「任意整理で借金を減らしたいけど、具体的にどのくらい減るのかよくわからない」
任意整理について、こんな悩みをお持ちの方も多いのではないでしょうか?
任意整理によってどのくらい借金が減額できるかは、一人ひとりの借金額などの状況によって異なるため、事前のシミュレーションが重要です。
本記事では、任意整理をするといくら借金を減らせるのか、借金額ごとのシミュレーションを紹介します。
また、任意整理のメリット・デメリットや任意整理が向いている方の特徴についても解説するので、ぜひ参考にしてください。
任意整理による借金減額の仕組み|月々の返済額はいくら減る?
まずは、任意整理による借金減額の仕組みについて簡単に紹介します。
債権者と個別に交渉して利息などをカットしてもらう
任意整理とは、一般的には、債権者と交渉し、借金を分割払いで支払う手続きをいいます。
任意整理の最大の特徴は、債務者と債権者が交渉・合意することで成立する点です。
裁判所などは通さずに当事者間のみの合意によって成立します。
なお、債権者とは自分で直接交渉することも可能ですが、弁護士などの専門家を通じて交渉してもらうのが一般的です。
消費者金融やクレジットカード会社などの債権者は、借金の利息によって利益を得ているため、本来であれば利息のカットには応じてくれません。
しかし、借金の返済が難しくなって滞納し始めた人などをそのまま放っておくと、いずれ自己破産などの手続きによって借金が帳消しになり、元本すら回収できなくなってしまう恐れがあります。
そのため「元本だけでも支払ってもらえるならまだマシ」という考えから、利息カットの交渉に応じてくれる場合があります。
任意整理によってカットしてもらえる利息は、主に以下の2つです。
名称 | 概要 |
---|---|
将来利息 | 任意整理による和解後に残っている借金にかかる利息 |
遅延損害金 | 支払いを滞納したことによって発生している延滞金のようなもの |
基本的に、任意整理をする前に支払った利息や、任意整理の交渉を開始してから和解までのあいだに発生した「経過利息」は、任意整理では減額できません。
また、任意整理の対象とした業者から2010年6月以前の借入があった場合は、払いすぎた利息である「過払い金」が発生している可能性があります。
任意整理の手続きを通して過払い金を返還してもらえれば、より借金を減額できる可能性があるでしょう。
元金は3~5年で分割払いする
任意整理によって利息をカットしてもらって残った元金は一般的に3年~5年の期間で分割払いしていくように和解するケースが多いです。
元々は一括払いで支払う約束であった借金についても、任意整理の結果として分割払いにしてもらえる可能性もあります。
ただし、これまでの返済実績が少なかったり、滞納を繰り返していたりした場合は、1年~2年程度の短期間での返済を求められる場合もあるでしょう。
月々の返済額は支払い期間で変わる
任意整理後の月々の返済額は、以下のように計算できます。
現在の返済額から、この計算式で算出された返済額を差し引けば、任意整理をすると月々の返済額がいくら減るかを算出可能です。
任意整理をすると、利息をカットしてもらって残った元金を3年~5年の期間で返済していくケースが多いですが、支払い期間が長くなるほど、月々の返済額は小さくなります。
たとえば、元金が180万円の場合は、支払い期間が3年であれば「180 ÷ 36 = 5」で、月々の返済額は5万円です。
さらに、支払い期間が5年にできた場合は「180 ÷ 60 = 3」となり、月々の返済額を3万円まで抑えられます。
任意整理で借金はいくら減る?具体例でシミュレーション
任意整理をした際に実際に借金がどれだけ減らせるのかは気になるところです。
そこで、借金減額シミュレーション|ベンナビ債務整理(旧)を用いて借金の総額が100万~500万円(年利15%)、返済期間3年の場合を例にあげてシミュレーションしてみましょう。
なお、任意整理前の借金の返済額のシミュレーションには、アコムの「返済金額シミュレーション」を利用します。
「借金減額シミュレーション|ベンナビ債務整理(旧)」では、借入総額や利率など4項目を入力するだけで、任意整理をすれば月々の返済額がどのくらい減るかわかります。
氏名や住所などの個人情報の入力は一切必要ないため、安心して利用が可能です。
以下の例も参考にしつつ、あなたのケースでどれくらい借金が減るのかをぜひシミュレーションしてみてください。
借金総額100万円で任意整理をすると月々の返済額はいくら減る?
借金総額100万円で任意整理をした場合、月々の返済額は以下のように減少する場合があります。
任意整理前 | 任意整理後※ | |
---|---|---|
月々の返済額 | 34,665円 | 27,777円 |
支払い総額 | 1,247,934円 | 1,000,000円 |
減額できる利息分 | 247,934円 |
※利息分の支払いをカットした場合
※あくまでも目安です
借金総額150万円で任意整理をすると月々の返済額はいくら減る?
借金総額150万円で任意整理をした場合、月々の返済額は以下のように減少する場合があります。
任意整理前 | 任意整理後※ | |
---|---|---|
月々の返済額 | 51,997円 | 41,666円 |
支払い総額 | 1,871,916円 | 1,500,000円 |
減額できる利息分 | 371,916円 |
※利息分の支払いをカットした場合
※あくまでも目安です
借金総額200万円で任意整理をすると月々の返済額はいくら減る?
借金総額200万円で任意整理をした場合、月々の返済額は以下のように減少する場合があります。
任意整理前 | 任意整理後※ | |
---|---|---|
月々の返済額 | 69,330円 | 55,555円 |
支払い総額 | 2,495,888円 | 2,000,000円 |
減額できる利息分 | 495,888円 |
※利息分の支払いをカットした場合
※あくまでも目安です
借金総額300万円で任意整理をすると月々の返済額はいくら減る?
借金総額300万円で任意整理をした場合、月々の返済額は以下のように減少する場合があります。
任意整理前 | 任意整理後※ | |
---|---|---|
月々の返済額 | 103,995円 | 83,333円 |
支払い総額 | 3,743,842円 | 3,000,000円 |
減額できる利息分 | 743,842円 |
※利息分の支払いをカットした場合
※あくまでも目安です
借金総額400万円で任意整理をすると月々の返済額はいくら減る?
借金総額400万円で任意整理をした場合、月々の返済額は以下のように減少する場合があります。
任意整理前 | 任意整理後※ | |
---|---|---|
月々の返済額 | 138,661円 | 111,111円 |
支払い総額 | 4,991,792円 | 4,000,000円 |
減額できる利息分 | 991,792円 |
※利息分の支払いをカットした場合
※あくまでも目安です
借金総額500万円で任意整理をすると月々の返済額はいくら減る?
借金総額500万円で任意整理をした場合、月々の返済額は以下のように減少する場合があります。
任意整理前 | 任意整理後※ | |
---|---|---|
月々の返済額 | 173,326円 | 138,888円 |
支払い総額 | 6,239,744円 | 5,000,000円 |
減額できる利息分 | 1,239,744円 |
※利息分の支払いをカットした場合
※あくまでも目安です
任意整理をするメリット・デメリット
ここでは、任意整理をするメリットとデメリットについて一般的なものを簡単に紹介します。
任意整理をするメリット
任意整理をするメリットは、主に以下のとおりです。
- 弁護士に任意整理を依頼すると債権者からの取り立てを止められる
- 手元にまとまった費用がなくても借金の減額ができる
- 月々の返済額が少なくなり、返済負担を軽減できる
- 家族や知人にバレずに借金を減額できる場合がある
- 財産を没収されるような心配がない
- 保証人にも迷惑がかからない
弁護士に任意整理を依頼すると、最短即日に債権者からの取り立てを止められて、一時的に返済もストップできます。
返済が止まっている間に弁護士費用を用意できるため、現在手元にまとまったお金がない方であっても、任意整理による借金減額は可能といえます。
また、任意整理は自己破産のような裁判所を通した手続きとは異なり、あくまで債権者との直接の交渉によって借金を減らす手段です。
さまざまなリスクを抑えて合法的に借金を減らせる点もメリットでしょう。
任意整理をするデメリット
任意整理をするデメリットは以下のとおりです。
- ブラックリストになって一定期間クレジットカードやローンが使えなくなる
- 借金の状況によっては返済負担が軽くならないケースもある
- 債権者が交渉に応じてくれない可能性がある
任意整理をすると、手続きから一定期間はブラックリストとなってしまいクレジットカードやローンが使えなくなることが多いです。
現在利用しているクレジットカードも契約更新などのタイミングで強制解約となってしまう可能性が高いため、各種支払いにカードを利用している方は支払い方法の変更などの手続きが必要です。
また、任意整理は借金にかかる利息をカットしてもらったうえで3年~5年の期間での返済を目指す必要があります。
利息の低い借金の場合や、そもそもの毎月の返済額が少なく返済期間が長い場合などは、任意整理をしたことによって月々の返済額が増えてしまうケースもあることを覚えておきましょう。
任意整理を検討している場合は、弁護士などの専門家に相談してデメリットについてしっかり理解してから手続きを進めてください。
任意整理はどんな人に向いている?
ここでは、任意整理が向いている人と向いていない人の特徴を紹介します。
任意整理をするのが向いている人
任意整理をするのが向いている人の特徴は以下のとおりです。
- 安定した収入があり利息だけでもカットできれば返済が可能
- クレジットカードのリボ払い残高や消費者金融からの借金が多い
- 保証人に迷惑をかけたくない
- 仕事などで忙しい
任意整理は、債権者と交渉し、借金を分割払いで支払う手続きであり、手続き後も継続して返済していく必要があります。
そのため、ある程度の安定した収入が求められるでしょう。
また、リボ払いや消費者金融からの借り入れなど、年利15%~18%といった高金利での借金を多く抱えている方は非常に大きな減額効果が期待できる場合があります。
任意整理は、一度弁護士などの専門家に依頼すればその後の債権者との交渉などはほとんど任せきりで問題ないため、仕事などで忙しくなかなか時間が取れない人にもおすすめです。
任意整理が向いていない人
反対に、任意整理が向いていない人の特徴は以下のとおりです。
- 失職などにより収入が途絶えている
- 住宅ローンや自動車ローンなどの低金利の借金が多い
- 債権者との取引期間が短いなど交渉が不利にはたらく事情がある
- 借金総額が高額
任意整理をしたとしても元本は減額されず、3年~5年の決められた期間で返済していく手続きです。
そのため、何らかの事情により収入が途絶えている方や、住宅ローンなどの低金利の借金の返済に困っている方の場合はおすすめできません。
また、収入に対して借金額が多く、利息をカットしてもらった程度では完済の見込みが立たない方の場合も、任意整理ではなく個人再生や自己破産などのより強力な債務整理を検討したほうがいいといえるでしょう。
任意整理以外の債務整理で借金はいくら減る?
任意整理は、借金を分割払いで返済をおこなうもので、「債務整理」のうちの一種です。
債務整理には、任意整理のほかに個人再生や自己破産という手続きがあり、それぞれで借金の減額幅が異なります。
ここでは、個人再生と自己破産をするとそれぞれどれくらい借金を減らせるのか簡単に紹介します。
個人再生|債務総額を1割~2割程度まで減額してもらえる
個人再生とは、裁判所に申し立てることによって借金を元金ごと大幅に減額してもらえる手続きです。
減額幅は借金の総額によって異なります。
個人再生によって減額された借金は、原則3年の期間で完済を目指します。
自己破産|返済額は0円に
自己破産とは、個人再生と同じように裁判所に申し立てることによって、ほぼ全ての借金の返済義務を帳消しにしてもらう手続きです。
自己破産は借金問題解決の最終手段であり、借金がチャラになる代わりに、持ち家や車など一定以上の価値がある財産は借金の肩代わりに清算されてしまうというデメリットもあります。
ただし、税金や養育費など非免責債権については自己破産をしたとしても免除されることはありません。
どの方法がベストかは弁護士に相談を
任意整理・個人再生・自己破産はいずれも合法的な借金減額手段ですが、減額幅やデメリットなど、特徴がそれぞれ大きく異なります。
どの手続きが自分の借金を解決するかどうかを判断するには、法律に関する専門的な知識や債務整理の経験が必要不可欠です。
そのため、まずは債務整理の実績が豊富な弁護士に相談し、自分の借金額や収入状況などに応じて適切な解決手段を提案してもらいましょう。
弁護士に任意整理を依頼するのにかかる費用
弁護士に任意整理を依頼するのにかかる費用は、主に以下のとおりです。
内訳 | 費用相場 | 内容 |
---|---|---|
相談料 | 約1万円 | 任意整理を正式に依頼する前に弁護士に相談した際に発生する費用。初回の相談は無料となっている事務所も多い。 |
着手金 | 3万円~5万円/1社 | 弁護士に任意整理を依頼した段階で支払う費用。 |
解決報酬金 | 約2万円/1社 | 債権者との交渉が和解に至ったことに対して支払う費用 |
減額報酬金 | 減額できた金額の10%/1社 | 任意整理によって実際に減額できたことに対して支払う費用 |
その他実費 | - | 交通費や印刷費などの実費。 |
任意整理を依頼する際は、複数の債権者からの借金を減額してもらうケースも多いですが、債権者1社ごとに費用がかかる点に注意が必要です。
法律事務所によっては、弁護士費用の分割払いに対応してくれるところもあります。
また、弁護士に任意整理を依頼すると、和解に至るまでの数ヵ月は借金の返済をしなくてよくなるため、その間に弁護士費用を積み立てて用意できるでしょう。
なお、弁護士に相談したうえで任意整理の費用が用意できない場合は「法テラス」への相談も検討しましょう。
法テラスでは、一定の収入条件を満たした方に対して弁護士費用の立て替えなどのサポートをおこなっているので、ぜひ頼ってみてください。
さいごに|本当に任意整理がベストかは弁護士に相談!
本記事では、任意整理をすると借金がいくら減るのかについて詳しく解説しました。
借金の状況によっては任意整理をすると月々の負担を大幅に減らせますが、住宅ローンや自動車ローン・奨学金のように低金利の返済に苦しんでいる方や、そもそも安定した収入がない方にとっては根本的な解決手段とはなりません。
自分に適した解決法を見つけるためには、債務整理の実績が豊富な弁護士に相談するのが一番の近道です。