣言付き支払い督促といった債務名義を取得された場合は、その後10年間はいつでも財産の差し押さえが可能な状態になってしまうということです。
(判決で確定した権利の消滅時効)
第百六十九条 確定判決又は確定判決と同一の効力を有するものによって確定した権利については、十年より短い時効期間の定めがあるものであっても、その時効期間は、十年とする。
2 前項の規定は、確定の時に弁済期の到来していない債権については、適用しない。
消滅時効の援用をする際、誤って債務の存在を承認してしまうケースもあります。
その場合には、通常の返済金額に加えて、遅延損害金も付加されて請求されることになります。
借入額によって変動しますが、遅延損害金の上限利率は年29.2%であるため、たとえば100万円の借金がある場合には1年間で29万2,000円の遅延損害金が発生するのです。
たとえ分割払いで契約していても、一括払いで請求される恐れもあります。
借金の額にもよりますが、場合によっては多額の返済を求められるかもしれません。
借金の時効成立が期待できない場合は、任意整理・個人再生・自己破産といった債務整理を検討しましょう。
債務整理が成功すれば、借金を減額・免除できたり、返済期間を延長できたりします。
多重債務や収入減少などで借金返済が苦しい方には、特に以下のような債務整理が有効です。
任意整理とは、返済額の減額や支払い期間の猶予獲得などを目指して、金融機関などの債権者と直接交渉する手続きのことです。
他の債務整理に比べて迅速な解決が目指せることや、身近な人に気付かれにくいことがメリットです。
ただし、債務者が債権者と直接交渉するのは難しいため、弁護士に交渉対応を依頼するのが一般的でしょう。
個人再生とは、借金の大幅な減額を目指して、裁判所に申し立てる手続きのことです。
「借金総額が5,000万円未満であること」「継続的な収入が見込めること」などの利用条件はありますが、最大で返済額を10分の1まで減らすことができます。
また、持ち家などの財産を手元に残せる可能性が高いこともメリットです。
自己破産とは、全ての借金の免除を目指して、裁判所に申し立てる手続きのことです。
「一定の財産の処分が必要」「官報に掲載される」などのデメリットはありますが、借金の返済義務がなくなるため人生の再スタートを切れるという大きなメリットがあります。
なお、自己破産が認められないケースもあるので、注意が必要です。
時効の援用手続きは債務者自身がおこなうことも可能ですが、誤って債務の存在を承認してしまうなどのリスクもあります。
そのようなリスクを避けるためには、時効援用や借金問題などが得意な弁護士に依頼するのがおすすめです。
ここでは、借金問題で悩んでいる場合に弁護士へ依頼するメリットを解説します。
弁護士に依頼することで、本当に借金の消滅時効が成立しているかどうかを確認してくれます。
基本的に、時効期間は「督促状の約定返済日を確認する」「信用情報機関に問い合わせる」などの方法で確認できますが、素人では時効の更新事由まで確認するのは難しいでしょう。
弁護士であれば、時効の更新事由の有無まで確認してくれるため、本当に時効の援用ができるかどうか判断してもらえます。
弁護士に依頼すれば、時効の援用方法や、債権者から連絡が来た際のアドバイスなども望めます。
まだ時効が成立していない場合には、借金問題を解決するための選択肢を提示してくれることもあります。
債務整理をおこなうとしても、任意整理・個人再生・自己破産にはそれぞれメリット・デメリットがあるのです。
各手続きの特徴を踏まえて、依頼者の希望に合った選択肢を提案してくれるでしょう。
正式に弁護士に依頼すると、弁護士は債権者である賃金業者に対して、「今後は弁護士が代理人として手続きを進める」という旨を記載した受任通知という書類を送付します。
この受任通知には、貸金業者に対して「債務者への直接的な取り立てを禁止する」という法律上の効力があります。
受任通知を発送した後は、貸金業者からの督促が停止するのです(もっとも、個別法で定められているため、法律の定めがない債権者からの特則を止める効力はありません)。
さらに、受任通知を送付することで、手続きが確定するまでは債権者への返済がストップする場合もあり、家計の改善を早期におこなえる可能性があります。
弁護士に依頼すると、時効援用通知書の作成・内容証明郵便の送付・債権者とのやり取りなどを一任できます。
時効の援用は債務者本人でもできますが、誤って債務の存在を承認してしまうリスクや、誤った内容で時効援用通知書を作成してしまう可能性もあります。
弁護士に依頼することで、手続きにかかる時間的・精神的な負担も軽減できるでしょう。
借金問題の解決を弁護士に依頼したい方は、以下のポイントを意識して選びましょう。
弁護士選びをする際は、時効援用や借金問題などが得意な弁護士事務所に依頼しましょう。
借金問題が得意かどうかは、借金問題に関する専用ホームページを持っているか、ホームページに解決件数・解決事例・コラムなどが記載されているか、などから判断できます。
また、無料相談などを利用して、弁護士の対応を確認するのもおすすめです。
時効の援用だけであれば数万円程度で済むこともありますが、債務整理を依頼する場合は数十万円程度の費用がかかる可能性もあります。
すぐに弁護士費用を準備するのが難しい方は、「分割払い」や「後払い」などの支払い方法が柔軟な弁護士事務所に依頼しましょう。
時効援用や債務整理などが得意な弁護士事務所を探すなら、「ベンナビ債務整理」がおすすめです。
ベンナビ債務整理では、「都道府県」と「相談内容」を選択するだけで、相談可能な弁護士事務所を一括検索できます。
ほかにも、「何度でも相談無料」「分割払い可能」「オンライン面談可能」などの特徴も一目で確認できます。
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借金の消滅時効は、判決などが確定した場合・強制執行が実行された場合・権利が承認された場合など、さまざまな事由によって延長されます。
そのため、借金の時効が成立する可能性は低く、自分ではすでに時効が成立していると思っていても「実はまだ成立していなかった」ということもあります。
時効が成立しているかどうかを知ったうえで、問題解決に向けて動きたいのであれば、弁護士に依頼するのがおすすめです。
初回無料相談に対応している事務所もあるため、まずは一度詳しく話を聞いてみるとよいでしょう。
借金の時効援用には注意が必要です。
時効の更新というルールがあり、裁判上の請求で判決が出た場合や強制執行などが実行された場合、権利の承認があった場合には時効がリセットされます。
従って、たとえ借りたときから5年や10年が経っていたとしても、必ず時効が成立しているとはいえないのです。
また時効の援用に失敗すると、多額の返済が求められる可能性もあります。
時効援用を検討中の方は、弁護士に相談するのがおすすめです。
下記のようなメリットがあります。
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