過払い金請求
過払い金請求の流れ自力でおこなう場合と弁護士に依頼する場合の違いも解説
2024.11.11
過払い金とは、消費者金融やクレジットカード会社が、利息制限法より回収し過ぎていた利息のことです。
長期間にわたって借金を返済している場合、借金の利息を払い過ぎている可能性があり、賃金業者に返還請求をすると取り戻すことができます。
とはいえ、自分に過払い金があるのかどうかを判断するのは難しいのが実情です。
なかには、過去に借金をしていても過払い金請求の対象外になってしまう方もいます。
そこで本記事では、過払い金請求が対象外になる8つのケースを紹介します。
自分が過払い金請求の対象かを調べる方法についても解説するので、ぜひ参考にしてください。
過払い金請求は、消費者金融やクレジットカード会社といった賃金業者に返し過ぎてしまった利息の返還を求める請求です。
そもそも過払い金は、過去に利息制限法の上限を終えた利息で契約をしても、一定の金利までなら処罰されない時期があったことで発生しています。
かつては、利息制限法では15%から20%、出資法では29.2%までの利息を許容しており、これら2つの法律で定められる利息の上限には差がありました。
多くの賃金業者は利息制限法の上限を超えた利息を設定していたため、過払い金が発生していたのです。
この期間に発生した金利のことを「グレーゾーン金利」と呼び、グレーゾーン金利で借入をしていた人は、過払い金請求の対象となります。
最近ではテレビCMなどでも過払い金請求の広告を見ることが多くなったため、借金をした経験がある方は、もしかしたら自分に過払い金が発生しているかもしれないと思うことでしょう。
グレーゾーン金利で借金をしていた可能性がある人は、一度弁護士に相談するのがおすすめです。
過払い金が発生している可能性がある借入には、銀行系ローンや住宅ローン、車のオートローン、奨学金などが挙げられます。
しかし、場合によっては過払い金を請求できない可能性もあるでしょう。
ここからは、過払い金の対象外になる可能性が高い8つのケースについて紹介します。
過払い金が発生するのは2010年以前の借入です。
2010年には、出資法や利息制限法の法改正がおこなわれ、利息の上限は20%で統一されました。
そのため、2010年以降に開始した取引ではグレーゾーン金利は発生せず、利息を払いすぎることはないのです。
なお、過払い金については2006年ころからグレーゾーン金利は認められないという判決が出始め、そのあとに法改正が予想されていました。
そのため、多くの賃金業者は法改正がおこなわれる少し前から、利息制限法が制限する利息の範囲内に変更し、グレーゾーン金利での借入を止めていた経緯があります。
そのため、賃金業者が利息を変更した時期の境は2007年から2008年ころとなり、2010年以前であっても2008年以降に発生した借入は過払い金請求の対象外になる可能性が高いでしょう。
クレジットカードの機能には主に、買いものをする際に使えるショッピング機能と、現金の借入ができるキャッシング機能があります。
このうち、ショッピング機能は過払い金が発生せず、キャッシング機能は過払い金が発生します。
なぜ同じクレジットカードでの取引にもかかわらず過払い金の発生有無が異なるのか、その理由はショッピング機能とキャッシング機能では適用される法律が異なるからです。
ショッピング機能はクレジットカード会社に代金を立て替えてもらい、あとで支払う仕組みであり、賃金取引ではなく立て替え取引となります。
立て替え取引でクレジットカード会社に支払うものは、商品やサービスの代金と手数料です。
手数料は利息に該当せずに別の法律の制限を受けるため、過払い金は発生しないのです。
なお、ショッピングのリボ払いや一括払いで過払い金は発生しないため、請求前に確認しましょう。
ローンを組むときは自動車や住宅の購入、教育資金といったまとまった費用を必要とする場合が多いです。
しかし、自動車のオートローンや住宅ローンは利息が低く設定されているため、過払い金が発生することはほとんどなく、奨学金や教育ローンも過払い金は発生しません。
自動車のオートローンの場合、ほとんどが所有権留保と呼ばれる車が担保になっている状態であることから、高い利息で貸付がおこなわれることはほぼありません。
住宅ローンの場合でも担保となる住宅の処分により貸倒れを回避できるため、高い利息で貸付がおこなわれることは少ないでしょう。
そもそも住宅ローンは、利息1%以内で貸付をおこなうケースが多いため、過払い金が発生するケースは見られません。
また、奨学金には種類があり、多くは貸与型の日本学生支援機構の奨学金が利用されています。
そのほかの奨学金も大学や地方公共団体の支援によるものであり、奨学金や教育ローンの全てがカードローンやキャッシングに比べて、はるかに低い利息での貸付になっているため、過払い金請求の対象外となるのです。
過払い金請求は完済後10年で時効を迎え、時効となれば過払い金があっても回収できません。
そのため、最後の返済日から10年以上を経過している場合は過払い金請求の対象外になります。
なお、過払い金請求の時効は最後の取引から10年、もしくは過払い金があることを知った時から5年です。
利息の変更時期が2008年頃だったことを考えると、すでに時効を迎えているケースも少なくありません。
ただし、10年以上経過していても完済後に再度借入をしている場合、先の借入から取引が継続しているとみなされ、時効の基準となる日が伸びる可能性があります。
時効の延長については条件があるため、自身で判断せず早めに専門機関に相談しましょう。
一部の賃金業者では、時期に関係なく適切な金利の設定を徹底しています。
グレーゾーン金利ではなく、適切な金利で貸している業者からの借入は過払い金請求の対象外です。
過払い金は利息制限法以上の金利で借入をしていた場合に発生するため、そもそも該当しない場合は過払い金が発生しません。
また、JCBやジャックス、オリックスなど、賃金についての金利を早めに見直した会社は過払い金が発生しない場合があります。
借金の支払いを滞納したことによって、借入業者から訴訟を起こされ支払った場合、過払い金は発生しません。
賃金業者側から裁判を起こされて一括弁済や分割弁済をしても、裁判を起こす時点で賃金業者側が利息制限法の制限金利を計算して裁判を起こしているため、過払い金が発生することはないのです。
過払い金を請求しようにも、借入先がすでに倒産している場合は請求できません。
実際、過払い金請求が認められて以降、多くの賃金業者は倒産に追い込まれています。
金融庁の調べによると、2000年には3万社ほどあった賃金業社は2012年には約2,300社と大幅に減少しているのです。
このとき、銀行系の傘下に入る、あるいは賃金業者同士で合併するなどにより生き残った業者もいますが、大手企業をはじめ中小規模の賃金業者の多くは倒産しています。
しかし、倒産後に他社に吸収合併された、営業譲渡をしたなどのケースでは過払い金の債務が継承されており、過払い金を請求できる可能性があります。
そのため、詳しくは過払い金請求に注力している先へ相談し、請求できるか否かを確認しましょう。
借入先が闇金業者だった場合は、過払い金の対象外となります。
闇金とは返済に窮している、あるいは多重債務で借入不可となっている方、そして破産者を対象に法外な金利で貸し付ける違法業者です。
闇金の貸付はもともと違法金利であり返済義務がないため、過払い金の返還に応じることはないと理解しておきましょう。
なお、闇金からの借入分をすでに完済している場合は、利息だけでなく元金の返還を求めることが可能です。
もし、闇金業者への借入れトラブルを抱えている場合は、闇金対応を得意とする法律事務所に相談することをおすすめします。
請求対象になる過払い金の有無については、取引履歴を取り寄せて過払い金を計算すれば判明します。
ここからは、過払金の有無を具体的に調べる3つの方法を紹介します。
まずは、借入の契約内容や取引の詳細がわかる書類を確認しましょう。
賃金業者との過去の取引の詳細がわかる書類から、グレーゾーン金利で借りていたかを確認できます。
金利や利息額に関する情報がわかる具体的な書類は以下のとおりです。
これらの書類をもとに、そもそも過払い金が発生しているのか、どの程度の金額なのかを確認してください。
借入先から取引履歴を入手して、その内容を元に利息の引き直し計算をおこないます。
取引履歴は取引時期や金利、利息額や返済額など借入記録の詳細が記録されているため、過払い金の発生や金額を確認するうえで最も確かな情報源です。
取引履歴の取り寄せに費用はかからず、取引業者に取引履歴を開示してほしいと伝えるだけで手に入ります。
取り寄せた取引履歴を元に引き直し計算をおこない、過払い金の有無や金額を確認しましょう。
また、過払い金は最後の返済日から10年以内に請求しなければならないため、時効を迎えていないかの確認も必要です。
なお、取引履歴を入手する際に賃金業者から取り寄せ理由を聞かれることがありますが、過払い金請求をする意向を伝える必要はありません。
賃金業者の中には問い合わせ窓口の段階から値引き交渉を始めることもありますが、それに応じる必要もないので毅然とした態度で問い合わせましょう。
自身で取引履歴を取り寄せて引き直し計算をすることもできますが、一般の方では開示を断られる、あるいは遅延金などを含めた正確な過払い金計算が難しいことがあります。
そのため、弁護士や司法書士などに相談してみましょう。
弁護士や司法書士に依頼するとスムーズに対応してもらうことができ、正確な調査にも期待できます。
しかし、全ての弁護士や司法書士が過払い金請求の業務を取り扱っているわけではなく、過払い金の回収率は弁護士や司法書士の腕によって変わります。
そのため、借金問題に詳しく過払い金請求の実績が豊富な専門家へ相談することが大切です。
過払い金請求に詳しい弁護士や司法書士に相談することで、時間や労力をかけずに手続きを進められる、かつ不利な条件での和解を避けられます。
また、報酬は司法書士のほうが弁護士より安い傾向にあるため、できる限り費用を抑えたい方は司法書士への依頼がおすすめです。
本記事では、過払い金請求が対象外になる8つのケースについて解説しました。
過払い金の有無についての判断は難しく、かつ過払い金が生じているものの時効によって請求できないことも考えられます。
そのため、過払い金が発生していると考えられる方は、まず弁護士や司法書士に確認しましょう。
なお、弁護士や司法書士に依頼する際は、満足のいく結果が得られるよう相談先選びは慎重におこなってください。
信頼できる弁護士や司法書士を見極めるためには、まずは無料相談に行くことをおすすめします。
無料相談で人柄や法律事務所の雰囲気がわかるため、参考になるでしょう。
過払金についての悩みは、問題を得意とする方の力を借りることが早期解決の近道であるため、まずは相談してみましょう。