- 「過去に債務整理をしたにもかかわらず、再び苦しい状況に陥ってしまった」
- 「債務整理は二度目でもできるのだろうか?」
二度目の債務整理について、このようにお悩みの方もいるのではないでしょうか。
債務整理は基本的に二度目でもおこなえますが、どんなケースでもできるわけではありません。
過去に選択した債務整理の方法や自身の状況によっては債務整理が難しく、注意が必要なケースもあります。
そのため、どのように進めるのがベストか正しく判断することが大切です。
本記事では二度目の債務整理を成功させるために知っておきたいポイントを紹介します。
借金問題で再び苦しい状況に陥ってしまった方は、ぜひ参考にしてください。
債務整理は二度目でも原則として可能!9つのパターンを確認しよう
債務整理に回数制限はありません。
そのため、原則として二度目でもできますし、一度目とは違う方法を選択してもかまいません。
まずは二度目の債務整理において、どのようなパターンがあるのか確認しておきましょう。
【2回の債務整理の組み合わせと手続きの可否】
1回目の手続き | 2回目の手続き | 手続きの可否 |
---|---|---|
任意整理 | 任意整理 | 可能 ※債権者が同じ場合は難しい |
任意整理 | 個人再生 | 可能 |
任意整理 | 自己破産 | 可能 |
個人再生 | 任意整理 | 個人再生後に新たに発生した債務であれば可能 |
個人再生 | 個人再生 | 可能 ※一定期間は認められない |
個人再生 | 自己破産 | 可能 |
自己破産 | 任意整理 | 可能 |
自己破産 | 個人再生 | 可能 ※一定期間は認められない |
自己破産 | 自己破産 | 可能 ※一定期間は認められない |
二度目の債務整理は難しい?とくに注意が必要になる4つのケース
債務整理は二度目でもできます。
ただし、次の4つのケースでは注意が必要です。
- 任意整理→任意整理の場合
- 個人再生→個人再生の場合
- 自己破産→個人再生の場合
- 自己破産→自己破産の場合
それぞれのケースについて、詳しく見ていきましょう。
1.任意整理→任意整理の場合|債権者が同じだと再和解が難しくなる
一度目の任意整理と同じ債権者に対して再び任意整理の交渉をおこなう際は、和解が成立する可能性は低いといえます。
債権者からすると、過去に成立した和解内容を果たせなくなった人に対して、再度和解に応じたくないと感じるのは当然です。
仮に応じてもらえたとしても、一度目と比べると厳しい条件での成立となるでしょう。
また、二度目の任意整理でも、一度目に合意した返済額の元本を減額してもらうことはできません。
2.個人再生→個人再生の場合|給与所得者再生の場合は期間制限がある
二度目の個人再生の場合、一度目ほどスムーズに裁判所から認可決定をもらえません。
再び債務整理が必要になった事情を厳しく確認されますし、裁判所を納得させられるだけの理由が必要です。
また、一度目で給与所得者再生を利用した場合、前回の手続きから7年が経過していなければ、同じ手続きはできません。
給与所得者再生とは、会社員や公務員など安定した収入のある方が利用できる手続きです。
債権者の同意を得る必要がないため、スムーズに認可決定が降りやすい点が最大のメリットです。
回数制限はありませんが、二度目の利用には一度目の認可決定から7年が経過している必要があります。
経過していなければ、小規模個人再生などほかの方法を検討するしかありません。
3.自己破産→個人再生の場合|自己破産の日から7年間は給与所得者再生ができない
以前の自己破産の免責許可決定日から7年が経過していない場合、今回の個人再生手続きにおいて給与所得者再生を選択することはできません。
なお、前回の自己破産から7年が経過していなくても、小規模個人再生であれば選択可能です。
ただし、小規模個人再生には債権者の同意が必要となる分、給与所得者再生よりも手続きがスムーズに進まないリスクがあります。
4.自己破産→自己破産の場合|自己破産の日から7年間は原則として自己破産ができない
自己破産手続きにも回数制限はありませんが、前回の免責許可決定が降りてから7年が経過していなければ、二度目の手続きはできません。
7年が経過していない場合は、小規模個人再生など、ほかの方法を検討するしかありません。
ただし、失業や病気、災害など、個人の力ではどうしようもない事情がある場合は、再度免責が認められる可能性もあります。
なお、前回の自己破産から7年が経過していても、前回と同じ理由で自己破産をする場合、裁判所から「反省していない」と判断され、免責を認めてもらえないことがある点に注意しましょう。
二度目の自己破産をおこなう際は、裁判所を説得できるだけの理由が必要です。
一度目の債務整理手続き別に二度目にどの手段を選ぶべきかを解説
二度目の債務整理においては、前回と同じ方法を選択できないケースもあります。
また、同じ方法を選択できる場合でも条件が設けられているほか、別の方法を検討すべきケースもあるでしょう。
ここでは、二度目の債務整理においてどの方法を選ぶのがベストかについて解説します。
1.任意整理を選択していた場合
前回の債務整理で任意整理を選択していた場合、二度目の債務整理としては以下のような手段が考えられます。
- 別の債権者と任意整理をおこなう
- ほかの債務整理手続きによる解決を目指す
ここで、ポイントになるのは「対象とする債権者が同じかどうか」です。
前回とは別の債権者に対して減額交渉をおこなうのであれば、とくに問題なく任意整理をおこなえるでしょう。
一方、同じ債権者であれば、再和解が難しいケースがほとんどです。
応じてもらえても、あまり効果は期待できず、ほかの手段による解決を目指さざるを得ないでしょう。
2.個人再生を選択していた場合
以前に個人再生をおこない、再生計画に基づく返済中に再び支払いが苦しくなってしまった場合は、次のような解決方法が考えられます。
- 返済期間の延長の申し立てをする
- ハードシップ免責の申し立てをする
- もう一度個人再生を申し立てる
- ほかの債務整理手続きによる解決を目指す
個人再生は、新たに債務整理手続きをしなくても、救済してもらえる方法があります。
それが、返済期間の延長とハードシップ免責という制度です。
まず「返済期間の延長」とは、再生計画の認可後にやむをえない事情によって弁済が困難になった場合、裁判所に申し立てをして認められれば、再生計画で定められた返済期限を延長できるというものです。
ただし、あらかじめ定められていた期限から2年を超えないように設定する必要があります。
第二百三十四条
小規模個人再生においては、再生計画認可の決定があった後やむを得ない事由で再生計画を遂行することが著しく困難となったときは、再生債務者の申し立てにより、再生計画で定められた債務の期限を延長することができる。この場合においては、変更後の債務の最終の期限は、再生計画で定められた債務の最終の期限から二年を超えない範囲で定めなければならない。
引用元:民事再生法|e-Gov 法令検索
また、ハードシップ免責とは、再生計画の認可後、やむをえない事情によって返済できなくなってしまった場合、一定の要件を満たせば、裁判所の認可を受けて残りの債務を免除してもらえる制度です。
ただし、前回の手続きで住宅ローン特例を利用していたのであれば、住宅ローンの残債に対しては適用できません。
これらの制度を利用できなければ、再度個人再生を申し立てるか、ほかの債務整理手続きの利用を検討しましょう。
どの方法がベストかは、それぞれの事情や状況によるため、債務整理に強い弁護士に相談することをおすすめします。
3.自己破産を選択していた場合
前回、自己破産をした方には、次のような選択肢があります。
- ほかの債務整理手続きによる解決を目指す
- 7年以内であっても裁量免責による解決を目指す
過去に自己破産をしていた場合、原則として7年以内に再び免責許可を受けることはできません。
そのため、基本的に前回の免責許可決定日から7年が経過していなければ、任意整理か個人再生による解決を目指すしかないでしょう。
ただし、例外もあり、裁量免責によって免責が許可されるケースもあります。
裁量免責とは、原則免責不許可のケースでも、裁判所が認めれば免責許可となることです。
とくに、病気やけが、災害などによる失業や負の遺産の相続など、個人の力ではどうしようもない事情がある際には、裁量免責が認められやすいでしょう。
難易度が高くても二度目の債務整理を成功させるための4つのポイント
二度目の債務整理は、一度目と比べると難易度が高くなります。
そのため、二度目の債務整理を成功させるには、以下のような点が重要です。
1.二度目の債務整理に至った事情を正直に説明する
二度目の債務整理では、再び困窮状態に陥ってしまった事情を裁判所に納得してもらえるように説明する必要があります。
そのため、再び苦しい状況に陥ってしまった事情を誤魔化したり、嘘をついたりするのはやめましょう。
債務整理の手続きでは、経済的な困窮に至った理由を証明する証拠を提出しなければならないため、虚偽の事実はいずれバレます。
あとから嘘がバレると債務整理の手続き自体が難しくなるおそれもあるので、余計な時間がかかったり、困難な状況に陥ったりしないためにも、弁護士へはどんな内容も正直に話してください。
自分では難しいと思えるような事情でも、弁護士は債務整理を成功させるために尽力してくれるはずです。もちろん、弁護士に怒られる心配もないので、安心して相談してください。
2.一度目の債務整理後に返済の意思があったことを示す
二度目の債務整理では、一度目の債務整理後に返済の意思があったことを債権者や裁判所に認めてもらうのも大切です。
預金通帳の振り込み記録など、支払いを証明できるものを用意しておきましょう。
長い期間にわたって弁済をしていた事実を証明できれば、二度目の債務整理でも有利に働く可能性が高いといえます。
3.三度目の債務整理を起こさないための改善策を伝える
二度目の債務整理では、三度目の債務整理をおこなうリスクがないかも厳しくチェックされます。
そのため、再び債務整理が必要な状態に陥らないよう、改善に努めている様子を伝えることも大切です。
引っ越しなどで家賃を下げた、光熱費など固定費を下げる工夫をした、副業を始めたなど、具体的な事実を示しましょう。
4.債務整理が得意な弁護士に相談・依頼をする
二度目の債務整理をおこなう際は、自分一人で悩まず、早めに債務整理が得意な弁護士に相談してください。
実績が豊富な弁護士であれば、過去の経験から、二度目の債務整理を成功させるノウハウを備えています。
自身では「どうしようもないのではないか」と不安に思うような状況でも、弁護士は依頼主の悩みに寄り添って、問題解決のために全力を尽くしてくれます。
借金の悩みを一人で抱え続けず、早めに弁護士へ相談して解決を目指しましょう。
二度目の債務整理に関するよくある質問
ここでは、二度目の債務整理を希望する方からよくある質問とその回答を紹介します。
Q.二度目の債務整理を防ぐためにはどうすればよいでしょうか?
そもそも、二度目の債務整理が必要な状況に陥らないようにするのが一番です。
そのためには、一度目の債務整理で自分に合った解決策を選択することが何より大切といえます。
債務整理においてどの方法がベストかは、債権者の数や債権総額、収入状況など個々の状況によります。
適切に選択するには、債務整理の取り扱い実績が豊富な弁護士に相談し、判断してもらうのがベストです。
Q.一度目の債務整理と同じ弁護士に相談するのがよいでしょうか?
二度目の債務整理では、一度目の債務整理のときと同じ弁護士に相談しなければならないという決まりはありません。
確かに同じ弁護士に相談するほうが、前回の手続きの内容を把握しているためスムーズではあります。
しかし「相性が合わなかった」「前回の判断に疑問がある」などといった事情がある場合は、別の弁護士に相談してみるのもよいでしょう。
ご自身が信頼できる弁護士に相談することが大切です。
Q.二度目の債務整理であることを弁護士に伝えたうえで相談しないといけませんか?
二度目の債務整理は、簡単に成功するものではありません。
そのため、弁護士に依頼する際は、二度目の債務整理である旨をきちんと伝えるようにしてください。
隠したまま進めても、いずれ発覚する可能性が高いうえ、後手に回ったために不利な展開になるリスクもあります。
弁護士にはどんな事情も必ず正直に話しましょう。
さいごに|ベンナビ債務整理で弁護士を探して二度目の債務整理について相談しよう
二度目の債務整理は一度目よりも難易度が上がります。
そのため、債務整理に強い弁護士に依頼することが成功へのカギといえるでしょう。
「ベンナビ債務整理」には、債務整理の解決実績が豊富な弁護士が多数掲載されています。
初回相談料を無料としていたり、弁護士費用の分割払いに応じていたりする弁護士も多く、現在、経済的に苦しい状況にある方でも相談しやすいでしょう。
ぜひベンナビ債務整理で弁護士を探し、借金の悩みから早く解放されましょう。
