自殺すると借金はどうなる?残された家族への影響や相談窓口を解説

自殺すると借金はどうなる?残された家族への影響や相談窓口を解説

借金が膨らみ返済の目処が立たないと、「もう自殺するしかない」と追い詰められてしまうこともあるかもしれません。

実際に、2023年の統計によると、日本全国の自殺者のうち、およそ24%の5181人が経済的または生活上の理由から自ら命を絶っています。

しかし、自殺によって借金が帳消しになることはなく、むしろ遺族に大きな負担を与えてしまうおそれがあります。

また、残された家族が借金を返済する義務はあるのか、相続を放棄すれば本当に負担を免れることができるのかなど、借金の問題は複雑でわかりづらいのが実情です。

本記事では、自殺した場合の借金がどのように扱われるのかを具体的に解説するとともに、残された家族への影響や、借金苦から抜け出すための具体的な対処法、相談できる窓口についても詳しく紹介します。

誰にも相談できず追い詰められている方は、一人で悩まず、まずは落ち着いてこの記事を読み進めてみてください。

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自殺すると借金はどうなる?家族への影響は?

まずは、債務者が自殺した場合に借金がどうなるのかについて詳しく見ていきましょう。

借金は原則として相続人に引き継がれる

借金は亡くなった本人だけの問題で終わるわけではなく、原則として相続人に引き継がれます。

相続の対象には不動産や預貯金のようなプラスの財産だけでなく、借金などのマイナスの財産も含まれており、亡くなった人が残した借金は財産とともに遺族(法定相続人)が相続することになるからです。

そのため、借金が多額である場合、残された遺族は予期せぬ経済的な負担を強いられる可能性があります。

さらに、相続人が複数いる場合には、原則的には、各相続人が法定相続分に応じて借金の支払義務を負うことになります。

遺族が借金の支払義務を回避したいときは、相続放棄や限定承認を検討する

遺族が借金を相続したくない場合、「相続放棄」や「限定承認」という方法もあります。

相続放棄をすると、初めから相続人ではなかったものと扱われるため、被相続人のプラスの財産もマイナスの財産も一切引き継がないための手続といえます。

一方、限定承認をすると、相続した財産の範囲内で借金を返済し、財産を超える負債の支払義務は負いません。

これらの手続きを適切におこなえば、遺族が借金を相続することは回避できます。

しかし、相続放棄や限定承認は、「相続の開始があったことを知った時」から3か月以内の申述が必要であり、期限を過ぎてしまうと全ての借金を相続する単純承認があったものと扱われるのが原則です。

「相続の開始があったことを知った時」とは、実際に被相続人が亡くなったこと及び自身が相続人であることを知った日です。

なお、例外ではありますが、3か月の期間を経過しても相続放棄の申述が認められる事例もありますので、すぐに諦めて債権者に対する支払い等はせずに、まずは、弁護士に相談することをおすすめいたします。

【関連記事】相続の種類とは?単純承認・限定承認・相続放棄の違いやどれを選ぶべきかを解説

保証人がいる場合は支払義務が移る

亡くなった本人が借金をする際に保証人を立てている場合、その保証人に借金の支払義務が移ります。

保証人は、主債務者による支払いが停止した場合や不能になった時点で直ちに全額の支払義務を負う立場にあります。

そのため、主債務者が死亡した場合、保証人は借金の残額を全て返済しなければなりません。

保証人が家族や親族であった場合は、相続放棄をしても借金の支払義務から逃れることはできない点に注意が必要です。

これは、主債務と保証債務が別の債務であるためです。

つまり、主債務者が亡くなっても、相続放棄できるのは主債務についての相続のみであり、家族が契約当事者となっている保証債務は相続発生とは関係なく責任を負っているということです。

なお、連帯保証人になっている場合は、主債務者が支払いを停止した後等に請求を受ける上記の単なる保証人とは異なり、常に主債務者と同等の返済義務を負っていることとなりますので、保証契約をする際は、特に注意が必要です。

生命保険で借金を返済できるとは限らない

生命保険に加入していれば、死亡保険金を利用して借金を返済できると考える人もいるかもしれません。

しかし、自殺の場合は保険金が下りないケースもあるため注意しましょう。

多くの生命保険では、契約後1年〜3年程度の一定期間内に自殺した場合、死亡保険金が支払われないという免責期間が設定されています。

これは、加入直後の加入者の自殺や保険金詐取を防止するためです。

また、保険金が下りた場合でも、その受取人が家族や第三者として指定されている場合、原則として、当該保険金は指定されている受取人の固有財産となるため、必ずしも借金返済に充てられるわけではありません。

借金問題の解決策として生命保険をあてにすることは危険といえるでしょう。

借金が原因で自殺を考えたときの相談窓口一覧

借金が原因で自殺を考えるほど追い詰められている場合、ひとりで悩みを抱え込まずに相談窓口を利用することが大切です。

借金問題は一人ひとりに合った解決策があり、専門の相談員に話を聞いてもらうだけでも気持ちが楽になります。

ここでは、すぐに相談できる代表的な窓口を紹介するので、自分に合ったところを選び、一人で悩まず勇気を出して連絡してみてください。

#いのちSOS|電話・チャット・SNSなどで悩みを相談できる

「#いのちSOS」は、NPO法人自殺対策支援センターライフリンクが支援している相談窓口で、電話やチャット、SNSなど幅広い方法で24時間気軽に相談できることが特徴です。

借金問題や自殺願望に限らず、さまざまな心の悩みに専門の相談員が丁寧に対応してくれます。

チャットやSNSでは匿名性が保たれるため、「電話では話しにくい」と感じる人も、気軽に自分のペースで相談できます。

深刻な状況に陥る前に、まずは軽い気持ちで利用してみてください。

あなたの話を親身になって聞き、解決策を一緒に考えてくれる専門家が待っています。

運営元NPO法人自殺対策支援センターライフリンク
連絡先0120-061-338
受付時間24時間
公式サイトhttps://www.lifelink.or.jp/inochisos/

よりそいホットライン|暮らしの困りごとを24時間いつでも相談できる

「よりそいホットライン」は、一般社団法人社会的包摂サポートセンターが運営している窓口です。

借金や生活苦など、暮らしに関する幅広い問題を24時間体制で相談できます。

夜間や休日など、他の機関が閉まっているときでも相談できるため、「誰にも相談できない時間帯」に苦しさを感じている人に最適です。

専門の相談員がじっくりと話を聞いてくれ、具体的な解決策を一緒に検討してくれます。

また、相談内容に応じて弁護士や福祉機関など、専門的な機関への連携をサポートしてくれることも特徴です。

借金で追い詰められているとき、24時間いつでも頼れる存在があるということは心理的に大きな安心材料となるはずです。

悩みを整理するためにも、一度気軽に相談してみるとよいでしょう。

運営元一般社団法人社会的包摂サポートセンター
連絡先0120-279-338
受付時間24時間
公式サイトhttps://www.since2011.net/yorisoi/

いのちの電話|専門の相談員に電話で相談できる

「いのちの電話」は、一般社団法人日本いのちの電話連盟が運営する電話相談窓口です。

心理学や福祉に関する専門的な訓練を受けた相談員に悩みを聞いてもらうことができます。

相談員は、借金苦や自殺願望など、深刻な悩みにも落ち着いて耳を傾け、あなたの状況や気持ちを丁寧に受け止めてくれます。

「話を聞いてもらうだけでは解決しない」と思うかもしれませんが、まずは自分の気持ちを整理して伝えることで、冷静になり問題解決への第一歩を踏み出せることもあります。

相談員はただ話を聞くだけでなく、必要に応じて専門の支援機関や医療機関への紹介もおこなってくれるので、ぜひ一度相談してみてください。

運営元一般社団法人いのちの電話連盟
連絡先0570-783-556(全国共通)
受付時間10時〜22時
公式サイトhttps://www.inochinodenwa.org/

こころの健康相談統一ダイヤル|各自治体の相談機関につながる

「こころの健康相談統一ダイヤル」は、厚生労働省が運営している全国共通の相談窓口です。

電話をかけると居住地域の自治体が運営する「こころの健康」に関する相談機関につながります。

「こころの健康相談統一ダイヤル」では、借金問題によるうつ状態や自殺願望など、精神的に深刻な状況にある方の心のケアを重視しており、必要であれば地域の精神保健福祉センターなどへの連携を迅速におこなってくれます。

また、地域密着型の相談機関につながるため、その後の具体的な支援や継続的なサポートを受けやすいことも大きなメリットです。

地域の精神科医療や心理カウンセリングの情報を得ることもでき、心の健康状態に不安がある場合にとくに役立つ窓口といえます。

運営元各自治体
連絡先0570-064-556
受付時間18時30分~22時30分(22時まで受付)
公式サイトhttps://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/jisatsu/kokoro_dial.html

借金問題は解決できる!自殺を考える前に弁護士へ相談を!

借金が原因で自殺を考えるほど深刻な状況に追い込まれていても、弁護士に相談すれば多くの場合で借金問題を解決することが可能です。

具体的には、弁護士に相談することで、借金の利息カットや減額又は支払義務の免除をする手続きである債務整理を提案してもらえます。

また、弁護士に相談をすると、単純に債務整理の手続きを代行してもらえるだけではなく、以下のようなメリットがあります。

  • 基本的には、債権者からの取立てを止めることができる
  • 借入状況に応じた債務整理の方法を提案してもらえる
  • 闇金からの借金を適切に処理してくれる

それぞれについて、わかりやすく解説します。

債権者からの取立てを止めることができる

借金の返済に行き詰まり、債権者からの取立てや督促に追われ、精神的に追い詰められている人も多いはずです。

そんなときは、弁護士に債務整理を依頼すれば、貸金業法等の適用を受ける債権者からの取立ては、止めることができます。

弁護士に債務整理を依頼した際、最初におこなわれるのが債権者への受任通知の発送です。

この通知は、弁護士が債務整理の代理人になったことを知らせるものであり、貸金業法等の規定によって債権者は、債務者本人に対して直接の取立てを行うことが規制されます。

このように、受任通知の到達により、債務者への直接の督促や取立てはなくなりますので、電話や訪問、催告書などによるプレッシャーから解放されます。

取立てが止まれば勤務先や家族に借金のことを知られてしまう心配も大幅に軽減されるため、心理的負担が大きく軽くなるでしょう。

借金問題を抱えている人にとって債権者の厳しい取立ては苦痛であるため、それが止まるだけでも気持ちにゆとりが生まれ、冷静に問題を解決する方法を考えられるようになるはずです。

借入状況に応じた債務整理の方法を提案してもらえる

借金問題にはさまざまな解決方法があり、一人ひとりの状況に応じた最適な手段を選ぶ必要があります。

弁護士に相談すれば、依頼者の収入、借入金額、支払能力などを詳しく確認したうえで、任意整理・個人再生・自己破産などのなかから、最も適した債務整理の方法を提案してもらえるでしょう。

例えば、ある程度安定した収入があり、少しでも月々の返済負担が少なくなれば完済を目指せる場合には、将来利息の減額や返済期間の猶予を目指して債権者と和解交渉する任意整理が選ばれるケースが多いです。

一方、収入や資産に対して借金額が大きく、返済が不可能な場合には自己破産によって支払義務をなくす免責を目指すことも可能です。

どの方法にもそれぞれメリット・デメリットがあり、正しい判断には専門的な知識が必要となります。

自分で状況を判断することは困難であり、間違った選択をするとかえって問題が悪化することもあるため、弁護士に状況を整理してもらいながら最適な債務整理方法を決定することが重要です。

闇金からの借金を適切に処理してくれる

借金の返済が厳しくなると、つい闇金業者からお金を借り入れてしまうこともあるかもしれません。

しかし、闇金は貸金業法等の法律に違反している、いわば違法な業者であり、法律の定める利息を大幅に超える法外な利息を要求したり、脅迫的な取立てをおこなったりします。

こうした闇金被害は、自分一人で解決しようとしても対処が難しいのが実情です。

そこで頼りになるのが弁護士です。

弁護士に依頼すれば、闇金業者に対して直ちに取立ての停止を求め、刑事告訴等の法的措置を含めて毅然と対応してくれます。

弁護士が介入することで、闇金業者が取立てを諦めることも多く、しつこい督促や嫌がらせから早急に解放されることが多いです。

闇金の問題は一人で抱え込まず、早めに弁護士に相談して適切な対処を取ることが、確実で安全な解決方法です。

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借金問題について弁護士に無料相談ができる窓口

借金問題は一人で悩まず、まずは無料相談窓口を活用して弁護士にアドバイスを受けるのが得策です。

借金問題は放置すればするほど解決が難しくなる一方で、早い段階で専門家に相談することで迅速かつ効果的な対応策が見つかります。

法律事務所や弁護士会、自治体、法テラスなど、多くの無料相談窓口が設けられているため、ご自身の状況にあった方法で気軽に相談しましょう。

法律事務所|借金問題は無料で相談に応じている事務所も多い

借金問題の解決に注力している法律事務所の中には、初回相談を無料で提供しているところが数多くあります。

借金に関する悩みや不安を抱えている場合、最初から費用を支払って弁護士に相談するのは負担が大きいものです。

そうした不安を軽減するため、多くの事務所が無料での相談サービスをおこなっているのです。

無料相談では、具体的な借入状況や支払能力を弁護士がヒアリングし、任意整理や個人再生、自己破産など、状況に最も適した債務整理の方法を具体的に提案してもらえます。

無料相談で弁護士との相性を確認した上で、信頼できる弁護士を選んで正式に依頼できるという点も大きなメリットです。

また、無料相談だからといって相談内容の質が下がることはなく、借金問題に精通した弁護士が的確なアドバイスを提供してくれるため、安心して利用できるでしょう。

ただし、相談時間は、30分〜1時間程度に限られているケースが多いため、事前に借入金額や債権者情報などをまとめておくことをおすすめします。

弁護士会|地域によっては法律相談センターで無料相談を受け付けている

各地域にある弁護士会では、市民が気軽に法律相談を利用できるように法律相談センターを設けています。

弁護士会の法律相談センターでは、借金問題を含め、離婚や相続など幅広い法律問題を専門の弁護士に相談できます。

弁護士会によっては無料相談を実施しており、経済的に余裕のない方でも気軽に利用できる場合があります。

無料相談が利用できる日時・場所・分野は各弁護士会によって異なり、事前予約制の場合も多いため、ホームページや電話で事前に確認しましょう。

弁護士会の相談は公正・中立な立場で運営されており、営利を目的とした勧誘や不当な請求などの心配がない点もメリットのひとつです。

ご自身の住んでいる地域の弁護士会に問い合わせ、利用可能な無料相談を上手に活用しましょう。

自治体|地域住民向けの法律相談会が実施されていることがある

多くの自治体では、地域住民の法律的なトラブルをサポートするために、定期的に弁護士による無料の法律相談会を実施しています。

自治体の無料法律相談の大きなメリットは、気軽に利用できる点で、予約が埋まっていない限り誰でも無料で相談が可能です。

相談会は、市役所や区役所、公民館など地域の公共施設で開催されるため、自宅の近くで気軽に参加しやすい点も大きなメリットといえます。

相談は1回あたり30分程度が一般的で、地域によっては複数回利用することも可能です。

ただし、自治体の法律相談会は定期開催の頻度が月に数回程度と限られており、日時が合わない場合は利用しにくいというデメリットもあります。

また、相談時間が短いため、事前に相談内容を整理してから相談にのぞみましょう。

法テラス|収入・資産が一定基準以下なら無料相談が可能

法テラス(日本司法支援センター)は、経済的な事情で弁護士費用を払うことが困難な人を支援するために、国が運営している公的機関です。

収入や資産が一定基準以下の場合には、法テラスを通じて弁護士に無料相談をすることができます。

無料相談だけでなく、正式に弁護士へ依頼する場合にも、弁護士費用を法テラスが一時的に立て替える制度が用意されており、費用の分割返済も可能です。

特に、経済的に余裕がない方にとっては助けになる窓口といえるでしょう。

法テラスの無料相談を利用する際には、収入や資産状況など一定の基準を満たす必要があるため、あらかじめ公式Webサイトや電話で利用資格を確認してください。

また、相談を受けられる弁護士は法テラスと契約している弁護士に限られ、自分で自由に弁護士を選ぶことは難しいことにも注意が必要です。

さいごに|借金問題はひとりで抱え込まず専門家に相談しよう!

本記事では、自殺してしまった場合に借金がどうなるかや、借金問題に悩んでいる際に相談できる窓口などについて詳しく解説しました。

借金を苦に自ら命を絶ったとしても、借金が帳消しになるわけではなく、残された相続人等が引き継ぐことになってしまいます。

借金問題については、弁護士や専門機関に相談すれば、具体的な対応策や、借金の減額・免責等をするための債務整理を紹介してくれます。

借金は一人で抱え込んでも解決が難しいため、ぜひ弁護士の無料相談を活用して、自分に合った解決方法を見つけてください。

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監修記事
札幌パシフィック法律事務所
佐々木 光嗣 (札幌弁護士会)
2018年2月に札幌パシフィック法律事務所を設立。スタッフも一丸となり「身近なリーガルパートナー」として迅速な問題解決を目指す。
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アシロ編集部
編集部
本記事は法律相談ナビを運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。
※法律相談ナビに掲載される記事は、必ずしも弁護士が執筆したものではありません。本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。
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