過払い金請求
過払い金請求の流れ自力でおこなう場合と弁護士に依頼する場合の違いも解説
2024.11.11
過払い金請求をしたい方の中には、このような悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。
過払い金請求手続きは、過払い金の存在が認められればほぼ確実に成功しますが、手続きの流れや内容は少し複雑で、素人がおこなうのは難しいのが実情です。
本記事では、過払い金請求の流れを解説します。
自力でおこなう場合と弁護士に依頼する場合の2つのケースを紹介するので、ぜひ参考にしてください。
ここでは、過払い金請求における基本のステップを確認します。
大まかな流れは次のとおりです。
過払い金請求をする際は、過払い金の額を計算したあとに賃金業者を相手に請求・交渉をおこない、和解が成立すれば、一週間程度で過払い金が返還されます。
しかし、和解が不成立となった場合は裁判へと発展し、訴訟を経て和解、または判決が下されます。
その後、過払い金の返還が認められ一週間程度で入金へと進むという流れです。
争点がある場合は裁判が長引く可能性がありますが、裁判中に訴訟外で和解した場合は解決までの期間を短縮できることもあります。
なお、過払い金請求の手続きに要する期間の目安は、6ヵ月から1年程度と考えておきましょう。
過払い金請求をおこなうにあたって、法律に関する知識は必要不可欠です。
法律知識が乏しいと請求準備や賃金業者との交渉をスムーズに進められないため、自力で対応する場合は弁護士に依頼するよりも長引く可能性があります。
また、賃金業者によっては返還を早める代わりに過払い金の減額交渉をされることもあります。
そのため、自力で対応すると主張すべき点がわからず、賃金業者にいわれるがまま不利な条件で和解に至ることも考えられるでしょう
では、自分で請求手続きを進める際は、どういったステップを踏んでいくのでしょうか。
ここからは、過払い金請求を自力でおこなう場合の流れを解説します。
まずは、賃金業者に取引履歴の開示請求をします。
請求から開示までにかかる期間は2週間から2ヵ月程度です。
取引履歴には賃金取引をした日付と金額、利率などが記載されているため、借入や返済など過去の取引を確認のうえ、本当に過払い金が発生しているか確認しましょう。
なお、取引履歴は賃金業者の窓口に電話やインターネットで問い合わせて請求すると取り寄せられます。
取り寄せに要する期間は賃金業者によって異なり、早ければ1週間程度で済みますが、遅い場合は3ヵ月程度かかることもあるでしょう。
とくに、弁護士に依頼せず自分で請求をおこなう場合は、開示までの期間が長引いてしまう可能性があるので注意が必要です。
取引履歴を取り寄せたら、それをもとに過払い金を計算します。
利息制限法に基づいて取引履歴の引き直し計算をおこない、過払い金がどれだけ発生するかを確認しましょう。
なお、引き直し計算にかかる期間は取引期間や回数、内容によって異なり、一般的な目安は2日から3日、取引期間が長い場合は1週間以上かかることもあります。
弁護士に依頼せず自力で計算して確認したい方は、過払い金専用の計算ツールを用意しましょう。
過払い金は全てを自力で計算するのは難しいため、過払い金専用の計算ツールを使うのが一般的です。
過払い金専用の計算ツールとして代表的なものは、名古屋式と外山式の2種類で、どちらも使用するにはエクセルが必要です。
ツールを使うにはまず、現在法律で定められている金利の上限を入力して、取引をした日やその取引で借りた金額、返済した金額を時系列順に入力します。
そうすると、取引ごとに法律上の上限利息と元金の返済額、取引後の残元金が自動的に計算されます。
取引後の残元金がマイナスの場合、その分が過払い金として請求できる金額です。
残元金がプラス、あるいはゼロになっている場合、過払い金は発生していません。
名古屋式・外山式のツールのほか、ネット上には過払い金の自動計算ツールがさまざま存在しています。
多くの場合、シミュレーションをおこなうとその司法書士や法律事務所へ情報が送られ、多数の事務所から折り返し連絡が来るようになっているので、専門家への相談を考えている方は利用を検討しましょう。
引き直し計算の結果、過払い金が発生することがわかれば、賃金業者に対して返還請求をおこないます。
賃金業者に過払い金返還請求書と引き直し計算書を郵送してください。
その際、いつ、誰が、どのような内容の文書を送ったか証明できるよう、内容証明郵便にて送付しましょう。
返還請求にかかる期間は2日から3日程度です。
賃金業者に対して過払い金の返還請求書と引き直し計算書を郵送したら、いよいよ交渉開始です。
交渉では返還金額や返還期日、返還方法などの条件を話し合います。
賃金業者によって異なるものの、交渉にかかる期間は1ヵ月から3ヵ月程度です。
賃金業者との交渉がまとまり双方が納得して和解に至れば、賃金業者と合意書を締結します。
合意書を取り交わすのにかかる期間は2日から3日程度で、交渉の末に和解できた場合は賃金業者から過払い金を受け取ることで無事に成立します。
ほとんどの場合は交渉で和解しますが、もし交渉を和解できずに不成立となってしまった場合は、裁判所に対し過払い金返還請求訴訟を提起し、過払い金の回収をおこなうことになります。
また、引き直し計算の時点で裁判を起こしたほうが多くの返還が期待できる場合は、交渉をおこなわずいきなり裁判を進めるケースもあります。
裁判の場合、主張が認められると満額に近い請求額を返還してもらえる可能性が高くなるため、過払い金の額が大きい場合は訴訟を視野に入れるとよいでしょう。
交渉が成立すると賃金業者から過払い金が返還されますが、和解に至ったとしてもすぐに返還されるわけではありません。
過払い金の返還は和解成立から、2ヵ月から4ヵ月程度の期間がかかります。
過払い金請求には、賃金業者に対する取引履歴の開示や各種手続き、さらには引き直し計算などの複雑かつ専門的な手続きが必要です。
そのため、個人が自力で対応するのが難しいこともあるでしょう。
その点、弁護士は法律を熟知していることから最適な方法で手続きをおこない、イレギュラーなケースにも対処可能です。
確実かつ、スムーズに請求をおこなうためには、弁護士への依頼は必須でしょう。
そこでここからは、過払い金請求を弁護士に依頼する場合の流れについて解説します。
過払い金が発生している可能性がある場合は、まず弁護士に相談しましょう。
過払い金の請求には法律に対する知識が必要となるため、弁護士に判断をあおぐのが賢明です。
最近では「過払い金の有無を確認するだけでもOK」という法律事務所も増えています。
そもそも過払い金があるのかどうか、取り戻せる見込みはあるのかなど、請求手続き前の疑問を解決できるので、一度無料相談を利用してみるとよいでしょう。
過払い金請求をおこなう際、個人では法律に対する知識が乏しく、交渉がスムーズに進められないことから相手のペースになってしまう可能性は否めません。
また、賃金業者から早く入金する代わりに過払い金の一部カットを提案されるといった、納得のいかない和解を求められるケースも考えられます。
希望どおりの適切な額を回収するためにも、弁護士の力を借りるのがよいでしょう。
過払い金請求を得意とする弁護士は、ペンナビ債務整理で検索できるのでぜひ活用してください。
弁護士と依頼主の間で債務整理に関する委任契約が成立すると、弁護士から賃金業者に対して受任通知が発送されます。
受任通知とは、債務者が過払い金の回収を弁護士に依頼したあと、債務者に対して取り立てを含む一切の連絡をしないように警告し、全ての交渉を弁護士が代理でおこなう、かつ取引履歴の開示請求について通達するものです。
弁護士は、この受任通知をもって取引履歴の開示を求め、利息制限法による引き直し計算をおこない借金の状況を把握します。
過払い金請求額が明確になると、弁護士が賃金業者に対して過払い金請求の手続きをおこないます。
過払い金請求は原則的に訴訟となりますが、ほとんどの場合は訴訟提起後の交渉による和解によって解決します。
訴状を出すと裁判所から賃金業者に対し、第一回口頭弁論期日の呼び出し状と訴訟副本が発達されますが、多くの場合は賃金業者から裁判が始まるまでに訴訟外で和解の申し出があるでしょう。
なお、和解の際の過払い金返還の目安は、合計金額のおよそ8割以上です。
金額が多額、あるいは相手側が支払いに応じなかった場合は、そのまま裁判に移行します。
本格的な裁判になるとそれなりの期間と費用がかかるため、迅速に解決できるよう債務整理を得意とする弁護士へ依頼しましょう。
過払い金請求手続きが完了し交渉が成立すれば、賃金業者から弁護士に対して過払い金が支払われます。
弁護士に依頼している場合、過払い金は一時的に弁護士の預かり口座に振り込まれます。
回収した過払い金から委任契約に基づく報酬金が弁護士費用として差し引かれ、その残額が依頼主に返還されます。
法律事務所によって異なりますが、過払い金返還期日から1週間程度で本人の口座に入金されるでしょう。
これで、過払い金の返還は完了です。
過払い金請求には時効があり、最後に借入金を返済した日から10年以上経過すると過払い金返還請求の権利は消滅して取り戻せなくなるため注意が必要です。
ここからは、過払い金請求をできる限り迅速に進めるための3つのコツを紹介します。
まず、賃金取引における契約書などの資料を準備しましょう。
手続きをおこなう際は、本人確認書類として次に挙げるいずれか1点が必要です。
また、シャチハタ以外の印鑑も準備してください。
必須ではないものの、借入先のカードや明細書、契約書、返済時に使用していた通帳、借入先への登録住所がわかるものを用意しておくとスムーズです。
賃金業者が返還すべき過払い金の存在を認めても、返金額や返金の時期に関する反論がある場合はなかなか合意に至らず、時間を要してしまうことがあります。
1日でも早い返金を求めたいところですが、賃金業者は素早い返金対応の見返りとして、返金額の減額を条件に出してくることも少なくありません。
返金額を満額に近づけるためには、粘り強い交渉だけでなく賃金業者の都合を配慮して、期間をあけた返金期日を受け入れるなどの柔軟な対応が必要です。
双方が合意に至らなければ話し合いが平行線となり、返還までの時間を費やしてしまいます。
こういった状況を避けるためにも、必要に応じて返還条件について譲歩することが大切です。
手続きを迅速に進めるためには、過払い金請求を得意とする弁護士への相談がおすすめです。
自身のみで手続きを進める場合、取引記録の調査が正確にできなかったり、資料が十分に集まらなかったりなどの問題が生じることがあります。
また、自身で引き直し計算をすると不正確になってしまう恐れもあり、正確に引き直し計算ができていなければ金融機関に返還請求をすること自体が困難になってしまいかねないのです。
裁判所へ提出する書面の準備なども、慣れていなければ時間を要してしまうでしょう。
過払い金請求が得意な弁護士に一任すると、過払い金の調査や裁判所に提出する書類の作成・交渉などの手続きがスムーズに進みます。
また、法律事務所はほかの借金の督促にも対応してくれるため、督促による過払い金返還請求の手続きへの影響は出にくくなるでしょう。
過払い金返還の実績がある弁護士は、借金の整理などに対する法律問題も多数取り扱っています。
それぞれの問題を整理したうえで有利な結果を出せるよう検討し、適切な過払い金の返還請求をおこなってくれるでしょう。
本記事では、過払い金請求の流れについて解説しました。
現在でも過払い金返還請求は続いているため、返還を希望している方は少なくないでしょう。
過払い金請求は自力でもおこなえますが、法律に関する知識がない場合は時間がかかるためおすすめできません。
過払い金請求にかかる期間は交渉で和解が成立した場合の目安として2ヵ月から6ヵ月、裁判になった場合は4ヵ月から1年半です。
そして、過払金請求には消滅時効があり、原則完済してから10年経過すると消滅時効を迎え請求できなくなることを忘れてはいけません。
スムーズに過払い金を回収するためにも、過払い金請求を得意とする弁護士に依頼するのがよいでしょう。
なお、過払い金請求を得意とする弁護士を探す際は、ベンナビ債務整理がおすすめです。
ベンナビ債務整理は債務整理が得意な弁護士を検索できるため、過払い金や個人再生などの借金問題に注力している弁護士を効率よく見つけられます。
ベンナビ債務整理の利用に費用は発生しないため、時効を迎えて過払い金請求の権利を失ってしまったと事態に陥らないためにも、ぜひ活用してください。