個人再生
個人再生の手続き中にやってはいけない9つのこと|対処法も解説
2024.11.22
個人再生とは、裁判所から認可を受けることによって、借金を元本ごと大幅に減額してもらえる手続きです。
同じく借金を減らす手段である任意整理とは異なり、個人再生は裁判所を通した厳格な手続きであるため、手続き中にやってはいけないことなどの制限も多い点に注意が必要です。
本記事では、個人再生中にやってはいけないことについて詳しく解説します。
禁止されている行為をしてしまうと、個人再生自体が認められなくなる恐れもあるため、個人再生を検討中の方はしっかりと理解しておきましょう。
個人再生中にやってはいけないことは、主に以下の9つです。
それぞれについて、以下で詳しく見ていきましょう。
個人再生は、借金の総額に応じて最大で10分の1まで借金を減額できる手続きです。
個人再生による借金の減額を受けるには、自分の借金額や借金をした経緯、現在の収入や財産状況などについて細かく申告する必要があります。
個人再生の手続きの中で、裁判所の担当者から申告内容について説明を求められるケースがあり、その際に虚偽の申告をしてしまうと、裁判所の判断により個人再生が認められなくなる可能性があります。
また、裁判所の担当者から説明を求められた際に説明を拒否するなどの行為をした場合も、個人再生が認められなくなる恐れがあるので注意が必要です。
個人再生を通して、依頼した弁護士や裁判所の担当者から説明を求められた場合は、必ず応じるとともに正直に申告するように心がけましょう。
個人再生の手続きにおいては、以下のような書類や資料を裁判所に提出する必要があります。
これらの書類や資料を求められた期限内に提出しないと、個人再生の手続きが認められなくなってしまいます。
また、個人再生を弁護士に依頼した場合には、指示された書類をきちんと準備しないと手続きに協力する姿勢が見えないとして、依頼した弁護士に辞任されてしまうリスクもあるでしょう。
個人再生に必要な書類や資料は、一人ひとりの状況により異なるため、弁護士などの専門家に依頼して必要な書類を指示してもらうのが安心です。
個人再生をするには、減額された借金を原則3年間で完済できるように、月々の返済額や返済期間などを記載した「再生計画案」を作成し、裁判所に提出する必要があります。
この再生計画案を裁判所から求められた期限内に提出できないと、個人再生の認可がおりなくなってしまいます。
再生計画案の作成は、基本的に弁護士が主導しておこなってくれますが、再生計画案を作成するうえで必要な書類の準備が遅れると、期限内の提出ができなくなってしまう可能性が高まるでしょう
依頼した弁護士の指示に従って、期限内に準備を進めてください。
個人再生の手続きをおこなうと、申し立てた裁判所によっては再生計画案通りの返済が本当に可能なのかを審査するための「履行テスト」が実施されます。
履行テストは、裁判所から指定された口座に、毎月決められた期日までに再生計画案と同様の金額を振り込むといった形でおこなわれます。
履行テストの支払いを怠ると、計画案通りの返済をする能力がないとみなされて、個人再生が認められなくなってしまうため、必ず期日通りに入金しましょう。
万が一履行テストの支払いが間に合わない場合は、必ず期日前に余裕を持って担当の弁護士に相談してください。
個人再生は、事前に提出した再生計画案通りに3年間にわたって返済を続けていく手続きです。
そのため、手続き中に計画を立てたときよりも収入を減らしてしまうと、個人再生が認められなくなる恐れがあります。
仮に転職によって収入が増える見込みがあるとしても、転職してすぐだと収入を証明するものもなく、継続的に安定した収入が得られるかどうかがわからなくなってしまいます。
収入を証明できなければ、裁判所から認可がおりない可能性があるでしょう。
そのため、個人再生の手続き中の退職はもちろん、増収の見込みがあるとしても転職は避けるべきといえます。
個人再生においては、自分の借金の借入先や借入額について詳細に裁判所に申告する必要があります。
そのため、個人再生の手続き前などに新たに借入をすると、借金額が確定しなくなり、個人再生の申し立てを開始できません。
また、個人再生の手続き前後での新たな借入は、今後借金を減額して返済をしていくという個人差再生の趣旨に反するため、手続きの開始が認められなくなる原因になる可能性が高いです。
少なくとも、弁護士に依頼したあとに新たな借入をするのは避けるのが懸命でしょう。弁護士に個人再生を依頼したあとにどうしてもお金が足りなくなった際は、必ず弁護士に相談するようにしてください。
個人再生は、友人や知人などの個人からの借金や、消費者金融からの借入など全ての債務が減額対象です。
個人再生においては全ての債権者を平等に扱わなくてはいけないという原則があり、
一部の債権者だけを優先して返済することは禁止されています。
個人再生の手続き中に一部の債権者にだけ返済をしたことがバレると、個人再生が認められなくなってしまいます。
個人再生を申し立てた時点で滞納している家賃や携帯料金を支払うなどの行為も偏頗弁済にあたるため注意しましょう。
個人再生の手続きにおいては、再生委員報酬や予納金を裁判所に支払う必要があります。
再生委員の報酬や予納金の金額は、個人再生の担当者である個人再生委員が選出されるかどうかによって異なりますが、3万〜30万円程度かかるのが一般的です。
少なくとも予納金は個人再生の手続きを開始するにあたって必ず納めなくてはいけないため、予納金が用意できないうちは個人再生が認められません。
また、再生委員の報酬や予納金とは別に、弁護士に支払う報酬も用意する必要があります。これらの費用をまとめて用意できない場合は、分割払いや後払いに対応してくれる事務所を探すことを検討しましょう。
個人再生の申し立て後は、ゲームへの課金やギャンブルなどの浪費は絶対に避けましょう。
個人再生において再生計画案を作る際は、毎月の収入から最低限かかる生活費などを差し引いて、債権者に返済していく金額や返済ペースを算出します。
そのため、再生計画案に含まれない浪費をかさねてしまうと、計画通りの返済ができなくなり、結果として個人再生が途中で認められなくなる可能性が高まります。
また、個人再生の手続きの開始前後や手続き中の浪費も、同様の理由で個人再生が認められなくなる要因となるでしょう。
虚偽の申告や浪費などの個人再生でやってはいけないことをしてしまうと、以下のようなデメリットが生じます。
それぞれについて、詳しく見ていきましょう。
個人再生における禁止事項をおこなってしまうと、個人再生による借金の減額が認められなくなってしまいます。
一度再生計画案が認められて返済を進めていた場合でも、途中で失敗すると減額されたはずの借金も元に戻ってしまいます。
さらに、元通りに分割払いができるわけではなく、残った借金を一括返済するように債権者からも求められる可能性が非常に高いです。
個人再生を開始するには、弁護士費用や裁判所への予納金などで合わせて50万円以上の費用を支払う必要があります。
個人再生においてやってはいけないことをして個人再生が失敗した場合でも、一度支払った費用は返ってきません。
費用が戻ってこないだけでなく、新たに個人再生や自己破産の手続きを始める際にも別途費用がかかるため、より厳しい状況に陥る恐れがあるでしょう。
個人再生を申し立てると、手続きの開始決定から最長で5年〜7年間はブラックリストとなり、新たな借入やカードの作成ができなくなります。
ブラックリストとは、個人の借金に関する情報を記録している信用情報機関に、個人再生の履歴などの信用上マイナスとなる情報が記録された状態のことです。
途中で個人再生が失敗した場合でも、ブラックリストは解除されず、情報は残り続けてしまいます。
また、新たに個人再生や自己破産などの対処をとる場合にもブラックリストの情報は更新されるため、ブラックリストとなる期間が長くなってしまいます。
令和2年の司法統計によると、裁判所に申し立てられた個人再生のうち7%ほどが不認可または棄却とされています。
このように、一定数個人再生に失敗してしまう方はいるのが事実です。
ここでは、個人再生に失敗した場合にやるべき3つのことを紹介します。
個人再生に失敗してしまった場合は、もう一度個人再生を申し立てることも選択肢の一つです。
一度提出した裁判所から再生計画案が認められなかった場合は、担当の弁護士のサポートを受けながら、債務の減額幅や返済ペースなどについて見直し、新たな再生計画案で申し立てる方法があります。
ただし、個人再生には「小規模個人再生」と「給与所得者等再生」があり、給与所得者等再生は、一度目の手続きから7年間経過しない限り二度目の申し立てができません。
そのため、一度個人再生の手続きを開始したあとに失敗した場合は、小規模個人再生で手続きを進める必要があります。
個人再生が認可されたあとにやむを得ない事情で計画通りの返済が難しくなった場合は、担当の弁護士に相談すれば再生計画を変更できる可能性があります。
個人再生における再生計画案は、原則3年間で完済するように計画を立てますが、裁判所から認められれば、最長5年まで返済期間を延長できるのです。
また、すでに減額後の借金を4分の3以上返済していた場合は「ハードシップ免責」という制度によって残りの債務が免除される可能性もあります。
ハードシップ免責を利用するには、裁判所の定める厳しい要件をクリアする必要がありますが、すでにほとんどの返済が完了している場合は検討する価値があるでしょう。
手続き上の事情や、再生計画案認可後の返済滞納などで個人再生が失敗した場合は、自己破産に変更するのが現実的でしょう。
自己破産とは、個人再生とは異なりほぼ全ての借金の返済義務を帳消しにしてもらえる手続きのことです。
ただし、一定以上の価値がある財産は没収されるなど、個人再生よりもリスクが大きい点がデメリットといえます。
個人再生が失敗に終わると、残った債務を一括返済するように債権者から迫られる可能性が高いため、リスクをとって自己破産をするのが現実的な解決策となるケースが多いでしょう。
本記事では、個人再生の手続き中にやってはいけないことや、個人再生に失敗した際の対処法などについて紹介しました。
個人再生は、借金を元本ごと減額できる強力な手続きですが、減額された借金はあらかじめ決めた再生計画案に則って継続して返済していく必要があります。
安定した収入と計画性が求められる手続きであるため、債務整理に詳しい弁護士のサポートを受けながら進めるのがおすすめです。
また、個人再生は自分で書類を用意して裁判所に申し立てることもできますが、準備する書類が非常に多く複雑であるため、弁護士などの専門家に依頼しておこなうのがベストといえるでしょう。
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