借金相談
借金返済に関する相談窓口11選|公的機関と法律事務所のどちらを選ぶべきかを解説
2024.12.26
ネットで目にすることが多い借金救済制度について、このような悩みを抱えている方は多いのではないでしょうか。
借金救済制度は利用することで借金が減額・免除される可能性があるため、メリットが大きい手続きに思えます。
しかし、デメリットも存在するので、メリット・デメリットを把握したうえで利用するかどうかを決めるのがよいでしょう。
本記事では、借金救済制度の概要やメリット・デメリット、さらには利用条件などを解説します。
利用することで避けられないデメリットもありますが、軽減する方法もあるため把握しておきましょう。
また、実際に借金救済制度を利用した事例もまとめているため、ぜひ参考にしてください。
借金救済制度には、以下2つのメリットがあります。
それぞれについて、以下で詳しく見ていきましょう。
借金救済制度を利用すると、借金が減額または免除になる可能性があります。
借金を減額することで毎月無理なく返済できるようになれば、生活や精神状態の改善が期待できるでしょう。
なお、借金救済制度とは債務整理のことを指します。
債務整理には、任意整理・個人再生・自己破産の3つの種類があり、どの手続きを利用するかによって借金が免除されるのか、減額されるのかは異なります。
詳しくは本記事内「借金救済制度の種類ごとにメリット・デメリットがある」で解説するので、あなたのケースでどの手続きが向いているか判断する参考にしてください。
借金の返済が滞ると、クレジットカード会社やローン業者などの債権者から督促を受けるため、債務者にとって精神的な負担になりかねません。
しかし、借金救済制度である債務整理を弁護士に依頼すると、債権者宛てに受任通知がなされ、以後の取り立てや督促がストップします。
ただし、借金が減額になったとしても返済が不要になるわけではなく、債務整理後は決められた金額を期限内に返済する義務があるため、完済まで滞りなく支払いましょう。
借金救済制度にはメリットだけでなくデメリットもあります。
ここでは、4つのデメリットについて解説します。
債務整理をするとブラックリストに登録され、個人信用情報に金融事故情報が載るため、いくつかのペナルティを受けます。
たとえば、一定期間はクレジットカードの申し込みや利用ができません。
新しく申し込む際、クレジットカード会社は申込者の個人信用情報をチェックします。
個人信用情報は全ての金融機関で共有されるため、別会社で滞納した場合でも新規のカード作成は不可能です。
また、現在使用中のクレジットカードも更新のタイミングで利用できなくなるでしょう。
なお、債務整理後にブラックリスト登録から情報が削除されるまでの期間は、一般的に5年から7年程度といわれています。
債務整理の種類によっては、自宅や車などの高額財産を手放さなければならないケースもあります。
借金減額・免除をする場合でも、債権者ができるだけ損をしないようにするために、財産を売却したお金を返済に充てることになるのです。
たとえば自己破産をした場合、20万円以上の財産は原則として売却対象になり、住宅ローンや自動車ローンで購入したものも手放さなければなりません。
また、自己破産や個人再生の場合は特定の債権のみを債務整理の対象から外すことはできないため、意図しないものも売却せざるを得ない可能性があります。
借金救済制度を利用するということは、借金を抱えているだけでなく、返済が滞っていることも意味します。
関連書類が自宅に届いたり、急に転職したりすることで、周囲に借金滞納がバレる可能性があるでしょう。
また、金融事故情報は官報に掲載されます。
官報をチェックするのは金融機関に勤めているごく一部の人なので、知り合いが目にすることはほぼありませんが、周囲に知られる可能性はゼロではないでしょう。
なお、奨学金など保証人を設定している債務で救済制度を利用する場合は、保証人が借金を肩代わりすることになります。
保証人には、借金滞納が必然的にバレるほか迷惑がかかるため、事前に事情を説明する必要があるでしょう。
債務整理のなかでも自己破産をした場合は、手続き期間中に特定の資格・職業が制限されます。
なお、制限される職業として以下が挙げられます。
該当の職業に就いている方が借金救済制度を利用する場合、異動・転職・休職などの対策が必須といえます。
職業制限がかかるのは自己破産の手続き期間のみで、完了してからは復帰が可能です。
また、資格そのものがはく奪されるわけではないので、手続き完了後は同じ仕事に就くこともできます。
とはいえ、手続き期間中の収入や就業については事前に計画したうえで、手続きするかを検討しましょう。
ここから、借金救済制度の仕組みについて解説します。
そもそも借金救済制度とは、債務整理や過払い金請求のことを指します。
債務整理・過払い金請求をさらに細分化すると、以下の4種類に分けられます。
それぞれの仕組みや概要は以下のとおりです。
借金救済制度の種類 | 仕組み・概要 |
---|---|
任意整理 | 債権者と直接交渉して、将来の利息をカットし、借金減額を図る方法。 債務整理の中でも利用率が高い。 |
個人再生 | 借金を最大5分の1まで減らせる仕組み。 小規模個人再生と給与所得者等再生に分けられ、それぞれ認められるための条件や金額は異なる。 |
自己破産 | 借金が高額で、今後も支払い能力がないと認められた場合に全額免除となる制度。 ただし、条件を満たした場合にのみ利用可能で、財産を失う可能性が高い。 |
過払い金請求 | 賃金業法や出資法が改善となる前に余分に支払っていた利息を請求する仕組み。 |
各手続きによってメリット・デメリットや利用の条件などが異なるため、事前に仕組みを把握しておきましょう。
「借金救済制度」は正式名称ではなく、債務整理の広告表現です。広告においては、債務整理という響きが重々しいことから「借金救済」などの親しみやすい言葉を用いていると考えられます。
また、債務整理について「国が認めた借金救済制度」という謳い文句をよく見かけますが、これは半分正解で半分間違いです。
個人再生や自己破産については、裁判所を通じて借金の減額・免除が認められるため「国が認めた」という表現は間違ってはないでしょう。
しかし、任意整理に関しては当事者間の交渉によって成立するものであるため、裁判所などの公的機関を通すことがありません。そのため、国が介入しない手続きともいえるのです。
とはいえ、債務整理は法律に則った合法な手続きなので、安心して利用して問題ないでしょう。
借金救済制度は、以下4つの種類に分けられます。
ここでは、それぞれのメリット・デメリットについて解説します。
任意整理のメリット・デメリットは以下のとおりです。
メリット | デメリット |
---|---|
・借金ごとに手続きが可能 ・将来の返済額が減る ・毎月の出費を抑えられる | ・元金は減らない ・希望する結果になるとは限らない |
任意整理は債務整理のなかでも手続きの負担が比較的少ない手段です。
複数の借入先がある場合は特定の借金のみを選択して手続きできます。
任意整理は利息や遅延金などをカットして3年~5年で返済する計画を立てて将来の返済額を減らす仕組みで、元金は減りません。
そのため、安定した収入や返済意思があることなど、さまざまな条件を満たす必要があります。
また、あくまでも債権者との交渉・和解のうえで成立するため、債権者に断られて希望の結果にならないリスクもあると認識しておきましょう。
個人再生のメリット・デメリットは以下のとおりです。
メリット | デメリット |
---|---|
・自宅を残して手続きできる ・最大で借金を10分の1まで減らせる | ・手続きや条件が複雑になる ・借金総額が5,000万円以上では手続きできない |
個人再生は小規模個人再生と給与所得者等再生の2種類に分けられ、それぞれで条件や最低弁済額が異なります。
最低弁済額とは、個人再生後に返済する義務がある最低額のことで、どの金額に設定されるかはもともとの借金総額によって異なると認識しておきましょう。
なお、借金総額ごとの最低弁済額の目安は以下のとおりです。
借金総額 | 最低弁済額 |
---|---|
100万円未満 | 借金総額 |
100万円以上500万円未満 | 100万円 |
500万円以上1,500万円未満 | 借金総額の5分の1 |
1,500万円以上3,000万円以下 | 300万円 |
3,000万円超5,000万円以下 | 借金総額の10分の1 |
個人再生は小規模個人再生が基本の手続きとなり、安定した収入と返済の意志があれば利用できる可能性があります。
ただし、以下の条件に該当する場合、小規模個人再生はできません。
小規模個人再生が認められた場合、返済すべき金額は最低弁済額と精算価値総額のうち高いほうになります。
一方、給与所得者等再生は、将来的な収入が安定している場合に利用しやすいです。
債権者の同意も不要となるため、手続きできないリスクも低いでしょう。
ただし、今までに個人再生の手続きをしたことがある場合、以前の手続きから7年経っていなければ手続きの対象外となる点には注意してください。
なお、給与所得者等再生が認められた場合は、以下の3つの中で最も大きな金額を返済することになります。
精算価値総額には家具や家電などの生活必需品は含まれず、総額の算出方法はエリアによって異なります。
自己破産のメリット・デメリットは以下のとおりです。
メリット | デメリット |
---|---|
・借金全額が免除になる ・取り立てや催促から逃れられる | ・高額な財産は手放す必要がある ・全ての借金が対象となるわけではない |
任意整理や個人再生は借金を減らして将来にわたって返済するのに対し、自己破産は借金を全額免除する方法です。
支払い能力がない、かつ今後も返済見込みがない場合に手続きが可能ですが、誰でも簡単に認められるわけではありません。
自己破産は債権者にとっても大きなリスクになるため、本当に支払い能力がないかは財産や借金額、現時点での収入などを総合的にみて判断されます。
また、以下のケースに該当する場合は、自己破産ができない可能性があります。
自己破産は借金がゼロになるという大きなメリットがある一方、保証人が借金を肩代わりしなければならない、手続き中は一定の職業に就けないなど、さまざまなデメリットがあります。
また、税金や国民健康保険料などの非免責債権は免除対象とはならず、自己破産成立後も返済しなければなりません。自己破産の手続きは慎重に検討しましょう。
過払い金請求のメリット・デメリットは以下のとおりです。
メリット | デメリット |
---|---|
・過払い金を借金返済に充てられる ・完済後は現金を臨時収入として得られる | ・クレジットカードのショッピング枠 ・銀行カードローンは対象にならない ・2010年6月8日以降の借金は対象にならない |
過払い金とは、現在の利息制限法や出資法が定められる前の利率で払い過ぎた利息のことです。
過払い金請求は以下の条件に該当していると、手続き可能な場合があります。
過払い金請求には時効があるため、年利15%~20%もしくはそれ以上の利率で借入をしたことがある場合、早急に弁護士などに相談することをおすすめします。
返ってきた過払い金が借入額よりも大きい場合、借金を返済できるだけでなく、臨時収入として現金が入る可能性もあります。
デメリットを踏まえたうえで借金救済制度を利用したい方は、デメリットを軽減するための3つの対策を講じましょう。
ここでは、債務整理のデメリットを軽減する方法について詳しく解説します。
債務整理によってクレジットカードが使えない場合、日常生活に支障をきたしかねないため、以下カードの使用をおすすめします。
プリペイドカードやデビットカードは、クレジットカードのようにキャッシュレス決済ができるだけでなく、残高からその場で引き落としとなることから、残高以上のお金を使うリスクがありません。
債務整理の方法によって、減額できる借金やデメリットなどは異なります。
それぞれの方法を理解して、自分に合ったものを選びましょう。
たとえば、自宅や自動車を残したい場合、自己破産は避けるべきです。
また、保証人に迷惑をかけたくない場合は任意整理を選ぶべきでしょう。
自分に適切な方法で債務整理をおこなうことで、デメリットを極力抑えて借金を減額できるので、どの方法にすべきか迷った場合は弁護士や司法書士などの専門家に相談することも検討してください。
債務整理の手続きは複雑で、知識や経験がなければ成立しないリスクはゼロではありません。
手続きにかかる時間や労力を抑え、ベストな結果とするためにも、最初から弁護士や司法書士に相談をおすすめします。
弁護士や司法書士は豊富な知識を有していることから、相談によりデメリットの軽減も期待できるでしょう。
借金救済制度を使う場合、どの手続きをおこなうにおいても費用がかかります。
具体的な費用は、以下のとおりです。
借金救済制度 | 費用の相場 |
---|---|
任意整理 | 1社あたり5万円程度 |
個人再生 | 30万円から60万円程度 |
自己破産 | 20万円から60万円程度 |
過払い金請求 | 1社あたり4万円程度プラスで成功報酬20% |
上記はあくまでも相場となるため、実際の費用は専門家への相談時に確認しましょう。
また、相場よりもはるかに高い、もしくは低い場合は悪徳業者の可能性がゼロではないため、口コミなどを確認のうえ依頼を検討してください。
費用が回収・減額できる金額を上回り、結果としてマイナスになることを費用倒れといいます。
費用倒れが心配で手続きに踏み出せない方もいるかもしれませんが、借金救済制度を正しく使えばリスクはほぼありません。
弁護士に相談すると事前に費用や回収できる金額を伝えてくれるため、依頼費用と減額できる借金額を考慮して、プラスになる場合のみ依頼可能です。
また、事務所によっては分割払いができるため、手元にまとまったお金がない場合なども利用しやすいでしょう。
借金救済制度を使う場合、一人ではなく適切な相談先を見つけたうえで手続きすることをおすすめします。
ここでは、債務整理の相談先の選び方について解説します。
インターネットには、債務整理に関する広告がたくさん配信されているため、広告をきっかけに相談先を選ぶこともあるでしょう。
しかし、インターネットなどの広告から相談先を選ぶ場合、運営先は必ずチェックしてください。
過剰表現をしている、あるいは運用元が不明な場合は利用しないほうがよいでしょう。
法律事務所が実在している弁護士など、実体がはっきりしている運用元の広告から相談することをおすすめします。
弁護士など運用元が信用できる場合でも、事務所によって対応の質や相談できる内容はさまざまです。
予約前に口コミや評判をチェックのうえ、自分に合った先を選びましょう。
スタッフの対応が親切か、親身になって話を聞いてくれるかなどはチェックポイントです。
弁護士に依頼する場合、債務整理の実績が豊富か確認しましょう。
債務整理は、交渉をはじめさまざまなシーンで知識や経験が必要となるため、ベストな結果を求めるうえで解決実績は重要です。
債務整理が得意ではない弁護士や司法書士に依頼してしまうと、望んだ結果にならないおそれもあります。
必ず債務整理が得意な弁護士や司法書士に頼るようにしてください。
なお、ベンナビでは債務整理の経験が豊富な弁護士を、詳細な条件で検索できます。無料相談に対応している事務所も多数掲載しているので、ぜひ活用してください。
実際に借金救済制度を使った場合、どのような結果になるかは気になるところです。ここからは、実際に借金救済制度を使った3つの事例を紹介します。
こちらの方は、生活費の補填として、クレジットカードのキャッシング枠から3年で300万円を借入しました。
しかし、返済状況や大きな財産がないことも踏まえ、自己破産の手続きをすることを決め、結果的に借金を0円にすることに成功しています。
なお、手続きの際は郵送物を司法書士宛てにするなどの手段で、家族に知られることなく手続きできています。
こちらの事例では、住宅ローンが残った状態で債務整理を決意し、最初は自己破産で再スタートを試みました。
しかし、自宅を残したいという意志から、途中で個人再生に手続きを変更し、無事に自宅を残したまま借金1,300万円を260万円に減額できています。
本記事では、借金救済制度の概要やメリット・デメリット、利用の条件などについて解説しました。
借金救済制度とは債務整理や過払い金請求のことを指し、手続きにはいくつかの種類があります。
それぞれブラックリストに載るなどのデメリットがありますが、リスク軽減のための対応を講じることは可能です。
借金を減らして悩みから解放されるためには、豊富な知識を有する弁護士に相談しましょう。
家を残したい、借金を全額免除したいなど、状況や希望を踏まえたうえで、適切な判断のもと対応してくれます。