個人再生は官報に掲載される!バレずに債務整理する方法をわかりやすく解説

個人再生は官報に掲載される!バレずに債務整理する方法をわかりやすく解説

個人再生は借金問題の解決手段になっており、多重債務になった方でも人生の再起を図れます。

ただし、個人再生すると官報に氏名などが掲載されるため、場合によっては借金問題が周囲にバレる恐れもあります。

個人再生を裁判所に申し立てる際は、誰が官報を閲覧し、いつからいつまで掲載されるのか、十分な理解が必要です。

本記事では、個人再生が官報に載るデメリットや、官報掲載されない債務整理の方法などをわかりやすく解説します。

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この記事を監修した弁護士
磯田 直也弁護士(ルーセント法律事務所)
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(※本コラムにおける、法理論に関する部分のみを監修)

官報とは?

官報とは、政府や各府省が発出する公文・公告などを掲載した機関紙です。

印刷と発行は国立印刷局がおこなっており、国の政策や新たな法令、政府関係の人事など、国民全体に周知する事項が掲載されます。

1883年の創刊から紙の情報媒体として発行されていましたが、現在はPDF版のファイルもあるため、パソコンやスマートフォンでも閲覧可能です。

具体的な掲載内容や、閲覧方法は以下を参考にしてください。

官報に掲載される情報

個人再生をしたときに官報に掲載される主な内容は以下のようになっています。

令和〇年(再イ)第〇〇〇号

東京都新宿区◯丁目◯◯番地◯

再生債務者 アシロ太郎

1.決定年月日時 令和〇年8月16日午後2時

2.主文 再生債務者について小規模個人再生による再生手続を開始する。

3.再生債権の届出期間 令和〇年11月14日まで

4.一般異議申述期間 令和〇年11月28日から令和〇年12月12日まで

◯◯地方裁判所

上記に記載の通り、個人再生をした人の氏名・住所を掲載されます。

このように情報が載ることでいくつかデメリットもありますので、後半の解説を確認してください。

官報の閲覧方法

官報には以下の閲覧方法があり、有料のインターネット版はキーワード検索できます。

媒体有料の紙媒体インターネット版
無料版有料版
入手先全国48ヵ所の官報販売所国立印刷局のホームページ
閲覧範囲購入する官報の範囲で異なる直近90日分1947年5月3日から直近まで
検索機能なしなしあり
料金定期購読:1ヵ月1,641円+送料無料プラン別の料金

※定期購読は割引きあり

個人再生の情報は裁判所公告になるため、手続き開始後に申立人の住所・氏名などが掲載されます

基本的には官報を定期購入している金融機関や官公庁など、ごく一部の人しか閲覧しないため、広く一般に知られるケースはほぼないでしょう。

ただし、官報は公立の図書館でも閲覧できるため、「友人・知人に個人再生を知られてしまった」という状況になる可能性もあります。

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個人再生をすると官報に掲載される理由

個人再生には「債権者平等」の原則があるため、官報によって金融機関や貸金業者などに公告し、借金回収に参加する機会を与えるようになっているからです。

裁判所に個人再生を申し立てる際、債権者一覧表に「どこからどれだけ借りているか」を記載し、各債権者に個人再生手続きの開始を裁判所が通知します。

しかし、債権者一覧表に記載がない債権者がいると、個人再生手続きの開始を知る機会がなく、借金回収の機会を失ってしまうでしょう。

債権者はすべて平等に扱わなければならないため、個人再生の官報公告は民事再生法によって義務付けられているのです。

個人再生が官報に掲載される回数と期間

裁判所へ個人再生を申し立てると、官報には3回掲載されます。

具体的な掲載タイミングや、掲載期間は以下のようになっています。

  1. 再生手続開始が決定したとき
  2. 再生計画案の書面決議や意見聴取のとき
  3. 再生計画認可が決定したとき

1回目の官報掲載は個人再生の申立てから概ね1ヵ月後になっており、債権者に再生手続きの開始を周知し、債権を届出させる目的があります。

2回目の官報掲載は申立てから概ね3~4ヵ月後が多く、債権者が再生計画案に同意しないときや、給与所得者の個人再生について意見聴取する機会を設けています。

3回目の掲載は個人再生の申立てから5ヵ月後程度になるでしょう。

なお、個人再生の情報は発行日の紙面のみ掲載されるため、紙版の官報で借金問題を知られる機会はあまりないかもしれません。

ただし、インターネット上の官報は無料版が90日間、有料の場合は半永久的に閲覧できるため、個人再生の情報が長期間残ってしまいます。

個人再生で官報に掲載されるデメリット

個人再生が官報に掲載された場合、以下のデメリットがあります。

本来は借金問題の解決策になるところ、個人再生後に新たな借金をつくってしまう可能性があるため、借入れの誘惑には十分な注意が必要です。

一定期間信用情報機関のブラックリストにも載る

個人再生の手続きが始まると、信用情報機関に事故情報が登録されます

事故情報はいわゆる「ブラックリスト」を指しており、以下の登録期間中は新たな借入れができません。

信用情報機関名事故情報に登録される期間
株式会社シー・アイ・シー完済から5年
株式会社日本信用情報機構完済から5年
全国銀行個人信用情報センター以下のどちらか遅い方

・手続開始決定日から10年

・完済から5年

個人再生は3年間の返済計画になるケースが多いため、株式会社シー・アイ・シーや日本信用情報機構の事故情報は返済開始から8年後に削除されます。

ただし、各機関は事故情報を共有しており、全国銀行個人信用情報センターに手続開始決定日から10年間登録された場合、最短10年は車などをローンで買えません。

事故情報が登録されている間はクレジットカードも使えなくなるため、買い物などの支払いは現金決済やプリペイド式のカードに限定されるでしょう。

官報公告の費用がかかる

個人再生では官報公告費用を予報金として支払うため、3回分の掲載で1万3,744円を負担しなければなりません。

1万円分の収入印紙代や3,840円分の郵便切手代もかかりますが、裁判所によって若干異なるため、切手代が4,000円以上になるケースもあります。

なお、代理人弁護士を付けておらず、1人で個人再生を申し立てる場合は個人再生委員の報酬が発生するため、予納金は21万円程度になります。

特定の業種にチェックされている

官報公告は金融機関や信用情報機関、一部の不動産会社などがチェックしているので、銀行などの債権管理部署に知り合いがいると個人再生がバレることがあります。

各機関には守秘義務があるため、情報の拡散は考えられませんが、相手に距離を置かれてしまう可能性はあるでしょう。

闇金の誘惑に負ける恐れがある

個人再生が官報公告されると、闇金業者のチラシがポストに投函されたり、ダイレクトメールが届いたりするケースもあります。

信用情報機関の事故情報が削除されない限り、新たな借入れができないため、つい闇金業者の誘惑に負けてしまう恐れもあるでしょう。

闇金業者のチラシには「ブラックリストでもOK」などと書かれていますが、お金を借りると法外な金利を請求されることになります。

返済が滞ると家族に連絡されるなど違法な取り立てを受ける場合もあるため、借り入れをしないように注意してください。

個人再生の官報掲載がバレることはある?

官報は一部の業種に閲覧されますが、裁判所公告を見る人は限られています

たとえば、官公庁では法改正や人事情報などのページをコピーし、関係部署のみ回覧するケースが多いため、個人再生のページを見られる機会はまずないでしょう。

一般人が有料のインターネット版を購読するケースもほとんどなく、無料の官報は検索機能がないため、「個人再生+氏名」などを調べられる機会もほぼありません。

裁判所公告を日常的に見ている人が知り合いにいなければ、官報掲載を過度に意識する必要はないでしょう。

個人再生のメリット

借金問題を個人再生で解決する場合、以下のメリットがあります。

官報には掲載されますが、一部の財産を残せる可能性があるため、生活への影響を最小限に抑えられるでしょう。

借金が5分の1に減額される

個人再生は借金の元本を5分の1に減額できるため、借金完済の目途が立ちます。

減額された借金は基本的に3年間で返済しますが、個人再生の途中で子どもが進学するなど、高額な出費が発生する場合は最長5年の返済期間も認められます

借金の理由を問われない

個人再生は借金の理由を問われないため、ギャンブルによる損失の穴埋めや、単なる浪費であっても申立てが認められます

一方、自己破産は借金を帳消しにできますが、以下の免責不許可事由に該当すると申立てが却下されます。

  • 財産隠しや不当に財産の価値を減少させる行為
  • 自己破産を前提に債務を負うなどの不当な債務負担行為
  • 特定の債権者にだけ返済する偏頗弁済
  • 浪費やギャンブル依存などの射幸行為
  • 詐術による信用取引
  • 帳簿隠し
  • 虚偽の債権者名簿を提出する行為
  • 調査協力義務違反行為
  • 管財業務の妨害行為
  • 過去7年以内の免責
  • 破産法上の義務違反行為

借金の理由が浪費やギャンブル依存であれば、個人再生するメリットが大きいでしょう。

条件を満たせばマイホームを残せる

個人再生は「住宅資金特別条項」を利用できるため、住宅ローンを個人再生の対象外とし、マイホームを残せます

住宅資金特別条項を利用する際は、以下の条件を満たしている必要があります。

  • 借入れが住宅ローンであること
  • 住宅の名義が個人再生の申立人になっていること
  • 居住用の建物であること
  • 住宅を住宅ローン以外の借入れの担保にしていないこと
  • 住宅の床面積の2分の1以上が居住用になっていること
  • 滞納による代位弁済後、6ヵ月以内に再生手続開始の申立てをしていること

なお、住宅ローンの返済が滞っていると、住宅資金特別条項を利用できない可能性があるので要注意です。

ローンを完済していれば車も残せる

ローンを完済している車であれば、個人再生しても手元に残せます

一方、ローンが残っている車はディーラーやローン会社などの名義になっており、個人再生すると回収されるため、交通手段が限られてしまいます。

自己破産の場合は車の評価額が20万円以下、または生活に欠かせない状況でなければ車を残せないので、個人再生のメリットは大きいといえます。

個人再生以外で官報に載るケース

裁判所を介して借金問題を解決する場合、個人再生以外でも官報に載るケースがあります。

借金を完済しないまま債務者が亡くなると、家族が借金を引き継ぐため、配偶者や子どもが官報掲載される場合もあるでしょう。

自己破産

裁判所に自己破産を申立てる場合も、すべての債権者に借金回収の機会を与えなければならないため、以下のタイミングで破産者氏名などが官報掲載されます。

  1. 破産手続きの開始が決定したとき
  2. 破産手続きの廃止または終結が決定したとき
  3. 免責許可が決定したとき

自己破産は借金を帳消しにできますが、2~3回程度は官報に住所・氏名が載るため、場合によっては知り合いなどに借金問題を知られてしまいます。

一部の財産も失ってしまうので、個人再生と自己破産のどちらで借金問題を解決するか、慎重に検討しなければなりません。

相続の限定承認

債務者が借金を残したまま亡くなると、家族が返済義務を相続します。

返済し切れない借金がある場合、相続放棄と限定承認のどちらかを選べますが、自宅などの財産を残したいときは「限定承認」になるでしょう。

相続の限定承認は自宅などの財産を残し、その他の財産は借金の返済に充てるため、官報によって手続き開始を債権者に公告します。

限定承認すると自宅は競売にかけられ、先買権によって優先的に買い戻しできますが、現金がなければ第三者の手に渡ってしまいます。

家族に自宅を残したいときは、生前に借金問題を解決したほうがよいでしょう。

周囲にバレない債務整理の方法

周囲にバレないように借金問題を解決したいときは、特定調停や任意整理を検討してみましょう。

特定調停と任意整理の特徴は以下のようになっており、官報には掲載されないため、債務整理が家族や勤め先にバレない可能性があります。

特定調停|裁判所を介して返済負担を軽くする方法

特定調停とは、簡易裁判所を介して債権者と債務者が話し合い、和解を目指す方法です。

話し合いの際には調停委員が間に入り、中立的な立場で双方の主張を聴き取るため、債権者と直接交渉するプレッシャーはありません

個人再生に比べて費用も安く、免責不許可事由も問われないので、借金の返済負担が重いときは特定調停を検討してみましょう。

ただし、借金の減額が認められるケースはほとんどなく、基本的には返済回数を増やして1回あたりの返済額を低くするなど、債権者の権利も考慮されます。

調停成立後に返済が滞ると、強制執行で預貯金や給与を差し押さえられるため、確実に返済できるかどうかを考えておかなければならないため、利用の際は慎重に検討しましょう。

任意整理|元金のみの返済にする方法

任意整理は債権者との直接交渉になり、裁判所を介さないため官報には掲載されません。

利息カットによって元金のみ返済する方法になるので、借金の大幅減額は期待できませんが、周囲にバレにくいメリットがあります。

なお、任意整理には専門知識や交渉力が欠かせないため、債権者と交渉するときは、弁護士に関わってもらったほうがよいでしょう。

弁護士に任意整理を依頼すると、過払い金を回収できる可能性もあります。

さいごに|借金問題に困ったときは弁護士に相談してみましょう

個人再生は必ず官報掲載されますが、閲覧する人が限定されており、必ずしも家族や職場にバレるとは限りません

ただし、お金に困っている状況で闇金業者などのチラシを見ると、誘惑に負けてしまう恐れもあるでしょう。

借金問題の解決方法は個人再生だけではないため、どうしても官報掲載を避けたい方や、最適な方法で債務整理したい方は、弁護士に相談してみましょう。

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相談料無料※
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※一部の法律事務所に限り初回相談無料の場合があります
この記事の調査・編集者
アシロ編集部
本記事は法律相談ナビを運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。※法律相談ナビに掲載される記事は、必ずしも弁護士が執筆したものではありません。本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。
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