任意整理
借金100万円を任意整理した場合の月々の返済額は?注意点も解説
2024.12.18
「借金で首が回らず任意整理をしたいが、どのような手続きが必要か」
「任意整理の手続きは自分ですすめられるか」
借金問題を解決したいときに、任意整理は最もよくおこなわれる債務整理の方法です。
手続きの概要や流れを把握してから、任意整理をすすめたいと考えている方もいるでしょう。
また、費用を節約するため「可能なら自分自身で任意整理の手続きをすすめたい」と考えるのも当然です。
本記事では任意整理の手続きや流れ、自分ですすめる際の注意点、弁護士に任せるメリットを解説します。
任意整理は借金問題を解決する有効な方法ですが、適切に手続きを進めなければ期待するような成果はあげられません。
本記事を読むことで、任意整理手続きの進め方や弁護士に任せるべき理由を理解いただけます。
任意整理手続きとは、裁判所を介さずに債権者と直接交渉して、利息のカットや返済期間の見直しについて合意する方法です。
任意整理手続きは債務者自身で進めることも可能です。
しかし専門家でないと、債権者と交渉し希望に近い条件で合意をするのは簡単ではありません。
そのため弁護士などに依頼して手続きをすすめるのが一般的です。
ここでは任意整理手続きの対応を、弁護士などの専門家へ依頼してすすめる方法を紹介します。
はじめに、任意整理手続きを得意とする弁護士に相談しましょう。
任意整理手続きは債権者と粘り強く交渉することが求められるため、任意整理手続きの経験豊富な弁護士への依頼が必須といっても過言ではありません。
基本的に、法律事務所では任意整理手続き問題を含む債務整理全般の相談は無料でおこなわれていることも 多いため、費用を気にすることなく借金に苦しんでいる現状や先々の心配事を相談できます。
任意整理手続きを弁護士などに依頼する際は、以下書類を持参しましょう。
一部の書類は相談の際に必要というわけではありませんが、持参するとスムーズに相談できます。
相談する専門家が決まれば、費用の見積もりをしてもらい委任契約を結びます。
委任契約を結ぶと弁護士から債権者に向けて一斉に受任通知が送付されます。
受任通知が届くと、債権者は債務者に対して直接取り立てをおこなうことができなくなり督促が止まります。
受任通知が送られてくると同時に、取引履歴の開示請求がおこなわれます。
取引履歴の開示請求では債権者との間でどれほど借入や返済がおこなわれたかを確認して、借入先ごとの債務額を調査します。
業者によって異なりますが、請求から開示されるまで数週間から数ヵ月程度の期間は要すると理解しておきましょう。
そして、開示された取引履歴をもとに、現行の利息制限法に基づいて引き直し計算をおこないます。
引き直し計算とは利息制限法所定の利率15%から20%に基づき再計算して、実際の債務額を確定する作業です。
引き直し計算により過払い金が発覚すると、債権者に対して過払い金の返還請求をおこないます。
その際、債権者により情報開示がされない場合は、再度開示請求をおこなう、もしくはほかの資料に基づいた推定計算をおこないます。
利息の引き直しをして過払い金の発生有無などが確認できれば、残債務を確定して任意整理案を作成します。
これを和解案といい、借入額や借入先の数、収入状況などを考慮して、返済期間や月々の返済額など無理のない返済プランを立てていきます。
分割で返済する場合、返済期間は原則として3年、最長でも5年が限界です。
債務者にとって無理なく返済できるプランを用意する必要があります。
作成した和解案をそれぞれの債権者に送付して、弁護士が和解交渉に臨みます。
なお、この時点から弁済開始に備えて少しずつ積み立てをしておくことをおすすめします。
債権者としても少しは返済があった方がよいため、交渉に応じてくれる可能性が高いです。
和解案について債務者と債権者の双方の同意や承諾が得られて和解が成立すると、その内容に基づく合意書が作成され和解契約を締結します。
和解契約の締結後は、いよいよ返済開始の段階です。
合意した和解案に基づき、滞りなく返済をおこなうようにしましょう。
任意整理手続きは裁判所を通さないため、弁護士費用のみ必要です。
弁護士費用の目安は1社あたり5万円から15万円程度です。
借入先が多いと、その分費用がかかります。
弁護士費用の内訳はおおよそ以下のとおりです。
このほか、事務手数料などの実費が発生する場合があります。
実際の費用がいくらかは法律事務所によって異なるので、詳しい費用を知りたい場合は直接弁護士へお問い合わせください。
法律事務所によっては費用の分割払いも可能なので、一括での支払いが難しい場合は相談時に確認するとよいでしょう。
法律上、任意整理手続きは自分でおこなうことも可能で、その際の費用は郵便代や印紙代程度しかかかりません。
郵便代は借入先に書類を郵送する際の費用です。
また、印紙代は合意書に貼り付けする収入印紙の費用であり、100万円を超え500万円以下の場合は2,000円となります。
自分で任意整理手続きができれば、コストがほとんどかからない点はメリットです。
しかし、自分でおこなうことによるリスクも理解しておかなければなりません。
以下、任意整理手続きを自分で進める際の流れと注意点、弁護士に任せるメリットを解説します。
ここからは、任意整理手続きを自分でおこなう場合の流れを解説します。
まずは債権者に対して、取引履歴を開示するよう請求します。
取引履歴の取り寄せ方は金融業者によって異なる場合がありますが、所定の開示請求書を送付するケースが多いです。
開示請求書は債権者の公式サイトや店頭、電話などで入手できます。
取引履歴が集まったら、引き直し計算をして過払い金があるかの確認が必要です。
引き直し計算をして過払い金があることが発覚した場合は、債権者に対して返還請求をおこないます。
一方で過払い金がなかった場合は、残務額を確定して和解案を作成し債権者との交渉を開始しましょう。
債権者と合意したら、その内容をまとめた合意書を作成・締結し返済をはじめます。
自分で任意整理手続きをする場合の注意点として、以下があげられます。
専門家に依頼するわけでないので、任意整理の手続き中も債権者からの督促が続くことになります。
また債権者と交渉をしたくても、法律知識のない債務者との交渉は最初から断られてしまう可能性も否定できません。
金融機関によっては、社内規定で個人との交渉を受け付けないとしているケースもあります。
仮に債権者と交渉を開始できたとしても、十分な法律知識の交渉力がなければ、希望する条件で合意できる可能性は低いです。
合意すらできなかったり、不利な条件で合意せざるを得なかったりすることも十分に考えられます。
債務整理などの知識が不足していれば、適切に引き直し計算ができず過払い金などに気付けない可能性も否定できません。
債務者自身で任意整理手続きをする場合、このように注意点が多くなっています。
任意整理の手続きでは高度な専門知識と交渉力が必要になることから、弁護士などの専門家へ任せることが推奨されます。
以下、弁護士に任せるメリットをみていきましょう。
弁護士に依頼することで、任意整理手続き中から債権者の督促が止まります。
法律上、弁護士からの受任通知を受けた賃金業者や債権回収業者は、債務者に対する取り立てをストップしなければなりません。
なお個人の債権者はこの規制を受けませんが、受任通知を受け取った場合は督促をやめることが多いです。
仮に督促がとまらなくても、弁護士が代理人として交渉するため、基本的に債権者と直接やり取りする必要はありません。
督促や取り立てから解放されるとストレスが軽減され、精神的な余裕が生まれるでしょう。
弁護士に債権者との交渉を任せることができるため、適切な条件での和解成立が期待できます。
交渉力や法律知識が不足している債務者が自分で手続きをした場合は、合意できないか不利な条件で合意せざるをえない場合もあるでしょう。
たとえば将来利息の免除をしてもらえない、あるいは一部の免除にとどまるといった可能性が考えられます。
その点、任意整理の対応や交渉に長けた弁護士に任せれば、適切な条件で和解成立を実現できる可能性が高いのです。
自分で全ての対応をすすめる場合に比べ、弁護士に依頼すれば安心して交渉を任せられるでしょう。
弁護士が引き直し計算をするため、過払い金があった際も見落としがなく適切な金額を取り戻せます。
計算はエクセルなどのツールでできますが、複雑であるうえ法律知識が必要で、過払い金として請求できる金額を正確に算出する必要があるため、確実な作業が求められます。
計算が間違っていると本来より少ない金額で返還される恐れがありますが、弁護士への依頼により正確に算出してもらうことができ、自分で交渉するよりも過払い金を取り戻せる可能性が高いです。
個人で任意整理をする場合は債権者と直接交渉をするため、電話や郵送物などで家族にバレる可能性があります。
しかし、弁護士に依頼すると督促や取り立てがストップするため、家族にバレずに解決できる可能性が高いです。
任意整理手続きを検討する際の、よくある質問を紹介します。
任意整理手続きにかかる期間は弁護士の対応にもよりますが、相談から債権者との返済計画の合意までは約2ヵ月から4ヵ月です。
これは、金融庁による任意整理のイメージ資料にも記載されているため、一般的な目安として考えてよいでしょう。
無職の状態でも任意整理手続きができるかは状況によって異なります。
すでに次の就職先が決まっており、1ヵ月から2ヵ月後より勤務を開始する予定で給料の金額も判明している場合は、任意整理をおこなうことにより返済できると考えられるため、任意整理手続きをすすめられる可能性が高いです。
就職先は決まっていないものの、特定の会社の面接が進んでおり、1ヵ月から2ヵ月程度以内に勤務を開始する見込みの場合も任意整理手続きをすすめられる可能性があります。
一方で、就職活動をおこなっているもののまだ就職先が決まっておらず、いつ就職できるのかが不明の場合、収入見込額も分からないことから、任意整理の可否を判断できません。
状況によっては、自己破産による債務整理をすすめる必要が生じる可能性も高いです。
任意整理手続きは自力でも進めることが可能ですが、法律的な専門知識が不足しているなどすると債権者との直接交渉は難しいため、費用が用意できなくても弁護士への依頼をおすすめします。
弁護士費用を支払えるか不安な方は、法テラスの費用の民事法律扶助制度を利用するのも手です。
経済的に困窮している方は、本制度の要件に合致していれば弁護士費用の立替などを受けられる可能性があります。
立て替えた費用は返済が必要ですが、無理のない額で毎月の返済が可能なので生活が圧迫されることもありません。
法テラスの概要や民事法律扶助制度についての詳細は、以下公式サイトで確認ください。
まず任意整理を弁護士などの専門家へ依頼したあと、債権者へ受任通知を送った時点で返済や取り立てが一時的にストップします。
そのあと、任意整理の手続きをすすめ和解成立に至るまでの期間が一般的に3~6ヵ月程度です。
和解成立後、合意書に記載された支払い開始日から返済を再開することになります。
返済が再開されるのは、たいてい和解成立の翌月からです。
任意整理手続きは任意での交渉であるため、自己破産や個人再生のように法律上してはいけないことはありません。
しかし、和解や任意整理後の返済に影響することもあるため、任意整理手続き中は借金をしたり、クレジットカードを利用したりなど、新たな債務負担が発生する行為はすべきではありません。
債務が増えると支払いが厳しくなり、任意整理での解決が難しくなります。
支払い不能な状況で新しく債務を増やしてしまうと自己破産すらできない可能性もあるのです。
そして、浪費やギャンブルもすべきではありません。
任意整理手続き中も浪費やギャンブルを続けてしまうと後の返済に影響しかねないため、任意整理をきっかけに控えるようにしましょう。
本記事では、任意整理手続きの流れを解説しました。
任意整理手続きを自分でおこなう場合、費用がかからない点はメリットですが、債権者との交渉がうまくいかず、不利な条件で和解となる可能性があります。
多額の借金の苦しみから早く解放されるためにも、任意整理を考えている場合は弁護士に相談してください。
無料相談を実施している法律事務所も多く、無理のない返済プランを提案してもらえます。