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2024.11.29
時効の援用とは、時効が完成した債権(借金)の返済義務を免れるための手続きです。
法律で定められた期間の経過によって借金の時効が完成すれば、時効の援用の手続きができるようになります。
ただし、期間が経過していても、援用手続きなしには返済義務を免れることはできません。
時効の援用は、何らかの理由で借金返済に悩む債務者にとって、非常に重要な手続きなのです。
本記事では、時効の援用の具体的なやり方や時効援用通知書の書き方、時効の援用をおこなうときの注意点などについて詳しく解説します。
時効の援用とは、ある権利の時効の完成によって利益を受ける者が、権利を有する者に対して、時効による権利消滅を主張することです。
時効が完成していても、援用しないのであれば、債権は存在しつづけることになります。
時効を援用するかどうかは債務者の選択にゆだねられているのです。
時効の援用について、以下で詳しく見ていきましょう。
消滅時効の援用を考えるときには「起算点」が重要な役割を果たします。
なぜなら消滅時効を援用するためには、時効が完成するために一定の期間が経過している必要があるからです。
詳しくは民法第166条第1項及び2項に定められており、権利を行使することができることを知った時又は権利を行使することができる時から時効期間の算定を始めます。
借金でたとえると、支払日(弁済期)が決まっている借金であれば支払日から、支払日が決められていない借金であれば、借金の契約日が消滅時効の起算点です。
なお、民法の改正により、2020年4月1日以降に契約した借金については「権利を行使することができることを知った時から5年」という定めが新たに設けられています。
したがって、「権利を行使できるようになった日から10年」と「権利を行使できることを知った日から5年」が、消滅時効の援用に必要な条件となっています。
時効の援用をおこなう方法について、特に形式などは定められていません。
お金を借りている側が債権者に対して、権利の消滅を伝えるだけでよいとされています。
そのため、伝える方法については口頭や書面のどちらでも構いません。
ただし、後々のトラブルを避けるために「時効援用通知書」と呼ばれる書面を作成するのが一般的となっています。
時効援用通知書は、「時効を援用する旨を債権者に通知するための書類」です。
時効援用通知書を債権者に送付することは、消滅時効を援用した事実を証拠として残すための重要な手続きとなるからです。
時効援用通知書には一定のルールがあり、そのルールにしたがって必要な内容を漏れなく記載します。
なお、時効援用通知書の書き方については、以下で紹介していきますが、自力で時効援用通知書を作成することが不安という方は、弁護士に相談するのがおすすめです。
時効援用のやり方自体はとてもシンプルです。
しかし、いくつかの注意点に気を配りながら進めないと、スムーズに時効を援用できなくなるおそれがあるので注意しましょう。
時効の援用の具体的なやり方や流れは、以下のとおりです。
以下で、さらに詳しく見ていきましょう。
時効の援用の第一段階は「時効が完成しているかどうかの確認」です。
以下の信用情報機関に開示請求をおこなって、時効が完成しているかどうかを確認します。
通常であれば、上記の信用情報機関で借金の詳細情報について確認できます。
ただし、厄介なのは借金の記録が信用情報上に存在しない場合です。
このような場合には、貸金業者の会社に直接確認するほかありません。
しかし、貸金業者に直接問い合わせをおこなうと、かえって状況が悪化するおそれがあります。
なぜなら、問い合わせをきっかけとして債権者が時効期間に気づき、対抗措置を講じてくる可能性があるからです。
時効が完成しているかどうか不確かなケースでは、慎重に確認手続きを進めましょう。
また不安がある場合は、弁護士に相談することも検討するとよいでしょう。
信用情報機関に開示請求をおこなって時効が完成していることが確認できたら、第二段階に進みます。
時効の援用の第二段階は、時効援用通知書の作成です。
時効援用通知書には、時効を援用するために必要不可欠な情報をひとつも漏らさずに記載する必要があります。
時効援用通知書の詳しい書き方については、後ほど詳しく解説します。
時効援用通知書の作成が完了したら、第三段階として内容証明郵便で時効援用通知書を債権者に通知します。
内容証明郵便を使うことで、差出人、宛先、内容、送付日を客観的に証明できるからです。
ただし、内容証明郵便を使って時効援用通知書を送る場合には、文字数や押印、発送方法に関して、以下のような守るべきルールがあります。
内容証明郵便に記載できる文字数は、縦書きか横書きかによって異なります。
【縦書きの場合】
【横書きの場合】
なお、内容証明郵便が複数枚にわたる場合は契印が必要です。
内容証明郵便専用の用紙も市販されているので活用するとよいでしょう。
内容証明郵便に対する差出人の押印は、法律で義務付けられているわけではありません。
しかし、実際のところ、差出人の署名の横に押印するのが通例となっています。
名前の横にハンコを押すことで、差出人の意思表示を補強するという意味合いもあります。
なお、押印に使う印鑑は、認印でかまいません。
内容証明郵便を送るときは、郵便として差し出すための1部、自分で保管するための1部、そして郵便局で保管するための1部を用意しなければなりません。
3部全てを揃えたら「差出人の住所氏名」と「名宛人の住所氏名」を記載した封筒と合わせて、郵便局の窓口に持っていきます。
なお、全ての郵便局が内容証明郵便を取り扱っているわけではありません。
あらかじめ確認しておきましょう。
また、e内容証明というインターネットを通じて内容証明郵便を発送する方法もあります。
この場合は、上記とは多少ルールが異なりますが、記載すべき事項に違いがあるわけではありません。
最後の段階として、債権者からの連絡を待ちます。
時効援用通知書を送付してから連絡がない場合には、自分から債権者に連絡をとる必要はありません。
連絡がないということは、債権者が時効の援用を承認したことを意味するからです。
一方、債権者から連絡が来た場合には、会話の内容に注意する必要があります。
というのも、気をつけていないと「債務の承認」と受け取れる言葉を発してしまう可能性があるからです。
意図せずに借金の存在を認めたり、返済の意思を示したりしないように注意しましょう。
それでは、時効援用通知書の書き方について具体的に説明します。
作成にあたっては、時効完成を主張する根拠となる資料(信用情報など)を手元に置いて、逐一参照しながら必要事項を記載していくのがおすすめです。
何度も確認しながら書き進めることで、ケアレスミスを防ぐことができます。
時効援用通知書には、送付日を記載します。
「配達証明付き内容郵便であれば送付日が客観的に明らかだから、わざわざ記載する必要はない」と考える人もいるかもしれません。
しかし、時効援用通知書は、その性質上、時効が完成した「後」に作成される書面です。
そのため、送付日が空欄であったり日付が書かれていなかったりすると、時効援用通知書が時効の完成後に作成されたものなのかどうか客観的に判断できません。
そうなると債権者側から「これは時効の完成前に作成された時効援用通知書だから、無効だ」といった反論をされて、時効の援用手続きをスムーズに進められなくなるおそれがあります。
時効援用通知書を作成するときは、必ず送付日を記入しましょう。
時効援用通知書の中では、時効が完成した借金(債権)を特定する必要があります。
たとえば、同一の貸金業者に対して複数の借金をしているといったケースなどでは、どの借金について時効が完成したのかを明確に示さないと手続きがスムーズに進みません。
もちろん、借金がひとつしかないケースであっても、債権の内容を時効援用通知書に記載する必要はあります。
記載すべき債権の内容は、次のとおりです。
金額や最終返済日をはっきりと覚えていなくても、契約番号があれば債権の特定は可能です。
また、債権者から借り入れたあとに住所を変更したことで、新住所を知らせていない場合は、旧住所を併記しておく必要があります。
時効援用通知書の中で「時効が完成していること」をはっきりと示します。
たとえば「最終返済日である平成〇年〇月〇日の翌日から、すでに5年が経過していることから、貴社が私に対して有する上記貸金返還請求権は時効により消滅しています。」など、法で定められた時効期間が経過し、その結果として債権が消滅したということを明確に記載することが重要です。
最終返済日の具体的な日付に自信がない場合は、「最終返済日の翌日からすでに5年が経過していることから」といった記載してもよいでしょう。
なお、個々人の債務の内容や状況によっても、時効援用通知書に書くべき内容は違ってくるので、上記の文言についてはあくまでも一例文として活用してください。
時効が完成した旨を記載したら、続けて「時効を援用する」意思を文中で表明します。
上記の例文に続けるなら、たとえば「……よって、私は、本書をもって上記貸金返還請求権の消滅時効を援用します」などです。
時効援用通知書をもって消滅時効を援用することが伝わればいいので、書き方はシンプルでかまいません。
この一文があるからこそ消滅時効によるメリットが得られるのです。
たとえほかの記載事項を完璧に記入したとしても、この「本書をもって消滅時効を援用する」旨の一文がなければ、時効援用通知書としての役割を果たせません。
この部分が時効援用通知書作成における最大のポイントであることを忘れないでください。
決して「援用」の一文が漏れることのないように、送付前には繰り返しチェックすることをおすすめします。
時効援用通知書には、差出人の連絡先などについても記載します。
これは、時効援用通知書について不備などがあった場合など、債権者から差出人へ連絡する必要性が生じたときのためです。
日常的に使っている連絡手段を軸に考え、電話番号やFAX番号、メールアドレスなどを記載しておくことをおすすめします。
なお、少し特殊な例ではありますが、亡くなった方(被相続人)の借金については、相続人が借金の消滅時効を援用することができます。
その場合は、相続人が時効援用通知書を作成する等の手続き全般をおこなうのが通常です。
相続人が複数人いる場合は、基本的に各相続人が別々に時効援用の手続きをおこなう必要があります。
相続人からの時効援用では債権者から、被相続人と相続人の関係性を証する書面(戸籍謄本など)を要求される場合もあるので、あらかじめ準備しておくのがよいでしょう。
必須ではありませんが、時効援用通知書には「信用情報に登録された事故情報の削除依頼」も併せて記載しておくのが望ましいです。
返済を滞納したあと長い月日が経っているなら、ほぼ間違いなく、信用情報機関が保有する「信用情報」というデータ上に事故情報が登録されています。
俗にいう「ブラックリスト入り」です。
この事故情報が登録されたままだと、住宅ローンが組めなかったり、クレジットカードを作れなかったりといった状況が延々と続いてしまい、不利益を被りかねません。
消滅時効の援用によって信用情報上の事故情報を消すには、債権者から信用情報機関に働きかけてもらう必要があります。
つまり、忘れずに事故情報を消してもらえるように、時効援用通知書上で債権者に念押しをしておくのが重要なのです。
なお、消滅時効を適切に援用したにも関わらず事故情報が消えない場合は、債権者に問い合わせましょう。
それでも解決しない場合は、弁護士への相談がおすすめです。
時効の援用は、自分でおこなうか、弁護士に依頼するかによって費用面に大きな差が出ます。
ここでは、それぞれの場合における費用相場を紹介するので、イメージしながら比較検討してみてください。
自分で援用手続きを全ておこなえば、費用を安く済ませることができます。
なぜなら、自力でおこなう場合にかかる費用といえば、コピー代金や郵便代金などの実費部分だけだからです。
以下、参考として1枚の時効援用通知書を内容証明郵便で送付した場合の一般的な料金を記載しておきます。(2024年10 月時点)
そのほかにオプションで速達などを選べば、その分の料金が必要です。
しかし、たいていの場合、オプション料金をあわせても合計2,000円程度でしょう。
弁護士に依頼して時効の援用をおこなう場合の費用相場は、4万円~10万円とされています。
4万円~10万円と幅があるのは、依頼の内容ごとに料金が変わってくるからです。
また依頼する法律事務所によって料金は異なります。
自分で時効の援用手続きをおこなう場合と比較すると、少し割高に見えるかもしれません。
しかし、かけた費用分の安心と効果を享受できるのが、弁護士に依頼する最大のメリットです。
少し記載の仕方を違ってしまったために、狙った時効援用の効果が得られなかったということにならないようにする必要があります。
時効の援用については、複雑な法律の知識を要するケースもめずらしくありません。
そのようなケースでは、自分でおこなうことによる節約のメリットよりも、弁護士への依頼による安定感や安心感などのメリットのほうが大きいといえます。
最後に、時効の援用をおこなうときの注意点について解説します。
以下の3つのいずれかに該当する場合は、時効の援用ができないため注意しましょう。
時効の援用は、時効が完成したあとにおこなう必要があります。
このため、時効の完成前に時効援用の連絡をすると、債権者から請求を受けたり、時効の進行自体を止められたりする可能性があります。
時効の援用をおこなう前に時効期間がきちんと経過しているか確認し、起算を間違えていないか確認しましょう。
時効の更新事由とは、時効の進行がリセットされることです。
時効の更新事由が発生すると時効期間がリセットされるため、再びゼロからカウントが始まることになります。
結果として時効の更新事由が繰り返されると、時効が完成しないのです。
時効の更新事由となり得るのは、以下のいずれかの行為をおこなった場合になります。
裁判手続きについては、裁判上の請求や強制執行、支払督促、和解、調停などの裁判所が関わる手続き全般が該当します。
また強制執行は時効が完成する前に、不動産、銀行預金、給与などを差し押さえて強制的に回収する手段です。
銀行預金や給与差し押さえられると、時効はリセットされることになります。
一方、債務の承認は支払う意思を伝えることや時効期間を過ぎてからの債務の返済を含みます。
口頭で「支払います」と直接伝えた場合はもちろんですが、少額でも返済したり、分割払いの相談をもちかけたりするなど「支払う意思がある」と客観的に推測されるような行為は、全て債務の承認とみなされます。
時効の更新事由は、法律で定められています。
したがって、時効の更新事由に該当するかどうかは、法律に照らし合わせながら判断しなければなりません。
時効の完成猶予とは、時効のカウントが一時的に停止される状況を指します。
このため、消滅時効の完成が猶予されてしまうと、本来の時効期間が経過しても、時効が完成しなくなります。
たとえば、調停や強制執行など催告に関する手続きや、裁判所を利用した現在進行中の手続きをおこなった場合などが該当します。
債権者からの催告に応じないことや和解や調停を避けることが、消滅時効の完成猶予を避けることにつながります。
消滅時効を援用すれば、借金返済の義務を免れることができます。
さらに信用情報の事故情報も抹消されるため、新たにローンが組めたり、クレジットカードが作れたりと、金銭面における利便性も向上します。
ただし時効の完成を適切に判断するためには、法律的な専門知識が不可欠です。
そのため借金の時効について迷った場合は、一度弁護士に相談してみることがおすすめです。
弁護士であれば時効の援用以外の制度にも精通しているので、債務者にとってベストな解決策を提示してくれるでしょう。
無料相談を設けている法律事務所も数多くあります。
借金問題についてお悩みの方は、まずはお気軽に債務整理を得意とする弁護士に相談してみましょう。