自己破産した後の生活はどうなる?よくある不安と知っておきたいポイント

自己破産した後の生活はどうなる?よくある不安と知っておきたいポイント
目次
  1. 自己破産したあとの生活はどうなる?よくある16の疑問と回答
    1. 1.借金は本当になくなる?
    2. 2.税金や国民健康保険料はどうなる?
    3. 3.クレジットカードやローンは利用できない?
    4. 4.保証人にはなれない?
    5. 5.車や家など財産は何もなくなる?生活していけない?
    6. 6.賃貸物件に入居できない?立ち退かされる?
    7. 7.仕事はなくなる?
    8. 8.起業はできない?
    9. 9.銀行口座の開設はできなくなる?
    10. 10.スマートフォンも利用できない?
    11. 11.友人や会社など周囲の人に知られる?
    12. 12.戸籍や住民票に記載されてしまう?
    13. 13.選挙権はなくなる?
    14. 14.生活保護はどうなる?
    15. 15.年金はもらえなくなる?
    16. 16.海外に行けなくなる?
  2. 自己破産したあとに家族の生活はどうなる?よくある4つの疑問と回答
    1. 1.家族が所有していた持ち家も処分される?
    2. 2.家族が借金の保証人になっていた場合はどうなる?
    3. 3.家族もクレジットカードを持てない?
    4. 4.家族の生命保険や学資保険はどうなる?
  3. 自己破産するとどうなる?メリット・デメリットを整理
  4. 自己破産後の生活についてよくある質問
    1. 自己破産後にしてはいけないことは何かありますか?
    2. 自己破産をしたら失うものはなんですか?
    3. 自己破産後に訴えられたりする可能性はありますか?
  5. さいごに|自己破産について不安な場合は弁護士に相談

借金から解放されたいとき、債務整理に踏み切ろうと考える方は少なくないでしょう。

とくに、自己破産は借金の支払い義務を免除してもらえるため、現状を変えるうえで有効な手段です。

しかし、自己破産をすると以降の生活はどうなるのか、人生計画に大きな影響を与えないかは気になるところです。

本記事では、自己破産をしたあとの生活はどうなるのかを解説します。

また、多くの方が抱える不安や知っておきたいポイントについても触れていくため、ぜひ参考にしてください。

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この記事を監修した弁護士
杉本 真樹弁護士(杉本法律事務所)
解決への道筋は一つではありませんので、いくつか選択肢をご提案し、それぞれのメリット・デメリットをしっかりとご説明した上で、一緒に最良の選択肢を考えるように心がけております。
(※本コラムにおける、法理論に関する部分のみを監修)

自己破産したあとの生活はどうなる?よくある16の疑問と回答

借金苦から逃れるために自己破産を検討している方にとって、そのあとの生活がどのようなものになるかは大きな問題です。

ここからは、自己破産に関して多くの方が抱えている16の疑問について解説します。

1.借金は本当になくなる?

自己破産とは、法律で認められている借金救済の手続きで、支払い不能であることを裁判所に認めてもらうことで、原則借金の支払い義務を免除してもらえる手続きのことです。

自己破産には破産手続と免責手続があり、破産手続は借金を抱えている方が保有する財産を換金して、お金を貸している側へ公平に分配する手続きを指します。

免責手続は、破産手続をして残った借金に関する支払い義務を免除することを意味しています。

なお、自己破産は誰でもできる訳ではなく、次の条件に該当しなければいけません。

  • 支払い不能であると裁判所に認められている
  • 過去7年以内に免責を受けたことがなく、免責不許可自由にあたらない

仮に7年以内に免責を受けている場合でも、自己破産が認められる場合があります。

2.税金や国民健康保険料はどうなる?

自己破産の手続きをしたあとも、税金や国民健康保険料の支払いは免除されません

その理由は、税金や国民健康保険料などは非免責債権といい、支払い免除の対象とならないためです。

自己破産の手続きに踏み切ったということは、借金により相当お金に困っていることを意味します。

しかし、お金がないからといって、税金などの支払いを免除してもらえる訳ではないのです。

なお、税金や保険料を一括で支払うことが難しい場合、事前に税務署あるいは公共機関などに相談すると、分納での支払いを認めてもらえる場合があります。

3.クレジットカードやローンは利用できない?

自己破産の手続きをすると、個人信用情報機関に登録されて、いわゆるブラックリスト入りとなります。

ブラックリストに載ると、クレジットカードやローンを利用する際に審査で落ちる可能性が高まります。

なお、自己破産をしてから5年から10年はブラックリストとしての情報が残るため、クレジットカードや各種ローンは利用できないと理解しておきましょう。

クレジットカードが利用できない場合の代替手段として、デビットカードが挙げられます。

デビットカードは支払いと同時に自身の銀行口座から利用代金が引き落とされる仕組みなので、ブラックリストに載っている人でも所持しやすいでしょう。

4.保証人にはなれない?

自己破産をすると保証人になることは難しいと考えられます

実は法律上は自己破産をしても保証人になることに問題はありません。

しかし、保証人になる人物に対しても審査が実施されるため、その際に自己破産をした事実が発覚すると審査を通過するのが難しくなるでしょう。

自己破産後に保証人になれないことの悪影響として、主に次が挙げられます。

  • 身内の借金に対する保証人になれない
  • 起業する際の保証人になれない
  • 子どもが奨学金を利用する際の保証人になれない

自己破産をしたことで保証人になれない場合、さまざまなシーンで不都合が生じる可能性があることを知っておきましょう。

5.車や家など財産は何もなくなる?生活していけない?

自己破産をすると、保有する価値ある財産は手放さなければいけないという認識の方は少なくないでしょう。

基本的に、持ち家がある場合は財産として処分されてしまいます。

ただし、自己破産をしてすぐに家を出なければいけない訳ではなく、競売にかけられて買い手が見つかるまでは居住可能です。

また、車に関しても高価な財産とみなされ、自己破産をすると売却される、あるいは債務の支払いに使われることとなります。

しかし、財産全てがなくなる訳ではなく、価値が20万円程度以下のものは手元に残せます

自由財産には家財道具をはじめ、生活を送るうえで必要とされるものがあてはまるため、特別高価なものでなければ使い続けることが可能です。

6.賃貸物件に入居できない?立ち退かされる?

自己破産をしても賃貸物件に入居することは不可能ではありません

賃貸人に対して自己破産の事実を告げる必要はないため、居住できるだけの収入を得ていれば契約可能です。

ただし、家賃保証会社が信販系の会社の場合は、入居の際に審査が実施される恐れがあります。

信販系の会社は審査を実施するにあたって、契約者の信用情報を調査することがあるため、自己破産によりブラックリスト入りしている事実が明らかになると審査を通過できない可能性が高いでしょう。

そのため、賃貸物件への入居を検討している場合は家賃保証会社が民間系の会社であるかを確認しておきましょう。

また、自己破産をしたあとでも、原則として居住中の賃貸物件から立ち退く必要はありません。

しかし、家賃を滞納して借金として裁判所へ報告する場合は、立ち退きを求められる可能性があります。

7.仕事はなくなる?

自己破産をすると仕事に制限がかかり、警備員・弁護士などの士業・保険外交員などには就けません

しかし、この先の人生で永遠に就けなくなるわけではなく、免責許可決定の確定後は制限を受けず働くことが可能です。

なお、制限がかかっている仕事以外に就いている場合、基本的には勤務先に自己破産の事実が発覚することはありません

そのため、これまでと変わらずに働き続けることができます。

ただし、次のケースでは自己破産が勤務先にバレる可能性があるので注意しましょう。

  • 職場からお金を借りていた
  • 官報を閲覧する職種で働いている
  • 裁判所への提出書類を発行するにあたり勤務先への依頼が必要

さまざまな事情から、今の仕事を辞めなければいけない可能性はゼロではないという理解は必要です。

8.起業はできない?

自己破産をしても起業は可能です。

しかし、各種士業や警備員、保険外交員などの制限を受ける職種については、自己破産手続中に活動できません

また、事故情報が登録されている期間に借入はできないため、起業に必要な資金の確保は困難です。

そのため、必要最低限の財産から始めなければいけないと理解しておきましょう。

加えて、事務所を構えるにあたって賃貸物件を借りるにも、賃貸保証会社が信販系となる場合は審査時に信用情報を確認される可能性があります。

つまり、借りられる物件にも制限がかかってしまうでしょう。

9.銀行口座の開設はできなくなる?

自己破産をしても銀行口座の開設は可能です。

銀行口座の開設には審査が実施されないため、自己破産のような事故情報がある場合でも影響はありません。

ただし、自己破産の手続きをする際に利用中の口座がある場合は、凍結となる恐れがあります。

凍結となる恐れがあるのは借入がある金融機関の口座で、仮に凍結となった場合は現金を引き出せない、各種引き落としができないなどの悪影響が出る可能性があることを知っておきましょう。

10.スマートフォンも利用できない?

スマートフォンは、自己破産をすると強制解約となる可能性があります

自己破産をするということは、借金に苦しんでいることを意味しており、スマートフォンの利用料の支払いは追いついていない状況が想定されます。

仮にスマートフォンの利用料を滞納している状態で自己破産をした場合、携帯電話会社は強制解約の手続きを進めるでしょう。

自己破産の手続きにおいて、滞納中の通話料金や通信料金は破産債権に該当し、自己破産で免責が認められると滞納中の料金について支払い義務がなくなります。

つまり、契約を続けることには携帯電話会社からするとデメリットでしかないため、強制解約に踏み切ることとなるのです。

11.友人や会社など周囲の人に知られる?

自己破産をした場合でも、友人や会社の同僚など周囲に知られる可能性は低いです。

自己破産をすると自己破産者の情報が官報に掲載されますが、官報は多くの方は目にしないため知られることはほぼないでしょう。

自分から自己破産について話す以外に知られる恐れは少ないものの、官報を見る機会がある業種で働いている場合は、バレる確率は上がると想定されます。

12.戸籍や住民票に記載されてしまう?

自己破産をしても、その事実が戸籍や住民票に記載されることはありません

過去には自己破産をすると本籍地の役場へ通知がいくという経緯があったものの、現在は法改正により通達は届かなくなっています

そのため、何かしらの事情で戸籍謄本や住民票の提出が必要となった場合でも、周囲に知られることはないでしょう。

13.選挙権はなくなる?

自己破産をしても選挙権は失いません

選挙権は満18歳以上の方であれば誰にでも認められているため、自己破産をしても制限を受けることはないのです。

選挙権を失わない理由としては、破産法第1条に記されている内容が関係しています。

第一条この法律は、支払不能又は債務超過にある債務者の財産等の清算に関する手続を定めること等により、債権者その他の利害関係人の利害及び債務者と債権者との間の権利関係を適切に調整し、もって債務者の財産等の適正かつ公平な清算を図るとともに、債務者について経済生活の再生の機会の確保を図ることを目的とする。

引用元:破産法 | e-Gov 法令検索

選挙権は、経済生活再生の機会として、保護されるものに位置付けられます。

つまりは、自己破産をしても個人の人生設計のために守られる権利となるのです。

14.生活保護はどうなる?

自分の人生を守るために生活保護が必要な場合は、自己破産をしても受給できます

生活保護は健康で文化的な生活を保障するためのものであることから、たとえ自己破産をしても受給権利を失いません

とはいえ、生活を送るために最低限の収入がない、仕事ができないなど、生活保護が必要となる状況に陥っていることは受給条件に挙げられます。

15.年金はもらえなくなる?

自己破産をしても年金は受給できます

国民年金や厚生年金などの公的年金は、自由財産の差押禁止財産にあたるため、自己破産をしても受給可能です。

ただし、老後の生活において公的年金の不足分を補う、あるいは資金的な余裕を得ることを目的とする私的年金のうち個人年金については差し押さえの対象となるため、自己破産をすると受給できません

16.海外に行けなくなる?

自己破産をしても海外に旅行へ出かけることは可能です。

自己破産は個人の自由・権利を奪うことはできないため、なにも海外旅行まで制限するものではありません。

また、パスポートの発行についても自己破産が足枷となることはなく、海外旅行保険への加入も可能です。

ただし、自己破産をする者が一定以上の財産を保有している、あるいは財産の調査が必要と裁判所が認めた場合は管財事件として扱われ、手続き期間中は海外旅行を制限されることがあります。

自己破産したあとに家族の生活はどうなる?よくある4つの疑問と回答

自己破産をしたあと、自分の家族の生活がどうなるのかも気になるところです

ここからは、自己破産による家族への影響についてよくある4つの疑問とその回答を紹介します。

1.家族が所有していた持ち家も処分される?

不動産については高価な財産とみなされるため、自由財産とはなりません。

つまり、自己破産をすると原則として手放すこととなります

ただし、自己破産の手続きをした者が所有名義となっている不動産は、破産者の財産ではないことから影響を受けません。

2.家族が借金の保証人になっていた場合はどうなる?

自己破産をすると、債権者は保証人に対して借金の支払いを一括で要求します

つまり、家族が保証人の場合は多大な影響を受けることになるのです。

なお、保証人である家族も債務を支払えない場合は、家族も自己破産を余儀なくされます

あるいは、任意整理や個人再生など、自己破産とは別の債務整理を検討することになるでしょう。

3.家族もクレジットカードを持てない?

自己破産をすると、自分の家族もクレジットカードを持てなくなる可能性があります。

クレジットカードを所持するにあたっては、カード会社が実施する審査に通過しなければいけません。

たとえば夫が自己破産をしていて妻、あるいは子どもがクレジットカードを申し込んだ場合、世帯主である夫の信用情報を確認することがあります。

その際、自己破産をしたと判明すると審査落ちとなり、クレジットカードを所持できないケースがあるのです。

4.家族の生命保険や学資保険はどうなる?

自己破産をする際の解約返戻金が総額20万円以下となる場合、生命保険や学資保険を解約する必要はありません

ただし、解約返戻金が総額20万円以上ある場合は、債権者へ分配することとなります。

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自己破産するとどうなる?メリット・デメリットを整理

自己破産の手続きを進めるにあたって、どういったメリットとデメリットがあるかは事前に把握しておくべきです。

自己破産によるメリット・デメリットは以下のとおりです。

メリットデメリット
✔︎借金がなくなる

✔︎債権者からの取り立てが止まる

✔︎必要最低限の財産は残る

✔︎人生をリスタートできる

✔︎事故情報が登録される

✔︎高価な財産は回収される場合がある

✔︎高価な財産は処分される

✔︎官報に掲載される

✔︎職業制限がある

自己破産をすることで借金がなくなる点は最大のメリットといえます。

事故情報として登録されるため、クレジットカードや各種ローンなどの審査に苦労する点は懸念されますが、借金苦から解放されることは人生再建を図れる要素となるでしょう。

また、債権者からの取り立てが止まることは、ストレスの軽減に繋がります。

ただし、高価な財産は処分されるため、家や車などを失うリスクは避けられません

これらのメリット・デメリットを事前に理解したうえで、自己破産の手続きを進めるか否かを検討してください。

自己破産後の生活についてよくある質問

ここからは、自己破産をしたあとの生活に関する、よくある質問を紹介します。

自己破産後にしてはいけないことは何かありますか?

自己破産の手続きをしてからは、借金を返済してはいけません

なぜなら、返済をし続けると自己破産の申し立てをしても免責されない恐れがあるためです。

なお、一部の債権者へのみの返済であったとしても、同様です。

また、価値ある財産を隠す行為も御法度です。

財産を隠して自己破産をすると、免責不許可だけでなく詐欺破産罪となる場合があります。

加えて、生活するにあたって不要と考えられる高額な買い物や浪費、新たな借金も当然ながら禁止です。

自己破産をしたら失うものはなんですか?

自己破産をすると高額なものは処分されます

高額なものと判断されるボーダーラインは商品の価値が20万円以上かどうかです。

家や車など現金化しやすい価値ある財産は、借金返済のために、原則として失うと認識しておきましょう。

ただし、手放さなくとも手続きを進められる可能性もあるため、手放すと移動など困ってしまう場合には、弁護士に相談しましょう。

また、自己破産をすると事故情報が登録されるため、社会的信用を失います。

いわゆるブラックリスト入りとなり、一定期間は金融機関からの信用を失うため、借入やローンを組むことは極めて難しくなるでしょう。

自己破産後に訴えられたりする可能性はありますか?

自己破産は法律で認められている借金から解放されるための手続きです。

そのため、自己破産をしたことによって債権者から訴えられることはありません。

ただし、債権者に対して自己破産を検討しているといった内容を伝えてしまうと、少しでも貸したお金を返済してもらうために訴えられる恐れはあります。

さいごに|自己破産について不安な場合は弁護士に相談

本記事では、自己破産をしたあとの生活はどうなるのか、さらには多くの方が抱える不安や知っておきたいポイントなどについて解説しました。

自己破産をすると借金から解放され、かつ生活に最低限必要な財産は残せるため、人生の再スタートが切れます。

また、債権者からの取り立ても止まるためストレスも軽減できるでしょう。

しかし、事故情報が登録されることから金融関連のサービスにおける審査通過は困難になります。

さらに、家や車などの価値ある財産を失うことから、家族に多大な迷惑をかけかねません。

メリット・デメリットを事前に把握する、かつ自分だけでなく周囲に対する配慮もしたうえで手続きを進めるか否かを判断してください

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この記事の調査・編集者
アシロ編集部
本記事は法律相談ナビを運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。※法律相談ナビに掲載される記事は、必ずしも弁護士が執筆したものではありません。本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。
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