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債務整理は誰に依頼するべき?弁護士・司法書士の違いや依頼の流れ、費用を解説
2024.11.11
債務整理をして借金を減らしたいと考えても、いざ専門家に依頼するとなると、誰に頼めばいいか迷ったり、費用はいくらかかるのか不安になる方もいるはずです。
債務整理の依頼は自分でおこなうことも可能ですが、専門家のサポートがない分、失敗するリスクも高くなります。
また、依頼できる専門家には弁護士と司法書士がいますが、それぞれ対応できる範囲が異なります。
本記事では債務整理を依頼する専門家や、依頼にかかる費用、依頼の際の一般的な流れや注意点など債務整理をするために必要な情報を解説していきます。
債務整理を依頼できる専門家は主に弁護士と司法書士です。
それぞれ業務範囲が異なるのでメリットとデメリットを把握してから依頼先を決めてください。
債務整理を弁護士に依頼するメリットは主に4つあるので、それぞれ以下で解説していきます。
弁護士に相談したあとに、正式に依頼を決めて委任契約を締結すると、弁護士は債権者に「受任通知」を送ります。
債権者がこれを受け取ることで債務整理の手続き終了まで督促を止めることが可能です。
債務整理は専門家に頼まずに自分でもできますが、その場合、督促は止まりません。
なぜなら、本人が支払いを拒んでいることと、弁護士が正式に対応を進めていることとは次元の違う話だからです。
弁護士に依頼すれば毎月の返済も止まるので、落ち着いて返済計画を立て直すことができるでしょう。
弁護士に債務整理を依頼すると、以下の作業をワンストップで頼むことができます。
なお、司法書士は、個人再生や自己破産の場合、依頼者の代理人として動くことができません。
そのため、上記すべての業務をワンストップでおこなえるのは弁護士だけです。
面倒な業務を弁護士に任せることで、余計なストレスを無くして生活の立て直しに集中することができるでしょう。
弁護士に依頼すると債権者との交渉を任せることができます。
専門的な知識がないまま、自分ひとりで交渉をすると失敗する可能性が高いので、弁護士に依頼するメリットは大きいでしょう。
任意整理は特に、裁判所を通さず債権者との直接交渉を行うものです。
専門的な知識が無いと相手に将来利息や遅延損害金のカットを認めてもらうことは難しいでしょう。
それどころか、そもそも交渉を受けてもらえない可能性もあります。
個人再生や自己破産でも専門的な知識を要する交渉が必要なので、弁護士に依頼するのがおすすめです。
債務整理には任意整理・個人再生・自己破産・特定調停の4種類がありますが、状況次第で選ぶべき選択肢が異なります。
弁護士に依頼すると、さまざまな専門的視点からあなたに最適な手段を選んでくれるので、メリットを最大限に得ることができます。
債務整理を弁護士に依頼するデメリットは、費用が掛かることにつきます。
どの債務整理を選ぶかにもよりますが、弁護士費用は少なくとも20万程度はかかるでしょう。
弁護士費用を抑えたり負担を軽くしたい場合は、以下の方法も選択できます。
上記の詳しい内容は、後半の「債務整理の費用をできるだけ抑えるには?弁護士費用を払えないといときの対処法」で紹介しているので参考にしてください。
ここからは、債務整理を司法書士に依頼するメリットについて紹介します。
一般的に司法書士は、弁護士に比べて費用が安いのがメリットといえます。
例えば個人再生を弁護士に依頼した場合、総額は50万円以上かかりますが、司法書士の場合は20万円程度で依頼することができます。
総額30万円程度はおさえられるので、依頼するメリットはあるでしょう。
司法書士が受けられる債務整理の案件は140万円以下と司法書士法の3条で決められています。
そのため司法書士が140万円以上の民事事件を扱った場合、非弁行為として処罰されることになります。
しかしこれは総額ではないので、1社あたりの債務額が140万円以下であれば問題ありません。
たとえば、A社から70万円、B社とC社からそれぞれ50万円ずつ借りていたとして、それらすべての債務整理を司法書士に依頼することができます。
債務整理を司法書士に依頼するデメリットは、サポート範囲が限られることです。
弁護士は裁判所とのやり取りや書類作成、交渉などのすべての行為の代理人となることが可能ですが、司法書士は1社の債権額が140万円以下の民事事件、つまり任意整理においてしか依頼者の代理人となることができません。
なお、司法書士の中でも認定司法書士のみが対応可能なので注意しましょう。
個人再生や自己破産でも司法書士に依頼をすることは可能ですが、サポートできる範囲は書類作成のみになります。
債務整理でトータルサポートを受けたい場合は、弁護士に依頼するのが最善といえます。
もしも、任意整理を依頼したあと債権額が思ったよりも膨らんでいて司法書士では対応できないということになった場合、あらためて弁護士への相談や依頼と費用の支払いが必要です。
司法書士に支払った費用が返ってくるわけではありませんので、二重に費用負担が必要ということにもなりかねません。
任意整理以外の可能性も検討したいのであればはじめから弁護士に相談や依頼をしておくことをおすすめいたします。
ここからは、債務整理を依頼する際にかかる費用相場を表で紹介します。
主な費用は弁護士・司法書士の費用と裁判所費用です。
以下の表で、まずは弁護士費用と司法書士費用の比較を見ていきましょう。
任意整理 | 個人再生 | 自己破産 | |
弁護士 | 15万〜20万円程度 | 40~60万円程度 | 50~80万円程度 |
司法書士 | 15万円程度 | 30〜40万円程度 | 20万円~30万円程度 |
比較して分かるように、弁護士に比べて司法書士の方が費用は安い傾向にあります。
弁護士と司法書士の費用詳細は、主に相談料・着手金・報酬金などあるので、それぞれ以下で解説していきます。
まずは弁護士の費用詳細から解説していきます。
相談時には費用詳細の確認がとても大切なので、事前に費用感を把握しておきましょう。
弁護士に債務整理を依頼する場合、基本的に弁護士相談を利用してから依頼するかどうかを決めることになります。
その際に発生するのが相談料で、多くの法律事務所で30分あたり5,000円~1万円程度となっています。
着手金とは、債務整理が成功したかどうかにかかわらず、弁護士に依頼した際に必ず発生する費用です。
弁護士相談のあと、正式に委任契約を結んだ際に支払うことになります。
それぞれの相場は以下のようになっています。
任意整理 | 個人再生 | 自己破産 | |
着手金 | 2万円~5万円程度 | 20~40万円程度 | 20万~30万円程度 |
着手金は原則として債務整理が失敗に終わったとしても返金されません。
途中契約解除の場合に一部返ってくることもありますが、必ずではないので注意しましょう。
成功報酬金は、債務整理に成功した際に弁護士に支払う費用です。
そのため借金の減額などが失敗した場合には支払う必要がありません。
それぞれの費用感は以下のとおりです。
任意整理 | 個人再生 | 自己破産 | |
成功報酬金 | 2万円~5万円程度(基本報酬金) | 20~40万円程度 | 20万~30万円程度 |
任意整理の場合は、上記の基本報酬金のほかに減額報酬金や過払い金の報酬金を支払うことになります。
次に司法書士の費用詳細を解説していきます。
一般的に弁護士費用よりも安い傾向にありますが、中には弁護士に依頼するよりも高額な費用を取られる場合もあるので、事前に費用感を把握しておきましょう。
司法書士の場合、依頼料に相談料も含むことがありますが、およそ1時間あたり1万円程度となっています。
また、司法書士事務所でも初回無料相談を受け付けているところもあるので、手続きに必要な書類や、見積りなどを聞く際に利用してください。
着手金ありの司法書士事務所の場合、それぞれの費用感は以下の通りです。
任意整理 | 個人再生・自己破産 | |
着手金 | 2万円程度 | 20万円程度 |
なおいくつかの司法書士事務所では、着手金はとらずに定額報酬のみとしているところや、相談料・実費などを含む総額費用のみで追加費用は発生しないとしているところもあります。
成功報酬金として、減額報酬や過払い金返還報酬を支払う場合、それぞれ以下の費用が発生します。
減額報酬金 | 過払い金返還報酬金 |
・減額できた報酬の10%まで | ・過払い金請求に成功した場合:過払い金の20%まで ・裁判によって変換された場合:過払い金の25%まで |
減額報酬金・成功報酬金を取らないところや、債務整理が成功しなかった場合は返金対応をしている事務所などもあるので、費用詳細は事前に確認しておきましょう。
個人再生と自己破産の場合、弁護士や司法書士の費用以外に裁判所に支払う費用が発生します。
それぞれ以下で詳細をみていきましょう。
個人再生では、裁判所に支払う費用が発生します。
また、個人再生委員が選任されるかどうかでも費用が変わりますが、総額で20万円程度の支払いが発生するので、以下で詳細を確認しておきましょう。
予納金 | 1万3,744円(官報広告費) |
収入印紙 (申し立て手数料) | 1万円 ※裁判所より異なる |
郵便切手 | 3,000~5,000円 ※裁判所により異なる |
個人再生委員の報酬 | 15~25万円 ※選任された場合 |
個人再生委員とは、簡単に言うと手続きが適正におこなわれるようサポートをする人のことで、選任された場合は報酬を支払う必要があります。
選任される人は主に裁判所が管轄する地域の弁護士で、東京地方裁判所の場合は必ず選任されます。
その他の地域では、ケースによって選任されない場合もあります。
自己破産の場合、同時廃止事件や管財事件、少額管財事件などで費用が異なっており、同時廃止事件の総額は2~3万円程度、管財事件の場合は30~80万円程度かかります。
細かい内訳は以下のとおりです。
予納金 | 同時廃止事件:1万1,859円(官報広告費) |
管財事件:40万円~(破産管財人報酬も含める) | |
少額管財事件:20万円~(破産管財人報酬も含める) | |
収入印紙 (申し立て手数料) | 1,500円 ※裁判所より異なる |
郵便切手 | 3,000~5,000円 ※裁判所により異なる |
同時廃止事件は、持ち家や車などの明らかに価値のある財産を所有していない場合におこなわれ、管財事件は、価値のある財産を所有している場合やギャンブルなどの免責不許可事由に該当する場合におこなわれます。
予納金の額に差がある理由は、管財人の報酬が含まれているからです。
管財人は、破産者の資産や負債の調査をしたり、免責が妥当なのかどうかを調べる役割を担っています。
手続きには1年以上の期間を要するケースもあり、その分費用がかかるというわけです。
少額管財事件は管財事件を簡略化したものなので、予納金の支払いが少ないことが特徴となります。
ここからは、債務整理を専門家に依頼する際の基本的な流れを解説していきます。
弁護士と司法書士の流れは大まかには同じなので、依頼前に確認しておきましょう。
ここからは債務整理を専門家に依頼する前に確認しておきたいポイントを5つご紹介します。
依頼後に後悔しないためにも必ず確認してください。
弁護士や司法書士に支払う費用詳細は、依頼前に必ず確認しておきましょう。
事前に費用を明確にできない事務所だと、あとから追加の費用が発生して、想定していたよりも費用が高額になる可能性があるので注意してください。
事前に確認しておきたい内容は以下のとおりです。
分割払いや後払いにも対応しているのか、着手金は無料なのかなど事務所によって異なるので必ず確認してください。
一般的な相場より高い事務所でも、明確な説明が得られる場合は問題ありません。
一方、あまりに安すぎる場合は、実績があまりなくサポート範囲も限られてしまう可能性があるので、安さに飛びつかないよう気を付けましょう。
迷った場合は、他の事務所にも相談して費用感を比較することをおすすめします。
債務整理を依頼する前には、話し方は丁寧かどうか、分かりやすいか、誠実に向き合ってくれているかなどの相性もチェックしましょう。
担当する人によって、相談者の今後の生活を考えているか、無理のない計画を提案してくれるかどうかが変わります。
そのため、相談時点で違和感があったり説明に納得がいかない場合は、焦って依頼をせず他の事務所にも相談をして慎重に依頼先を選ぶようにしましょう。
専門家に依頼する際は、必ず債務整理に対して実績があるかどうかをチェックしてください。
実績は法律事務所や司法書士事務所の公式ホームページに載っている場合が多いです。
ネット上で確認できない時は、書籍を出しているかどうかでも確認してみるとよいでしょう。
その分野に詳しくないと書籍を出すことはできないので、書籍出版の経験がある専門家であれば安心して依頼することができます。
依頼先を判断するうえで無料相談はうってつけです。
無料相談で丁寧な対応をしてくれる弁護士や司法書士は、依頼のあとも丁寧である可能性が高くなります。
逆に無料相談をないがしろにして、説明が雑になるような場合は信頼できない可能性が高いでしょう。
最近ではLINEでの無料相談を受け付けている事務所も増えていますが、債務整理の依頼は対面での面談が原則です。
実際に顔を見て話した方が、親切かどうかや誠実な人柄かなども見極めやすくなります。
無料相談は時間が限られていることがほとんどなので、利用の際は必ず質問事項を整理して「いつ・どこで・誰が・何をした・なぜ」が分かるよう簡潔にまとめてから相談しましょう。
債務整理を依頼している場合、やってはいけないNG行為があります。
任意整理の場合、以下の行為は担当している弁護士に辞任されたり、債権者から訴えられる可能性があるのでおこなわないでください。
任意整理中は信用情報機関に事故情報が登録されブラックリスト入りするので、新しい金融機関からの新規借り入れはできません。
「ブラックOK」などのキャッチコピーで新たに借り入れ可能とする違法な業者がいますが、違法な取り立てを受けることもあるので借り入れはやめましょう。
上記の問題が発覚した場合、依頼された弁護士や司法書士が担当を辞任する可能性があります。
また、任意整理や個人再生の計画通りに支払いをおこなわない場合、返済の意思がないと捉えられたり、債権者から訴えられる可能性があるので要注意です。
万が一払えなくなった場合は早めに依頼している担当者に相談しましょう。
ほかにも、ギャンブルや競馬などをおこなって財産を減らしたりする行為も許されないので絶対にやめましょう。
債務整理を専門家に依頼する場合に、できるだけ費用を抑える方法はあります。
費用をゼロにはできませんが、負担は減らすことができるので、支払いができずに悩んでいる方は参考にしてください。
一括で支払いができない方は、分割払いに対応している弁護士や司法書士事務所を探すようにしてください。
債務整理をおこなう依頼人は支払いの余裕がないことは弁護士や司法書士も把握しているので、分割払い・後払いに対応している事務所も多くあります。
専門家に依頼して債務整理を始めたら債権者からの督促も無くなるので、これまで返済に充てていた分を弁護士・司法書士費用に回すことが可能になります。
一括払いの負担がなくなるのでぜひ依頼の際に相談してください。
法律事務所や司法書士事務所の中には、着手金無料としている事務所があり、契約時に支払う負担がなくなるというメリットがあります。
また、着手金無料の場合は完全成功報酬制となっていることが多いので、債務整理に失敗した場合は費用を支払う心配がいりません。
ただ全体的な総額は基本的に変わりません。
また、完全成功報酬制の事務所は相場よりも高めの金額になっていることも多いので、報酬金額の計算式である「経済的利益×〇%」は高めに設定されていないか必ず確認してください。
念のためいくつかの事務所に見積りを取ってみると比較しやすくなるでしょう。
特定調停を利用すれば、法的知識が無くても弁護士・司法書士に依頼せずに自分で債務整理をおこなうことが可能です。
特定調停とは、自分で簡易裁判所に申し立てておこなう債務整理で、個人再生や自己破産と異なって裁判官と調停委員が交渉を主導してくれる方法になります。
そのため、自分で債務整理したいけど、法的な知識に乏しくて手続きや交渉に不安が残るという方は利用するメリットがあります。
内容的には任意整理と似ていて、将来利息のカットや分割回数を増やすなどが主で、債務額の減額はできません。
またデメリットとして、平日裁判所に出向く必要があることや、書類作成は自分でやらねばならないこと、調停委員の交渉次第では思うような結果が得られないことなどさまざまなデメリットがあるので、利用の際は慎重に考えましょう。
任意整理をはじめ、個人再生や自己破産は自分で申し立てをおこなうことができます。
しかし特定調停とは異なり、裁判所からの指示に柔軟に対応したり、書類作成や債権者との交渉などのすべてを自分でおこなう必要があります。
もちろん弁護士費用がかからない分、支払いの負担を大幅に減らせるメリットはありますが、上記の業務を素人がこなすのは非常に困難だといえます。
法的知識に自信があり、専門知識が必要な書類作成や債権者との交渉なども一切問題ないという人以外には向かない方法といってもいいでしょう。
最後に紹介するのが、法テラスの民事法律扶助を利用する方法です。
法テラスは国によって設立された法律トラブルの総合案内所で、一定の収入要件を満たす方は、無料法律相談を受けられたり、弁護士や司法書士の費用を立て替えてもらうことができます。
建て替え費用は基本的に分割払いとなっているので、一括払いの負担を減らすことができます。
いろいろと債務整理の依頼について解説しましたが、まずは弁護士に直接話を聞くのが一番の解決への近道です。
弁護士を探したいと思っている方は、まずベンナビ債務整理で探すのが便利です。
お住まいの地域を選択して、悩みに合わせて条件を絞れるので、手軽に希望の事務所を見つけることができます。
事務所をクリックすれば、解決実績や、依頼のメリットなどを簡単に見ることができるので、気になる事務所があればいくつか無料相談してみることをおすすめします。
債務整理の依頼をするか迷った場合は、無料相談を活用してまずは専門家の意見を聞いてみる方がいいでしょう。
迷っている間にも返済は進みますし、状況は改善しません。
費用を抑えたいと思うのも無理はありませんが、専門家に頼らず債務整理を成功させるのは至難の業です。
中には分割払いや後払いに対応している弁護士や司法書士もいるので、まずは気軽に相談してみましょう。