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借金減額のデメリットとは?債務整理をする前に知っておくべきリスクと注意点を解説
2024.12.27
借金減額をするにあたって、このような疑問を抱えている方もいるでしょう。
債務整理による借金減額でブラックリストに載ると、私生活に大きな影響を与えることがあります。
そのため、借金減額をおこなう際にはブラックリスト入りの影響を理解して、検討することが大切です。
本記事では、債務整理による借金減額でブラックリストに載るデメリットや影響、掲載期間などについて解説します。
ブラックリストに掲載されているなかでもできることはあるため、ペナルティの対象範囲を把握するうえで参考にしてください。
また、ブラックリストに掲載中か調べる方法についても紹介します。
債務整理で借金減額をすると、信用情報に事故情報が登録され、ブラックリストとなります。
まずは、債務整理をするとブラックリストに載る理由について見ていきましょう。
ブラックリストに載る理由は、金融機関が過去に金融事故を起こした人を把握し、契約に制限をかけるためです。
お金を貸す側の視点になってみると、過去に借金減額をした人に対してお金を貸したくないと考えるのは当然でしょう。
そのため、債務整理をすると信用情報機関に登録されて、クレジットカードやローンなど、お金を借りるサービスについて新たに契約をすることができなくなるのです。
個人信用情報やブラックリストの情報は信用情報機関が管理しています。
信用情報機関として、以下3つがあります。
名称 | 概要 |
---|---|
シー・アイ・シー(CIC) | クレジットカード会社やローン業者などクレジット事業を会員とした機関。 クレジットカード会社・信販会社・携帯電話会社などが加盟。 |
日本信用情報機構(JICC) | 消費者金融が中心となり設立した期間。 消費者金融業者を中心に、クレジットカード会社や携帯電話会社などが加盟。 |
全国銀行個人信用情報センター(KSC) | 全国銀行協会が運営する機関。 銀行・信用金庫・信用保証協会が加盟。 |
債務整理による借金減額でブラックリストに掲載される期間は、機関や債務整理の方法によって異なります。
それぞれの機関・方法ごとのブラックリスト掲載期間は、以下のとおりです。
任意整理 | 個人再生 | 自己破産 | |
---|---|---|---|
シー・アイ・シー(CIC) | 完済日から5年 (代位弁済による登録) | 完済日から5年 | 破産手続開始決定日から5年 |
日本信用情報機構(JICC) | 完済日から5年 | 完済日から5年 | 手続き終了 (免責確定日から5年) |
全国銀行個人信用情報センター(KSC) | 完済日から5年 (代位弁済による登録) | 完済日から5年 または手続開始決定日から10年のいずれか遅い方 | 破産手続開始決定日から10年 |
一度ブラックリストに載ると永久に続くわけではありませんが、たいていは5年から10年は掲載されると思っておきましょう。
ただし、債務整理の方法によってブラックリスト解除までの期間は異なります。
たとえば、自己破産は手続きが完了した時点から数えて5年ですが、任意整理は手続き完了時点では和解という形で、その後返済しなければなりません。
そして、返済完了から5年となるため、任意整理のほうが登録解除まで時間を要する可能性があります。
また、ブラックリストへの掲載期間は、明確に提示されているわけではありません。
掲載期間はあくまでも目安になるので、一定の期間が経過したのち信用情報の開示請求をおこなうことで情報が削除されているかどうかを確認するとよいでしょう。
ブラックリストに載ると、さまざまな社会的ペナルティの対象となります。
ここではブラックリストに載った場合に起こる5つのケースについて解説します。
ブラックリストになると新たな借入をおこなうことができなくなります。
「新たな借入」には、消費者金融での借入のほか、ローンやクレジットカードも含まれるので注意しましょう。
通常であれば借入やローンは現在の収入・他社からの借入状況などを鑑みて審査しますが、たとえ高収入でもブラックリストに載っている時点で審査通過は困難でしょう。
なお、ブラックリストに掲載されている機関に利用できないローンとしては次が挙げられます。
ブラックリストに載っている場合、一括払いもしくはディーラーローンなど、利用可能なローンを組むことで対処できないか検討しましょう。
ブラックリストに載るということは返済能力が低いとみなされている状態です。
そのため、新しくクレジットカードを作ることもできなくなります。
クレジットカードを申し込むとカード会社は信用情報をチェックするため、今まで利用したことがないカード会社でも金融事故を起こした履歴は確認されるのです。
審査の際、ブラックリストに載っていることが判明すると、審査落ちは濃厚といるでしょう。
また、すでに利用中のカードも強制解約となり利用できなくなる可能性があります。
カード更新のタイミングなどでカード会社が信用情報を照会してブラックリストに載っていることが確認されるため、たいていの場合は他社でも強制解約となる可能性は高いです。
所有しているカードが使えなくなるのは、時間の問題でしょう。
分割払いとは金融機関が料金を立て替え、購入者が数カ月・数年単位で支払う方法です。
ブラックリストに載っている場合は立て替えた料金を回収できる保証がないため、そもそも分割払いができません。
スマートフォンの購入時も例外ではなく、分割払いや割賦払いはできなくなります。
そのため、ブラックリストに載っている期間にスマートフォンの買い替えや新規購入をする場合は、一括購入できるだけの現金を用意する必要があるでしょう。
また、支払い方法をクレジットカード払いにしている場合、口座引き落としなどカードが不要な支払い方法に変えなければなりません。
携帯電話の新規契約には料金滞納をしていない状態、かつ端末代を全て支払い終えている状態が必須となる点にも注意してください。
保証人とは、契約者が支払い不能になった場合に代わりに借入金を返済する人物のことです。
クレジットカードやローンの審査では契約者だけでなく保証人にも返済能力が問われるため、それぞれの信用情報をチェックします。
契約者のクレジットヒストリーに問題がなくても、保証人が金融事故を起こしている場合は審査に通過できない可能性は極めて高いです。
たとえば、親を保証人として子どもの奨学金を借りたい場合、親がブラックリストに載っていれば子どもの審査にも影響を与えるでしょう。
マンションやアパートなどを借りる場合、管理会社や建物によっては過去の滞納が原因で審査落ちする可能性があります。
賃貸は、定期的に決まった金額を家賃として支払う契約であるため、ブラックリストに載っている方は支払い能力が低いという点で審査を通過できないケースがあるのです。
ただし、全ての物件でブラックリストを理由に入居を断られるとは限りません。
物件の賃貸保証会社が信販系の場合は、申込者の個人信用情報をチェックする可能性がありますが、それ以外の会社ではチェックされないこともあるのです。
ブラックリストの状態で賃貸を契約する際は、信用情報機関に加盟していない保証会社を利用するほか、連帯保証人をたてるなどで対策しましょう。
たいていの場合、債務整理で借金減額をするとブラックリストに載り社会的ペナルティを受けることになります。
しかし、例外としてブラックリストに載らないパターンもあることを知っておきましょう。
その一例として、債務整理の手続き中に過払い金が発覚するケースが挙げられます。
過払い金とは、法外な金利によって必要以上に払い過ぎたお金のことで、消費者金融やクレジットカード会社に返還請求が可能です。
元本をすでに完済しており、返還請求に成功して返ってきたお金が残っている借入残高を上回った場合は、ブラックリストに載ることなく借金を返済できます。
なお、過払い金請求ができる条件は、以下の2点です。
過払い金の可能性がある場合は、債務整理の手続きを中断して返済請求をしましょう。
返ってきた過払い金が借入額より高い場合は、返済に充当できるだけでなくブラックリストに載るリスクも回避できます。
ただし、過払い金の返還請求ができても、借入額を下回るとブラックリストに載る点に注意してください。
ブラックリストに載る要因は、借金減額以外にもあります。
ここでは、借金減額以外でブラックリストに載る3つのケースについて紹介します。
クレジットカードやローンの支払いを2ヵ月~3カ月以上滞納した場合、信用情報登録の対象となります。
登録先は主に以下の2つの機関で、それぞれの登録条件は以下のとおりです。
クレジットカードやローンなどの滞納はブラックリスト登録のリスクと直結しているため、契約どおりに返済することを心がけてください。
クレジットカードは、一定条件を満たした際に強制解約となります。
たいていの場合は2ヵ月~3カ月の滞納で強制解約と規約で定められていますが、会社によって異なるのでよく確認しておきましょう。
クレジットカードの強制解約は一定期間以上の滞納を意味するため、ブラックリスト登録の条件となり得ます。
なお、強制解約は個人信用情報に登録されるだけでなく、金融事故を起こした顧客としてカード会社独自の社内リストにも記録されるため、同じクレジットカード会社での再契約はほぼ不可能でしょう。
代位弁済とは契約者に代わり、保証会社などの第三者が債務を弁済することです。
信用情報機関によっては代位弁済をブラックリスト登録のトリガーとしており、債務整理をしていなくても登録される可能性があります。
代位弁済は契約者の返済義務がなくなるわけではなく、返済先がクレジットカード会社やローン業者など、もともとの債権者から保証会社などに移っただけです。
また、分割払いではなく一括返済を請求される可能性も高いため、代位弁済の利用は慎重に検討しましょう。
ブラックリストに載るとさまざまな制限がありますが、金銭的な契約全てがおこなえなくなるわけではありません。
ここでは、ブラックリストに載ってもできることを紹介します。
ブラックリストに載ると、金融事故を起こした本人がローンを組むことは難しくなりますが、家族名義であればローンを組むことが可能な場合もあります。
家や車を購入する際は、契約者となってもらえないか家族に確認しましょう。
なお、住宅ローンは家族名義でローンを組みやすい一方、自動車の家族名義でのローンは注意しなければなりません。
自動車は契約者の運転能力が問われるため、まったく運転をしない家族の名義で契約した場合は名義貸しという違反行為になるリスクがあります。
名義貸しは刑法第246条の詐欺罪に該当し、6カ月以下の懲役・100万円以下の罰金を課される可能性があるため慎重に検討してください。
家族カードとは、家族の誰かが主契約者となることでそのほかの家族が利用できるクレジットカードです。
家族カードの審査は、主契約者の信用情報のみがチェックされるため、ほかの家族が信用情報機関に登録されているかは関係ありません。
そのため、クレジットカードを利用したい場合は家族と相談して家族カードを作成することをおすすめします。
ただし、任意整理をしたクレジットカード会社で家族カードを申し込んだ場合、社内の規定によって審査落ちとなる可能性はゼロではありません。
家族カードの新規発行は、任意整理をした会社以外で申し込むことをおすすめします。
また、家族カードの利用による支払い・返済義務はあくまでも主契約者にあることを忘れてはいけません。
家族カードを利用できるからといって、自分のクレジットカードと同じように使用するのは避けましょう。
カード決済が必要になった場合、デビットカードやスマートフォン決済の利用をおすすめします。
デビットカードやスマートフォン決済は口座残高の範囲内で支払いをするため、クレジットカードのように料金を後払いにすることはありません。
そのため、新規契約や更新において審査はなく、ブラックリストに載っている方でも利用可能です。
生命保険の審査では信用情報をチェックしないため、金融事故の有無にかかわらず加入できる可能性があります。
生命保険の審査では健康状態が重要で、大きなけがや病気に該当していなければ加入は十分可能です。
ただし、支払い方法は銀行口座からの引き落としや現金支払いなど、クレジットカード不要の方法を選ぶ必要があります。
銀行での新規口座開設の際、信用情報はチェックされません。
そのため、債務整理をした履歴の有無にかかわらず銀行口座は開設可能です。
ただし、その銀行の借入やローンなどを債務整理した場合、一定期間は口座開設できないケースがあることから、新規口座開設をする際は任意整理をした銀行以外を選ぶのがよいでしょう。
ブラックリストに載る条件はさまざまです。自分がブラックリスト対象になっているか不明な場合は、以下の方法で調べてみましょう。
信用情報機関 | 開示請求の方法 | 手数料(税込) | 開示請求に関する公式サイトURL |
---|---|---|---|
シー・アイ・シー(CIC) | ①インターネット ②郵送 | ①500円 ②1,500円 | https://www.cic.co.jp/mydata/index.html |
日本信用情報機構(JICC) | ①スマートフォン専用アプリ ②郵送 | ①1,000円 ②1,000円 | https://www.jicc.co.jp/kaiji |
全国銀行個人信用情報センター(KSC) | ①インターネット ②郵送 | ①1,000円 ②1,124~1,200円 | https://www.zenginkyo.or.jp/pcic/open/ |
債務整理だけでなく、ブラックリストに載る理由はさまざまです。
たとえば、借入やローンを2ヵ月~3カ月滞納すると、知らないあいだにブラックリストに載っている可能性があります。
反対に、ブラックリストに載っていると思っていても、完済から一定期間を過ぎて登録解除となっている可能性もあるでしょう。
そのため、借入先に応じて適切な信用情報機関を選び、情報開示請求をしてください。
なお、情報開示請求をすると開示報告書という書類でクレジット情報を確認できます。
その中の返済状況という項目に異動と記載があれば、ブラックリストに登録されている状態です。
開示報告書を家族や同居人にバレたくない場合は、郵送ではなくインターネットやアプリでの開示請求をおすすめします。
本記事では、債務整理による借金減額でブラックリストに載るデメリットや影響、掲載期間などについて解説しました。
債務整理によって信用情報に傷が付くと、クレジットカードやローンを利用できない、保証人になれない、賃貸契約ができないなど社会的なペナルティを受けることになります。
信用情報に載ると登録解除となるまでは不利益を避けることはできません。
しかし、少しでも金融事故の影響を抑えたい場合は弁護士に相談しましょう。
弁護士に相談することで、最小限の影響で済む債務整理の方法や登録期間を減らす方法などを提案してくれます。
自分ひとりで悩んでいると金銭的・精神的に負担が大きくなる可能性がありますが、弁護士に相談することで負担を軽減できるかもしれません。
インターネットや口コミなどをチェックして、債務整理や金融事故の対応を得意とする弁護士を探してみてください。