- 「借金救済制度って実際のところどうなの?」
- 「借金救済制度って怪しくない?使っても大丈夫?」
- 「借金救済制度は使うとどうなるの?」
最近ネットで見かけることが多い「借金救済制度」について、このような疑問を抱えている方も多いのではないでしょうか。
借金救済制度とは、債務整理や過払い金請求などの借金減額手続きのことを指します。
債務整理や過払い金請求は、法律に基づいた手続きのため、決して怪しいものではありません。
とはいえ「借金救済」と言われるとどうしても怪しさがぬぐえず「使っても大丈夫なのかな?」「使うとどうなるの?」という不安がある方もいるでしょう。
そこで本記事では、借金救済制度が怪しいといわれる理由や概要について解説します。
メリットやデメリットについても詳しく紹介するので、ぜひ参考にしてください。
借金救済制度は怪しいの?その正体とは?
借金救済制度について、インターネットなどで悪い口コミなどを見て、怪しいと感じている方は少なくないでしょう。
借金救済制度を正しく理解するために、まずはその正体や仕組みについてみていきましょう。
借金救済制度の正体は、弁護士などの手を借りておこなう債務整理のこと
借金救済制度とは、債務整理や過払い金請求のことを指します。
債務整理や過払い金請求は、破産法や民事再生法などの法律に基づいた手続きのため、決して怪しいものではありません。
なお、債務整理には任意整理・個人再生・自己破産の3つの種類があり、それぞれで得られる効果が異なります。
そのため、どの方法で手続きすべきかどうかはよく検討する必要があるでしょう。
債務整理自体は、借金問題解決のため以前から活用されている手続きで怪しくはない
債務整理は借金問題解決のために以前から活用されており、決して怪しいものではありません。
仮にネット上の広告などで「2024年の最新版借金救済制度!」といった謳い文句があったとしても、新しい制度ではないと認識しておきましょう。
「国が認めた借金救済制度」は広告上の宣伝文句で、必ずしも正確とは言えない
広告やCMなどで債務整理といわずに「国が認めた借金救済制度」と宣伝する理由は、宣伝文句・キャッチコピーとして使いやすいためです。
「債務整理」という堅苦しい言葉を使うよりも「国が認めた」や「借金救済」というわかりやすい言葉を使うことで、消費者を惹きつけることを狙っていると考えられます。
ただし、債務整理について「国が認めた」と謳うのは、半分正解で半分間違いでもあります。
債務整理には、任意整理・個人再生・自己破産の3つの種類があり、このうち任意整理はあくまでも債権者と債務者の当事者同氏が交渉によって、借金を減額する手続きです。
つまり、任意整理には裁判所や国家機関などが介入することはないので「国が認めた」という表現は、適切とはいえないでしょう。
WebやSNS広告の借金救済制度は実際怪しいことが多いので注意が必要
借金救済制度自体は怪しいものではなく、たいていの場合は法的に認められた手段です。
ただし、全ての広告が信頼できるわけではなく、WebやSNSなどの広告によっては借金救済制度のキャッチコピーを使った怪しい内容のものもあるため注意しなければいけません。
たとえば、以下の特徴に該当する広告には申し込まないほうが賢明です。
- 弁護士や税理士以外の怪しい団体が運用している
- 絶対に借金が減るなど過度な表現を使っている
- 画期的な方法を謳っている
- 運営団体や企業情報が明記されていない
広告から債務整理を相談する場合、提供先が弁護士のような信頼できる団体か、メリットだけでなくデメリットも記載しているかなどを確認してください。
借金救済制度を使うとどうなる? | メリットとデメリットを把握しておこう
ここでは、借金救済制度を使うメリット・デメリットについて解説します。
どちらも把握したうえで、手続きするか慎重に検討してください。
借金救済制度を使う主なメリット
借金救済制度を使うメリットとして、借金の減額や免除が挙げられます。
また、債権者からの督促や取り立てがストップする点もメリットです。
以下にて、詳細を解説していきます。
借金が減額・免除され、精神的な余裕ができる
借金救済制度は、人生の再スタートに有効な手段で、手続き後は無理なく返済をおこなえるため、精神的・金銭的な余裕が生まれるでしょう。
返済額を減額・免除することで、生活やプライベートなどに充てるお金を増やせます。
とくに、返済に追われて生活苦になっている方にとって、借金救済制度は有効な手段といえるでしょう。
債権者からの督促や取り立てを止めることかできる
返済の督促によるプレッシャーから解放されるという点も、借金救済制度の大きなメリットです。
債務整理の手続きを進めることを知らせる通知(受任通知)が弁護士などから届くと、債権者は債務者への直接の督促もストップすることから、精神的な負担を軽減できます。
※個人や闇金業者から借金をしている場合には、督促がストップしないこともあります。
ただし、債権者からの督促がストップしても返済義務がなくなるわけではなく、債務整理によって確定した返済額・返済期間で完済する必要がある点には注意してください。
借金救済制度を使う主なデメリット
借金救済制度は金銭的・精神的なメリットがある一方、以下3つのデメリットもあります。
メリットとデメリットどちらも照らし合わせたうえで、手続きするかを慎重に検討してください。
ブラックリストに登録され、一定期間は家計や金銭面で影響を受ける可能性がある
借金救済制度を利用すると、ブラックリストに登録されます。
ブラックリストとは信用情報期間に金融事故を起こしたと登録される状態で、登録期間中はさまざまなペナルティを受けることになります。
ブラックリストに登録されると起こり得ることは、以下のとおりです。
- クレジットカードの発行・使用ができない
- 新規でローンに申し込んでも審査に通らない
- 賃貸借契約ができない可能性がある
- 携帯電話の分割払いができない
- 保証人になれない
ブラックリストに登録されることは「返済能力がない」とみなされることになるため、クレジットカードやローンなどの審査に通過できなくなります。
利用中のカードでも更新のタイミングなどでカード会社が個人信用情報をチェックのうえ、強制解約することによって使用停止となるでしょう。
また、携帯電話の分割払いなどの新規申し込みをしても審査に落ちる可能性が高くなります。
そのほか、賃貸借契約の審査時に個人信用情報を確認されるケースがあり、支払い能力がないとみなされると審査通過は難しいでしょう。
ブラックリストに登録される期間は5年~7年が目安ですが、完済が遅くなるほど後ろ倒しになります。
持ち家や自動車など高価な財産を失う場合がある
借金返済制度の方法によっては、借金がゼロになる代わりに持ち家や自動車などの高価な財産を失うケースがあります。
たとえば自己破産は、今後の返済が不可能などの条件を満たした場合、借金全額が免除となる方法です。
ただし、自己破産をする場合は一定額以上の持ち家や自動車などの財産を換金して返済に充てなければなりません。
財産を失いたくない方は、自己破産以外の方法で手続きすることをおすすめします。
借金問題を抱えていた事実を周囲に知られてしまう可能性がある
債務整理のうち自己破産及び個人再生は、金融事故としてブラックリストに登録されるだけでなく、官報に掲載されます。
官報とは国の公報のことで、金融機関や金融審査をおこなう職業に就いている人が、日々の業務において閲覧します。
そのため、一般の方で普段から定期的に読んでいる方は少ないでしょう。
とはいえ、官報への掲載がきっかけで債務整理をおこなったことがバレる可能性はゼロではありません。
そのため、万が一知り合いが官報を読んだ際に借金問題を抱えている事実が知られてしまう可能性もあります。
また、手続き中に債権者や裁判所から送られてきた書類を家族に見られることにより、債務整理がバレてしまうリスクも考えられます。
借金問題を周囲に知られたくない場合は、弁護士へ相談するなどの対応がおすすめです。
借金救済制度に含まれる手続きの種類と、それぞれのメリット・デメリット
ここでは、債務整理の種類ごとに概要とメリット・デメリットについて解説します。
それぞれの方法によって利用できる条件や向いている方の特徴は異なるため、自分に合ったものをチェックしましょう。
任意整理 | 利息カットと3年~5年の分割払いを交渉する手続き
任意整理は現在安定した収入があり、毎月の返済額を減らせば完済を目指せる方におすすめの方法です。
将来かかる遅延金や利息などをゼロにして、元金を3年~5年かけて返していきます。
利息の支払いばかりで元金が減らずに悩んでいる方は、ぜひ検討してください。
※必ず利息がカットされるというわけではありません。
任意整理のメリット・デメリット
任意整理のメリット・デメリットは以下のとおりです。
メリット | デメリット |
---|---|
・毎月の返済が楽になる ・保証人に迷惑をかけず手続きできる ・ほかの方法と比べて手続きが簡単 ・高価な財産を売却せずに済む | ・元金を返す必要がある ・ブラックリスト登録は避けられない ・交渉が成立しない可能性がある |
任意整理は債権者との和解のうえで成立するため、断られる可能性もゼロではありません。
とくに、自分で直接交渉すると相手にされないリスクも高まるため、弁護士などへ相談しましょう。
個人再生 | 裁判所を通じて借金を最大80%~90%減額する手続き
個人再生とは、裁判所を経由して借金を最大80%~90%減額できる手続きです。
借金を大幅にカットしたうえで財産を残したい場合は、ぜひ検討しましょう。
個人再生のメリット・デメリット
個人再生のメリット・デメリットは以下のとおりです。
メリット | デメリット |
---|---|
・借金を大幅にカットできる ・毎月の返済額を減らせる ・高価な財産を残せる | ・成立するための条件が複雑 ・借金の総額が5,000万円を超える場合は手続きを利用できない ・保証人に迷惑がかかる |
個人再生が認められると、借金総額を減らして月々の返済額を減らせます。
収入があり、毎月の返済が減額すれば完済できる方におすすめの方法です。
ただし、個人再生は大きく借金を減らせるメリットがある一方、収入や財産、返済の見込みなど複数の条件を満たさなければ成立しません。
また、保証人付きの債権のみを対象外にすることはできず、保証人が代わりに借金を一括払いすることになります。
自己破産 | 裁判所に全ての借金を免除してもらう手続き
自己破産はほかの債務整理と異なり、借金を減額ではなく免除する手続きです。
今後返済できる見込みがないなどの条件を満たした状態で裁判所から認められることで手続きができます。
自己破産のメリット・デメリット
自己破産のメリット・デメリットは以下のとおりです。
メリット | デメリット |
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・借金がゼロになる ・借金のストレスがなくなる ・今後の返済がなくなり、金銭的・精神的にも再スタートできる | ・・高価な財産を失う ・成立にはさまざまな条件がある ・保証人に迷惑がかかる |
自己破産は借金が全額免除になるという大きなメリットがある一方、簡単には成立しづらいという特徴があります。
本当に支払い能力がないかどうかは、裁判所が収入や資産などを慎重にチェックしたうえで判断されます。
さらに、高価な資産を持っている場合、売却して換金し、債権者への返済に充てなければなりません。
保証人が肩代わりする必要もあるため、自己破産は慎重に検討しましょう。
過払い金請求 | 法律の上限を超えて支払った利息を取り戻す手続き
過払い金請求とは、法律の上限を超えて支払った利息を取り戻す手続きです。
現在の利息制限法ができる前に借りたお金が対象で、法律の上限金利との差額を取り戻せる可能性があります。
過払い金請求のメリット・デメリット
過払い金請求のメリット・デメリットは以下のとおりです。
メリット | デメリット |
---|---|
・過払い金を返済の補填に充てて、返済額を減らせる ・返済額より過払い金のほうが多い場合、臨時収入となる | ・2010年6月18日以降に借りたお金に関しては対象外となる ・住宅ローンや自動車ローンなどは対象外となる ・請求には時効がある |
過払い金請求によって返ってきたお金を返済の補填に充てることにより、借金の総額を減らせます。
また、返ってきたお金のほうが多い場合、借金が完済できるうえに臨時収入になるなどのメリットがあるでしょう。
ただし、過払い金請求は2010年6月18日以降に借りたお金は対象にはなりません。
また、完済後10年が経っていると時効になるため、早急に対応しましょう。
借金救済制度のデメリットによる影響を軽減する方法
借金救済制度を利用すると、社会的・金銭的なデメリットは避けられません。
しかし、デメリットを軽減する方法はあるので、以下4つの方法を検討してください。
可能であれば最もデメリットが少ない任意整理を選ぶ
安定した収入があり返済額を調整すれば完済を目指せる場合は、可能であればデメリットが少ない任意整理がおすすめです。
借金免除とはならないものの以下のメリットがあるため、債務整理のデメリットを軽減できるでしょう。
- 保証人に迷惑をかけずに手続きできる
- 自宅や自動車を守れる
- 手続きが比較的簡単に済む
任意整理は複数の借入先があった場合、手続きする対象となる債権を指定できます。
保証人付きの借入先のみ手続きしないことによって、保証人が借金を肩代わりするリスクを回避できるでしょう。
また、裁判所を通さず直接債権者との交渉できるため、手続きも比較的簡単です。
ただし、債権者の和解が必須となるため、必ずしも手続きできるとは限りません。
任意整理を成立させる際は債務者が直接交渉するのではなく、弁護士などに代理交渉を依頼することをおすすめします。
弁護士などの専門家へ相談し、最適な債務整理の方法を検討してもらう
債務整理は複数の種類があり、どの方法がベストかは借金の状況によって異なります。
あまり知識がない状態で債務整理の手続きをして、あとからデメリットを知るという可能性もゼロではありません。
たとえば、自宅や自動車を手元に残したい方が自己破産を選択すると、財産を手放さなければならない状況になります。
思わぬ事態を防ぐためにも、弁護士などに相談して最適な債務整理の方法をアドバイスしてもらいましょう。
弁護士であれば知識や経験が豊富なため、借金の金額・経緯・資産・収入状況などに応じて最適な方法を提案してもらえます。
クレジットカードの代替えとしてデビットカード・QR決済などを使う
債務整理をすると、一定期間クレジットカードの使用や新規での申し込みができなくなります。
なお、クレジットカードを利用できない期間の代替手段として、以下の手段があります。
- デビットカード
- プリペイドカード
- スマートフォン決済(後払い方式のものを除く)
- QRコード決済(後払い方式のものを除く)
- 銀行振込み・口座振替
- 家族カード
デビットカード・プリペイドカード・QRコードは、クレジットカードのようにキャッシュレス決済が可能なツールです。
口座残高やチャージ残高が使用限度となるため、返済能力以上にお金を使いすぎる心配もありません。
仮にブラックリストに登録されていても、審査には影響せず発行できます。
また、自分名義のカード以外の手段として、銀行振込みや口座振替があります。
どうしてもクレジットカードが必要な場合は、家族名義のカード(家族カード)の利用がおすすめです。
家族と支払い方法などを相談して、必要に応じて発行してください。
借入れが必要なときは家族名義でローンを組むなどの代替手段を使う
債務整理によって、以下のローンを組んでの借入は不可能になります。
- 住宅ローン
- 学資ローン
- 自動車ローン
- カードローン
- ショッピングローン
借入が必要になった場合、自分ではなく家族や会社名義のローンなどの代替手段を検討しましょう。
たとえば、夫が任意整理をした場合は妻に安定した収入があれば、妻名義でカードを発行できる可能性があります。
借金救済制度の利用にあたり、悪質なネット広告に騙されないためのポイント
借金救済制度は借金で悩む人たちの有効手段ですが、利用するには信頼できる相談先を選ぶ必要があります。
ここでは、悪質なネット広告にだまされないために把握しておくべき2つのポイントを紹介します。
面談などできちんと説明をしてくれない専門家へは依頼しない
弁護士もしくは司法書士へ債務整理を依頼する場合、規定により契約成立の前に面談する必要があります。
この面談では弁護士や司法書士が相談者の状況を理解するだけでなく、債務整理のメリット・デメリットなどを説明することになります。
面談などで正確に説明をしてくれない相談先に依頼すると、あとからトラブルに発展する可能性もゼロではありません。
料金体系や対応範囲など詳細に説明してくれる先を選ぶと、納得したうえで債務整理を進められます。
債務整理の対応実績が豊富で信頼できる専門家に相談・依頼する
信頼できる相談先として、運営企業や運営団体のチェックは必須です。
弁護士や司法書士が運営しているかだけでなく、相談数や解決実績が豊富かという点も確認しておきましょう。
各事務所のホームページに実績や口コミが掲載されていることが多いため、依頼前にチェックしてください。
また、実績や評判を確認するうえでは、相談先を多数掲載しているポータルサイトも活用しましょう。
たとえば、ベンナビ債務整理はエリアや相談内容を選ぶと、該当する事務所の詳細を簡単にチェックできます。
さいごに | 借金救済制度(債務整理)を使うときは信頼できる専門家へ相談を
本記事では、借金救済制度が怪しいといわれる理由や概要を解説しました。
借金救済制度は債務整理のことで、以前から利用されている方法です。
本来であれば怪しくありませんが、広告によっては悪質なものもあるため注意してください。
なお、債務整理には任意整理・個人再生・自己破産・過払い金請求があり、自分の状況的にどれがベストとなるかは一概にいえません。
それぞれのメリット・でメリットを踏まえたうえでベストな方法を選択して債務整理を進めるためにも、弁護士などへの相談をおすすめします。

